5/15 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.5.15

5/15 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

アウェイで臨む名古屋グランパス戦。前節の引き分けでリーグ戦の連勝は3試合でストップしてしまったが、だからこそ気持ちを切らすことなくしっかりと結果を求めていかなければならないゲームとなる。

スターティングイレブンは前節の柏レイソル戦から3人が変更。ゴールキーパーにはU-23日本代表から戻った野澤大志ブランドン選手が第7節の鹿島アントラーズ戦以来となるスタメン復帰。センターバックには古巣対決となる木本恭生選手を起用し、出場停止が明けた小泉慶選手をボランチに配した。また、U-23日本代表戦でのアクシデントで回復に徹していた荒木遼太郎選手が復帰してベンチ入りを果たした。

中3日の過密日程は相手も同じ。5月15日の“Jリーグの日”に開催されることになった試合は、開始直前から降り始めた大雨のなか、19時03分にキックオフを迎えた。

1stHALF—攻め手を見出せず1点のリードを許す

最初のチャンスは前半4分、中央から繋いだボールをオーバーラップした右サイドバックの白井康介選手がマイナス方向にグラウンダーのクロスを供給。これを俵積田晃太選手が右足ダイレクトで狙ったが、ボールは惜しくもバーを越えてしまった。

続く前半8分には前線でボールを収めたディエゴ オリヴェイラ選手がターンして前を向くと、ロングレンジから右足を振り抜いてゴールを襲う。これは相手ゴールキーパーの正面に飛んでしまったが、立ち上がりから積極的な姿勢を見せていく。

序盤こそ攻勢に出た東京だったが、名古屋がコンパクトな4-3-3の3ラインを敷いて中央を固めてきたことで、なかなか攻め手を見いだすことができない。

一進一退の攻防が続き、お互いにシュートチャンスを作り出せない状況が続いたが、前半30分に思わぬ形で試合が動く。

自陣左サイド深くから難しい形のビルドアップを狙ったところで相手のプレスを受け、ペナルティエリア内で森重真人選手がファウルをとられ、名古屋にペナルティキックを献上してしまう。これをキャスパー ユンカー選手に沈められ、3試合連続で先制点を奪われる展開になってしまった。

反撃を期して前線から圧力を強める東京。細かくパスをつないで敵陣に攻め込もうとしていく。

前半アディショナルタイム、名古屋の右サイドからのフリーキックを中央で豪快に合わされてネットを揺らされてしまうが、これはVARのサポートによりオフサイドとなり、0-1で前半を折り返すこととなった。

中央を締めて“赤い壁”を作りながらカウンターを狙ってくる名古屋をどう崩していくのか。その攻略は後半に持ち越しとなった。

2ndHALF—帰ってきた“タロウ”の反撃弾も及ばず

名古屋の堅い守備を崩そうとする東京。後半5分にはディエゴ選手が切り返しから左足に持ち替えてシュート。続く後半6分には左サイドから俵積田選手の右足クロスに仲川輝人選手、白井選手が飛び込むが、ゴールネットを揺らすことはできない。

角度をつけたパス、くさびの縦パスからの落とし、サイドチェンジなど工夫を入れながら攻め手を探っていくなか、ベンチが動いたのは後半16分。U-23日本代表で活躍した松木玖生選手と荒木選手を前線に同時投入して打開を図る。

しかし、次にゴールを奪ったのは名古屋だった。後半21分、ロングボールを収めたユンカー選手が左へ展開して前線へ。これを受けた和泉選手が中央へ展開すると、前線へ走り出していたユンカー選手がワントラップから左足を振り抜いて0-2とされてしまう。

後半26分には名古屋の左コーナーキックのこぼれ球を右から放り込まれると、ニアサイドでのユンカー選手のヘディングがゴールキーパーの頭を越えてゴールイン。ハットトリックを許してしまった。

反撃を期す東京は後半27分に長友佑都選手とジャジャ シルバ選手を投入。この選手交代が反撃弾につながる。

後半33分、右サイドでのスローインから長友選手がつなぐと、そのまま裏のスペースを狙ってダッシュ。ここから高宇洋選手からの絶妙なスルーパスを受けて倒れこみながら折り返すと、中央に詰めたのは荒木選手。ピッチに戻ってきた“タロウ”がすぐさま結果を出し、チームを勇気づけるゴールを奪った。


後半41分には左サイドの高い位置で松木選手が潰れたこぼれ球をジャジャ選手が拾ってドリブル。グラウンダーのアーリークロスを止めようとした相手のスライディングブロックがゴールに向かうが、オウンゴール寸前のところでクリアされてしまい、惜しくも得点には至らない。

4分間のアディショナルタイムにも猛攻を仕掛けていく。セットプレーで惜しいシーンを作り、荒木選手のミドルシュートや松木選手の決定的なシュートなど最後まで名古屋ゴールに襲い掛かったが、スコアを動かすことはできず。

荒木選手の復帰弾という朗報はあったものの、アウェイ名古屋で悔しい敗戦。リーグ戦5試合ぶりの黒星を喫した。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF白井康介/森重真人/木本恭生/バングーナガンデ佳史扶
MF高宇洋(後半40分:原川力)/小泉慶/仲川輝人(後半16分:荒木遼太郎)
FWディエゴ オリヴェイラ(後半16分:松木玖生)/俵積田晃太(後半27分:ジャジャ シルバ)/安斎颯馬(後半27分:長友佑都)

SUBS
GK児玉剛
DFエンリケ トレヴィザン

GOAL
後半33分:荒木遼太郎

<名古屋グランパス>
STARTING Ⅺ
GKランゲラック
DF河面旺成/三國ケネディエブス/吉田温紀
MF小野雅史(後半23分:倍井謙)/椎橋慧也/稲垣祥/森島司(後半37分:米本拓司)/内田宅哉(後半23分:中山克広)
FWキャスパー ユンカー(後半37分:パトリック)/永井謙佑(後半13分:和泉竜司)

SUBS
GK武田洋平
DFハ チャンレ 

GOAL
前半33分:キャスパー ユンカー / 後半21分:キャスパー ユンカー / 後半26分:キャスパー ユンカー



[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、試合の総括をお願いします。
A、残念な結果になってしまいました。自分たちでつかみ取ることができた試合でしたし、勝利をつかみ取るまでにそれほど遠くはなかったと感じていますが、自分たち自身でゲームを難しくしてしまったところがありました。簡単な失点をしてしまったことが痛く響いたと思っています。試合終盤に向けて力強く戦えるということは感じていましたが、今日の試合に関しては、自分たち自身が原因で苦しくなってしまった試合だと思います。

Q、得点シーンはいつもの良さが出せていましたが、一方で失点が増えています。ここをどう改善していこうと思っていますか。
A、まず試合をしっかり分析していくなかで、前半はペナルティキックで失点する形になってしまいました。それは守備の形だったり、構成の部分だったり、守備の決まりごとの部分ではなかったと思います。これはフットボールでは起こり得ることでもあります。2失点目に関しましても、自分たちが改善しなければいけない部分があると思いますし、それが決定的な場面になってしまったと思っています。そこまでの間で自分たちが得点をとれそうな場面もありましたし、そこでとっていければゲームをひっくり返していけるとも感じていました。しかしながら、そこで名古屋グランパスにしっかりと決め切られてしまって、自分たち自身で難しくしてしまいました。

3失点目はセットプレーからでした。そういったところも改善していかなければいけませんし、簡単に失点しないようにしなければいけません。ただ、とられた後に追いついていこうとするメンタリティは、このグループは作れていると思っています。しかしながら、簡単に失点してしまう部分を改善していかなければいけませんし、そうすることによって流れを掴んでいかなければいけないとも感じております。そうすれば、本当に対戦相手にとっても戦いにくい相手、そして倒しにくい相手になっていけると思っています。

終盤、自分たちが強く戦えることも分かっていましたし、ゴールキーパーのランゲラック選手の良いセーブもありました。ライン際ギリギリのクリアもあったと思います。そういった部分で今日は簡単に失点してしまった代償を感じています。厳しい教訓にはなってしまいましたが、しっかりと自分たちで身に付けて、回復して、次の試合に向けて準備していきたいと思います。


[選手インタビュー]
<荒木遼太郎選手>


Q、東京での久しぶりの出場となりました。
A、失点をしない守備という面は、僕が代表活動でチームを離れる前から課題として捉えていましたし、チームとして改善しなければいけないところです。どんなにゴールをとっても、失点が増えてしまうと勝つことが難しくなってしまうので、ディフェンスの選手だけではなくチーム全体で修正したいと思います。

Q、得点シーンの振り返りをお願いします。
A、白井康介選手から長友佑都選手にスルーパスが入ったタイミングで、最初はニアに飛び込もうと思いましたが、スペースが消されていたので折り返しのボールが入ってくることを予測して動き直しました。狙い通りのパスが来たので、面を作って冷静に当てるだけでした。

Q、荒木遼太郎選手にボールが集まることで、攻撃の組み立てや流動性が生まれていました。
A、ボールに関わり、攻撃を組み立てることが僕自身の良さであり、持ち味です。出場するからにはピッチに変化をもたらしたいとベンチから見ていて思っていました。試合の流れを変えるプレーを意識していましたし、負けはしましたが少しは役目を果たせたと思っています。


<小泉慶選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、相手も強度の部分が持ち味で、球際だったり、セカンドボールの拾い合いで勝ってカウンターの一撃で仕留めてくるチームというのは最初から分かっていたなかで、もう少し強度の部分で相手より勝らないとこういう展開になってしまうと思います。根本的な、相手よりも戦うこと、走るとかではなくて“戦う”というバトルの部分で、特に真ん中のボランチを任されている僕みたいな選手がセカンドボールの拾い合いやゴチャゴチャした場面でマイボールにできていれば、もう少し自分たちのペースでできたと思います。また、相手が少し引いてきたところをどう崩すのかは、チームとして改善していくべきです。全部がマイナス要素ではないですが。

Q、つなぐ部分と試合を支配する部分はここ数試合と同じように表現できていたように見えましたが、そこから得点につながらなかった要因はどう見ていますか。
A、結局、シュートを打たないとゴールは入らないので。シュートを打つタイミングだったり、最後の思い切りの良さというのは、自分も含めてもっと出せれば良かったと思います。そこはチャレンジしたいです。ただ、焦れて打つのではダメなので、判断を良くして臨機応変にシュートを狙えるところで打っていけるようにしたいです。

Q、連戦が続きます。チームとしてどう取り組みますか。
A、すぐに試合が来ますし、下を向いている暇はありません。いくら話し合っても、ピッチでやるしかないと思います。もう一回、気を引き締めてやっていきたいです。


<バングーナガンデ佳史扶選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、前半はなかなか良い展開に持ち込めず、悪い形で失点してしまいました。チーム全体で走れていたと思うのですが、繋がりの部分がうまくいきませんでした。後半の最後は良いサッカーができていたので、それをもっと早い時間からできていれば前半も柏レイソル戦のように自分たちが優位に試合を進められたと思います。すぐに次の試合もあるので切り替えていきます。

Q、サイドの攻撃では良いコンビネーションで抜けるシーンが多くありました。
A、数回、コンビネーションで抜け出せたシーンもありました。ただ、前半は特に俵積田晃太選手に二人、僕に一人マークがついていたので、俵積田選手がボールを受けた時にはもう少しうまくサポートして1対1のシーンを多く作れていれば、もっと攻撃につながったと思うので、そこは今後の課題です。うまくいったシーンもあったので、そのような連携を継続していって、課題を修正していきたいです。

Q、前半は特に左サイドの攻撃について相手に対策されていました。
A、今まではうまくいき過ぎていたと思います。ガンガンいけていた時はチームのストロングポイントにもなっていたので、対策された時にピッチの中でどのように修正できるかが課題になってきます。前半のようにうまくいかない時に、ピッチの中でもっと話していかなくてはいけません。俵積田選手と二人だけではなく、より多くの選手と左サイドを有効活用するために話して、修正力をつけていきたいです。

Q、連戦が続きます。どのように質を高めていきますか。
A、個性を持った選手がたくさんいるので、出場している選手によって攻撃のパターンが多くあることはこのチームにしかない特長なので、その部分は消さないようにしていきつつ、結果を求めていかないといけません。後半はチャンスがあったにも関わらず決め切れませんでした。そこを決め切れるようになれば勝てるチームになれるので、最後の部分にこだわっていきたいです。連戦なので切り替えて、できたところは継続して、課題は修正して、週末の次の試合に臨みたいと思います。