12/8 C大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.12.08

12/8 C大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

ついにこの日がやってきてしまった。2018シーズンから7シーズンもの長い間、9番を背負いチームをけん引してきたディエゴ オリヴェイラ選手の現役ラストマッチ。青と赤にびっしりと染まったゴール裏にはメッセージが掲げられ、選手入場時には「9」の鮮やかなコレオグラフィーと「DIEGO」の文字、そしてお馴染みのチャントで出迎えた。

さらに、昨夏から指揮を執ってきたピーター クラモフスキー監督とゴールキーパーの児玉剛選手が契約満了のため、一緒に戦えるのも今節が最後となる。欲しいのは勝利だけ。味の素スタジアムで今シーズン最後のキックオフを迎えた。

1stHALF—勝利への気迫が伝わる2ゴール

この日の東京からは気迫が伝わってきた。球際でのバトルでは一歩も引かず、攻守両面での切り替えも素早く、マイボールとなれば迫力をもってゴールに向かっていった。前半6分にセットプレーから迎えた決定機では、土肥幹太選手のシュートが惜しくも外れ先制とはならなかったが、前半12分に鮮やかな攻撃から先制に成功する。

相手陣内でセカンドボールを拾ったディエゴ選手が横にいた荒木遼太郎選手に預けると、荒木選手は絶妙なコースを見逃さずスルーパス。これを受けた仲川輝人選手が完璧なトラップから右足で決め、ディエゴ選手と喜びを分かち合った。

さらに追加点を狙う東京は、ラストマッチとなる9番にボールを集める。前半26分にはカウンターからシュートまで持ち込めば、前半37分には白井康介選手のクロスに頭で合わせ、強烈なヘディングシュートを放つ。しかし、どちらも相手ゴールキーパーのセーブにあい、ゴールとはならなかった。

それでも、チームとしての勢いは落ちずに前半42分に2点目が飛び出す。自陣からしっかりとボールをつなぎ、左サイドで待つ遠藤渓太選手に入ると、そのまま仕掛ける。クロスは撥ね返されるも、そのこぼれ球にペナルティエリア内で反応した高宇洋選手がダイレクトで打つと、相手ディフェンダーに当たったボールがそのままゴールに吸い込まれた。

文句なしの内容と結果で、東京は前半を折り返すことに成功した。

2ndHALF—集中力を切らさず追加点、シーズンを勝利で締めくくる

後半も東京の勢いと集中力は変わらなかった。後半6分にピンチを迎えるが、ここは野澤大志ブランドン選手がいつもどおりの冷静なセーブでしのぎ、主導権は渡さない。

そして後半18分、ディエゴ選手の交代が告げられると、両チームの選手がセンターラインに花道を作りその最後の姿を送り出し、スタジアムは大きな拍手に包まれた。

その後、余韻が残るまま試合は再開するが、俵積田晃太選手や山下敬大選手、小泉慶選手など途中からピッチに立った選手がチームにさらなる躍動感をもたらした。後半28分には、自陣でクリアボールを拾った山下選手がダイレクトで左サイドの遠藤選手に展開し、ワンタッチでゴール前に鋭いクロスを入れる。これを右サイドから走り込んできた俵積田選手が右足で押し込んだ。しかしVARのサポートにより、遠藤選手のポジションがオフサイドの判定。ゴールは取り消しとなったが、東京の勢いは止まらない。

攻撃の姿勢を崩さない東京は何度も相手ゴールに迫り、後半43分にコーナーキックから3点目を挙げる。荒木選手の精度の高いボールをエンリケ トレヴィザン選手が高い打点で合わせる。ヘディングシュートはポストを直撃するも、そのこぼれ球に自ら素早く反応して左足で押し込み、勝負を決めた。

絶対に勝たなければならなかったゲームは、このまま3-0で終了。この日でピッチを去るディエゴ選手も笑顔を浮かべ、勝利を噛み締めていた。

試合後には最終戦セレモニーが行われ、クラモフスキー監督と小泉慶キャプテンからの挨拶の後、ディエゴ選手からファン・サポーター、そして東京に関わるすべての方々への感謝が伝えられた。鳴りやまないディエゴチャントに包まれた味の素スタジアムで、2024シーズンが幕を閉じた。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF白井康介/土肥幹太/エンリケ トレヴィザン/安斎颯馬
MF高宇洋/東慶悟(後半26分:小泉慶)/荒木遼太郎(後半45+2分:野澤零温)
FWディエゴ オリヴェイラ(後半18分:俵積田晃太)/遠藤渓太(後半45+2分:長友佑都)/仲川輝人(後半26分:山下敬大)

SUBS
GK波多野豪
DF岡哲平

GOAL
前半12分:仲川輝人/前半42分:高宇洋/後半43分:エンリケ トレヴィザン

<セレッソ大阪>
STARTING Ⅺ
GKキム ジンヒョン
DF進藤亮佑/奥田勇斗/為田大貴(後半44分:山﨑凌吾)/西尾隆矢
MF田中駿汰/奥埜博亮(後半44分:上門知樹)/カピシャーバ(後半18分:登里享平)/ルーカス フェルナンデス(後半18分:山田寛人)
FWレオ セアラ/北野颯太(後半0分:柴山昌也)

SUBS
GKヤン ハンビン
DF鳥海晃司

GOAL
ー 


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、試合を振り返ってください。
A、予期したとおりタフな試合でした。セレッソ大阪は良い選手がいて、非常に良いチームだと思っています。自分たちのゲームをしっかりとやり切り、チームとしてのパフォーマンスを出すことが大事でした。ゲームでの決まりごとをしっかりとやり切り、勝利に値するパフォーマンスを出せたと思っています。特別な日にするために選手たちがすべてを出し切ってくれたことを誇りに思います。ディエゴ オリヴェイラ選手というクラブのレジェンドにとっても特別な日になりました。そして、児玉剛選手もクラブのレジェンドです。すべての選手やスタッフが彼らのために、そして東京を愛するすべての人のために勝利をつかんだと思っています。

Q、C大阪に対してカウンターがハマっていましたが、狙い通りの展開でしたか。
A、そこを優位にうまく使うことができました。2ゴール目までは自分たちのビルドアップからゴールにつなげることができたと思っています。ゴールキーパーからネットを揺らすところまでうまくつながっていたと思います。自分たちが使えると分析していたスペースを選手たちがうまく使ってくれました。すごく良い得点だったと思います。

Q、ディエゴ オリヴェイラ選手が交代する前に2点差をつけられたのは理想的だったと思います。
A、もう少し得点はとれたかもしれないですが、自分たちは非常にモチベーション高く戦えていました。プランではディエゴを80分くらい使う予定でした。ただ、60分でガソリンが切れるまで出し切ってくれました。彼は我々のクラブのレジェンドですが、C大阪もあのような形で送り出してくれたことに感謝しています。彼にとっても一生記憶に残る試合になったはずです。

Q、来日してから7シーズンはどんな時間でしたか。
A、多くのチャプターがあったと思います。いろいろなことがありました。私にとっても家族にとっても、日本が自分の家のように感じています。この7年間で関わったすべての人たちに感謝したいと思っています。本当に素晴らしい人たちに出会えました。それはフットボールでもそうですし、フットボール以外でもそうです。その人たちが一生、私の心に残っていくと思います。私が今まで関わったクラブに本当に感謝したいです。ファミリーやフレンドは一生続くモノです。いま、特別なチャプターが幕を閉じようとしていますが、また別の場所で続いていくと思います。また、いつかここに戻ってきます。


[選手インタビュー]
<ディエゴ オリヴェイラ選手>


Q、現役生活お疲れ様でした。
A、今日は本当に忘れられない一日になりました。今日もファン・サポーターのみなさんが応援してくれて、本当に素晴らしい終わり方になりました。大好きなみなさんの前で引退できるのは、あらためて嬉しいことです。みなさんが私をリスペクトしてくれて、愛してくれているということを感じました。みなさんがいたからこそ、私はここまで来ることができました。みなさんにお礼をお伝えしたいです。

Q、試合前にはコレオグラフィーが掲げられ、交代の時にはセレッソ大阪の選手も一緒に花道を作ってくれました。
A、まずはC大阪の選手のみなさん、関係者のみなさん、そしてファン・サポ―ターのみなさんが私をリスペクトしてくれたことにお礼をお伝えしたいです。そして、ウォーミングアップの時から東京のファン・サポーターのみなさんが私の名前をずっと呼んでくれて、応援してくれていることを肌で感じていました。本当に嬉しいことです。

Q、あらためて東京はディエゴ選手にとってどのようなクラブでしたか。
A、長いサッカー人生でしたが、そのなかで東京が一番長い在籍期間のクラブとなりました。私の人生のすべてと言ってもいいほど、力を注いできたクラブです。そして、ファン・サポーターのみなさんが自分たちと一緒に戦ってくれて、本当に感謝の気持ちしかありません。忘れられない存在ですし、私の心のなかにいつまでもみなさんがいると思います。 

Q、東京には今後どのように発展していってほしいですか。
A、これからは一人のファン・サポーターとして東京の応援をしたいと思っていますし、支えたいと思っています。私はクラブを去りますが、みんなが目標としているリーグタイトルを獲ってほしいです。遠くからにはなりますが、私はずっと応援しています。


<仲川輝人選手>


Q、今日の試合を振り返ってください。
A、今シーズンのホーム最終戦でしたし、多くのファン・サポーターが味の素スタジアムに駆けつけてくれました。必ず勝利を届けること、引退するディエゴ オリヴェイラ選手のために、という強い想いと一体感が勝利に繋がったと思います。

Q、前半開始から気持ちの入ったプレーがチームとして随所に見られました。
A、いつもよりすべてにおいて高いレベルと意識で、今節は入ることができていましたが、これをベースにしたいです。そうすることで良い試合や、勝利を多く引き寄せられると思います。ディエゴ選手のためにという部分でも、感情が高ぶった試合でした。

Q、あらためてファン・サポーターの心強さを感じたのではないですか。
A、もちろんです。ディエゴ選手のコールに包まれていましたし、多くの方が足を運んでくださいました。多くのファン・サポーターの前で、最高の雰囲気のなかで、勝利できたことが何より嬉しいです。今シーズンは、ホームの味の素スタジアムでとくに勝利を届けることができず、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたし、今シーズンの最後くらいは笑顔にしたいという強い想いで選手たちも臨んでいたと思います。そして、ディエゴ選手を笑顔で送り出すことができて良かったです。


<高宇洋選手>


Q、ゴールシーンを振り返ってください。
A、前に前にという意識があって、相手に当たってボールがこぼれてきたので、足を振ることを意識してうまく相手に当たって入って良かったです。

Q、ディエゴ オリヴェイラ選手の現役最後の試合、シーズン最終戦など色々な状況がありました。どのような意識で試合に入りましたか。
A、何がなんでも勝たないといけない試合だったので、みんな気持ちが入っていましたし、非常に良いゲームでした。

Q、守備も連携がスムーズに進んでクリーンシートで終えました。守備の面では、中盤の選手としてその要因をどう感じていますか。
A、コンパクトさもありましたし、点をとったあとも集中を切らさずに僕も含めてなかに対して「ゼロで終わろう」という声がけをしていました。そこは一体感があったかなと思います。

Q、シーズン途中からキャプテンに就任して難しいことも多かったシーズンだったのではないですか。
A、僕自身、今シーズンから東京に来て、最初はなかなか難しい時期もありましたが、勝ちたいという想いでずっとやっていました。成長も含めて色々なものが見えました。僕もチームも成長できるようにやっていきたいです。


<エンリケ トレヴィザン選手>

Q、勝利を決定づける追加点は素晴らしいゴールでした。
A、1年間、私もゴールを決めたいと思って頑張ってきたなかでなかなか決めることができずに残念に思っていましたが、最終戦で決めることができて嬉しかったです。今日はディエゴ オリヴェイラ選手の引退試合であり、児玉剛選手やピーター クラモフスキー監督にとっても東京での最後の試合で、非常に大事な試合でした。彼らがいなくなるのはとても寂しいですが、自分がゴールを決めてチームが勝つことができたので良かったです。

Q、自身のヘディングシュートのこぼれ球に誰よりも早く反応しました。
A、いつもはセットプレーの練習をしてきたので、良いボールから良い形でヘディングシュートをすることができました。そのままは入りませんでしたが、ゴールポストに当たって撥ね返ったボールが自分の前にこぼれてきたので、すぐに足を出して決めることができました。

Q、今日は無失点で終えられたことも大きな収穫ではないですか。
A、勝つことは非常に嬉しいですし、私たちディフェンスの選手にとっては、勝って、なおかつ無失点で終えられたことはとても良いことだと思っています。最終戦で良い形で勝利することができて本当に良かったです。


<野澤大志ブランドン選手>


Q、クリーンシートでの勝利でした。試合を振り返ってください。
A、自分自身は完璧な出来だったとは言えないですが、ゴールを守ることに関しては自信があるので、それをクリーンシートという形で達成できてとても嬉しいです。今日はみんなで身体を張った守備ができていたと思うので、チームのみんなにも感謝しています。

Q、守備の面ではどういったことを意識していましたか。
A、強いて言えばゲームコントロールです。先制点の時間帯も良かったですし、良い形で追加点がとれました。後半は少しオープンな展開になりましたが、そのなかでもうまく相手の隙をついて、前線で起点を作ることができました。効果的にロングボールやショートパスを使いながら、良い流れを作ることができたと思います。

Q、攻守において今シーズンの集大成となる試合にできたと思います。
A、まだまだ満足はしていないですし、納得はいっていません。勝負したかったですが、勝負できない自分の物足りなさも痛感させられました。ただ、同時に学んだことがたくさんあり、今日の試合ではそれを表現できたのかなと思います。また来シーズンにつなげていきたいです。