6/12 三重戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.6.11

6/12 三重戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<マッチプレビュー>

2024 JリーグYBCルヴァンカップ プレーオフラウンドの悔しい敗戦から中2日。2011シーズン以来、2度目の頂点に向けた戦いがスタートする。

J1クラブ勢が2回戦から出場する第104回天皇杯全日本サッカー選手権大会。都道府県代表を含めた“日本一”を競うトーナメントで、FC東京は三重県代表のヴィアティン三重を味スタで迎えることになった。

悔しさからの巻き返しを誓うタイミングで迎える天皇杯初戦。ホーム&アウェイでの2戦合計スコアでサンフレッチェ広島に敗れたルヴァンカップは2試合とも立て続けにゴールを許して試合の流れを失い、反撃も実らずに大会から去ることになってしまった。

広島戦でキャプテンマークを巻いた小泉慶選手は「三つあるうちの一つのタイトルを簡単に失ってしまった現実はしっかり受け止めなければならない。また中2日で天皇杯があるので、そこに向かって本当に死に物狂いで獲りに行かないと、また足下をすくわれてしまいかねない。しっかり地に足をつけてやっていきたい」と気持ちを引き締める。

過去の天皇杯では下のカテゴリのクラブに煮え湯を飲まされることが多かった。2021シーズンには順天堂大学に2回戦で敗れている。大会全体の傾向を見ても、高いモチベーションを持って臨むアマチュアチームやJ3、J2クラブが奮闘して“ジャイアントキリング”が起こりやすいのも天皇杯の怖さでもある。

東京としては一つのタイトルを失ってしまった悔しさからしっかりと切り替えて臨まなければならないゲーム。連戦でメンタル、フィジカルともに素早い回復が求められるところだが、すぐにやってくるゲームにフォーカスしなければならい側面はポジティブとも言える。

ピーター クラモフスキー監督は広島戦後の会見で「今は悔しくて残念な思いですが、フットボールは眠らない。タフな水曜日になると思いますが、リカバリーをして改善を図り、東京に戻って自分たちの仕事をしたい」と過密日程を逆手に取って前向きに捉える。

対戦相手の三重は、アマチュア最高峰の全国リーグとなるJFL(日本フットボールリーグ)で現在4位。天皇杯1回戦は田村翔太選手のゴールでJ3クラブのFC今治を撃破して勝ち上がってきた。愛媛FCやブラウブリッツ秋田で指揮を執った経験のある間瀬秀一監督の下、アビスパ福岡やファジアーノ岡山などJ2リーグ通算200試合以上に出場したキャプテンの篠原弘次郎選手を中心にJリーグ昇格をめざしているクラブだ。ほかにもJリーグ経験者を数多く擁しており、決して侮ることはできない。

東京としては決して受け身になることなく、ルヴァンカップ敗退の悔しさを前面に押し出してアグレッシブな姿勢で臨みたい。

天皇杯に向けてメンタルの重要性を説いたのは、途中出場で存在感を見せている東慶悟選手。「この状況で中2日は、本当に難しい試合になると思います。アウェイから帰って準備できる時間も少ないですし、メンタル的にはフレッシュに臨まないといけない。非常に気持ちが問われる試合になる。もっともっと感情を出してやっていきたい」と気迫の戦いを見せる覚悟を示した。

一方で、広島戦での大きな収穫は、トップチームデビューを果たし、豪快なヘディングで初ゴールも決めたFC東京U-18所属の尾谷ディヴァインチネドゥ選手だろう。2種登録でトップのピッチに立つと、自慢のスピードを生かしてペナルティエリアに進入。野澤零温選手のピンポイントクロスに頭で合わせてネットを揺らした。

「ピッチに入ったら絶対に何かを残してやろうという気持ちでやっていました。今日はアウェイでのゴールだったので、今度は味スタのファン・サポーターの目の前でゴールを決められるように頑張りたい」と意気込む高校2年生。ホームデビューに期待が懸かるところだ。

また、チーム事情を踏まえてU-19日本代表のフランス遠征から佐藤龍之介選手がチームに合流。選手層に厚みを加えている。

完全ノックアウト方式の天皇杯。胸に秘めた悔しさを糧にしっかりと勝ち上がり、自分たちの手で未来を切り拓く。



[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、サンフレッチェ広島戦から中2日で、天皇杯2回戦を迎えます。
A、ルヴァンカップについては、次に進めなかったことを悔しく思います。悔しい気持ちを自分たちのエネルギーに変え、明日の仕事をしっかりとみんなでやれるように切り替えるだけです。

Q、カテゴリーが変わると、下位カテゴリーのチームの目の色も変わってきます。
A、それがフットボールの美しい点です。そのようなチャレンジがカップ戦には詰まっていますし、非常に美しいことです。彼らもエネルギー全開で野心を持って戦ってくると思います。我々は相手をリスペクトして対戦していかなければいけません。タフな対戦になると思いますが、我々のフットボールをしっかりとピッチで出すだけです。今、チームとして構築しているものを出し切って、結果に繋げます。

Q、相手のタフさやハードワークを上回るプレーも求められます。
A、それがフットボールです。自分たちの戦い方に焦点を置いて、パフォーマンスを発揮するだけです。試合の入りから集中すること、相手よりも走ること、相手よりも運動量で勝ること、そして戦いに勝つこと。自分たちの戦いをするだけです。明日の試合が楽だとは決して考えていません。我々は自分たちのモチベーション、野心を持ってタフな試合の準備をしていくだけです。そして、自分たちの仕事ができるように頭のスイッチを入れて試合に臨みます。色々なことが起こりうると想定して、準備をしていきます。

Q、週末にはJ1リーグが再開してジュビロ磐田との試合もありますが、フィジカル面でフレッシュな選手を中心に起用する予定ですか。
A、誰がフレッシュか、誰が準備できているかということを考え、フィジカルと各々のステータスを見ながら出場する選手を選んでいきたいと思います。私は勝つこと以外を考えてはいません。勝つためのフットボール、我々の戦い方をピッチで表現するために、選手たちも準備を進めています。それが毎試合、チームの意識として持ち続けているものです。それは誰と対戦しようと変わりありません。たとえ、レアル マドリードと対戦したとしても、誰が相手であろうと勝ちにいきます。その意識が自分たちをさらに成長させてくれると思います。



[選手インタビュー]
<佐藤龍之介選手>


Q、代表活動から急遽、チームに復帰しました。求められている部分や代表活動の経験をどのように活かしたいですか。
A、U-19日本代表の遠征では、結果もついてきましたし、良いマインドで天皇杯に臨めると思っています。他の選手たちが連戦の疲労もあるので、アグレッシブなプレーやフレッシュなプレーでチームを押し上げることを意識していきたいと思っています。

Q、チームに戻ることを打診された時にはどのように感じましたか。
A、U-19日本代表の活動からチームに戻ってきてほしいとクラブから話を受けた時も、個人としてはとてもポジティブに感じられましたし、自分にプラスになると僕自身も思えました。良いチャンスだと思って、次につながる良い機会にしたいと思います。試合に出続けるためには結果が求められますが、結果にこだわりすぎてプレーの視野が狭くなることは、最終的に良さも出せないと思っています。自分の良さを整理して、周りの選手を動かしたり、攻撃的なアクセントを加えることが僕自身の特長だと思っているので、バランスをとりながら、頑張りたいと思います。

Q、あらためてどういうプレーを試合で表現したいですか。
A、ファン・サポーターのみなさんをはじめ、全員が一番に求めているのが勝利ですし、そのなかで僕たちは攻撃的なサッカーをめざしています。得点はもちろんですが、やはり失点をゼロにして、引き締まったゲームを見せたいです。相手に関係なく、無失点勝利にこだわりたいと思います。

Q、尾谷ディヴァインチネドゥ選手が「佐藤龍之介選手の存在が刺激になっている」と言っていました。尾谷選手の活躍をどのように感じましたか。
A、初出場の試合で初ゴールを決めたことは驚きました。ポテンシャルの高い選手であることはもちろん知っていましたが、早々に活躍する姿に僕自身が刺激をもらいました。負けていられません。


<野澤零温選手>


Q、チームとしてはルヴァンカップの敗退が決まりましたが、個人としては、アシストという結果を残しました。
A、試合後には色々な言葉やメッセージをいただきました。嬉しい言葉もいただきましたし、ここからの成長を期待していると、励ましの声もいただきました。現状に満足することなく、ここからさらに頑張らないといけないと思いましたし、ファン・サポーターのみなさん、友人、スタッフやチームメイトに恵まれていると感じることができました。まだまだ足りないことだらけですので、突き詰めていきたいと思います。

Q、ピンポイントのクロスが得点につながったことが、また一つ成長への自信になったのではないですか。
A、練習から、あの位置にクロスを送ることは意識していましたし、プレーの選択に迷いがありませんでした。良い意味で振り切って、自信を持ってクロスを上げることができましたし、あのアシストが他のプレーにも自信を持たせてくれました。ドリブルで強引に深い位置をとるだけではなく、クロスも供給できる選手になれば、プレーの幅も広がっていくと思います。

Q、自分に対する要求も変わってきているのではないですか。
A、サンフレッチェ広島戦のようなクロスや得点に関わるプレーをどの試合でもコンスタントに発揮していかなければいけません。足りないことだらけですし、アシストはできましたが、第1戦目ではシュートを決め切ることができませんでした。シュートや技術、判断の部分をここからさらに磨いていきたいです。成長ができているかどうかの実感は、今はありませんが、ポジティブに取り組むことができています。仲間とコミュニケーションやプレーの意思疎通を図りながら、すべてにおいて高めていきたいと思います。



<俵積田晃太選手>


Q、2024明治安田J1リーグ5月度のヤングプレーヤー賞を受賞しました。これまでのプレーが評価された結果だと思いますがいかがですか。
A、評価されて嬉しいという思いはありますが、自分自身には課題が多くあるので自分に矢印を向けて頑張っていきたいという思いしかありません。まずは数字という目に見える結果を残していかなければ、さらに上にいくことはできないと思っているので、課題に対して多くの人からアドバイスをもらいながら取り組んでいきたいと思います。

Q、直近の試合では複数得点が取れていません。
A、まずはシュートを打たないと得点が生まれることはないので、積極的にシュートを打つシーンを増やしていきたいと思っています。個人としては、ドリブルをしている時にもシュートを打つコースは見えています。石川直宏CGなどにもアドバイスをいただき、トップスピードでドリブルをしている時にシュートを打つためのステップや、ボールに対しての足の当て方を試行錯誤しながら、ベストのシュートを打てるように日々練習しているので成果を出せれば良いと思っています。

Q、怪我人が多く難しい状況ですが、天皇杯にはどのように臨みますか。
A、勝利という結果を得られるように、全力でプレーしたいと思います。天皇杯は、負けてしまうと大会が終わってしまうので、どのような内容でも勝利が絶対に必要です。もちろん相手を圧倒して勝利できれば良いですが、きれいごとを言っている状況ではないので、なんとしても勝利したいと思っています。