6/16 磐田戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW<br />
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INTERVIEW2024.6.15

6/16 磐田戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW
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<前節・サガン鳥栖戦のレビュー>

目の前にこぼれてきた絶好のチャンス。青赤のセンターバックはシュートしか考えていなかった。

右足で豪快にニアサイドを撃ち抜いたボールは強烈にバーを叩き、ワンバウンドしてゴールネットに突き刺さる。開始11分、良い時間帯に先制点を奪ったかと思われた。

だが、無情にも副審の判定はオフサイド。コーナーキックの流れから先制弾が決まったかと思われたが、殊勲のゴールを決めたはずの木本恭生選手は自分の定位置であるセンターバックのポジションへ一目散に戻っていく。

「ああいう場面って結構オフサイドになることが多いんです。副審がフラッグを上げたんで、オフサイドなんだろうなと思って戻りました」

荒木遼太郎選手の右コーナーキックが弾かれたところを高宇洋選手がヘディングで前方へつなぎ、前線に残っていた木本選手のポジションがオフサイドとされた。しかし、VARのサポートでゴールが認定。東京にとってはリーグ戦6試合ぶりの先制点となった。

「時間差があったんで恥ずかしかった」と照れ笑いするヒーローを囲み、自陣に戻っていた選手たちに歓喜の輪ができた。

結局、このゴールが決勝点となり、東京が1-0で勝利。第7節の鹿島アントラーズ戦以来となる完封劇で白星を挙げた。

この試合、木本選手がオフサイドフラッグを見て自分のポジションへダッシュで戻ったことに象徴されるように、守備陣はアウェイ鳥栖の地で無失点に抑える意識を強めていた。

「リーグ戦でゼロに抑えたのは鹿島戦くらいで、後ろの選手としては本当に悔しい思いをしていた。前線の選手が得点を奪っても、自分たちが複数失点して引き分けたり負けたりする試合が多くて責任も感じていました。今日はなかなか決め切れない時間が続きましたけど、全員でしっかり我慢強く守って勝点3を手にできたと思う。前線の選手がしっかり限定してくれたんで自分たちも守りやすかったし、後ろがしっかりリスクを管理して、チャレンジ&カバーもできて、チーム全体で組織的な良い守備ができた。個人としては得点よりも無失点のほうが嬉しいですし、こういう試合を続けていきたい。ゼロに抑えれば勝利はついてくるので、これからも無失点にこだわってやっていきたい」

リーグ戦4戦未勝利と苦しんでいたチームは、鳥栖での“金J”で5試合ぶりの白星をマーク。アウェイ鳥栖では実に2015年6月20日の明治安田J1 リーグ1stステージ第16節以来、約9シーズンぶりの勝利を手にして、福岡、札幌に続く鬼門突破を成し遂げた。

試合後、東京側のゴール裏から『恋人はサンタクロース』のメロディに乗せて、「恋人は木本」というチャントが聞こえてきた。本人は「(歌詞は)分からなかった」と話していたが、ファン・サポーターの愛が込められたその歌詞こそ、背番号4がアウェイ鳥栖の地で攻守に抜群の存在感を見せた証だろう。



<マッチプレビュー>

東京はリーグ戦の前節から公式戦3試合を戦い、JリーグYBCルヴァンカップではサンフレッチェ広島に2戦合計2-5で敗れてプレーオフラウンドで敗退。続く天皇杯全日本サッカー選手権大会ではヴィアティン三重を下して3回戦に駒を進めた。YBCルヴァンカップは悔しい結果となったものの、この3試合で新たな力が躍動したことは大きな収穫だ。

FC東京U-18所属で2種登録の尾谷ディヴァインチネドゥ選手や永野修都選手が好プレーを見せ、野澤零温選手も2試合連続でアシストを記録。一方で森重真人選手や、東慶悟選手といったベテランも健在ぶりを示し、リーグ戦の再開に向け好材料を積み重ねた。三重戦で今シーズンの公式戦初ゴールを挙げた東選手は「怪我をしてチーム内の序列が下がっていることは自分でも分かっている。ここからリーグ戦でも試合に関わっていけるようにしたい」と、定位置奪取に意気込んでいる。

今節は味の素スタジアムにジュビロ磐田を迎える。今シーズンのリーグ戦はもうすぐ折り返し地点となるが、後半戦で上位に食い込んでいくためには負けられない一戦だ。森重真人選手は「どの試合でもチャンスが来たら結果を残したい」と意欲を燃やす。若手とベテランが競い合い、東京はここから上昇気流を掴む。


今節のマッチデープログラムはこちら



[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、日本代表の活動から選手たちが戻ってきました。コンディション等はいかがですか。
A、良いコンディションで戻ってきてくれたと思います。長距離移動を経て、帰ってきたばかりですので、その点もケアしていきたいと思います。チームは6週間で10試合を越えるハードスケジュールのなかで戦ってきました。代表活動や怪我人もあり、選手が離脱し、層が薄くなっていたことも事実です。そのなかで、選手たちは常にハードワークをし、目の前の試合に全力で取り組んできています。全員で乗り越えながら、次の試合も良い準備をして、試合に臨みたいと思います。

Q、久しぶりのリーグ戦となります。切り替えるべきこと、大事にしていることがあれば教えてください。
A、まずは、ジュビロ磐田戦で勝利を掴みとることです。そのテーマのもと、我々のフットボールを展開すること、強いメンタリティをピッチで表現することが求められます。磐田は非常に良いチームですが、我々が狙うべきスペースや意識はしっかりと共有できています。どのエリアを使って攻撃を仕掛けるかを整理し、迫力をもってゴールに向かうプレーを増やしていきたいと思います。合わせて、無失点勝利で試合を終わらせることが重要です。守備面の高い強度も求めていきたいと思います。

Q、今節の試合がリーグ前半戦のホーム最後の試合となります。
A、ファン・サポーターのみなさんの熱い応援や後押しに応えるべく、勝利をプレゼントすることだけを考えています。



[選手インタビュー]
<森重真人選手>


Q、ヴィアティン三重戦ではゴールを決め、チームとしても個人としても収穫の多い試合だったと思います。
A、カテゴリーが異なるチームと対戦する難しさは、過去の結果を踏まえても感じていましたし、ピッチに立った選手たちもその点に注意して試合に臨んでいたと思います。ですが、それ以上に僕自身も含めてリーグ戦で出場できない時間が長く続いた選手たちが、スタメンとして結果を残そうと強く想っていました。それぞれの想いがはき出せたような試合でしたし、個人としても得点が勝利に繋がったので、良い試合になったと思います。

Q、今のチームに対して感じている手応えや課題感を教えてください。
A、チームとしては、直近の試合で不安定な戦いが続いてしまっていますし、1試合あたりの失点数が多いことが大きな原因だと思います。やっぱりもっと強固な守備を築かないといけないですし、得点がコンスタントにとれている分、より守備を安定させることができれば、もっと勝利数を積み重ねられると思います。そこはシーズン開幕からチームとしての課題です。改善していきたいと思います。

失点数を減らすことはもちろん、個々の努力や成長、改善も必要ですが、一番はチームとしてどのように課題に対して向き合うのか、だと思っています。

どのように守るのか、時間帯や状況によってどのような対応が必要かなど、守備面は取り組んだ分だけ修正できる部分が多いと感じています。

Q、上位が狙える状況ですが、リーグ後半戦で追い上げるために必要なことを教えてください。
A、やはり一番は守備の安定です。攻撃面では、セットプレーから奪う得点を増やしていくことだと思います。その2つがクリアできれば、おのずと順位も上位に食い込んでいけると思いますし、大事なポイントだと思います。チームとしてのバランスや全体がかみ合っていかないと優勝は難しいと思っているので、ジュビロ磐田戦を含めて、試合を通じて修正していきたいです。

Q、試合に向けた意気込みをお願いします。
A、リーグ戦としては、中断明けの最初の試合になりますし、僕らのホームですので、しっかりと勝利する姿を見せたいです。ここから夏場に向けて、連戦や難しい試合が続いていくのでしっかりと勝点を積み重ねていくこと、ホームで多くの勝利を届けられるように頑張ります。



<中村帆高選手>


Q、中断していたリーグ戦が再開します。個人のコンディションはいかがですか。
A、チームとしてルヴァンカップや天皇杯と連戦が続いていましたし、そのなかで出場の時間ももらってコンディションや試合勘も徐々に上がってきています。少しずつではありますが、良い感覚に近づいていると思います。

Q、怪我から復帰し、出場時間が少しずつ増えてきましたね。
A、プレーの質や“自分らしさ”、公式戦のピッチに立たないと分からない情報や感覚などは、まだまだ足りていないと思います。ルヴァンカップのサンフレッチェ広島戦では、60分の出場でしたが、それまでは20~30分の出場時間で自分の感覚やプレーの確認に費やす時間が多かったと思っています。ここ数試合は自分自身のプレーに考え過ぎていた感覚があります。あらためてピッチに戻ってきて一番に感じたことは、“サッカーは理屈じゃない”という部分です。自分らしさって何なのか、という部分をしっかりと整理して、試合にぶつけたいと思います。

Q、リーグ戦もまもなく折り返し地点を迎えようとしています。
A、長期の怪我から復帰し、出場のチャンスをもらっていたなかで、再び怪我をしてしまいました。個人としてリーグ戦の出場時間が短い点については、反省点であり、ここからの課題であると捉えています。ここからは試合に出場することを第一の目標として、その先にサイドバックとしてのゴールやアシストという数字を残していきたいです。

ピッチの外から試合を見る時間が長かったなかで感じていたことは、安定した試合運びができなかったことです。個人どうこうではなく、チームとして取り組みたいですし、他の選手も言っているように“失点を減らすこと”が一番の修正ポイントだと思います。2点とられたら3点とりにいかなければいけないように、1試合あたりの失点をゼロに近付けていかなければ勝点を積み重ねることもできません。チームとして、ディフェンスの選手として、突き詰めていきたいと思います。