<前節・京都サンガF.C.戦のレビュー>
中断明けの初ゴール、そして初勝利をめざして乗り込んだ京都でのアウェイゲーム。だが、立ち上がりから相手の激しいプレスに押されて主導権を握られると、ビルドアップのズレからボールを失って開始2分でコーナーキックから先制点を許してしまう。高宇洋選手や小泉慶選手を中心にボールを回し、徐々にペースをつかみ始めたかと思われた前半36分にもコーナーキックから追加点を奪われ、後半5分にも相手のプレスに手を焼いてボールを失い、サイドを崩されて3点目を献上。難しい展開を強いられることになってしまう。
そんなタイミングで期待を背負って青赤デビューを果たしたのが、新外国籍選手のエヴェルトン ガウディーノ選手。後半24分、ゴール裏からの「エヴェ!」コールを受けて初めてJのピッチに立った背番号98は、得意の左足を活かすべく右ウイングのポジションで反撃の力となるべく奮闘していく。
自陣まで戻ってボールを受けるところで背後から寄せられながら、ワンタッチで軽く前方へ流してプレスをかわし、前を向いて持ち上がることに成功。視野の広さと技術を掛け合わせた余裕のプレーでチームに前に向かう選択肢をもたらした。
後半30分にはピンポイントの鋭い左クロスで高選手の決定的なヘディングシュートを演出し、得意の左足でセットプレーキッカーも務めた。ここから周りとの連携を深め、彼自身も「見てもらいたいプレー」と語っている右サイドからカットインしての左足シュートに磨きを掛ければ、どんどん怖さを増していくはず。そんな可能性の片鱗を見せた試合となった。
だが、チームは仲川輝人選手が決めたバイシクルシュートがオフサイドと判定されるなどゴールネットを揺らすことができず、試合は0-3で敗戦。4試合連続での無得点で試合を落とすという悔しい結果となってしまった。
<マッチプレビュー>
30年ぶりのリーグ戦6連勝を記録し、首位まで勝点2差に迫るサンフレッチェ広島との明治安田J1リーグ第29節。中断明けの4試合でノーゴールが続き、2分2敗と未勝利の東京にとっては苦境打破のきっかけとしたい試合だったが、台風10号の影響がアウェイへ移動するチームを直撃。大変なルートを辿りながら広島への移動を試みている状況だ。チームは自然との戦いも強いられることになってしまったが、それでも試合が行われるならばプロとしてベストを尽くし、勝利をめざすしかない。
前節の京都サンガF.C.戦で安斎颯馬選手が負傷交代し、エヴェルトン ガウディーノ選手がデビューしたこともあり、チームは今週のトレーニングで新たな布陣をテスト。無得点が続く攻撃陣にテコ入れを図るべくチャレンジを試みている。
ただし、広島移動が前倒しになり、移動のトラブルで前日練習ができていないハードルもある。最終的なメンバー構成は選手のコンディションを見極めながらになりそうだ。
対する広島はリーグ戦6連勝と絶好調。連勝期間の6試合で12得点2失点という安定ぶりだ。その中核を担っているのが、中盤の底でバランスをとりながらチームを支えるボランチの塩谷選手。さらにヨーロッパでプレーしていた川辺選手も8月に広島へ再合流し、早くも戦術の要として君臨。積極的に前方へ飛び出すプレーで攻撃に厚みを加える選手として一気に存在感を高めている。
広島は次から次へと選手が飛び出してくる攻撃に厚みがあるだけに、東京としては彼らをしっかりと止めながらゴールを陥れ、7月13日以来の白星を手にしたいところ。あらゆる困難を乗り越えて約1か月半ぶりのリーグ戦勝利を奪うべく、青赤軍団がアウェイ広島のピッチに乗り込む。
[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]
Q、直近の数試合ではセカンドボールが拾えない展開が続いていましたが、紅白戦ではうまく前と後ろが連動してセカンドボールを回収していました。
A、そこの部分は改善していかなければいけません。その部分を試合のなかで集中しながら継続してやっていくことが大切です。シンプルな部分かもしれませんが、非常に重要な要素だと思っています。週末のサンフレッチェ広島戦でも、そこが大事な部分になると思います。
Q、紅白戦では、サイドバックの選手が攻撃に関わり、得点に繋がるシーンもありました。
A、そうですね。今練習のなかでやっていることを、試合で出せるようにしていきたいです。チームは得点をとれていませんが、とれそうなチャンスのシーンもありましたし、実際の試合ではそのようなシーンで冷静にプレーできるようにしていきたいと思います。練習では、その崩しのシーン以外にも後ろから有効的にスペースを使い、パスを繋いでプレーできていました。それを継続して出せるようにしていきたいです。
Q、広島は非常に調子が良いです。
A、すごく良いチームです。今は調子も良く勢いにも乗っているので、タフな試合になると思います。ただ、自分たちはそこに持っているものを全て出して、彼らに勝利して勝点3を奪えるようにしたいです。今シーズンだけでも数回対戦していますが、相手の裏をうまくとったり、相手を崩しているシーンなど、ポジティブなシーンもありました。それをまた、しっかりとやる機会なので、チャレンジしたいです。
[選手インタビュー]
<荒木遼太郎選手>
Q、サンフレッチェ広島戦にどのように臨みますか。
A、広島は攻守において、本当に良いチームだと思います。各ポジションに良い選手が揃っていますし、チームとしてもやりたいサッカーがはっきりしています。本当にタフな試合になると思っています。前回の対戦時には意外とボールを保持できる時間もありましたし、自分たちのサッカーもできていました。前回と同じように戦いたいです。
Q、難しい試合が続いていますが、勝利するためには何が必要になると思いますか。
A、監督のやりたいサッカーを信じてやるだけかなと思っています。サイドからの攻撃を徹底してやっているので、そこでサイドの良さをもっと出したり、そこから中に入るタイミングを合わせることができれば得点に繋がると思います。今は、点がとれず勝利することができていないので、まずはチームとして点をとり、勝つことを優先したいと思っています。
Q、広島戦に向けた意気込みをお願いします。
A、僕自身のプレーとしては、攻撃がスムーズにいくようにして、ゴールまで繋がるプレーができれば一番良いと思っています。ここ数試合も失点する時間が悪かっただけで、ボール回しの部分は悪い印象もないですし、広島に対しても前回対戦の時から悪い印象はないので、いつも通りの攻撃を組み立てつつ、もっとシュートを増やして、点をとりたいです。みんなこの状況を変えたいと思っていますし、早く勝点3をとりたいです。この試合に勝って残りのリーグ戦に勢いをつけたいです。
<仲川輝人選手>
Q、サンフレッチェ広島の印象をお願いします。
A、自分たちのスタイルを確立していて、J1リーグのなかで最も勢いのあるチームだと思います。対戦は今シーズンすでに3回ありましたし、継続して広島が積み上げてきているものは対戦して分かっているところも多いので、しっかりと整理をして試合に入りたいと思います。
Q、第2節ホームでの広島戦では1-1の引き分けでした。調子の良い広島に対して注意する点はどこにありますか。
A、自分たちのミスなど、もったいないシーンが多くありました。ルヴァンカップの広島戦では失点直後に続けて失点してしまいましたし、ホーム開幕戦では引き分けでしたが、内容もあまり良くなく後半に盛り返した試合でした。力負けしたとは思っていないですし、相手の高い位置からかけてくるプレスに対して、どのようにかいくぐるかがポイントだと思います。うまく対峙することで自分たちにもチャンスは訪れると考えています。
Q、アウェイでの連戦となります。改めて勝利のために大切なことは何でしょうか。
A、前節の京都サンガF.C.戦もそうでしたが、アウェイでの試合は相手の勢いを受けて、やられてしまっているので、試合の入りに注意すること、自分たちのスタイルと恐れないプレーで相手に立ち向かうこと、チャレンジャーであることを忘れずに臨みたいと思います。
Q、無得点の試合が続いています。攻撃面の課題はどこにありますか。
A、相手の勢いに圧されてしまったこともありますし、まだまだ改善すべきことが多い印象です。相手のボックス内に侵入する形も、チーム全体で整備が必要ですし、自分たちが受け身になって相手に主導権を握らせてしまうと、前へ進む勢いも弱くなってしまいます。相手に関係なく、前に向かう意識を高めることで得点にも繋がっていくと思います。