6/12 三重戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.6.12

6/12 三重戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

悔しさをバネに新たなタイトルをめざす戦いがスタートする。JリーグYBCルヴァンカップのプレーオフラウンドでの敗退から中2日。第104回全日本サッカー選手権大会で2回戦から出場する東京は、味の素スタジアムで三重県代表のヴィアティン三重を迎え撃った。

メンバーは3日前の広島戦から6選手を入れ替え。最後方でゴールを守るのは、ルヴァンカップ2回戦以来のスタメン出場となった児玉剛選手。最終ラインは右から安斎颯馬、森重真人、岡哲平、徳元悠平の各選手が並び、ボランチには小泉慶選手と原川力選手、トップ下には今シーズン公式戦初スタメンの東慶悟選手を起用。前線の右ウイングにはこちらも今シーズン初スタメンの野澤零温選手、左ウイングに俵積田晃太選手、最前線にはU-19日本代表のフランス遠征から呼び戻した佐藤龍之介選手を配した。ベンチには3日前のルヴァンカップ広島戦でプロデビューし、プロ初ゴールを決めた尾谷ディヴァインチネドゥ選手が名を連ねている。

また、試合前には前夜の日本代表戦から戻ったばかりの長友佑都選手がウォーミングアップ中の選手たちを激励に訪れ、ピッチサイドから積極的に声をかけるシーンも見られた。

1stHALF—経験豊富な選手たちのゴールで3点を先行

5-4-1のシステムを採用してきた三重に対して、序盤から東京がボールをつないで押し込む時間帯が続く。前半11分には左サイドで俵積田選手から東選手へとつないでクロス。中央の野澤選手がヘディングで合わせようとしたが、これは相手ディフェンダーがクリア。惜しいシーンを生み出していく。

前半14分、三重に鋭いドリブル突破でペナルティエリアへの侵入を許すが、懸命に戻った安斎選手がスライディングでカット。決定的なシーンを作らせない。

中央を固める相手を少し責めあぐねていた東京だが、前半21分に待望の先制点が生まれる。

左サイドのタッチライン際でボールを受けた俵積田選手がそのまま縦へ突破。クロスボールが相手選手に当たってファーサイドに流れると、下がりながら野澤選手が頭で折り返し、中央で待ち構えていた東選手がダイレクトボレー。豪快にゴールへ突き刺し、今シーズン初ゴールとなる一撃で均衡を破った。野澤選手にとっては広島戦に続いて公式戦2試合連続のアシストとなった。

その後も相手陣内で試合を進める東京。東選手が変幻自在のポジショニングで多くの局面に顔を出して攻守の起点になっていく。

次にビッグチャンスが訪れたのは前半29分。自陣からつないだボールをピッチ中央で受けた東選手が鋭いスルーパス。ここで佐藤選手がオフサイドギリギリのタイミングで鋭く抜け出すと、飛び出してきた相手ゴールキーパーの手前でキープし、ターンして無人のゴールへループシュート。これは懸命に戻った相手ゴールキーパーにかき出され、さらにゴール前に詰めていた野澤選手が狙うも押し込むことはできなかった。

さらに攻め続ける東京。ここで試合を動かしたのは、ベテランの一発だった。前半37分、原川選手の右コーナーキックにファーサイドで競り勝ったのは森重選手。フワリとした弾道のヘディングがゴールキーパーの頭を越えてゴールに吸い込まれ、リードを2点に広げた。

続く前半42分にはゴール正面、約30メートルの位置から原川選手が右足で目の覚めるような直接フリーキックを叩き込んで3-0。

経験豊富な選手たちの活躍で東京が大きくリードして前半を折り返した。

2ndHALF—U-18所属の2選手が味スタデビューを果たす

後半、追いかける三重が立ち上がりから果敢に攻め込んでくるが、クロスにもしっかりと対応してチャンスを作らせない。サイドからの攻撃をシャットアウトし、中央から通そうとしてくるパスには網を張ったような守備でカット。後半7分には野澤選手が前線から果敢にプレスを仕掛け、相手のパスをスライディングでカット。これはゴールラインを割ったが、気迫のプレーでスタジアムを沸かせるなど、リードを広げながらも集中したプレーを見せていく。

ピーター クラモフスキー監督が動いたのは後半12分。一気に4枚替えを敢行し、中村帆高、高宇洋、永野修都、尾谷の4選手をピッチに送り出す。これで最終ラインは右から中村、永野、岡、徳元、ボランチに原川と高、前線が右から尾谷、佐藤、野澤の各選手を配置する形に。永野選手はトップチームデビュー、尾谷選手は味の素スタジアムデビューを果たした。

後半30分には東選手に代えてディエゴ オリヴェイラ選手を投入。佐藤選手を1列下げ、縦関係で追加点を狙っていく。前半からスタジアムに幾度となく「龍之介!」コールが響き渡っていることもあり、佐藤選手としては何とか結果が欲しいところ。

後半38分、こちらもゴールという結果が欲しい野澤選手が左サイドからカウンターで高速ドリブルを仕掛ける。ペナルティエリア付近でカットインして中央から右足を振り抜いたが、これは惜しくもゴール左へ。

終盤、スタジアム中が固唾を飲むシーンが生まれる。徳元選手が左サイドからグラウンダーの長いスルーパス。これに後方から猛スピードで走り出した尾谷選手が相手DFを追い抜いてドリブルでゴール前へ。そしてペナルティアーク付近から豪快に右足を振り抜く! 強烈な弾道がクロスバーを叩き、乾いた音と観衆のどよめきがスタジアムに響き渡った。惜しくも味スタ初ゴールとはならなかったが、U-18所属の17歳が鮮烈なプレーでインパクトを残していく。

試合は4分間のアディショナルタイムを経てタイムアップ。ベテラン勢の活躍、アカデミー在籍選手のホーム味の素スタジアムデビューなど、収穫の多い勝利で3回戦進出を決めた。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK児玉剛
DF安斎颯馬(後半12分:中村帆高)/森重真人(後半12分:永野修都)/岡哲平/徳元悠平
MF東慶悟(後半30分:ディエゴ オリヴェイラ)/小泉慶(後半12分:高宇洋)/原川力
FW佐藤龍之介/野澤零温/俵積田晃太(後半12分:尾谷ディヴァインチネドゥ)

SUBS
GK波多野豪
DFエンリケ トレヴィザン

GOAL
前半21分:東慶悟/前半37分:森重真人/前半42分:原川力

<ヴィアティン三重>
STARTING Ⅺ
GK森建太
DF伊従啓太郎/野垣内俊/饗庭瑞生/楠本羽翼(後半12分:野口竜彦)
MF池田直樹/金成純/稲福卓(後半0分:森主麗司)/瀬尾純基(後半12分:川中健太)
FW加倉広海(後半0分:梁賢柱)/大竹将吾(後半30分:木戸皓貴)

SUBS
GK松本龍典
DF谷奥健四郎

GOAL


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、今日の試合の感想をお願いします。
A、全体的にすごく良いパフォーマンスを出せたと思いますし、選手たちの取り組みを誇りに思います。彼らが今日見せたフットボールは、我々がやってほしかったことです。下のカテゴリーのチームとの試合は楽な試合だと見る人もいるかもしれませんが、我々はそういったメンタリティでは見ていません。タフな相手に対して、自分たちのフットボールをつかんでいかなければいけない試合だったと思います。しっかりとハードワークをして、結果をつかむことができました。複数のゴールを決めることができましたし、ファン・サポーターのみなさんも喜んでくれて、私も嬉しく思っています。また、無失点に抑えることができたことも嬉しく思っています。ここまであまり出場機会のなかったメンバーが出場しても、つながりが欠けることなく、すごく良いフットボールができました。リズムも良いなかで流れをつかむことができましたし、もう数点とれそうなシーンもあったと思います。そして、大事なことはここからしっかりと回復して次の試合に向けて準備をしていくことだと思っています。 

Q、ルヴァンカップから中2日と、準備の時間がないなかでしたが、選手たちにどういったアプローチをしましたか。
A、新しいことは何もありません。自分たちがどういったキャラクターのチームを作っていくのかということ。それを継続して作っていくことで、自分たちのフットボールや、自分たちのやりたいことにつながっていきます。今日はそれができたと思っていますし、この勝利をもってまた次に向けて準備していきたいと思います。 

Q、セットプレーからのゴールが2得点でした。キッカーの原川力選手とセットプレー自体についての評価を教えてください。
A、まずは、どれだけリスタートが大切かということが今日のゲームで示されたと思います。森重真人選手のゴールもリスタートからでした。原川選手も素晴らしいフリーキックを決めましたが、それは練習で良く決めているものです。我々は日々のトレーニングでやっていることをやろうといつも話していますし、それを彼が今日しっかりと出してくれたと思います。彼は本当に強いパフォーマンスを出してくれました。ボランチの選手たちも強いプレーができていて、それが自分たちに流れを引き寄せてくれたと思います。 今日は全員が良いパフォーマンスを出してくれました。岡哲平選手もそうですし、安斎颯馬選手や俵積田晃太選手はもちろん、野澤零温選手も、佐藤龍之介選手もエキサイティングなプレーを出してくれました。そして永野修都選手、尾谷ディヴァインチネドゥ選手も良いものを出してくれました。出場のなかった波多野豪選手も、チームのための準備をしてくれました。これだけ多くのアカデミーで育ってきた選手たちが非常に良いパフォーマンスを出してくれたことを誇りに思います。今日のパフォーマンスのなかで、誰が出たとしても自分たちのフットボールをしていくこと、それを継続して作ることができていると思います。それは選手たち、そしてスタッフが良い取り組みをしているからだと思っています。


[選手インタビュー]
<東慶悟選手>


Q、カテゴリーが違うチームと対戦する難しさがあったと思います。
A、天皇杯特有の雰囲気と言いますか、過去様々な対戦を経験して、何回も嫌な経験もしていますし、今日の他会場の結果を見ても、難しい試合内容や結果のクラブもありました。それだけ難しい大会だと思います。攻守の切り替えや球際の局面でルーズになってしまうと、隙を突かれて簡単にやられてしまう。それだけはないように意識していました。攻撃面では3得点奪うことができましたが、発想の部分をもう少し共有し、磨いていくことが重要だと思います。ヴィアティン三重が5枚のブロックを敷いて守ってくるという情報もあったので、もう少しアイディアをプレーで表現できればさらに良かったと思います。

Q、相手が堅く守るための陣形を組んでいるなかで、意識したことを教えてください。
A、うまく中間ポジションをとること、引き出したり降りたり、たまに抜け出したりと、僕自身が動くことで味方にスペースが生まれたり、全体が流動的になればいいと思っていました。その他では、ディフェンスの選手たちに、縦にボールを出してほしいと要求していました。コンビネーションの部分では、もう少し佐藤龍之介選手と連携面で合わせることができれば、さらに良い攻撃が生まれたと思っています。

Q、佐藤選手とのコンビネーションについての手応えを教えてください。
A、ボールをしっかりとコントロールするところ、思い切ってチャレンジするところの使い分けが選手間でできれば良かったと思います。そのクオリティは試合経験やピッチ上での連係を通して、深まっていくと思いますし、勉強していかないといけない部分だと思っています。僕ももっとそういう選手と合わせられるように、練習からコミュニケーションをとっていきたいと思います。


<原川力選手>


Q、ルヴァンカップの敗退から中2日という難しい状況のなかでの試合でしたが、試合に向けてどのような準備をしてきましたか。
A、いつも通りの準備をしました。体力的には厳しい面もありますが、連戦の方がリズムを作れるので、疲れているなかでも頭の中はクリアにできます。そんなに思っているほど辛くはないかなと思います。時間が空く方がメンタル的にしんどいですし、すぐ試合がある方が次に気持ちが向けられるので、そこはちょうど良かったのではないかなと思います。

Q、リーグ戦とは異なるカップ戦でした。相手が異なるカテゴリーとなる試合は難しさがあると思います。
A、先制点の時間帯が大事になるだろうなと思っていたので、うまく東慶悟選手が決めてくれましたし、そこから試合運びが楽になったかなと思います。ヴィアティン三重は5バックで、東京の縦に来る攻撃を待っていた感じがあったので、いつもより横の幅を使うことや揺さぶることを意識しながらやれました。ただ、もう少しそれをチーム全体で共有しないといけないかなと思いました。

Q、得点シーンを振り返ってください。
A、東京はドリブラーが多いですし、セットプレーが決まると相手はファールができなくなるので、良い循環が生まれてくると思います。あのようにフリーキックを決めていけば、ドリブラーの選手もより生きるんじゃないかなと思います。

Q、中3日でジュビロ磐田戦があります。
A、身体はもちろん疲れていますが、頭の中がクリアであれば疲れていてもあまり問題ないので、そこまで苦ではないかなと思います。


<永野修都選手>


Q、途中出場でしたが、無失点での勝利に貢献しました。
A、トップチームで初出場となりましたが、出場する時には少し緊張していました。ですが、周りの先輩方から多くのアドバイスをもらえたので、すぐに馴染むことができて自分のプレーもできました。

Q、特に意識していたことはありますか。
A、ビルドアップの時に、簡単に外にパスをしないで中央の選手にパスを出せと言われていました。ビルドアップの時には、チームとしてしっかりと攻撃につなげられるようなプレーを考えていました。

Q、的確なポジションで落ち着いてプレーできていたと思います。
A、FC東京U-18のトレーニングから対人で負けないところなどは毎日のトレーニングで取り組んでいるところなので、トップチームでも変わらずに積み上げてきたことを発揮できたと思います。

Q、今後、トップチームでも試合が続きますし、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグも再開します。
A、まずは、しっかりとFC東京U-18で周りの選手との違いを見せていかないと、トップチームにまた呼ばれることはないと思うので、まずはしっかりとFC東京U-18で自分のプレーを見せて、トップチームで試合に出場できる機会を得られるように頑張っていきたいです。