9/14 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.9.14

9/14 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

何としても勝ちたいゲームだ。

インターナショナルマッチウィーク開催に伴う中断期間が明け、2024明治安田J1リーグが再開。東京は過去無敗の新国立競技場で名古屋グランパスを迎え撃った。

チームは7月13日(土)に行われた第23節アルビレックス新潟戦を最後に白星から遠ざかっている。中断前の第29節サンフレッチェ広島戦で台風10号の影響を受けながら辿り着いたアウェイゲームで終盤に意地の2ゴールを決めて連続無得点試合は4でストップさせたが、勝利には届かず。悔しい想いを募らせたまま中断期間に入ることになった。

今節は相性の良い国立開催。選手たちも応援し続けてくれるファン・サポーターに白星を贈るべく燃えている。

東京のスタメンはゴールキーパーに野澤大志ブランドン選手が構え、最終ラインは右から小泉慶、森重真人、エンリケ トレヴィザン、岡哲平の各選手が並んだ。ボランチは今シーズンリーグ戦初スタメンの東慶悟選手が高宇洋選手と並び、トップ下には荒木遼太郎選手を起用。前線は右ウイングに仲川輝人選手、左ウイングに俵積田晃太選手が入り、1トップにはディエゴ オリヴェイラ選手を据えた。また、山下敬大選手は約1年4か月ぶりの公式戦ベンチ入り。同じくメンバー入りを果たした野澤零温選手は第23節新潟戦でJ1リーグ初ゴールを決めた国立で再び大きな輝きを放ちたいところだ。

1stHALF—ケイゴール&ディエゴールで2点を先行

いつもよりボリュームの大きな『You'll Never Walk Alone』がゴール裏から響き渡り、国立の空気を引き締める。さらに特殊効果花火が開始直前のスタジアムを盛り上げ。選手たちは今節限定着用の黒い3rdユニフォームを身にまとって、試合は19時03分にキックオフを迎えた。

まずファーストシュートは東京。開始40秒で左サイドからボールを繋ぎ、東選手がミドルシュートを狙っていく。

その後も東京がボールをポゼッションしながら攻め手を探っていく。そしてこの試合に強烈な想いを抱いていた両選手のプレーが試合を動かす。前半13分のことだった。

左サイドでボールを持った荒木選手が相手守備網を切り裂くようなサイドチェンジ気味の鋭いパスを前線へ供給。これを受けた仲川選手が力強く中央へ持ち運んで右足で狙うと、相手ゴールキーパーが弾いたところに詰めたのは東選手。絶対に結果で応えたいと思っていたベテランコンビが気迫のプレーを披露し、東京が先制点を奪うことに成功する。青赤が先手を取るのは、前回国立の新潟戦以来のこと。スタジアムは殊勲の先制ゴールを決めた背番号10を称えるべく、「オー!東慶悟!」のチャントが響き渡り続けた。

その後も長短のパスを織り交ぜながら名古屋陣内に押し込んでいく東京。仲川選手のプレスバックなど守備面でも集中した戦いを見せ、相手のカウンターに対してリスクマネジメントしながら主導権を握った戦いを披露していく。

背番号39が見せる勝利への執念。その想いが再び結実する。前半29分、仲川選手が森重選手のロングフィードに合わせて前方へ走り出し、相手ディフェンダーが頭でクリアしきれなかったボールを素早く拾ってドリブル突破。そのままゴール前へ進入し、エリア内で背後から倒されてペナルティキックを獲得する。このキッカーはディエゴ選手。いつもどおりの細かなステップから相手ゴールキーパーの逆をとって左へ流し込み、前半31分でスコアを2-0とした。

中断明けから課題だったセカンドボールへの意識も高く、強引な仕掛けからロストしてカウンターを食らうシーンもほとんどなし。最終ラインもしっかりと中央を締めることで安定したクロス対応で跳ね返していく。

前半は3分間のアディショナルタイムの末、東京が2点をリードして折り返した。

2ndHALF—ヤンゴール&テルゴールで国立無敗継続

ハーフタイムで2選手を交代した名古屋に対して、東京はメンバー変更なし。前半の流れを継続すべく後半に臨んだ。

相手がサイドから攻勢を強めてきたが、東京は落ち着いて対応。ピッチ内の選手たちは2点のリードを頭に入れ、ボールを奪っても無理にスピードアップすることなくゲームをコントロール。しっかりと主導権を握って試合を進めていく。

後半15分には3選手を交代。先制ゴールの東選手、エンリケ選手、俵積田選手に代えて、土肥幹太、木本恭生、遠藤渓太の各選手をピッチへ送り込む。土肥選手は足下の技術を買われて左ボランチで起用された。

攻撃の手を緩めない東京は後半20分、背番号8が待望の青赤初ゴールを決める。ペナルティアーク付近でディエゴ選手と荒木選手がキープして左サイドへ展開。遠藤選手が縦へ仕掛けた折り返しにファーサイドから高選手が走り込んで右足一閃。鋭い弾道がゴールネットを突き刺し、東京が試合を決定づける3点目をゲットした。国立での第6節浦和レッズ戦で“幻のミドルシュート”(直前のプレーでファウルがあったと判定されてノーゴール)を叩き込んでいた高選手にとっては、待ち望んでいた青赤初弾。得点後はゴール裏へ向かって一目散に走り出し、両手で力強くガッツポーズしながら右手で胸のエンブレムを叩いた喜びを表現。ゴール裏のファン・サポーターは「バモ!ヤン」のチャントで歓喜の瞬間を共にしていた。

後半31分には前回対戦でハットトリックを決められたキャスパー ユンカー選手に左サイドから強烈なシュートを浴びたが、ここは野澤大志選手が右手一本で弾き出すファインセーブ。攻撃陣の活躍を守備陣がしっかりと支えていく。

後半33分、荒木選手に代えて野澤零温選手を右ウイングに投入。仲川選手がトップ下のポジションに入る。このポジション変更が国立をさらなる沸騰に導く。前半から攻守に奮闘し、2ゴールに絡むなど、背中で引っ張ってきた背番号39に歓喜の瞬間が訪れる。

後半35分のことだった。ショートカウンターから遠藤選手が縦へ持ち運んでスルーパス。ここに抜け出した仲川選手がドリブルから強烈な左足シュートを突き刺して4点目をゲット。両耳に手を当てながらゴール裏へ向かい、そのまま立ち止まって一身に大歓声を受けながらチャントを聴いていた。「応援してくれている人たちに何としても結果で応えたい」と語っていた男が、55,896人という大観衆の前で自身の1ゴールを含む3得点に絡む圧倒的な結果を残した。

後半40分に1点を返されると、仲川選手に代えて山下選手をピッチへ。東京復帰後では初の公式戦出場となったが、果敢にシュートを狙うなど、存在感を見せる。

試合は5分間のアディショナルタイムを経て4-1でタイムアップ。“俺たちの国立”で鮮やかな攻撃サッカーをみせ、大量4ゴールで約2か月ぶりとなるリーグ戦勝利。スタジアムに『眠らない街』のチャントが響き渡り、勝利の『You'll Never Walk Alone』で選手と国立競技場全体が喜びを分かち合った。国立が、東京が、熱狂する夜となった。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF小泉慶/森重真人/エンリケ トレヴィザン(後半15分:木本恭生)/岡哲平
MF高宇洋/東慶悟(後半15分:土肥幹太)/荒木遼太郎(後半33分:野澤零温)
FWディエゴ オリヴェイラ/俵積田晃太(後半15分:遠藤渓太)/仲川輝人(後半41分:山下敬大)

SUBS
GK波多野豪
DF長友佑都

GOAL
前半13分:東慶悟 / 前半31分:ディエゴ オリヴェイラ / 後半20分:高宇洋 / 後半36分:仲川輝人

<名古屋グランパス>
STARTING Ⅺ
GKランゲラック
DF河面旺成/三國ケネディエブス/内田宅哉(後半0分:中山克広)
MF山中亮輔(後半21分:菊地泰智)/椎橋慧也(後半30分:倍井謙)/稲垣祥/森島司(後半0分:和泉竜司)/野上結貴
FWキャスパー ユンカー/永井謙佑(後半21分:パトリック)

SUBS
GK武田洋平
DFハ チャンレ

GOAL
後半40分:稲垣祥


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、本日の試合を振り返ってください。
A、自分たちの大事な決まりごとの部分や、強いパフォーマンスに繋がる良い要素が多く出せていた試合でした。ゲームのなかでは多くの良い点があり、そのなかから自分たちがやったことが報われた部分がありました。ただし、まだ改善できる点がありますし、自分たちがやってきているプロセスを変えずにやっていきたいと思っています。自分たちのパフォーマンスをしっかり分析して、自分たちの戦い方をもっと改善していきます。選手たちは非常に良く戦ってくれました。素晴らしいメンタリティ、素晴らしいスピリットだったと思います。ファン・サポーターのために、勝点3を奪うために、全力を出し尽くしてくれました。そして、パフォーマンスと繋がって良いゴールが生まれました。しかし、無失点で終えることができなかったことを悔しく思っています。そういった点については自分たちが改善しなければいけない点です。

多くの良い場面がありました。自分たちの使いたいスペースにうまくボールを運ぶことができましたし、4得点につながったのは前への意識を強く持って戦ったからです。自分たちがしっかりとやり切れば、相手にとっては止めにくい攻撃ができますし、それは相手が嫌がることだと思います。すべてを出し尽くして、ファン・サポーターのみなさんに勝点3を届けたいと心から思っていました。それを遂行してくれた選手たちを誇りに思います。また、今日のメンバーだけでなく、すべての選手、すべてのスタッフ、クラブに関わる全員の力です。そして、今日の夜はこの勝点3をみなさんに楽しんでほしいと思います。

Q、今シーズン4ゴールは初めてだと思いますが、何かきっかけがあったのでしょうか。
A、今シーズン一貫して積み上げてきたものが、今日は出せました。自分たちの規律や献身的な部分を出しながら、突破すること、裏を狙っていくことも出せていました。そのなかで、自分たちがボールを動かしながらコントロールできている時間帯があり、そこでうまく裏を突いたり、狙っていた意図をうまく合わせながら出すことができていました。分析したいのは、日々どういったことを行っているかということです。今日は毎日やってきたことが報われました。4つの良いゴールを奪うことができたのは、選手たちにとってもすごく良かったと思います。


[選手インタビュー]
<東慶悟選手>


Q、2か月ぶりの先制点となりましたが、得点シーンを振り返ってください。
A、怪我もあり、半年以上出場機会が少なくなっていましたが、僕は意外と考えるタイプなので、チームがもっとどうしたら良いのか、どうなったら良いのかを考えてきました。仲川輝人選手がボールを持った時に僕が前を走ったのですが、あのような“おとり”の動きなど、味方を助けるランニングがチーム全体で少ないと思っていました。あのシーンだけを見ると、仲川輝人選手が最後に中に入ってシュートを打って、こぼれたところを僕がシュートしました。そうした動きが僕の良さでもあり、ボランチだと前に出ていくシーンがないですが、あのシーンはたまたま行こうと思ってゴール前に入っていきました。そこにボールがこぼれてきたので良かったです。

Q、ビルドアップの時など、ボールがスムーズに回っていたと思います。
A、今日は選手も多く入れ替わっていましたし、場面ごとに選手の個性がうまく出ていたと思います。今日はうまくできていましたが、うまくいかない時もあるので、その時にどうするのかを考えなければいけないと思います。細かいところですが、守備の面でもボールにしっかりといかなければいけない時には無理していかずにバランスをとるなど、判断が重要になると思います。

Q、試合前に、「楽しむぞ」という声をかけているのが印象的でした。
A、サッカーはみんな楽しくて始めていると思っています。しかし、プレッシャーなどを背負ってしまうと、どうしても窮屈になってしまう。最近は、みんながそうなっていました。試合を観ていると、みんな堅かったので楽しく笑顔でやれば自然と乗ってくると思っていました。改めてですがサッカーは楽しいので、締めるところをしっかりと締めて、楽しみ方を間違えなければチームとしては良くなることもあります。今日はみんなが良い方向にいったと思います。

Q、次節に向けての意気込みをお願いします。
A、まだ1勝しただけなので、油断をすることはできないですし、こんな順位ではダメだと言い続けていかないといけません。これからの試合が今日以上に重要になってきます。明日からしっかりと準備をして、連勝していけるようにやっていきたいと思います。


<仲川輝人選手>


Q、直近の試合に比べ、勝利やゴールへの意識が仲川選手をはじめチーム全体で高いように見えました。
A、アグレッシブにプレーすること、前節のサンフレッチェ広島戦では悔し涙を流したので、その悔しさを国立競技場でぶつけることだけを考えてプレーしました。だからこそ、このような素晴らしい結果になったと思います。勝つって最高ですね。

Q、東慶悟選手の先制点は仲川選手のミドルシュートから生まれました。
A、シュートの前で東選手にパスをする選択もありましたが、相手ディフェンスの動きを見て、多少強引にシュートを打ちました。時間も開始して少ししか経っていなかったので、シュートの意識をチーム全体に植え付けたかった想いもありました。良いタイミングで、東選手が詰めてくれた得点だったと思います。

Q、相手ディフェンスの裏を狙うようなボール、意識が特に感じられる試合でした。
A、繋ぐところは繋ぐ、をベースにしつつ、相手の嫌がるエリアにボールを送ること、そのセカンドボールをしっかり回収することは全体で意識できていました。その狙いが良い形で得点やプレーに繋がりました。

Q、試合後にはファン・サポーターと久しぶりに“ユルネバ”を歌うシーンがありました。
A、ファン・サポーターのみなさんには、いつも本当に最高のサポートをしてもらっています。声援や最高な雰囲気はピッチ上でいつも感じていますし、全員が笑顔で“ユルネバ”を歌えて良かったです。


<高宇洋選手>


Q、ボランチで東慶悟選手と組んでみて、良かった点を教えてください
A、名古屋グランパスが相手ということもあり、ボールを引き出す、動かすということは比較的できるという感覚がありました。リスク管理を徹底しながら、どこで刺すか、東選手と流動的に能動的に動くことができたので、そこはうまくいったと思います。

Q、試合運びも非常に良かったと思います。
A、東選手のゴールで先制点を奪えたことは大きかったですし、追加点もとれました。ハーフタイムのロッカーで後半も3点目を狙っていこうという声も出ていたので、しっかりとゲームを決め切ることができて良かったです。

Q、高選手にも待望の初ゴールが生まれました。振り返ってみていかがですか。
A、良かったです。喜んでしまったのですが、前回の取り消しが頭によぎって、取り消しなのではないかと思ってしまいました(笑)。監督がチームに求めているクロスの形でしたし、遠藤渓太選手の素晴らしいクロスだったので、感覚で入っていって決めることができて良かったです。

Q、試合が終わって、ゴール裏のファン・サポーターからの声はどうでしたか。
A、勝てない時期が長く続き、前節は台風の影響があるなかで応援してくれて、最後まで声援を届けてくれていたファン・サポーターのみなさんがいたので、本当に早く勝利を届けたいという想いで試合に臨んでいました。一緒に喜ぶことができて良かったです。