7/20 鹿島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.7.20

7/20 鹿島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

前節、国立競技場でアルビレックス新潟に勝利した東京。夏季の中断期間を前に、連勝を懸けて鹿島アントラーズとのアウェイゲームに臨んだ。

今シーズン、ここまでキャプテンとしてチームを牽引してきた松木玖生選手が海外移籍を前提にした準備のためにチームを離れ、またU-23日本代表の野澤大志ブランドン選手と荒木遼太郎選手も代表チームに合流。チームの総力が問われる真夏の一戦を迎えた。

野澤大志選手の代わりとしてゴールキーパーには波多野豪選手が起用され、リーグ戦では第13節の柏レイソル戦以来の出場となった。フィールドプレーヤーの10選手は前節の新潟戦と同じ顔触れ。2試合連続ゴールが期待される遠藤渓太選手は左ウイングに入り、新潟戦で決勝点を挙げた野澤零温選手はサブスタート。また、東慶悟選手も第4節のアビスパ福岡戦以来約4か月ぶりにリーグ戦のメンバー入りを果たした。

1stHALF—ケイタの2戦連続弾で追い付く

鹿島が厳しく前線からプレッシャーにこないため、序盤から東京がボールを保持する時間が増えていく。前半5分には右サイドを崩して最初のチャンスを作り出す。木本恭生選手が右サイドにボールを預け、安斎颯馬選手と白井康介選手でサイドを打開。仲川輝人選手のシュートはミートしなかったが、狙いとしている攻撃が形になった場面だった。

さらに前半18分には最終ラインのビルドアップからゴールに迫る。徳元悠平選手が持ち上がり、中央の高宇洋選手に渡すと、高手はダイレクトでディエゴ オリヴェイラ選手に渡す。しかし、ディエゴ選手がシュートではなく右サイドの仲川選手へのパスを選択し、シュートまでは持ち込めなかった。

その後は次第に鹿島にボールを持たれる時間も増えてくる。そのなか、前半29分から30分にかけての約1分間で両チームの明暗が分かれた。

左サイドでの徳元選手のロングスローに遠藤選手が呼応して相手の背後に抜け出すと、ゴールライン際で冷静に状況を見極め折り返す。飛び込んできたディエゴ選手がダイレクトで合わせたが、シュートは身体を投げ出したディフェンダーにブロックされる。

そのこぼれ球を拾った鹿島にカウンターを発動されて一転してピンチを迎える。ゴール前で勢いを持って師岡選手にシュートを打たれると、岡哲平選手が一度はブロックしたものの、ゴール左斜めの位置でこぼれ球を拾った名古選手に強烈なシュートを流し込まれて先制を許した。

決定機が一転して失点につながったことで選手たちのメンタルの落ち込みが懸念されたが、東京は前半終盤に息を吹き返す。

前半41分、ダブルボランチがビルドアップに絡みながら左サイドでボールを動かし、機を見て徳元選手が前線にフィードを送る。相手の背後をとった遠藤選手がペナルティエリア内に侵入し、今度はゴールライン付近から切り替えしてシュートの角度を作り、自ら右足を振り抜いてゴール右隅へと突き刺す。2試合連続でスタメン起用された男の2試合連続ゴールで東京が試合を振り出しに戻し、前半を終えた。


2ndHALF—立ち上がりの失点を引っくり返せず

追い付いた勢いのままペースを掴んで試合を進めたい東京だが、いきなり出端を挫かれる。後半2分、安西選手に対角線上のフィードを蹴られて左サイドで師岡選手にボールを収められると、サポートに来た濃野選手のクロスボールはカットしたものの、こぼれ球を再び濃野選手に蹴り込まれて勝ち越しを許す。

蒸し暑い環境での戦いで1点はリードされた影響は心身ともに重く、鹿島のペースでゲームを進められてしまう。それでも後半14分に右サイドを安斎選手が駆け上がって遠藤選手のシュートまでつなげるなど、反撃姿勢は決して失わずに鹿島ゴールを見据えて戦い続ける。

後半17分には安斎選手に代えて俵積田晃太選手を入れて、左右両ウイングにドリブラーを置いて鹿島の堅守の打開をめざす。

試合終盤には長友佑都選手、森重真人選手、野澤零温選手とフレッシュな戦力を同時に投入して状況の打開を図るが、コンパクトな陣形で自陣を埋める鹿島の守備ブロックを攻略することができない。

森重選手を前線に上げたり、徳元選手のロングスローを活用してゴール前に迫るなど様々な攻撃策を講じたが、1点の差を追い付けずに1-2で敗れた。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK波多野豪
DF白井康介(後半41分:長友佑都)/木本恭生/岡哲平(後半41分:森重真人)/徳元悠平
MF高宇洋(後半33分:原川力)/小泉慶/仲川輝人
FWディエゴ オリヴェイラ/遠藤渓太(後半41分:野澤零温)/安斎颯馬(後半17分:俵積田晃太)

SUBS
GK児玉剛
MF東慶悟

GOAL
前半41分:遠藤渓太

<鹿島アントラーズ>
STARTING Ⅺ
GK早川友基
DF濃野公人/植田直通/関川郁万/安西幸輝
MF柴崎岳(後半29分:三竿健斗)/知念慶/名古新太郎(後半37分:徳田誉)/師岡柊生(後半29分:樋口雄太)
FWチャヴリッチ(前半11分:仲間隼斗)(後半37分:藤井智也)/鈴木優磨

SUBS
GK山田大樹
DF須貝英大

GOAL
前半30分:名古新太郎 / 後半2分:濃野公人



[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、試合を振り返ってください。
A、良いフットボールの戦いでした。自分たちのなかで良いプレーも出すことができていましたし、少しの差が結果につながってしまいました。もちろん悔しい思いもありますが、多くの良いものを自分たちも出せていました。それをしっかりと継続して積み上げて、この敗戦の痛みを持ちながら、チームとして成長していきたいと思っています。

前半はイーブンの内容で戦えていましたし、ハーフタイムの時点でも自分たちも勝点3をつかめる試合だと感じていました。しかしながら、後半の立ち上がりにボックス内でボールが相手にこぼれてしまい、そこを決め切れられてしまいました。試合前にも、少しの差がこの勝負を決めると話しましたが、その二つの場面で相手にゴールを決められた。試合のなかで自分たちがやりたいことを多くできていましたし、自分たちが攻撃したい良いエリアをうまく使うこともできていたと思います。ほかの日であれば、自分たちが1点以上取れていたかもしれません。

ここまで足を運んでいただいて応援してくれたファン・サポーターには感謝しています。彼らが本当に試合の最後まで選手たちの背中を押し続けてくれました。彼らのために勝点3をとれずに申し訳なく思っています。

Q、この後、J1リーグは中断期間に入ります。その間に構築していきたいこと、進めていきたいことはなんですか。
A、まずは、今日出場した選手をしっかりリカバリーさせること、今日試合に出なかった選手たちを明日の練習試合に出場させることです。そして、継続して自分たちがやっていることを作り続けることです。自分たちは成長しているチームだと思いますし、今やっているすべての要素をしっかりと成長できるようにしていきます。私たちは正しい方向に進んでいると思っています。今日は少しの差が試合の勝敗を分けました。ただ、それをやるためには、自分たちがしっかりと焦点を置いて、そして意識を持ちながらハングリーに成長していかなければいけません。自分たちが成長し続けることによって、開幕した時よりもしっかりと良い形でシーズン終盤を終えられるようにしたい。それを目的に取り組んでいきます。


[選手インタビュー]
<遠藤渓太選手>


Q、ゴールシーンを振り返ってください。
A、徳元悠平選手がボールを持っていたので、自分が動き出せばそこに出してくれると信じて走りました。今日はボールタッチの感覚もすごく良かったし、相手の裏のスペースはチャンスだなと思っていたので、そこからなんとか決め切ることができて良かったと思います。

Q、2試合連続ゴールを決めて調子も上がってきているように感じます。
A、コンディションは上がっている感覚はあります。ただ、今日の試合は上位進出に向けてすごく大事な試合だったという雰囲気が全体的に足りなかったと思います。後々ここの試合で勝てなかったことを悔やむことを考えるともったいない試合だったと思います。

Q、今日の敗戦を次にどう繋げていきたいですか。
A、今日のような試合をしていると大事なところで勝てないチームになってしまいます。自分自身も2失点目のシーンで戻るべきところで戻り切れなかったということもありますが、そういう一つのプレーへのこだわりや勝利への執着心など、そういった部分をチームで見せられるように話して突き詰めていきたいです。


<仲川輝人選手>


Q、試合の振り返りをお願いします。
A、上位との差を縮めるためにも本当に重要な試合でしたが、結果は負けてしまっているという現状と、少しの隙が失点に繋がり、勝点を逃してしまいました。内容を突き詰めていかないと中位で終わってしまう危機感を感じています。マークの確認や細かい部分、小さなところが試合の結果に繋がってしまっている現状です。自分たちの弱さが表れた試合になってしまいました。

Q、後半早々の失点が試合の流れを大きく変えてしまいました。
A、アルビレックス新潟戦もそうでしたが、後半に相手の圧力を受けすぎる入りをしてしまう、受け身に回りすぎてしまうシーンが今シーズン特に続いています。試合の入り方が悪く、その展開のなかで失点をしてしまうと試合のプランや、今日のようにアウェイゲームだと会場の雰囲気や勢いにのまれてしまいます。前後半の立ち上がり10分の入り方、集中力については、何度も話をしていますが、まだまだ改善が必要です。弱さや一瞬の隙を与えてしまう集中力の乏しさを改善していきたいです。

Q、仲川選手個人にフォーカスした時、今日の試合は中間ポジションを意識して、攻守において関わることを意識しているように見えました。
A、まだまだ全然足りていませんし、助けになっていません。もっとハードワークを僕自身に求めていきたいです。前線の選手は結果や数字で示すことが全てです。結果を残すことができていないことについては僕の責任です。今日の試合で勝点を拾えなかったことは決め切る力が足りなかったからです。しっかりと自分自身にベクトルを向けて、もっと責任をもってプレーしていきたいです。


<岡哲平選手>


Q、悔しい結果となりましたが、今日の試合を振り返っていかがでしょうか。
A、チームとしてやるべきことを確認して、昨日もミーティングをして、守備のやり方だったり揃えるところを意識していたのですが、相手を想定した練習が足りなかったのかもしれません。そこに対してもっとフォーカスして、相手の対策をチームとしてもっとやらないといけないし、自分たちがやられて嫌なことを相手はずっとやり続けてきました。自分たちはそれができなかったところが反省点だと思います。個人としては、相手の起点となる選手をもっとつぶさなければならないシーンがありました。勝ちに対してもっと貪欲にやらないといけないと思います。自分としては貪欲にやっているつもりですが、それをもっと周りに伝染させないといけないですし、その影響力がない部分はまだ自分の力不足です。影響力を持つには、練習からもっとリーダーシップを出すことや、発信をしていかなければならないと思います。自分が発信したことをみんなに伝染させられるようにやっていきたいです。

Q、岡選手の特長でもあるフィード面ではどうでしたか。
A、まだ効果的なパスが少ないと思います。周りとの距離感が遠くて、自分はフリーで他の選手が相手と近いポジションにいる時に、相手を引き付けてからワンタッチ、ツータッチで展開していくところだったり、サイドチェンジが東京は少ないと思っているので、自分のところやボランチからそういった場面をもっと増やしていきたいと思います。

Q、ここから中断期に入ります。
A、映像をしっかりと見て、ストロングポイントや課題をしっかりと認識して、中断明けからそこに集中してしっかりと取り組んでいきたいと思います。