6/16 磐田戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.6.16

6/16 磐田戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

インターナショナルマッチウィークを挟んで2024明治安田J1リーグがリスタート。この期間、東京はJリーグYBCルヴァンカップのプレーオフラウンドでサンフレッチェ広島に2戦合計スコアで敗れ、第104回天皇杯全日本サッカー選手権大会2回戦でヴィアティン三重に勝利するという過密日程を経てリーグ戦再開を迎えた。

ジュビロ磐田を迎え撃った今節は、U-23日本代表のアメリカ遠征から戻った野澤大志ブランドン選手が先発出場。最終ラインは右サイドバックに中村帆高、センターバックに森重真人、エンリケ トレヴィザン、左サイドバックに日本代表に選出されていた長友佑都の各選手が入り、ボランチは高宇洋選手と小泉慶選手のコンビを起用。トップ下に仲川輝人選手を置き、前線は右に安斎颯馬選手、左に俵積田晃太選手、中央にディエゴ オリヴェイラ選手を配置してキックオフを迎えた。また、ベンチにはU-23日本代表組の松木玖生、荒木遼太郎の各選手も名を連ねた。

1stHALF—主導権を握るも1点のビハインドで後半へ

上位追走のために何としても鳥栖戦に続く勝利が欲しい東京は、立ち上がりから積極的に攻め込んでいく。ボールをつないで相手のプレスをいなしながらビルドアップを図り、相手陣内で失ったボールも高い位置から素早く寄せて回収。主導権を握って押し込む時間が続く。

前半9分には右サイドのフリーキックから安斎選手が右足でボールを入れると、ゴール前のこぼれ球を仲川選手が左足でシュート。これはゴール左に外れたが、試合を優勢に進めながらチャンスを生み出していく。

しかし前半21分、セットプレーから先制ゴールを奪われてしまう。磐田の右コーナーキック、青赤アカデミー育ちの平川選手が放った右足キックに、後方から走り込んだリカルド グラッサ選手にドンピシャのヘディングを許してゴール。磐田にワンチャンスを決められ、1点を先行されてしまった。

リードを奪ったことでチームの重心を後方に置く磐田。東京としては守備的に移行した相手の崩し方が求められる展開を強いられることになる。

前半33分、後方からボールを回して攻めどころを探る東京は、左サイドでボールを持った俵積田選手がドリブルで仕掛け、カットインから右足を鋭く振り抜く。しかし、ファーに詰めた安斎選手の右足も届かず、ボールはわずかに右ポストの外へ外れた。

ボールを保持しながらもスペースを消されて攻めあぐねる時間帯が続いた東京。前半41分には相手の右スローインからペナルティエリア内で山田選手が反転シュート。これは野澤選手が鋭い反応でセーブし、こぼれ球に詰められたところも中村選手が懸命にクリアしてギリギリのところで難を逃れた。

ブロックを作って守りを固める磐田の守備網をどう破っていくか。2分間のアディショナルタイムを経て、課題解決は後半へ持ち越しとなった。

2ndHALF—安斎選手のプロ初弾も悔しいドロー

後半2分、またも左サイドからチャンスを作っていく。タッチライン沿いでボールを受けた俵積田選手が縦へ、斜めへ、そして中央へと運んで右足シュート。これは惜しくもゴール右へ外れてしまう。

後半10分には小泉選手のスルーパスに抜け出したディエゴ選手が相手ディフェンダーをかわして右足でコントロールショットを放ったが、こちらは右ポストを叩いてゴールには至らない。

ここでU-23日本代表コンビの松木、荒木の両選手を投入。前線で縦関係を作る二人に状況打破を委ねることになった。

なかなか攻め手を見出せない時間が続いた後半26分、左サイドからチャンスが生まれる。松木選手の縦パスを受けた俵積田選手がドリブル突破からグラウンダーのクロス。相手ゴールキーパーと最終ラインの間を狙った絶妙なボールがファーサイドに流れると、荒木選手が走り込んだが、寸前のところで相手にクリアされてしまう。

これで得た右コーナーキックを途中出場していた原川力選手が右足で蹴ると。ファーサイドで中村選手が頭で折り返し、松木選手がジャンピングボレーで合わせる。シュートを抑え切れずボールはバーを越えたが、1点を追い掛ける東京が磐田陣内へと攻め込んでいく。

後半33分、左サイドバックに徳元悠平選手、左ウイングにジャジャ シルバ選手を投入。さらに攻勢を強めるべく選手交代で活性化を図ると、その徳元選手が見せ場を作る。

後半36分、左サイドで巧みな切り返しからクロス。相手ゴールキーパーにパンチングで弾かれたボールを高選手がダイレクトで合わせてコースを突いたが、これもわずかにゴール右へ外れてネットを揺らすことができない。

徐々に得点の予感をさせてきた東京。後半38分、ついに試合が動く。

左サイドでフリーキックのチャンスを得ると、キッカーは直前にチャンスを作っていた徳元選手。得意の左足で鋭いボールを入れると、ここに飛び込んだのは安斎選手。入魂のヘディングを叩きつけ、背番号38のプロ初ゴールで東京が試合を振り出しに戻す。

一気に攻め出る東京は後半43分、同点弾を決めて勢い付く安斎選手が右サイドを力強くドリブルで攻め上がると、相手ディフェンダーがたまらずファウル。わずかにペナルティエリア外でペナルティキックとはならなかったが、逆転勝利に向けて盛り上がるスタジアムに後押しされて迫力ある攻撃を仕掛けていく。

8分間と表示された後半アディショナルタイムも東京の攻撃は止まらない。荒木選手のスルーパスから裏に抜け出したジャジャ選手がシュート。さらにはコーナーキックの流れから徳元選手が鋭い左クロスを供給してエンリケ選手が頭で狙っていく。

その後も徳元選手の超ロングスロー、厚みのあるサイド攻撃を仕掛ける東京。終了間際には左サイドでフリーキックのチャンスを得たが、徳元選手の左足キックが相手にクリアされたところでタイムアップ。序盤に喫した失点が響いて攻めあぐねる時間帯が長くなり、安斎選手のゴールで追い付いたものの1-1の引き分けに終わる結果となった。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF中村帆高/森重真人/エンリケ トレヴィザン/長友佑都(後半33分:徳元悠平)
MF高宇洋/小泉慶(後半22分:原川力)/仲川輝人(後半11分:荒木遼太郎)
FWディエゴ オリヴェイラ(後半11分:松木玖生)/俵積田晃太(後半33分:ジャジャ シルバ)/安斎颯馬

SUBS
GK児玉剛
DF岡哲平

GOAL
後半39分:安斎颯馬

<ジュビロ磐田>
STARTING Ⅺ
GK川島永嗣
DF松原后/鈴木海音/リカルド グラッサ
MF上原力也(後半45+3分:中村駿)/山田大記(後半15分:ジャーメイン良)/松本昌也(後半15分:金子翔太)/レオ ゴメス/平川怜(後半45+3分:ブルーノ ジョゼ)/植村洋斗(後半45+10分:西久保駿介)
FWマテウス ペイショット

SUBS
GK坪井湧也
DF森岡陸

GOAL
前半21分: リカルド グラッサ


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、本日の試合の総評をお願いします。
A、勝てずに残念に思っています。自分たちのベストではない前半だったと思います。自分たちがボールを動かすテンポ、前に行くダイナミックな動きや飛び出していく動きが足りませんでした。そのなかで相手にリードを与えてしまって0-1になり、自分たちにプレッシャーがかかるような試合になってしまいました。ハーフタイムにその話をして、後半はスタートから最後まで自分たちのゲームができるようになり、もっと攻撃的になることができましたし、そして、良い場面や勝利につながるようなチャンスも作れていました。ジュビロ磐田はコンパクトに戦いながら、崩しにくい形の強固な守備をしていましたが、そのなかでも我々は勝利に値するものが出せていましたし、勝点2を失った試合だと思っています。

Q、交代のタイミングについてはどういった意図がありましたか。
A、後半の立ち上がりに出ている選手たちでこのゲームを引っくり返せると信じて送り出しました。交代選手によってさらにスイッチをいれていこうと考えていましたし、彼らはその役割を果たしてくれました。後半のスタートから自分たちの流れを掴みながら戦えるようになったと思います。後半の立ち上がりに俵積田晃太選手のポストギリギリのシュートがありましたし、ディエゴ オリヴェイラ選手がマジックのようなプレーを出して、ポストに当たってしまったシーンもありました。流れやチャンスを作ることができましたし、試合終了まで相手のゴールに対してプレッシャーをかけ続けることができていました。

しかし、リードを与えないようにもっと粘り強く戦わなければならないと思っています。ビハインドのせいで選手にとって難しい試合になってしまいました。選手たちはしっかり戦って1-1に追い付くところまではいってくれましたが、今日は相手より1点多く取れるチャンスが作れていました。あらためて、勝てなかったことは残念ですし、勝点3をとれた試合だったと感じています。

Q、前半終了間際のピンチを中村帆高選手が凌ぎ切ったことが今日の勝点につながったと思います。
A、必死に対応しなければならないところでよくやってくれました。自分たちもチャンスを作ったり、ゴールに迫るシーンがありましたが、磐田も何回かそういった場面を作っていました。我々はチームとしてもっと良くなりますし、自分たちのフットボールをしながらそれに対応しなければなりません。今日の試合は自分たちが勝てる試合だったと思います。自分たちの方が多くのチャンスを作っていましたので、勝利することができず悔しく思っています。


[選手インタビュー]
<安斎颯馬選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、前半はボールを保持することを大事にしていましたが、もっと大胆にチームとしていって良かったのかなと思います。セットプレーの守備を含めて、結局あそこで0-1になったことが自分たちでゲームを難しくしてしまったと思うので、前半の入り方はチームとしてもっとこだわっていかなければいけないと思います。

Q、得点シーンを振り返ってください。
A、シーズン開幕戦から試合に出ていて、途中で出られない時期もありましたが、ここ最近はずっと出してもらっているなかで、前線の選手として1点もとれていないという状況は、自分のなかで考えるものがありました。セットプレーではありましたがゴールを決めることができたので、決して満足いくものではないですが、一つ気が楽になったというか、肩の荷が降りたので、次は勝ちに繋がるゴールを結果で残していきたいと思います。

Q、今日の試合の改善点はどういったところにありますか。
A、攻撃の緩急というか、今はゆっくり動かし続けて仕掛けるという形になってしまっているので、ゆっくり動かすところと攻撃のスイッチの入れどころをチームで作らないといけません。俵積田晃太選手や自分のところがスイッチになると思うので、そのスイッチの入れ方をチームとしてもっと作っていければ良いと思います。


<徳元悠平選手>


Q、アディショナルタイムを含めて30分程度の出場となりました。
A、最低限追いつくことを考えて、自分にできることをしようと思っていました。そのなかでチームとして得点ができたので良かったです。

Q、攻撃にアクセントをもたらすことを求められていたと思います。引いている相手をどのように攻略しようとしていましたか。
A、ジャジャ シルバ選手が気持ちよくプレーできるようにしようとしていました。自分自身、仕掛けない選手だと思われていたと思うので、仕掛けようと意識して臨みました。

Q、前半は攻撃が停滞していたように見えましたが、ベンチからどのように見ていましたか。
A、焦らずにパスを回すところは回していたので、あとはゴール前の工夫が一つ二つ必要だと思いながら見ていました。セットプレーがチャンスになると思っていましたし、結果的にセットプレーが得点につながって良かったです。

Q、アシストという数字が付いたことは、次に繋がると思います。これからの意気込みをお願いします。
A、これでチームからの信頼や信用がより増したと思うので、強気でセットプレーを蹴りたいと思います。湘南ベルマーレ戦はシーズン前半戦最後の試合になるので、良い形で終えることが後半戦に繋がってくると思います。そのために、まずは連戦が続いていたので一旦みんなでしっかりと休んで、小平グランドでの練習からしっかりとやっていきたいと思います。


<松木玖生選手>


Q、試合の振り返りをお願いします。
A、負けている状況での途中出場でしたので、同点、逆転に繋がるプレーを意識してピッチに入りました。個人としても得点を狙っていたので、決めることができず悔しいです。安斎颯馬選手のゴールで同点に追い付き、試合の終盤は勢いが出ていました。そのなかで、逆転ゴールに繋がるようなチャンスもあったなかでチームとして決め切れなかったことが次への課題です。

Q、U-23日本代表のアメリカ遠征からチーム活動に合流してすぐに出場しました。
A、コンディションは全く問題ありませんでした。アメリカとの国際親善試合(第2戦目)は出場できなかったので、その分、今日の試合を含めてJ1リーグの試合にすべてをぶつけようと思っていました。ここからのリーグ戦を含めて、しっかりとチームのためにも結果を残すことができる選手になっていきたいです。

Q、次節は湘南ベルマーレとのアウェイゲームです。
A、今日の試合でいうと、前半のような戦い方は、チームとして上位をめざす上でも絶対にしてはいけないと思います。後半のような流動的なプレー、全員がアクションを起こすプレーで得点にこだわる試合を見せたいです。個人としては、アグレッシブなプレーを意識して、得点やアシストの数字にもこだわっていきたいと思います。