6/30 福岡戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW<br />
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INTERVIEW2024.6.29

6/30 福岡戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW
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<前節・北海道コンサドーレ札幌戦のレビュー>

2024明治安田J1リーグ第20節。東京はリーグ戦後半戦のスタートとなった一戦で北海道コンサドーレ札幌に1-0で勝利し、前半戦で1勝に留まっていた味の素スタジアムでシーズン2勝目をマーク。その立役者になったのが、プロ初ゴールから味スタ2戦連発となる決勝点を決めた安斎颯馬選手だった。

立ち上がりは相手のタイトなディフェンスに様子を見ながら試合を進めた東京。シュートを打てない時間帯が長くなったが、前半30分過ぎからはペースを握って相手を押し込み、ゴールまであと一歩のところまで迫っていた。だが、ネットを揺らすことができない時間が続き、スタジアムに嫌なムードが漂い始めていた後半39分、ポジションを右ウイングから左ウイングへ移した安斎選手が鮮やかな先制弾を打ち込む。

右サイドでボールをつなぐと、原川力選手がワンタッチで相手守備陣の頭を越える絶妙なクロスを供給。そこへ相手ディフェンダーの背後から抜け出し、ボールの落ちどころに左足を伸ばした38番。「ミートすることだけを心がけた」というアタッカーのシュートは、クロスバーを叩いてゴールに吸い込まれた。

「原川選手がキックモーションに入った瞬間に相手の一番危険なところに入ろうと思いました。相手がマークについているのは分かっていたので、先に動いて、対処できないように相手の背中に入り込むポジションを取ることができたのが良かった。最後の最後まで相手と競り合う形になって、(シュートした後は)ゴールに入った瞬間は見えていなかったんですけど、スタジアムの歓声で決まったと分かりました。本当に気合いで押し込んだゴールだったと思います」

ゴール裏へダッシュしていく殊勲のアタッカー。前半戦は味スタで1勝という苦しい結果にもかかわらず、ずっと声をかけ続けてくれたファン・サポーターと喜びを分かち合いたいという気持ちが彼を走らせた。第18節磐田戦で決めたプロ初ゴールは同点弾だったこともあり、勝ちたい気持ちが喜びを上回って歓喜を味わうことができなかっただけに、苦しい展開で決めたゴールの味は極上だったはずだ。

「チームを勝たせたい」と口にし続けてきた彼には、もう一つ胸に秘めた思いがあった。アウェイの東京ヴェルディ戦でもらってしまったレッドカード。あの記憶は今でも鮮明に残っている。数的不利になったチームは、0-2から終盤の同点劇で引き分けに持ち込んでくれた。

「ヴェルディ戦のあと、今まで以上に『チームのために戦いたい、今度はチームを勝たせるんだ』という想いを強くしていました。ネガティブな意味ではなくて、本当に今度は自分がチームを助ける番だと。なかなか目に見える結果で返すことができなくて時間はかかりましたけど、こうやって形に実ったのは自分自身にとって大きい。前線の選手としてはまだまだ数字が物足りないので、もっともっと恩返ししていきたい。自分自身はもちろんですけど、チームとしても本当に結果を残せるように、もっともっと頑張ります」

ホームで好スタートを切った後半戦。試合直後のフラッシュインタビューで、彼はスタンドに向けて力強く語った。

「FC東京はこんなもんじゃない」

ホームの大観衆に結果でお返ししていくのはこれからだ。

俺たちはもっとできる。もっと上へ行ける──。

そう信じているからこその言葉だったのだろう。献身的なプレースタイルに加えて得点感覚と自信を手にした38番が、前線から見せる気迫のプレーで引っ張っていく。



<マッチプレビュー>

前節は北海道コンサドーレ札幌に1-0で勝利し、2試合連続の完封勝利。0-0で迎えた後半39分、右サイドから原川力選手が上げたクロスに安斎颯馬選手が飛び込み、左足で合わせて決勝ゴールを決めた。今シーズン2点目となるゴールを挙げた安斎選手は「今は伸び伸びプレーできていると思います」と好調の要因を語りつつ、さらなる活躍を誓った。「前線の選手としてはまだまだ数字が物足りない。もっともっと自分自身もチームとしても結果を残せるように頑張りたい」

また、2試合連続の無失点に貢献した岡哲平選手は「前回の湘南ベルマーレ戦は裏をとられてしまっていたので、相手よりも早く準備することを意識した。センターバックでチャレンジ&カバーはできていたし、良い連係がとれていたと思う」と胸を張った。

今節は中3日でアビスパ福岡を味の素スタジアムに迎える。東京にとって福岡は、2016シーズンからリーグ戦8試合未勝利と相性の悪い相手だったが、前回対戦ではアウェイで3-1と勝利。内容的にも今シーズンのベストゲームと呼べる戦いを繰り広げ、苦手意識を払拭した。ここで連勝の流れを止めずに勢いに乗ることができれば、上位争いに食い込んでいける。東京の“熱い”夏がいよいよ始まる。 


今節のマッチデープログラムはこちら


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、チームは現在2連勝中です。どのようにここから白星を伸ばしていきたいですか。
A、我々がここまで積み上げてきたものに対して、今後も継続的に成長を促していくこと、高いメンタリティを持って、試合に臨むことが重要です。アビスパ福岡との対戦もタフな試合になることが予想されますが、良い準備をして、すべてを出し切りたいと思います。

Q、前節の北海道コンサドーレ札幌戦では、試合終了までタフに戦えたことが勝利を手繰り寄せたと思います。
A、試合を進めるなかで重要なポイントでした。試合序盤は、相手に脅威を与えるような仕掛けは多くなかったかもしれません。ですが、焦れずに試合を進めたことでリズムが生まれました。前半終了間際から徐々にペースを掴み、ゴールに向かうプレーが増えたことで、試合終盤の得点に繋がりました。チームとして積み上げてきたものを継続して表現することが重要であり、札幌戦ではそれが良い流れを掴むキッカケになりました。前半のように、時には我慢の時間が続く時もあります。後半は、交代選手を含め、試合をコントロールできていました。相手が疲れてきているタイミングで、交代でピッチに入る選手たちの役割は非常に重要です。ピッチに立った全員のハードワークの報いが終盤の得点だと思います。チームにとって非常に大きな勝利でした。

Q、連勝はしましたが、どちらの試合も“我慢強さ”が求められていた試合でした。
A、試合によって展開や内容は異なります。ピッチ内で起こりうる様々な課題やチャレンジの解決方法は、ここまで積み上げてきたもののなかにあると思っています。湘南ベルマーレ戦、札幌戦と我慢の時間が多くありましたが、勝利に繋げられたことが我々にとって重要なことです。福岡戦も難しい試合になると思いますが、勝利をめざします。



[選手インタビュー]
<岡哲平選手>


Q、スタメン出場した2試合で勝利に大きく貢献しました。手応えはいかがですか。
A、失点をゼロに抑えることは守備の選手として常に目標に置いていますし、出場した試合では、無失点に抑えて勝つことを前提に練習から取り組んでいました。今シーズン、チームとして複数失点が目立ってしまう試合が多かったなかでは、数少ないクリーンシート、失点をゼロに抑えて勝った試合にスタメン出場して貢献できたことは、本当にチームとしても個人としても大きな意味があったと思います。

Q、そのなかで、個人としての手応えをどのように感じていますか。
A、湘南ベルマーレ戦は少しの緊張と、相手の出方を含めて、探り探りの時間があり、自分の思うような守備はできませんでした。湘南の勢いやサイドから仕掛けてくる圧力に対して、受けに回る時間が長くなってしまった印象で、自分らしさを守備でも攻撃でも表現できませんでした。それに比べて、北海道コンサドーレ札幌戦は、湘南戦の課題や修正点を整理して試合に入ることができましたし、粘り強くタフに戦えた点は良かったと思います。出場した試合から色々なものを学んで吸収している最中です。その成長スピードの速さも求められていると思いますし、毎試合、自分にできることは何かを整理して臨んでいます。

Q、成長した先に、どのような自分を描いていますか。
A、東京を熱狂させられるような選手になりたいです。僕自身、東京のアカデミー時代から森重真人選手が憧れの存在です。僕がそうだったように、アカデミーの選手たちから憧れられるディフェンダーに成長していきたいです。


<原川力選手>


Q、前節はボランチの位置でスタメン出場でした。
A、久しぶりのスタメン出場で、試合の最初からプレーのリズムを作ることができたことは良い要素だったと思います。直近のリーグ戦では途中から出場する機会が多く、試合の展開や味方の状況を把握しながらプレーする難しさもありました。高宇洋選手や小泉慶選手と、ボランチそれぞれに特長がありますし、良さを消し合うことなく、チームとしての引き出しが増えるような関係性やコンビネーションを見せていきたいと思います。

Q、前節は高選手と久しぶりのダブルボランチでした。
A、北海道コンサドーレ札幌が独特な守備で対峙してきたので、高選手とはオープンな試合展開にならないようにしようとコミュニケーションを常にとっていました。今節はアビスパ福岡との対戦ですが、相手が変われば、当然やり方も変わってきます。試合内容や展開も違った雰囲気になると思うので、札幌戦と同じような入り方をしても通用しないことが多くなってしまうので、その点を意識して試合に臨みたいと思います。

Q、福岡の特長やストロングポイントはどのように見えていますか。
A、試合が始まらないと分からない部分は多いと思いますが、福岡は相手の特長を消しにくるような強い守備が印象的です。特に前半10、15分までの試合の入りのところで、福岡の狙いをチームとして把握できれば、良い形で試合を進められると思います。