<マッチレビュー>
今シーズン5試合目にして、クラブ史上初の国立競技場でのアウェイゲームに東京は臨んだ。前節、湘南ベルマーレ戦こそ0-2のスコアで落とし、6試合ぶりの敗戦かつ7試合ぶりの無得点という悔しさを味わったが、まだまだ上の順位にいることに変わりはない。同じく東京にホームタウンを置くライバルであるFC町田ゼルビアを、今シーズン4戦全勝と圧倒的な勝率を誇る聖地の国立競技場で叩きにかかった。
スタメンは前節から数人の入れ替えを行った。ゴールキーパーの野澤大志ブランドン選手と右サイドバックの中村帆高選手は不動で、センターバックは木本恭生選手と土肥幹太選手がコンビを組み、左サイドバックには出場停止の長友佑都選手に代わり、岡哲平選手を再抜擢。ボランチでは東慶悟選手の隣に5試合ぶりの先発復帰となった小泉慶選手が入った。そして、前線はディエゴ オリヴェイラ選手を頂点にトップ下に荒木遼太郎選手、左に遠藤渓太選手が並び、右には出場停止から戻ってきた安斎颯馬選手が入った。
1stHALF—立ち上がりに守勢に回り1点ビハインドで後半へ
町田が3バックでスタートしたことで両サイドの位置でミスマッチが起こり、特に右の望月選手の対応に後手を踏む場面が多い立ち上がりとなった。さらに、そこで起点を作られ、右サイドに流れてくるエリキ選手の対応にも苦労させられる。
前半11分には左サイドから対角のフィードを受けた望月選手にカットインを許し、あわや失点という際どいシュートを打たれてしまうと、前半15分には劣勢の流れを断ち切れないまま先制点を献上してしまう。競り負けて後ろに流されたボールをエリキ選手に運ばれてゴール前にパスを入れられると、最後はゴール前で白崎選手がフィニッシュ。3列目から飛び込んできた相手を捕まえ切れなかった。
先制を許してから、ようやくスイッチの入った東京は地上でボールを動かせるようになり、ディエゴ選手に収まった場面でチャンスを作れるようになる。前半21分にはゴール前でディエゴ選手にボールが入った流れから荒木選手がシュートまで至れば、前半27分にはゴールからやや遠い位置ながら、遠藤選手がディエゴ選手とのパス交換から強烈なミドルシュートを放ち、ゴールを脅かした。
それでも、同点ゴールは生まれなかったが、主導権を握り返す時間は作り、カウンターを受けても野澤大志選手の好セーブに助けられたシーンもあったが、最後の局面では粘り強く守り、1点ビハインドのまま前半を折り返した。
2ndHALF—反攻に出るもカウンターから2点を失う
このままでは終われない東京であったが、前節の湘南ベルマーレ戦と同じく後半の早々にまたしても失点を喫する。後半4分に相馬選手に左サイドから右足でのインスイングのクロスを入れられると、大外で身体を投げ出しながら白崎選手に折り返され、そのボールをゴール前のオ セフン選手に押し込まれた。
町田に対して2点のビハインドは重く、思うように攻撃の形を作れないまま時間だけが経過していく。ディエゴ選手のキープ力に頼りながら、何とか前進を試みるも、狙いどおりの攻撃の形は作れなかった。
そんななか、後半29分にようやく決定的な形を作り出す。野澤大志選手からのパスを引きとった小泉選手が敵陣までドリブルで運び、左サイドを駆け上がる遠藤選手にスルーパス。これを遠藤選手がダイレクトで入れると、逆サイドから安斎選手が飛び込んできたが、シュートは打ち切れなかった。
その後、高宇洋選手とエヴェルトン ガウディーノ選手を投入し、まずは1点を返そうとした矢先、コーナーキックから失点。相馬選手が蹴ったボールを野澤大志選手が弾き出せず、そのままゴールに吸い込まれてしまった。
まさかの3失点となった東京は、何とか意地を見せようとしたが、結局、ゴールは生まれることなく5分間のアディショナルタイムも経過。5戦負けなしから一転して連敗となり、国立競技場での無敗記録もストップしてしまった。
MATCH DETAILS<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF中村帆高(後半32分:高宇洋)/木本恭生/土肥幹太(後半18分:白井康介)/岡哲平
MF東慶悟(後半42分:野澤零温)/小泉慶/荒木遼太郎(後半32分:エヴェルトン ガウディーノ)
FWディエゴ オリヴェイラ(後半42分:山下敬大)/遠藤渓太/安斎颯馬
SUBS
GK波多野豪
DFエンリケ トレヴィザン
GOAL
―
<FC町田ゼルビア>
STARTING Ⅺ
GK谷晃生
DF望月ヘンリー海輝(後半18分:杉岡大暉)/チャン ミンギュ/昌子源/林幸多郎
MFドレシェヴィッチ/白崎凌兵/下田北斗(後半40分:仙頭啓矢)
FWエリキ(後半32分:中島裕希)/相馬勇紀(後半40分:藤本一輝)/オ セフン(後半32分:ミッチェル デューク)
SUBS
GK福井光輝
DF芦部晃生
GOAL
前半15分:白崎凌兵/後半4分:オ セフン/後半34分:相馬勇紀
[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]
Q、試合の総括をお願いします。
A、自分たちのパフォーマンスが十分ではなかったと思っています。カギとなるエリアでのプレーにおいて、相手の方が上回っていました。それを悔しく思っています。選手たちはすべてを出し切って戦ってくれました。次の試合でシーズンのラストに向けて、しっかりと自分たちのパフォーマンスを見せなければいけません。ここからしっかりと学んで、強い気持ちでシーズンを終えたいと思います。
Q、前半で見えた課題と、ハーフタイムにどのように修正したのかを教えてください。
A、自分たちにとって最初の30分はもったいない展開でした。試合開始から30分まで、相手のスタイルに合った戦い方をしてしまいました。前半の終盤は自分たちが試合をコントロールできるような戦い方ができていましたが、全体的にもっとシャープに、もっと良いパフォーマンスを出さなければいけなかったと思います。次の試合に向けて、そのパフォーマンスを出せるようにしなければいけません。今日は不運な失点も含めて、簡単に失点してしまいました。結果を出すためには、それを与えないようにしなければならなかったと思っています。
Q、FC町田ゼルビアの戦い方が分かっているなかで対策をしてきたと思いますが、相手がそれを上回っていたのでしょうか。
A、相手が良かったというよりも、自分たちがもう少し対応しなければいけない部分があったと思っています。対策すべき要素やエリアで、自分たちが力を出すことができませんでした。しかし、他の試合では対応できている部分もありましたし、結果を残すことができていました。今日はそれとは逆で、自分たちがそのエリアをうまく使うことができず、町田はうまく使うことができていました。何か驚きがあったわけではなく、カギとなるエリアを自分たちがうまく使えなかったことが残念です。
[選手インタビュー]
<小泉慶選手>
Q、試合を振り返ってください。
A、相手の特長をつぶせず、やりたいことをやらせてしまいました。相手がやってきたことは予想通りのことでしたが、その局面で力負けしてしまっていました。局面で負ければ、このような結果になってしまうのは当然のことだと思います。
Q、町田は普段と異なるポジションで臨んできました。
A、今日の試合前のミーティングで知りました。そこに対する対応の仕方なども指示がありましたが、最後は試合に出ている選手が自分たちで解決しなければいけないと思います。特に、ピッチの中央でプレーしている僕が気づいて、3バックに対する対応を発信して、解決できれば良かったと思います。
Q、試合を通して、どのようなことを意識してプレーしていましたか。
A、東慶悟選手との連携を意識してプレーしていましたが、個人としてはもっとセカンドボールを拾い、そこから前線の選手にパスを出し、相手の脅威になるようなプレーをもっとやっていかなければいけません。
Q、2連敗となってしまいました。期間が空きますが、どのような準備をしていきますか。
A、球際で勝つことや、セカンドボールをしっかり拾うなど根本的なところを見直さないといけないと思います。今日は自分たちが委縮してしまっていました。自分たちが良い時は自分たちのやりたいことをのびのびとやれていますし、その時はもっと良いパフォーマンスを出すことができていると思います。試合に出ている選手はもちろん、ベンチの選手や、ベンチ外の選手、チーム全員で今日の結果をしっかりと受け止め、もっとやれることはたくさんあると思います。ラスト2試合あります。まだこんなものでは終わらないというところを見せたいです。
<東慶悟選手>
Q、チームとして守備の負荷が大きい試合になりました。
A、耐えること、我慢する時間が長い試合になりました。序盤に失点してしまいましたが、2点目をとられる前にまずは同点に追いつくことが狙いでした。後半開始早々に失点してまったことは自分たちの弱さであり、僕らの現状です。僕自身もそうですし、チームとしてもレベルアップし続ける必要があります。
Q、小泉慶選手とのダブルボランチの手応えや連携を教えてください。
A、試合に勝てなかったですし、連携もさらに良くしていきたいです。今シーズン初めて公式戦でボランチを組みましたし、相手の攻撃に押し込まれる時間も多く、互いの良さを引き出し合えなかった感覚です。
Q、前節の湘南ベルマーレ戦に続き、良い時の攻撃が表現できない試合になってしまいました。
A、相手に5枚で後ろを固められて守られた時に、スペースがどうしても消されてしまい、チャンスの数が減ってしまっているのが現状です。湘南戦もそうでしたし、戦い方を含めて全員で共通理解を持てるように改善していきたいです。