6/22 湘南戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW<br />
supported by めちゃコミック

INTERVIEW2024.6.21

6/22 湘南戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW
supported by めちゃコミック

<前節・ジュビロ磐田戦のレビュー>

前半に1点のリードを許し、自陣に引いて守りを固めるジュビロ磐田を崩し切れない展開が続いた東京。難しい時間帯が長くなったが、選手交代でピッチを活性化させて猛攻に出ていた後半39分、ついに試合が動く。

左サイドで得たフリーキックのチャンス。徳元悠平選手の左足からファーサイドへ鋭いスライダー系のクロスが送られると、「絶対にゴールへねじ込む」というチームの意識を象徴するように、多くの選手がゴール前へ飛び込んでいく。

相手ゴールキーパーの手前で鋭く弧を描いて落ちたボールに合わせたのは、開幕から献身的なプレーでチームを支え続けてきた安斎颯馬選手。全身を投げ出すようにヘディングを叩きつけると、勢いそのまま倒れ込みながら素早く立ち上がり、ゴール裏スタンドに向かって右手の拳を握って突き上げた。

今シーズン公式戦23試合目にして、ようやく決めることができたプロ初ゴールは、クラブにとってのJ1リーグ戦ホーム通算600ゴールでもあった。

だが、彼が意識したのは次のキックオフ。何度もガッツポーズを繰り返しながら、素早く自分のポジションに戻っていく。そこには自分の感情よりも勝ち越しゴール、そしてチームの勝利に強く執着したいという気持ちがあった。

試合はこのまま1-1の引き分け。試合後のミックスゾーンにはプロ初ゴールを決めたことで、さらに自身の想いを強めた38番の姿があった。報道陣からの問いかけにもほとんど笑顔はなく、悔しさを滲ませながら口を開いていく。

「個人的には一つ肩の荷が下りたというか、嬉しいものはありますけど、チームとして勝てていないので、勝ちにつながるゴールをもっともっと求めていきたい。前線のポジションで試合に出ながら結果が残せていない自分に集まる批判も理解していましたし、チームが勝つために貢献することは考えてきましたけど、試合に勝っても数字を残せない悔しさはありましたし、もっともっとやらなければと常日頃から思っていました。その悔しさが一番強かったですけど、それはピッチでしか晴らすことができない。前線で使ってもらう以上は結果で期待に応えたいですし、これで満足せず、もっともっと監督の期待に応えられるような結果を残していきたいです」。

右ウイングのポジションで見せる前線からのアグレッシブな守備、果敢にゴール前へ飛び込んでいく得点意欲、そしてチーム状況に応じてサイドバックもこなす万能性。何度もチームを救うプレーを表現しながら、それでいてアタッカーとしての矜持を胸に秘めていた。「もっと点を取りたい」と語ったルーキーが叩き込んだ入魂のヘディング。これが彼にとってのターニングポイントになるのかもしれない。



<マッチプレビュー>

2024明治安田J1リーグは今週末の湘南ベルマーレ戦で前半戦を折り返す。東京はここまで7勝6分5敗の8位。後半戦の巻き返しに向けて勢いをつけるためにも、しっかりとアウェイで白星を手にしたい試合となる。

先週末に行われた明治安田J1リーグ第18節ジュビロ磐田戦は、試合を優勢に進めながらセットプレーから先制を許す展開に。リードを奪ったことで、ブロックを作って守備的な戦い方を選択した相手を攻めあぐねる。ボールを保持しつつも攻撃のスイッチを入れることができず、うまく決定機を作れない展開が続いた。

後半、ベンチから戦況を見ていた選手たちを投入したことで流れは東京へ。そして後半39分、左サイドで得たフリーキックから安斎颯馬選手がヘディングで同点弾をねじ込んで同点に追いつく。だが、さらにゴールネットを揺らすことはできず試合は1─1のドロー。今シーズン、なかなか勝利できていない味の素スタジアムでまたも白星を逃し、引き分けに終わる結果となった。今節は磐田戦の反省を糧に、しっかりと相手の出方を窺いながら、いかに攻めどころを見極め、変化を加えられるかが勝負のカギを握ることになりそうだ。

対する湘南は、現在3勝6分9敗の17位。このまま残留圏内をキープしていくためにもホームで負けられないゲームとなる。

東京にとって最も警戒すべきは、前週の天皇杯2回戦まで公式戦4試合6ゴールを記録していたエースのルキアン選手だろう。前節の名古屋グランパス戦でもゴールネットを揺らしながらVARのフォローでオフサイドと判定されて得点は取り消しになったが、巧みな抜け出しから流し込んだ冷静なシュートは好調さを印象付けるプレーだった。ゴール前でのヘディングやワンタッチゴールを含めてフィニッシュワークで勝負強さを見せるストライカーだけに、彼に絶対に時間とスペースを与えてはならない。東京は今節、対人プレーに抜群の強さを見せてきたエンリケ トレヴィザン選手が累積警告で出場停止となるだけに、チームとして一瞬のスキすら見せることなく、しっかりと抑え込んでいくことが求められる。

試合当日の6月22日は、ディエゴ オリヴェイラ選手の34歳のバースデー。クラブ在籍選手としてJ1リーグ歴代最多の72ゴールを記録してきた背番号9が、自分自身の誕生日に祝砲を決められるかにも期待しておきたい。



[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、ジュビロ磐田戦の前半は全体的に停滞した内容でした。
A、満足のできない試合内容でしたし、反省して改善し、次の試合のパフォーマンスに繋げていきたいと思います。あの経験から、あらためて自分たちがめざすチームへとなっていくために何ができて、何が必要かを選手たちと共有しました。磐田戦は、選手たちは後半に良いパフォーマンスを発揮したことで、同点に追いつくことができました。ですが、追加点を奪って逆転できなかったことを残念に思います。

Q、磐田のように守備のブロックを敷いて対応してくるチームも今後増えてくることが予想されます。
A、まずはどのような相手であれ、自分たちが何をしなければならないかに焦点を当てることが重要です。磐田戦の前半はボールを動かすテンポが悪かったですが、後半に入り、相手の裏をとる動きや前進する動きが増したことで、攻撃のバランスが良くなったと思います。後半は我々のフットボールができていましたが、キックオフから試合終了まで、通しで表現できなかったことが次への課題であり、どの試合でも先制点が非常に重要です。どのようなサッカーで相手が臨んできたとしても、我々のサッカーをすること、解決方法が分かるように成長を促したいと思います。

Q、今節は湘南ベルマーレとの一戦です。
A、湘南は高いハードワークとモビリティのあるチームです。全てを懸けて戦ってくる相手になることでしょう。我々は強度やインテンシティで相手を上回り、フットボールの繋がりを意識して戦っていきたいと思います。勝利を求めていきたいと思います。



[選手インタビュー]
<松木玖生選手>


Q、今節が2024シーズンの折り返しとなる試合になります。
A、湘南ベルマーレとの試合で、リーグの前半戦が終わりますが、前節のような戦い方をしてはいけません。湘南は3バックで臨んでくると思いますし、相手のシステムなど含めて対策や分析をしっかりとしたうえで、チームとしての勢いが増すような試合と勝利を求めていきたいと思います。

Q、前節は松木選手がピッチに入った後から攻撃に勢いが増したように見えました。
A、ベンチから試合を見ていて、前半はチーム全体として消極的なプレーが多かった印象です。自分がピッチに入ることで、前向きなプレーと攻撃に厚みを加えることを意識していました。後半でしたし、相手の疲労も感じていました。相手の間延びしたところを途中出場の選手たちをはじめ、うまく突くことができていましたし、ボールの受け方や細かい部分が全体として前向きになっていたと思います。単純なことかもしれませんが、そういったところを変えていくだけで、攻撃の厚みも変わることを感じた後半でした。

Q、攻撃的なポジションでプレーする回数が多い今シーズンですが、手応えはいかがですか。
A、僕自身、昨シーズンよりも一つ前のポジションでプレーする回数が多いなかで、試合を決めるようなゴールやアシストの“数字”にこだわっています。例えば、荒木遼太郎選手とは良い距離感でプレーできていますし、お互いの動きを見つつ、自由にプレーができています。良い形で継続することで、自然と結果はついてくると思いますし、得点を奪えるチャンスが増えることで、チームの調子も上向いてくると思います。


<高宇洋選手>


Q、今節対戦する湘南ベルマーレの印象を教えてください。
A、湘南ベルマーレのスタイルとしてハードワークをいとわないチームという印象です。湘南の山口智監督とはガンバ大阪時代のコーチと選手という関係でもあったので、個人としては対戦を楽しみにしています。山口監督はサッカーを知っている方ですし、やりづらい相手、難しい試合になると思っています。

Q、前節のジュビロ磐田戦は、守備のブロックを敷く相手に対して苦戦する時間もあったと思います。
A、自分たちがボールを保持する時間も長くありましたが、そのなかで相手のブロックを壊しにいくような作業が足りなかったと感じています。磐田戦では、僕個人として前に飛び出す回数や高い位置でのプレーが少なかったと思っているので、そのような作業を惜しまず表現していくことが解決策の一つになると思っています。

Q、後半に改善ができたキッカケや選手間でどのようなコミュニケーションを図りましたか。
A、リードされている状況ということもあり、後半の試合展開になったと思います。チームとして、もう一度背後への動きを強く意識できていましたし、ボールを保持する選手を中心に、前を向いてプレーすることを最初の選択肢として持つことができていたと思います。交代で入った選手を含めて、推進力が増したことが後半の試合展開に繋がったと思います。

Q、今節の湘南戦でリーグの前半戦が終了します。リーグ前半戦の手応えと課題をどのように捉えていますか。
A、僕自身、今シーズンから東京に加入して、試合に出られない時期やアジャストに時間がかかり苦労することもありましたが、徐々にチームに僕自身の長所を還元できる機会も増えてきました。ですが、チームとしても個人としても好不調の波があったリーグ前半戦でした。僕自身もここから試合出場を重ねていきたいですし、存在感をプレーで示していきたいです。チームの目標達成のために良い方向に進むためにも、リーグ前半戦最後の湘南戦で勝点3を獲って、次に繋がる試合にしたいです。