<前節・ガンバ大阪戦のレビュー>
序盤から一進一退の攻防が続くなか、青赤が誇る若き守護神、野澤大志ブランドン選手がゴールマウスに立ちはだかった。
最初の見せ場は前半41分。ロングカウンターを仕掛けられて相手と1対1の場面を作られながら、冷静に状況を見極め、しっかりと待ち構えてコースを限定したうえで鋭くシュートに反応。左手を伸ばしてボールを弾き出した。
後半3分には相手のミドルシュートを右手でしっかりと弾き飛ばしてゴールを死守。そして後半22分に迎えたピンチでも、彼のビッグセーブがチームを救う。
セットプレーからニアサイドでヘディングを合わされるが、至近距離から放たれた一撃に超人的な反応で伸び上がるように右手を伸ばしてコースを変え、ギリギリのところでゴールの上に弾き出すことに成功した。
立て続けのファインセーブ。相手のシュートに対して、スッと手が出せるようになってきた点は見逃せない。
「ゴールキーパーは受け身のポジションで、相手があってのプレーが求められるので、相手とボールをよく見ながら反応していくことが大事だと思っています」。
しかし、後半40分、相手の選手交代で生まれたスキを突かれて先制点を許してしまう。
反撃を期す東京は終盤に猛攻を仕掛けていく。後半アディショナルタイムに左コーナーキックの流れからエンリケ トレヴィザン選手が同点弾を押し込んだと思われたが、直前のプレーがオフサイドと判定されてゴールは認められずタイムアップ。ホームで悔しい敗戦を喫し、リーグ戦4戦未勝利となった。
自身のパフォーマンスは試合を重ねるごとに上がっている。「自分としては、ここ数試合でどんどん良くなっていると感じている」と手応えも感じている41番。だからこそ勝利が欲しい。
「最後にやられたところまではチームとして粘れていたので、すごく悔しい。もちろん全員で身体を張ることが大事ですし、ゴールキーパーは最後の砦として身体を張ることも必要になる。自分が一番望んでいるのはチームの勝利なので、次のサガン鳥栖戦では必ず白星をもたらせられるようにしたいと思っています」
<マッチプレビュー>
先週水曜に行われたYBCルヴァンカップ3回戦に続いて、鳥栖に乗り込む第17節。ゴールデンウィークから中2日、中3日という過密日程で戦い続け、今節は中4日でアウェイでの“金J”に臨むことになった。
今節は各年代の日本代表に選ばれた選手たちに注目が集まる。日本代表に3月に続いて長友佑都選手が名を連ね、パリ五輪をめざすU-23日本代表には松木玖生、野澤大志ブランドン、バングーナガンデ佳史扶、荒木遼太郎の4選手が選出された。
3月の代表メンバー発表直後に行われたアウェイのアビスパ福岡戦では、日の丸を着けて戦うことがリリースされた長友、佳史扶、荒木の3選手がゴールを決めて快勝。2000シーズンの7月以来となるアウェイ福岡でのリーグ戦白星に貢献し、チームにシーズン初勝利をもたらした。今節も青赤のユニフォームで見せるであろう彼らのハイパフォーマンスに期待せずにはいられない。
鳥栖でのアウェイゲームはカップ戦では2019シーズン以来となる勝利をマークしたものの、リーグ戦では2015シーズンの6月を最後に白星を挙げることができていない“鬼門”。チームは現在、リーグ戦4戦未勝利と思うような結果を出せていないが、前週のルヴァンカップでペナルティキック戦の末に勝ち取った勝利を糧に、再浮上のきっかけとなる試合としたいところだ。
[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]
Q、失点こそしましたが、前節は守備の堅さが見られた試合でした。
A、全体として良いパフォーマンスを出していたと思います。ただ、我々のベストだったかと言われればそうではありませんし、失点をして、負けてしまったことを残念に思っています。まだまだ、私たちには身に付けられるモノが多くあると感じています。そして、ガンバ大阪戦では勝利という結果を得られなかったことに痛みを感じています。それでも、自分たちの旅路には必要なことと捉えています。戦い方を発展させることに焦点を置きながら、次の試合に向かっていきたいと思います。
選手たちは、何ができていて何が課題かをしっかりと理解しています。我々は、常に理想とするものに近づいていくために進化し続けていかなければいけません。もちろん、そのなかでディテールにこだわることも重要です。誰にも止められないチームとなるためには、修正と改善を繰り返し、前に進んでいくことが大切だと考えています。
Q、短期間でサガン鳥栖との再戦になります。
A、自分たちの戦い方にまずは焦点を置いてプレーしたいと思います。今節もタフな試合になると思いますが、良い準備を進めています。自分たちのフットボールができれば、得点を奪えていますし、守備面の堅さを取り戻しつつある状況です。チームとしての狙いを試合終了の瞬間まで続けて、勝点3を奪いにいきます。
[選手インタビュー]
<仲川輝人選手>
Q、直近の公式戦で勝利から遠ざかっているなか、あらためてチームをどのように引き締めていきたいですか。
A、試合の入りからアグレッシブにチームとしてボールを奪いにいくこと、シュートで終わる攻撃面の意識など、プレーの迫力を出していきたいです。守備については、相手に対して自由を与えない激しさが求められていると思います。チームとしての守り方をもう一度徹底したいです。
攻撃面では単調さも目立ってしまいました。相手陣内でボールをしっかりと回して崩すシーン、保持する時間の長さも直近の試合では物足りなさを感じています。もっと高めていかないと相手の脅威にはなりませんし、単調な攻撃では相手ディフェンスに怖さを与えられません。ここからリーグ戦に加えてルヴァンカップや天皇杯など、6月も連戦が続きます。チームとして、誰が出ても同じ意識で高いパフォーマンスを発揮するためにはどうするのかを、もう一度全体で共有したいです。攻守両面の課題を一つひとつクリアにし、大切なことは“やり続けること”だと思っています。
Q、そのなかで仲川輝人選手が自分自身に課しているもの、意識しているプレーを教えてください。
A、出場するポジションにもよります。トップ下やワントップなど中央の位置でプレーする時は、ボールを受けてリズムを生み出すこと、一度降りてから裏へ抜け出す動きなど、僕自身の特長を活かして、チームとしてボールを前進させるサポートを常に意識しています。右のウイングで出場する時は、後ろの選手とコミュニケーションをとり、サイドに張るだけではなく、中への動きを意識することでサイドバックの攻撃参加のスペースを作ることを意識しています。
基本的には、前線に張りっぱなしという訳ではなく、中盤の位置に降りてボールを触る回数を増やす意識でプレーしています。ポジションに捉われ過ぎず、ピッチ内の状況を察知して、最善の判断を選択していきたいと思います。
Q、約一週間前にルヴァンカップで対戦したサガン鳥栖との一戦です。どのような内容を求めていきますか。
A、先日のルヴァンカップで対戦したことで、相手のプレースタイルや戦術を多少なりともピッチ上で実感し、もちろん相手チームも同じ状況ではあると思います。鳥栖は後ろから繋いでくるチームですし、僕らは前回の対戦で前からアグレッシブに奪いにいく意識でプレーしました。がむしゃらに前線から奪いにいく、という訳ではなく、チームとしてコンパクトに、相手陣内で奪うことができれば、攻撃のチャンスにも繋がると思います。相手も僕らのスカウティングができていると思うので、試合展開を読んだプレーの選択をしたいです。特に前半10~15分が重要で、チャンスを作り、先制点を奪うことが、難しいアウェイゲームを制するキーポイントだと思います。
<バングーナガンデ佳史扶選手>
Q、リーグ戦では4戦未勝利の状況です。
A、勝利から遠ざかっていますが、細かい内容を見ると、守備の面では開幕当初と比べると改善は進んでいると思います。決定機やチャンスの回数も、負けた試合で全くなかったと言われればそうではありません。最後の一歩や、相手に与えてしまった唯一の決定機を決められてしまうケースが多くあります。まず、そういうところは修正していきたいです。攻撃の部分では自分たちがめざす形は作ることができている感触です。最後のシュートのクオリティや、僕自身で言うと、クロスの精度や供給するタイミングのところをしっかりと高めていきたいです。そのような課題が試合のなかで解決できて勝利に繋がれば、またチームとして上をめざしていけると思っています。他の選手もプレーやピッチ上で同じように感じていると思います。課題を修正して、結果に繋げることをより求めていきたいです。
Q、勝利、その先の連勝に繋げるために必要なことを教えてください。
A、チャンスの局面で決め切るところ、最後の守備の局面で身体を投げ出してでもボールに食らいつくこと、細かい部分にどれだけこだわれるかだと思います。試合中はやっている感覚でも、後から見返すと、連勝していた時より足りないように見えますし、自分自身にも周りにも求めていきたいと思います。周りに伝えることで、自分自身のプレーにも責任が増すと思っていますし、一人ひとりが意識高めてプレーしていきたいです。
Q、ルヴァンカップで対戦したサガン鳥栖が今節の相手です。
A、ルヴァンカップは出場しませんでしたが、映像を見てとても厳しい試合だったと思っています。鳥栖のアウェイゲーム(リーグ戦)は、過去の対戦成績を見ても勝利から遠ざかっていますし、勝つことができれば間違いなく勢いに乗ると思います。ターニングポイントになる試合ですし、ルヴァンカップではできなかった90分で決着をつけるゲームにしたいです。勝ちだけを東京に持って帰ってきたいと思います。