7/13 新潟戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.7.13

7/13 新潟戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

前節、柏レイソル戦で競り負けて今シーズン初の連敗を喫した東京は、さらにミッドウィークに行われた天皇杯3回戦でもJ2リーグのジェフユナイテッド千葉に延長戦の末に敗れ、公式戦3連敗と苦しい状況に立たされた。

そんな状況で迎える国立競技場での一戦は、現状の流れを断ち切る絶好の機会だ。ここまで無敗を貫く聖地でのゲームは必勝が期される。スタメンは柏戦からの変更は1選手のみ。俵積田晃太選手に代わり、遠藤渓太選手が約3か月ぶりとなるスターティングメンバー入りを果たし、この試合を最後にクラブから離れる松木玖生選手は、ベンチから出番をうかがった。

1stHALF—スタメン起用のケイタがゴールで期待に応える

開始2分で先制点を奪った1週間前の柏レイソル戦と同じく、ゲームの入りは素晴らしかった。左ウイングに入った遠藤選手が起点となり攻撃を展開していき、前半3分にはファーストチャンスを作る。ディエゴ オリヴェイラ選手のプレスバックから奪ったボールを遠藤選手が運んでマイナス方向にクロスを入れる。これに飛び込んできた右サイドバックの白井康介選手が右足を振るが、これはディフェンダーにブロックされた。

それでも、果敢に攻め込む東京は、前半6分に先制点を挙げる。自陣からパスをつなぎ、左サイドを切り崩すと、小泉慶選手のスルーパスに遠藤選手が反応。迷わずにゴール方向へボールを運び、エリアに入ったところでボールを持ち直してコースを作って右足を一閃。強烈なシュートが相手ゴールキーパーの手をはじき、ゴールネットを揺らした。



早々の先制点で主導権を握った東京だったが、時間の経過とともにゲームの展開は落ち着いていく。木本恭生選手と岡哲平選手の両センターバックを起点にビルドアップを組み立てながら敵陣に侵入する機会は作るが、なかなかシュートに持ち込めない時間が続く。反対に新潟にボールを握られても、最後の場面ではやらせず、無失点を貫いた。

前半30分ごろには、自陣でのパスミスを奪われたところからピンチを招いてしまうが、谷口選手のシュートに対しては木本選手が身体を投げ出してブロック。そのこぼれ球からカウンターに転じて、三度、遠藤選手のドリブル突破からチャンスを作るも、折り返しのボールがディエゴ選手に届かず、追加点とはならなかった。

2ndHALF—待ちわびたレオンゴールで新国立無敗を決定付ける

前半とは対照的に、後半は鋭い出足を見せる新潟に主導権を握られてしまう。後半5分にはピンチを迎える。自分たちの右サイドを崩され、エリア内で谷口選手にシュートを許すが、これは枠を外れ、難を逃れた。ただ、その直後にもゴールを脅かされる。トーマス デン選手のフィードで局面をひっくり返され、谷口選手のワンタッチパスから長倉選手にフリーで抜け出される。しかし、ここは懸命に戻った徳元悠平選手が身体を寄せ、シュートを打たせなかった。

最後の局面では集中した守備を見せ、リードを保っていた東京は、後半16分に松木選手を投入する。そして、後半18分には早速の見せ場。直接フリーキックを狙うもこれはゴールキーパーの正面を突いた。

それでも松木選手がピッチに入ったことで明らかに流れが変わり、後半28分には松木選手が中盤でのルーズボールを収め、左サイドに展開。野澤零温選手からリターンをもらって得意の左足で狙い、ゴールへの意欲を示した。

そして後半32分、東京に待望の追加点が生まれる。右サイドを攻略し、小泉慶選手がスペースに飛び出すして逆サイドを駆け上がってくる味方にスピードのあるクロスボールを入れると、ファーサイドからゴール前に走り込んできた野澤選手が落ち着いてゴールネットを揺らし、うれしいJ1リーグ初ゴール、東京でのプロ初ゴールを決めた。



表示された6分のアディショナルタイムを守り抜いた東京は、リーグ戦で3試合ぶりの勝利を挙げ、リーグ戦の連敗を2試合でストップ。タイムアップの瞬間、ゴール裏からは松木選手のチャントが響き渡った。

MATCH DETAILS
<FC東京>
GK野澤大志ブランドン
DF白井康介/木本恭生(後半41分:森重真人)/岡哲平/徳元悠平
MF高宇洋/小泉慶/仲川輝人(後半41分:原川力)
FWディエゴ オリヴェイラ(後半16分:松木玖生)/遠藤渓太(後半26分:野澤零温)/安斎颯馬(後半41分:長友佑都) 

SUBS
GK波多野豪
FWジャジャ シルバ

GOAL
前半6分:遠藤渓太 / 後半33分:野澤零温

<アルビレックス新潟>
STARTING Ⅺ
GK阿部航斗
DF藤原奏哉/遠藤凌/トーマス デン/堀米悠斗
MF秋山裕紀/島田譲(後半38分:宮本英治)/小見洋太/谷口海斗(後半31分:小野裕二)
FW長谷川元希(後半31分:松田詠太郎)/長倉幹樹(後半38分:高木善朗)

SUBS
GK吉満大介
DF長谷川巧/千葉和彦 

GOAL


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、本日の試合の総括をお願いします。
A、良い勝点3だと思っています。選手が非常に良い姿勢で取り組んで、必死に努力してくれました。国立競技場に来てくれた多くのファン・サポーターとともに、松木玖生選手を送り出そうと、みんなで戦って得た勝点3です。前半に関しては、攻撃ではボールを持った時に良いものを出せている場面もあったと思いますが、自分たちが使えるスペースをもう少しうまく使えれば良かったと思っています。ただ、そのなかでうまくゴールに向かうことはできていました。良い動きや良いつなぎを見せながらゴールに向かい、それがゴールにつながりましたが、そこからもう少し自分たちが使えるスペースを使って攻めることができれば良かったと思います。後半はハードワークをしなければいけなくなってしました。もう少し自分たちがゲームをコントロールできる時間帯があっても良かったと思っています。しかしながら、そのなかでも自分たちがデザインした形で2点目を奪うことができて、仕留めることができたことは良かった点です。
本当に、今日ここに足を運んでくれたファン・サポーターに大きな感謝をしたいと思います。彼らが、選手にとっても松木選手にとっても、特別なものになったと思いますし、彼らにこの勝点3を届けたいと思います。

Q、パリ五輪の日本代表に選出されている荒木遼太郎選手がメンバー外だった理由を教えてください。
A、7日間で3試合がありました。ミッドウィークにも試合があり、自分たちにとっては今日が連戦の3試合目でした。彼は今シーズン多くの試合に出場しており、我々にとって素晴らしいものを出してくれています。クラブの誇りに思えるようなプレーを彼がしっかりしたことによって、日本代表にも選ばれたのだと思います。今日の試合での我々の決断としては、なるべく多くのフレッシュな選手を使っていくことでした。荒木選手は今シーズン非常に良いものを出してくれていますし、彼がオリンピックでプレーすることを楽しみにしています。それはもちろん、野澤大志ブランドン選手もそうです。荒木選手は少し疲れがあったので、今日はフレッシュな選手で戦おうということで休ませました。

Q、本日は57,885人という大観衆の中での試合となりましたが、フットボールの内容としてはいかがでしたでしょうか。
A、我々がボールを持った時には、相手にとって危険なプレーができていました。そういったチームに自分たちはなっていきたいと思っています。そして、相手の隙をついて点が取れるチームになっていきたいです。今日の試合で言えば、自分たちが試合をコントロールできるようになれば良かったですし、それができればもっと攻撃的になれたと思っています。自分たちの動きやプレーでは良い流れでできていたところもありましたし、相手にとって脅威になっていたと思います。そして良い2得点でした。野澤零温選手がチームの2点目を決めたことも誇りに思います。自分たちの約束事、毎日やっていることを彼がやり切って、ゴールという形につなげることができました。大事なことは、我々が成長しているチームであることです。継続して成長していくこと、自分たちの戦い方を発展していけるようにしたいと思っています。

Q、松木玖生選手にこの1年半のフィールドの内外で、どのような成長があったでしょうか。
A、私が松木選手と一緒に仕事を始めた初日から、私はこの選手の最大限を引き出そうという情熱を持っていました。それは他の全選手についても同じです。彼の姿勢や献身性、そして彼の取り組みというのは本当に良い刺激を受けるものだと思います。もしかしたら、彼が今シーズンのキャプテンとなったことにみなさんは驚いていたかもしれません。彼が持っているリーダーシップの質は特別なものだと私は思っています。それが彼の、若い選手としての成長にもつながっています。本当にここまで非常に良いものを出してやってくれたと思います。もちろん、彼の心の中には常に「青赤」があると思いますし、FC東京というクラブ、そして東京全体が、彼の第二章を楽しみにしていると思います。


[選手インタビュー]
<松木玖生選手>


Q、チームを離れることが発表された直後の試合で勝利という結果を手にしました。
A、同年代の野澤零温選手がJ1リーグ初ゴールを決めてくれて、彼が頑張ってきたのを知っていますし、同期の活躍を見て海外に行けることを誇らしく思います。今日の試合が始まる前に小泉慶選手が「玖生のために」と全員に言ってくれて、勝つことができたので自分も気持ち良くチームを離れることができます。

Q、途中出場でしたが、何を意識して試合に入りましたか。
A、自分が入ったのは1-0の状態でしたし、突き放そうと思っていました。守備のところは前半からブロックを敷くような状態が続いていたので、自分もそれに適用してカウンターの時に力を出そうとしていました。この勝利は一生忘れないですね。

Q、練習参加も含めて、約3シーズン近く東京というクラブに関わって、得たものをどのように振り返りますか。
A、東京でないと自分は試合に出られていなかったと思います。アルベル プッチ オルトネダ前監督が自分を開幕からスタメンでずっと使ってくれたこともそうですし、ピーター クラモフスキー監督からはキャプテンに任命してもらいました。自分のサッカー選手としてのキャリアのなかで本当に良い経験ができましたし、この経験は必ず次のステージで活きると思います。しっかりと地に足をつけてやっていきたいと思います。

Q、ファン・サポーターを前に話をした際には、クラブの歴史に名を残すような選手になりたいというコメントもありました。
A、これからは自分との闘いになっていきますし、東京で一番活躍した選手と言われるような活躍を海外でしたいと思います。

Q、プレーの面で、東京で得たもの、キャプテンを務めて得られたものははなんですか。
A、落ち着き方やゲームをコントロールする力は徐々についてきたかなと思っています。良い時も悪い時もキャプテンとしてまとめるのはすごく難しい場合もありました。自分だけではなくて、先輩たちや後輩のサポートもあったからここまでキャプテンができましたし、森重真人選手や小泉選手には本当に感謝しています。

Q、大勢のファン・サポーターに見送られて出発できることは今後の力になりますか。
A、5万7000人を超えるファン・サポーターが、アルビレックス新潟のファン・サポーターも含めて詰めかけてくれたのがプレーをしながら見えていましたし、みんなの期待を背負って羽ばたいていきたいと思います


<野澤零温選手>


Q、東京での初ゴールとなりました。得点シーンを振り返ってください。
A、あのゴールはチームの決めごとで、逆サイドの選手が入っていくことになっていますし、小泉慶選手とも目が合って絶対にボールが来ると思いました。これまでもあのようなチャンスのシーンがあって決め切れていなかったので、自分のなかでも決め切らなければいけないと思っていました。あとは、技術というよりは気持ちで押し込みました。これまで外してきたシーンも頭をよぎりましたが、それ以降にも多くの練習をしてきて、その結果が詰まったゴールでした。本当に多くの方々が応援してくれて、だからこそあそこに僕がいてあそこにボールが来て、得点することができたと思います。東京の選手、スタッフ、そして一番はここまで応援し続けてくれた、ファン・サポーターに感謝したいと思います。

Q、今日まで、苦しい時間も多く過ごしたと思います。
A、プロになってからは、本当に苦しいシーズンを過ごしていました。そのなかでもたくさんの方々がずっと背中を押し続けてくれたからこそ、取ることのできた得点だと思います。僕のなかでも今日の試合が大きく成長をするきっかけになったと思うので、そこはポジティブに捉えたいです。ただ、今日ようやくスタート地点に立てたと思っているので、次の試合でも勝利に貢献できるように数字を残していきたいです。

Q、次節鹿島アントラーズ戦に向けて意気込みをお願いします。
A、今日もですが、アウェイの2024 JリーグYBCルヴァンカップの時にも、僕のチャントを歌ってくれていましたし、僕への声援が凄く大きな力になっていたので、感謝したいです。ようやくその声援に結果で応えることができました。ここまで背中を押し続けてくれた、ファン・サポーターのみなさんのおかげなので、これからもっと恩返しをしていきたいです。


<遠藤渓太選手>


Q、得点シーンを振り返ってください。
A、自分の得意な角度でした。自分に求められているのはあの場面でのシュートやクロス等得点につながるプレーだと思いますし、そこで良い形でシュートを決めることができて良かったです。

Q、怪我をしてからここまで難しい期間が続いていました。
A、万全の状態でプレーできていなくても、少ない時間から調整させてもらえて自分自身も気にせずプレーできるようになりました。リーグ戦連敗の悪い流れを変えることができて良かったです。

Q、3連敗と難しい期間が続いていました。今日の試合に向けてどのような準備をしましたか。
A、難しい試合となったアビスパ福岡、柏レイソル、ジェフユナイテッド千葉との3試合でのファン・サポーターの声援は、最高の応援でしたし、ベンチに座っている時にも他の選手とも話していました。そのなかで、結果で応えることができなかったのが自分たちやスタッフ含めチーム全員でした。今日は、千葉に負けて出来の悪かった自分たちを応援しに来てくれるファン・サポーターのためにも戦おう、という気持ちで全員試合に臨んでいたと思います。

Q、順位を上げるためにも、来週の鹿島アントラーズ戦が重要になると思います。今日もクラブ史上ホーム最多入場者数更新をする多くの方が来場してくれていました。そのファン・サポーターに向けてメッセージをお願いします。
A、ミッドウィークの試合がないので、万全の準備をして臨みたいと思います。結果が伴っていない状況でも自分たちの試合を観に来てくれるのは当たり前のことではないですし、それは国立競技場だから、味の素スタジアムだからという事ではなく、自分たちを応援してくれるファン・サポーターのために自分たちはサッカーをしないといけないと思います。少しでも期待してくれている方々に向けて、サッカーができる喜びを感じながらサッカーをしていきたいです。


<野澤大志ブランドン選手>


Q、久しぶりのクリーンシートとなりました。試合全体を振り返ってみていかがでしょうか。
A、確実に勝つことが大事だったので、勝点を積み上げることができて良かったです。自分たちは、勝っていくことができるチームだと思いますが、最近の試合では自分たちで試合を難しくしてしまっていました。3連敗という試合結果を悲観し過ぎずに結果を出すことだけに集中しました。そういう意味では今日確実に勝つことができて、本当に良かったと思います。

Q、失点が続いていましたが、今日の試合にはどのような部分を意識して臨みましたか。
A、個人的な部分では、自分自身はまだまだ学ばなければいけないことがありましたし、勉強不足だったと思います。いつまでも学び続ける姿勢は大事ですが、いつまでもミスをしてしまい、失点から学び続けることは、チームにも迷惑がかかりますし、ゴールキーパーとして早く上のレベルに上がらなければいけないと感じていました。だからこそ、今日は勝利という結果が得られて良かったです。チームとしてはお互いにコミュニケーションをとり続けることと互いにそれぞれが決断したプレーを尊重して、サポートし続けるということを大事にしなければいけないと考えていました。

Q、この後、チームを離れてU-23日本代表に合流しますが、代表活動に向けて、どのような準備をして、どのような結果を残して帰ってきたいですか。
A、日本を代表して臨むので、重みという言葉で簡単に表現していいのかは難しいですが、自分がそこに立っていることをしっかりと理解して、戦い抜いていきたいと思います。結果はどうであれ、「こうしておけばよかったな」とか、そういう悔いが残らないように大会を過ごしていきたいです。東京に戻ってからもまだまだリーグ戦は続きますし、リーグ戦のタイトルを全く諦めていません。ここからは勝点をこぼしてしまうと戦いを難しくしてしまうと思うので、勝ち切っていきたいです。

Q、最後に、大きな声援で送り出してくれたファン・サポーターに向けてメッセージをお願いします。
A、本当に注目していただいているので、応援いただいている方々に少しでも励みになるようなプレーを見せたいです。もちろん応援してくださっている方々の期待に応えなければいけないので失敗は許されないとは思います。ですが、良いプレーだけではなくて、やはり失敗した時でもどう立ち上がっていくかが大事になります。応援してくれている方々が本当に少しでも何かその日頑張ろうと思えるきっかけになれればと思っています。