5/3 京都戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.5.03

5/3 京都戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

前節、アルビレックス新潟とのアウェイゲームで快勝を収め、今節は味の素スタジアムでの今シーズン初勝利をつかむべく、青赤の選手たちがホームに戻ってきた。新潟戦からスターティングメンバーは二人が変更になり、頼りになるセンターバックの森重真人選手が6試合ぶりにスタメン復帰。新潟戦で今シーズン初ゴールを挙げたディエゴ オリヴェイラ選手も8試合ぶりにスタートからピッチに立った。

ファン・サポーターがゴール裏をびっしりと青赤で埋めたホーム味の素スタジアムで勝利を――。自分たちの“家”に勝利の歓喜を呼び込むために、チームは序盤から東京色を押し出して京都サンガF.C.ゴールへと迫った。

1stHALF—佳史扶味スタ初ゴールとディエゴールで2点をリード

電光石火の先制点だった。

中盤でのルーズボールをディエゴ選手が収め、仲川輝人選手にシンプルに落とし、そのボールを仲川選手は右サイドの安斎颯馬選手に展開する。スピードに乗っていた安斎選手がダイレクトクロスを選択すると、駆け上がってきた俵積田晃太選手には合わなかったが、その後方から全速力で走り込んできたバングーナガンデ佳史扶選手が左足を一閃。シュートは相手ディフェンダーに当たったものの、そのままゴールネットに吸い込まれた。

開始4分での先制点にスタジアムのボルテージは一気に高まり、立て続けに京都ゴールに迫っていく。しかし、なかなか追加点を奪えずにいると、少しずつ落ち着きを取り戻した京都にペースを引き戻される。

それでも、前半15分のピンチの場面では、豊川選手のクロスを頭で合わせた原選手に森重選手が最後まで身体を寄せてシュートを枠に飛ばさせないように対処するなど、ペナルティエリア内の守備で集中力を切らさずに対応し、ゴールを割らせない。

すると前半21分に追加点が生まれる。左サイドで押し込み、俵積田選手がドリブルで中央に切り込みながらクロスボールを供給。マークを外したディエゴ選手が頭で合わせてゴールへと流し込んだ。

効率よくゴールを重ねた東京は、攻め手を緩めない。前半32分のビッグチャンスでは仲川選手が決め切れず、前半39分のフリーキックを森重選手が合わせたシーンでは、ネットを揺らしたもののオフサイドで取り消された。

前半で決定的な3点目を奪うには至らなかったが、素晴らしいパフォーマンスで試合を折り返した。

2ndHALF—守勢に回るも失点を1に抑えて今シーズン2度目の連勝

後半の開始前、前半の終盤に足を痛めていた土肥幹太選手に代えてJ1デビューとなる岡哲平選手を投入する。急遽出番が回ってきたルーキーが入りながらも、後半も東京が主導権をつかんで試合を進めていく。

とはいえ、試合を決める3点目が奪えるようなチャンスはあまり作れず、後半16分には小泉慶選手と仲川輝人選手を下げ、原川力選手とジャジャ シルバ選手を投入。フレッシュなメンバーでゲームを締めにかかった。

後半30分にはディエゴ選手の巧みなボールキープとターンから局面を裏返してカウンターに出るも、途中出場の野澤零温選手のクロスはディフェンダーにクリアされ、二次攻撃から高宇洋選手が狙ったミドルシュートもディフェンダーのブロックにあった。

そんな展開のなかで次の1点は京都に生まれる。後半34分の右からのコーナーキック、平戸大貴選手の正確なキックをニアサイドで平賀大空選手が頭で合わせ、1点差に詰め寄られた。

その直後に東京にビッグチャンスが訪れる。相手の背後のスペースに野澤選手が抜け出したが、シュートは絶妙なタイミングで間合いを詰めた相手ゴールキーパーに阻まれた。アディショナルタイムにはペナルティエリア内の対応で森重選手のハンドをとられてペナルティキックと判定される。試合終了間際に与えた大きなピンチに一度はスタジアムが静まり返ったが、VARのサポートにより判定は取り消し。最後の最後に最大のピンチを回避し、今シーズン2回目の連勝を果たした。

完璧な前半から一転、後半の終盤は慌ただしい時間を過ごしたが、最後は全員で自陣のスペースを消して守り切り、2-1で勝利。味の素スタジアムでの初勝利をつかみ、2度目の連勝を果たした。

これで今シーズン5勝目となり、勝点は18に到達。はっきりと上位陣の背中が見えてきた。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK波多野豪
DF白井康介/森重真人/土肥幹太(後半0分:岡哲平)/バングーナガンデ佳史扶
MF高宇洋/小泉慶(後半16分:原川力)/仲川輝人(後半16分:ジャジャ シルバ)
FWディエゴ オリヴェイラ(後半35分:長友佑都)/俵積田晃太(後半27分:野澤零温)/安斎颯馬

SUBS
GK児玉剛
DF徳元悠平

GOAL
前半4分:バングーナガンデ佳史扶 / 前半21分:ディエゴ オリヴェイラ

<京都サンガF.C.>
STARTING Ⅺ
GKク ソンユン
DF福田心之助(後半31分:宮本優太)/麻田将吾/松田佳大(後半0分:鈴木冬一)/アピアタウィア久
MF武田将平(後半0分:平戸太貴)/松田天馬(後半14分:平賀大空)/金子大毅/佐藤響
FW原大智/豊川雄太(後半14分:一美和成)

SUBS
GK太田岳志
DF鈴木義宜

GOAL
後半34分:平賀大空


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、試合を振り返ってください。
A、今日の試合には色々なものがあったと思っています。特に前半は力強いフットボールを展開し、エキサイティングなプレー、相手にとって危険なプレーを出すことができて、数点はとれてもおかしくない状況を作れていました。逆に後半は自分たちの戦い方から離れてしまい苦しんでしまった部分がありました。自分たち自身で難しくしてしまったと思っています。そのなかで選手たちは、素晴らしいメンタリティを持ち、必死に戦ってくれました。またクラブのため、ファン・サポーターのために勝点3をとろうと最後まで戦ってくれたと思います。彼らが勝点3を勝ち取るために取り組んだことを非常に嬉しく感じています。

選手たちは勝利に値するパフォーマンスを出してくれました。ファン・サポーターたちが喜んでくれて嬉しく思っています。今日の勝利は彼らがチームを力強く応援してくれたからです。今日、自分たちのフットボールでポジティブだった点、自分たちが成長していくために良い点がすごくありました。もっと強いチームになっていくために、もっとうまくできる部分や改善できる部分もあったと思うので、その教訓を学んでいきたいと思います。今日は勝利を喜んで、選手たちはすぐに回復に努め、また月曜日の試合に向けて良い準備をしていきます。

Q、様々な理由で選手が不在のなか、森重真人選手やディエゴ オリヴェイラ選手がスターティングメンバーで出場しました。
A、彼らのパフォーマンスは素晴らしかったと思います。勝点3を取るためのパフォーマンスにすごく貢献してくれたと思いますし、リーダーシップやキャラクターをしっかりと出して戦ってくれたと思います。いま数選手が不在で難しい状況のなかですが、練習できているすべてのメンバーが成長しようというメンタリティで毎日のトレーニングに取り組めています。その成果を森重選手とディエゴ選手がしっかりと出してくれましたが、それは全選手に言えることだと思います。

森重選手はハングリーにチームに貢献できるように準備をし続けてくれていました。それを今日のパフォーマンスで示してくれました。コンディションに問題があり、ディエゴ選手が練習できない時期もありましたが、彼が戻ってきてくれたことは素晴らしいことです。今日の彼らのパフォーマンスは毎日の取り組みの成果だと思っています。

シーズンを戦い抜くためには選手全員が必要です。今がまさに全員の力が必要な状況です。今はフットボールの部分もメンタリティの部分も成長してきていると思いますし、ここは大事なところです。今日は本当に強いチームとして戦えたと思いますが、まだポテンシャルは多くあります。このままハードワークを続けながら、自分たちが夢見たチームになるためにチームとして成長し続けなければいけません。このまま謙虚に進んでいきたいと思います。ハードワークを継続し、自分たちのやっていることを改善しながら進んでいきます。


[選手インタビュー]
<バングーナガンデ佳史扶選手>


Q、先制点を振り返ってください。
A、今シーズンは、反対サイドからのクロスに対して、逆のサイドバックが入っていくことをチームとして取り組んでいて、今まで惜しいシーンは何度かありました。今シーズンの1点目を、チームとしてやろうとしていた形で決めることができて、日頃の成果が出せて良かったです。

Q、サイドバックのポジションニングについてもチームとして整理されているように感じました。
A、相手を崩した際にどの位置に入っていくか、自分のサイドだけでなく反対側のサイドからクロスが上がってくるパターンや、他にも色々なパターンを普段の練習からチームで取り組んでいます。サイドバックのポジションニングだけでなく、ウィングや他のポジションも含めてやることが整理されていて理解できているので、思い切ったプレーができていると感じています。

Q、一方で、守備のリスク管理も求められていると思いますが、どのように取り組んでいますか。
A、攻撃的に前に出ているので、相応に守備のリスク管理でより集中が求められます。何本か背後を突かれて危ないシーンがありましたし、チームとしても個人としても、その部分にフォーカスして改善していきたいです。

Q、後半15分あたりから守備の時間が長くなり終盤に失点してしまいました。どのような課題がありますか。
A、後半の入りは良かったのですが、良い時間で追加点を奪うことができず、徐々に相手のペースに合わせてしまい、少しずつ押されてしまいました。チームとして、試合の最後の進め方に課題があると思ったので、この後の連戦に向けてすぐに修正していきたいです。


<ディエゴ オリヴェイラ選手>


Q、試合の振り返りをお願いします。
A、非常に厳しい試合内容でした。相手がパワーを持って圧力をかけてきたこともあり、全員で最後まで粘り強く戦い抜けたことが勝利に繋がったと思います。ファン・サポーターのみなさんの応援が僕ら選手の支えになりました。シーズン序盤の試合は出場できていましたが、コンディションがうまく上がらず、前節のアルビレックス新潟戦から試合に復帰できました。その間、チームメイトや試合に出場できるようにサポートしてくれたチームスタッフ、ファン・サポーターのみなさんに感謝を伝えたいです。

Q、今シーズン味の素スタジアム初勝利に導いたゴールシーンの振り返りをお願いします。
A、今日の試合は前半から良い入りができていました。多くのチャンスを作り出し、バングーナガンデ佳史扶選手が早い時間帯に先制点を奪ってくれたことで、良い流れを引き寄せることができました。相手のエリアでのプレー回数が増えてきたタイミングで、俵積田晃太選手から右足の素晴らしいクロスが送られてきました。うまく頭で合わせるだけのヘディングシュートでしたし、俵積田選手のアシストに感謝したいです。今シーズンの味の素スタジアムでの初勝利を選手、ファン・サポーターの全員で今日は喜び合いたいと思います。

Q、本日の試合を含め5月の8連戦に突入しました。どのように臨みますか。
A、短い期間で試合が続くスケジュールを全員で乗り切る必要があります。次節の北海道コンサドーレ札幌戦まで中2日というタイトなスケジュールです。アウェイゲームの札幌との対戦はいつも難しく厳しい試合展開になっているので、今日の試合のように全員で勝利を掴み獲れるようにしっかりと試合に向けた準備を進めていきたいと思います。選手たちは誰が出場しても力を発揮できるクオリティを兼ね備えています。自分たちのサッカーができるように、今日はゆっくりと休んで、また明日から高めていきたいと思います。


<岡哲平選手>


Q、ルヴァンカップでプロデビューは果たしていましたが、J1リーグ戦、しかもホーム味の素スタジアムで急に出番が回ってきました。
A、いつでも出られる準備はしていたなかでの出場で、こうしてホームで勝って終われたことは良かったと思いますが、2-0で自分が投入されてから失点してしまいました。絶対にやらせないという雰囲気作りや、個人のプレーとしても周りが見えていなかったり、守備のポジショニングも周りに助けてもらってばかりで、修正しなければならない点が多いと感じています。

Q、それほど慌てている印象はありませんでした。
A、ドタバタしていないと思わせられるように、堂々とやろうという雰囲気と振る舞いを意識していました。

Q、アウェイでのニッパツ三ツ沢球技場でのデビュー戦とはまた違う、ホーム味の素スタジアムの大歓声のなかでのプレーはいかがでしたか。
A、アカデミーの頃からここでやりたいと思っていて、味の素スタジアムで試合に出て絶対に勝つという目標が一つ叶ったので、またここからだと思っています。もっとどんどんレベルアップしなければならないと、このピッチに立って思いました。

Q、今日の試合での収穫と課題を教えてください。
A、途中出場でも試合の雰囲気に入れたこと、そして勝てたことは収穫だと思います。課題としてはポジショニング、とくにセンターバックは外につり出されないことや、ラインの上げ下げという点でもまだまだやらなければならないと思います。ビルドアップの部分でも近いところばかり見てしまって、自分の特長でもあるロングフィードを出すことができませんでした。

Q、次の試合に向けて、プレーのなかで変えていきたいところはありますか。
A、遠い前線の選手を見て、一つのプレーでチャンスになるようなフィードを両足で出せるのが自分の特長なので、まずはそこにトライしたいです。守備ではやらせない雰囲気作りと、自分のところで相手の攻撃の芽を摘んでそのまま攻撃の起点になるようにアンテナを張り巡らせることはやっていきたいと思います。

Q、ファン・サポーターのみなさんにメッセージをお願いします。
A、まずは「ただいま」と伝えたいです。成長して帰ってきた姿を見せるために、日々の積み重ねを欠かさずにここからやっていきたいと思います。