アカデミー時代から青赤で育ち、昨シーズンはともに日本代表に選出。バングーナガンデ佳史扶と野澤大志ブランドンには、確かな自信と自覚が芽生えている。
今年、23歳と22歳を迎える二人は口を揃えて言う。「もう若くない。自分たちが引っ張っていかないといけない」と。
後編では、日本代表を経験したからこそ強く誓うチームでの結果について。今シーズン、トーキョーの顔となるべき男たちは、リーグ優勝、タイトル獲得へ向けて、先頭に立って引っ張る覚悟を固めている。
──今シーズンの目標、個人的にどんなシーズンにしたいかを教えてください。
佳史扶 もちろんJ1リーグ優勝です。そのためには若手がどんどん突き上げていかないといけないとすごく感じていますし、自分が先頭に立ってやっていきたいという想いは強いです。ピーター クラモフスキー監督からも「ピッチに立つ一人ひとりがキャプテンのような意識をもってやってほしい」と言われていて、優勝するチームは一人ひとりが責任あるプレーをしているでしょうし、スキのないチームが強いとも思っています。自分もそういう選手にならないと試合に出るべきではないと思っているので、いつまでも若手ではなく、中心だと思ってやらないといけないです。
大志 今までは自分が先頭に立って、リーダーシップを発揮してゴールを守るということは苦手なところもあって、自分のプレーをすることに精一杯でした。でも、これからは自分のプレーを出すことはもちろん、周りに影響を与える選手になっていかないといけないし、それが自分の理想です。そこは自分との戦いですね。自分のリミッターを解除できれば、大胆で、大きくて、チームを優勝に導けるゴールキーパーになれると思います。そこは自分でも期待しています。チャレンジして、成長して、時には失敗しながらも、優勝のためにやっていきたいです。
──J1リーグ優勝、タイトル獲得のためには何が必要でしょうか。
佳史扶 チームとして同じ方向を見続けることは大事です。試合中、うまくいくことばかりではないので、そういう時にどれだけピッチ上で話し合って修正できるか。そして外から声を掛け合えるか。試合に出ている11人だけでなく、チーム全体で課題に対処することがすごく大事になってくると思います。
大志 まとまらないといけないですよね。傷のなめ合いみたいな形ではなく、全員が目の前の勝利のためにまとまれるか。綺麗なサッカーじゃなくても、うまくいかないことがあっても、全員一丸になってガムシャラに戦って勝っていきたい。もちろん、チームの決まりごとは守りながらも、ファン・サポーターをワクワクさせるようなサッカーを見せたいです。「負けたけど、良い試合だったね」と言われるのは嫌なので、勝利から逆算したプレーをしていきたいと思います。
今シーズンの目標を明確に「J1リーグ優勝」とした二人は、そのために自分たちが先頭に立ってやらなければいけないことを理解している。ピッチ上では年齢もキャリアも関係ない。大事なのは目の前の試合に勝つために何ができるか。今シーズンのトーキョーには新たに二人の若く頼もしいリーダーが誕生しそうだ。
──そのために、どういう立ち居振る舞いを見せていきたいですか。
大志 まさにピッチ内での自分は変わらないといけないと思っています。チームが求めている姿はあると思うし、それは自分でも分かっているつもりなので、そこに近付いていけるようにしないと。今シーズン、そこは自分としても高いところを求めていきたいと思っています。
佳史扶 FC東京U-18では高校3年生の時にキャプテンを任されましたけど、性格としてはあまり向いていなかったと思います。すごく周りに支えられていました。でも、ここ最近は意識的にキャラクターを変えようとやっている部分はあります。サイドバックは一番ピッチ全体を見渡せるポジションなので、そのなかでチームとして良い守備から良い攻撃につなげたいと考えるようになったら、自然と声が出てくるようになりました。今シーズンはそれを続けながら、もっともっとやっていきたいです。
──せっかく二人がそろったので、お互い今シーズンに期待することを聞かせてください。
大志 半分冗談、半分本気で、佳史扶くんは「怪我をしない」だね(笑)。怪我をすると、色々なプランが崩れちゃうから。
佳史扶 そうだね。まだ怪我をしないで戦い切ったシーズンはないし、それは多くの人に言われる。自分が一番思っていることだし、それができたら、より良い結果を残す自信はあるから、そこはこだわってやっていきたいです。
大志 もうさ、攻撃も守備もバンバンやってほしい。
佳史扶 今シーズンはやるよ! 数字にこだわりたいと思っているから、楽しみにしておいてください。だから、大志には無失点にこだわってほしい。僕はディフェンダーなのでそこは一緒にやっていきたいけど、昨シーズンは大志にいっぱい救ってもらったから、できるだけピンチがないよう努力するけど、どうしてもっていう時は「大志、お願い」ってなるけど(笑)。
大志 そういうシーンを止めるゴールキーパーにならないといけないと思っているから、頑張ります。
──では、最後に今シーズンに懸ける思いを聞かせてください。
大志 タイトルは常に求めています。今の自分たちはタイトルがなかなか獲れていないから、王者らしさはないと思うけど、目の前の試合を勝ちにいくための立ち居振る舞いは見てもらいたいです。ファン・サポーターのみなさんに「観に来て良かった」、「面白かった」と言ってもらいたい。そういう試合を続けて、最後に優勝をつかみ獲るシーズンにしたいですね。
佳史扶 目の前の1試合1試合を、どんな内容でも良いから勝っていきたい。より結果にこだわって、ファン・サポーターのみなさんに優勝をめざしていることをプレーで伝えないといけない。大志も言っていたように、観に来てもらって面白いと思えるような試合やプレーを楽しみにしてもらいたいです。
前編はこちら
Text by 須賀大輔(エル・ゴラッソ)