2024 PLAYER’S REVIEW<br />
41 NOZAWA TAISHI BRANDON

COLUMN2024.11.22

2024 PLAYER’S REVIEW
41 NOZAWA TAISHI BRANDON

頼もしさが増した青赤のビッグセーバー
東京での充実と代表で味わった経験

GK 41 野澤 大志ブランドン

人に、選手にストーリーあり。2024シーズンを戦い抜いた全青赤戦士を選手ごとに紹介する『2024 PLAYER’S REVIEW』。果たして彼らはいかなる想いを抱えながらシーズンを過ごしていたのだろうか。自信、手応え、課題、喜び、悔しさ……。それぞれが送った今シーズンの戦いを、本人の言葉を紡ぎながら振り返る。

日本代表でAFCアジアカップを、そしてU-23日本代表としてはアジアからパリ五輪を経験した野澤大志ブランドン。日の丸を着けてピッチに立つ機会は決して多くなかったが、東京では度重なるビッグセーブでチームを救い続け、頼もしいゴールキーパーへと進化した一年となった。その裏側にあった想い、そして彼にとっての2024シーズンとは。



まさに激動の1年だった。1月1日に日本代表の一員として国立競技場にいた野澤大志ブランドンは、そのままAFCアジアカップ2023カタールのメンバーにも選ばれ、そのまま現地へ飛び立った。沖縄と宮崎でプレシーズンのキャンプをチームが行っている最中、21歳のゴールキーパーは日の丸の誇りを胸に戦っていた。

チームと代表活動の二足の草鞋を履く時間はシーズンが開幕しても変わらなかった。4月にはパリ五輪のアジア最終予選を戦うため、今度はU-23日本代表の一員として再びカタールの地に降り立ち、7月には目標の一つにしていたパリ五輪本大会を経験。ピッチに立つことはできなかったが、同世代のトップレベルを肌で感じて帰ってきた。

そして、東京の選手としてピッチに立てば、何度もチームを救うビッグセーブを見せるなど充実のパフォーマンスを披露。J1リーグデビューを飾った昨シーズンよりも出場時間を大きく伸ばし、堂々と青赤の正守護神に名乗りを上げた。


だが、本人は多くの“初めて”を経験しながら「忙しかったとは感じていないですね」とあっさり振り返る。彼が口にしたのは飢えであり、手応えよりも危機感のほうがはるかに大きかった。

「メンタル的にも技術的にも、もっと早く上のレベルに行かなければと強く感じた」

2024シーズンは東京で試合に出続ける喜びと難しさ、そして日本を背負う環境にたどり着きながら試合に出られない悔しさを同時に味わったからこそかもしれない。

「一番は、試合に出た時に経験値を積めたことです。サッカー選手である以上、それは特別なことだと思いました。代表では試合に出ていない時間が長くて、そこで考えさせられることもありましたけど、やっぱり自分の成長に一番つながっている時間は試合に出ている時だなと。試合に出ていればミスは起こります。それが重なると自分を信じ切れなかったり、ピッチに立ったり練習をすることが大変だったりする時もあるけど、それは試合に出続けている人にしか感じられないこと。試合に出るということは、選ばれているわけですから、責任を持ってピッチに立ち続けないといけない。そう考えると、成長は大事だけど、試合に出ている選手にふさわしいクオリティとメンタルを早く手にしなければと思いました」

背番号41の背中がグッと大きく、頼もしく見えるようになった。東京でのタイトル獲得、その先に世界を見据える男にとって、2024シーズンは充実の1年であり、今後の飛躍のきっかけとなる時間となったはずだ。



Text by 須賀大輔(エル・ゴラッソ)