5/31 鳥栖戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.5.31

5/31 鳥栖戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

“金J”開催となった第17節、アウェイ鳥栖に乗り込んだ東京は、前日に発表されたU-23日本代表カルテットがそろってスタメン出場を果たした。

スターティングメンバーは前節から2選手を変更し、ゴールキーパーに野澤大志ブランドン、ディフェンスラインは右から安斎颯馬、木本恭生、エンリケ トレヴィザン、バングーナガンデ佳史扶の各選手を配置。ボランチは高宇洋選手と小泉慶選手がコンビを組み、トップ下には松木玖生選手を起用した。前線は右ウイングに仲川輝人選手、左ウイングに俵積田晃太選手というアタッカーを置き、荒木遼太郎選手が前節のトップ下から1トップへ。また、負傷からの復帰となる中村帆高選手がベンチメンバーに入り、ウォーミングアップ時に東京ゴール裏から「ホタカ」コールを受けて拍手で応えた。

ペナルティキック戦までもつれこんだ末に勝利を手にした前週水曜のJリーグYBCルヴァンカップ3回戦に続く鳥栖でのアウェイゲーム。試合内容は上向いているものの結果が伴わず、リーグ戦4戦未勝利という苦しい状況に置かれているだけに、苦手にしてきた鳥栖の地で何としてもリーグ戦での白星をつかみたいところ。試合は明るさの残る駅前不動産スタジアムでキックオフを迎えた。

1stHALF—ヤスの豪快弾で早々に先制ゴール

序盤から積極的な攻撃を見せる東京。俵積田選手のカットインドリブル、荒木選手のスルーパスなどで相手ゴールに迫っていく。

そして前半11分、荒木選手の右コーナーキックが弾かれたところを高選手がヘディングで前方へつなぎ、前線に残っていた木本選手が右足でニア上を強烈に打ち破るシュート。副審はオフサイドフラッグを上げたが、VARのサポートでゴールの認定。早い時間帯での先制点にセンターサークル付近で選手たちが歓喜の輪を作った。

追加点が欲しい東京は前半23分、佳史扶選手のロングフィードから左サイドで俵積田選手が抜け出す。そこで相手ディフェンダーからゴールキーパーのバックパスが乱れると、クリアし切れなかったボールが松木選手の足元へ。ゴール前でフリーの松木選手が流し込んでネットを揺らした。だが、約5分間に及ぶ長いVARのサポートによる確認の結果、オンフィールドレビューを経て、俵積田選手のポジションがオフサイドと判定されて惜しくも得点は認められず、追加点とはならなかった。

その後も荒木選手の高いキープ力、前線からの果敢なプレスやルーズボールへの鋭い反応で主導権を握っていく東京。前半38分には野澤選手が相手の至近距離のシュートに右足を伸ばし、ゴールライン上ギリギリでかき出すスーパーセーブ。前節に続いて鋭い反応で東京のゴールを守り抜いた。

各選手が持ち味を発揮していくと、前半43分には左サイドでビッグチャンス。高い位置でタメを作った松木選手がニアポケットに柔らかいスルーパスを出し、走り込んだ仲川選手がトップスピードから鋭い切り返し。ここで相手の虚を突くような形で後方のスペースにラストパスを送る。走り込んだ高選手が左足ダイレクトでニアを狙ったシュートは惜しくも相手ゴールキーパーのセーブに阻まれてしまう。

前半はVARによる確認が入ったため、7分間という長いアディショナルタイムを経て終了。1点のリードで後半へ折り返した。

2ndHALF—大志のセーブや佳史扶のブロックで1点を守り切る

反撃に出てくる鳥栖に対して、前節のガンバ大阪戦に続き、またしても東京が誇る守護神が立ちはだかった。後半5分に自陣でのボールロストからマルセロ ヒアン選手に、同6分には左サイドからカットインしてきた横山選手にペナルティエリア内からシュートを打たれるが、いずれも野澤選手がしっかりとキャッチ。相手の攻撃を封じる。

落ち着いたビルドアップで攻勢に出る鳥栖をいなしながら時間を使っていく東京。後半20分には仲川選手に代えて中村選手をサイドバックに投入し、安斎選手を右ウイングに再配置した布陣に変更を試みる。

復帰戦ながら中村選手の粘り強いディフェンスは健在だった。鳥栖のストロングポイントでもある左ウイング横山選手の仕掛けを、身体を張った守備でしっかりと止め、相手の自由を奪っていく。

守備の安定を優先しながら追加点を狙いたい東京は後半29分、松木選手が左サイドを大きなワンツーで抜け出して独走。狙い澄ました左足シュートを放つが、わずかにゴール右へと外れてしまう。

終盤に失点が続いている状況を踏まえ、守備意識を高めていく東京。後半37分には相手の左クロスから危ないシーンを迎えるが、マルセロ ヒアン選手のヘディングを佳史扶選手が頭でブロック。あわや、というピンチを乗り越え、自陣ゴール前でエンリケ選手と抱き合った。

終盤には徳元悠平選手、原川力選手を投入して前線からの守備を強化。5分間のアディショナルタイムも敵陣でのプレーと自陣でのブロックを使い分けて優位に試合を進め、リードを維持したままタイムアップ。序盤に奪った先制ゴールを活かし、今シーズン2度目の無失点勝利を挙げた。

これでアウェイ鳥栖では2015シーズンの6月以来となるリーグ戦勝利。駅前不動産スタジアムに「眠らない街」のチャントが響き渡った。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF安斎颯馬(後半43分:徳元悠平)/木本恭生/エンリケ トレヴィザン/バングーナガンデ佳史扶
MF松木玖生(後半31分:ディエゴ オリヴェイラ)/高宇洋/小泉慶
FW俵積田晃太(後半31分:ジャジャ シルバ)/仲川輝人(後半20分:中村帆高)/荒木遼太郎(後半43分:原川力)

SUBS
GK波多野豪
DF森重真人

GOAL
前半11分:木本恭生

<サガン鳥栖>
STARTING Ⅺ
GK朴一圭
DF山﨑浩介/上夷克典/丸橋祐介(後半27分:堀米勇輝)
MF河原創/手塚康平(後半37分:藤田直之)/菊地泰智(後半37分:北島郁哉)/長沼洋一
FW横山歩夢(後半42分:河田篤秀)/富樫敬真(後半37分:ヴィニシウス アラウージョ)/マルセロ ヒアン

SUBS
GK岡本昌弘
MF日野翔太

GOAL


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、試合を振り返ってください。
A、良いフットボールの戦いでした。両チームがエンターテイメント性の高い良いフットボールを発揮し、特長を発揮した試合でした。我々のプレーに関して言えば、強いパフォーマンスを出すことができましたし、自分たちがコントロールして支配できていました。良い流れを作りながら1点目につながるプレーができて、2点目は取れませんでしたが、それだけのものが出せていたと思います。ハーフタイムに、もっと自分たちの持っているものを出していこうと話をして後半に入り、2点目、3点目を奪いにいこうという姿勢で臨みました。追加点がとれなかったことは残念に思いますが、それだけのチャンスは作れていました。サガン鳥栖は非常に運動量があり、動きのある良いチームを川井監督が作っていると思いますが、そのチームに対して我々は勝ちに値する戦いができていたと思います。今日ここに足を運んでくれた方々のためにも、東京にいるファン・サポーターのためにも、勝点3をとることができてうれしく思っています。

Q、無失点で耐えた守備陣の評価をお願いします。
A、ディフェンダーもそうですが、全体として非常に良い守備ができていました。プレスをアグレッシブにいくこともできていましたし、そこから自分たちが流れを掴むこともできていました。出ているすべての選手たちが、守備の決まりごとをしっかりと守ってくれました。そして、無失点に抑えることができたことをうれしく思いますし、それに値するものが出せていたと思います。そこからつながって、攻撃でも自分たちが思うようにボールを動かすことができました。ただ、そこから複数得点が奪えなかったことは残念に思っています。


[選手インタビュー]
<木本恭生選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、前半は攻撃も守備もすごく良い形ができていました。ボールを保持しながら攻撃ができていて、そのなかで自分が点を決めることもできて、前半は良かったかなと思います。後半は、多少体力的な影響もありますが、ブロックを敷く場面が増えました。決定機は作れていたので、決め切れば3点、4点ととれたと思います。そこはみんなとも話していて、後半の課題の部分でした。

Q、特に後半、攻め込まれる時間が増えましたが、守備の戦い方で前半との違いはどうでしたか。
A、少し前からプレスにいけなくなっていたので、ディフェンスラインが低くなったところはありました。ただ、それでも崩れずにしっかりと守れてカウンターに出られていましたし、ボールを保持しながら前進もできていたので、悪いところばかりでもありませんでした。これを続けていきたいです。

Q、得点シーンは豪快なボレーシュートでした。2シーズンぶりのゴールです。
A、狙ってはいませんでした(笑)。枠に入れることを意識して、たまたまあのコースに飛びました。嬉しかったですが、チームが勝てていないことのほうがメンタルにはこたえていたので、チームの勝利に貢献できて良かったです。

Q、チームとしては、リーグ戦での無失点は第7節の鹿島アントラーズ戦以来、今シーズンは2試合目です。
A、毎試合、無失点を意識してプレーしてきましたが、最近は自分が試合に出ていて、最少失点には抑えられてはいたので、これを継続すれば無失点に抑えられるという自信はありました。その上で今日は、チームの全員が強い気持ちを持ち続けて守ることができたので、無失点という結果は嬉しいです。

Q、またここからルヴァンカップ、天皇杯と連戦が続きます。チームとしてどう乗り切っていきますか。
A、昨シーズンはルヴァンカップも天皇杯も中途半端な形で負けてしまったので、今シーズンはすべてのタイトルを獲りにいきます。チーム全員の力が必要になりますし、選手層も厚いので誰が出ても良い試合ができると思いますし、まずは来週のルヴァンカッププレーオフラウンドの1戦目に向けて、コンディションを整えます。


<野澤大志ブランドン選手>


Q、試合の振り返りをお願いします。
A、早い時間にセットプレーから得点できたことで、ゲーム展開を楽にすることができたと思います。ただ、試合中にも相手の隙を狙い2点目、3点目がとれなかったことは改善すべき部分ですが、1-0で勝つことができたことは良かったです。

Q、繋ぐのか、大きく蹴り出すのか、ビルドアップ時の判断がチームの良い流れにつながったように見えました。
A、試合の出場を重ねていくことでチームの連携も良くなるので、相手の動きを見ながら判断しやすくなっています。

Q、AFC U23アジアカップに向かう直前の鹿島アントラーズ戦もクリーンシートでした。
A、前回は代表活動から帰って来た時に、あまり流れに乗ることができなかったので、今回はそのようなことがないようにしっかりと、代表で戦ってきた後にもチームの勝利に貢献できるようにしていきたいです。

Q、この後はU-23日本代表の活動に合流します。意気込みをお願いします。
A、パリ五輪前の最後の活動になるので、パリ五輪のメンバー争いに最後まで食い込んでいけるようにアピールしてきます。“東京”を背負って戦ってきます。


<中村帆高選手>


Q、久しぶりの出場となりました。
A、怪我はやはり辛いものでした。怪我している期間に手を差し伸べてくれる人や、近くで支えてくれる人、帰りを待ってくれている人がいる限りは、自分が頑張って活躍する姿を見せないと、という申し訳ない気持ちで一杯でした。いろいろな人の助けがあってピッチに戻ってくることができました。ここから連戦も続くので、必ずチームの力になれるように頑張りたいです。

Q、難しい試合展開でした。守備面でやるべきことも多かったと思います。
A、安斎颯馬選手が、前半から身体を張って頑張ってくれていたので、前半は安斎選手のプレーや相手選手のプレーを見ながら、自分が出場した時にはどのようなプレーをするのかイメージしていました。出場したタイミングでは少しオープンな試合展開にもなっていて、カウンターの応酬のような形になっていたので、自分の仕事としては1対1の対応や、守備で蓋をすることでした。その面では失点はしていないので、そこの仕事はこなせたのかなと思いました。

Q、右サイドバックには長友佑都選手や、白井康介選手など、ポジションを争う良いライバルも多くいます。
A、僕が怪我している期間に2選手とも得点やアシストを記録するなど、すごく活躍しているなかで、自分がそこに立つことができない、とても悔しい気持ちがありました。チャンスをもらった時はその溜まっている想いを出し切るだけだと思っていました。その結果で、生き残れるか決まると思っていましたし、そういう世界なので自分が東京の右サイドバックということを必ずピッチで示していきたいと思います。

Q、今後の意気込みをお願いします。
A、とにかく勝ちたいと思っています。得点に絡んで、とにかく勝ちたいという気持ちしかないです。勝ちます。