2025シーズン新加入選手インタビュー<br />
佐藤恵允選手

INTERVIEW2025.2.02

2025シーズン新加入選手インタビュー
佐藤恵允選手

沖縄でキャンプ中の青赤軍団に、ドイツ帰りの若きアタッカーが加わった。明治大学の卒業を待たずに渡欧してSVヴェルダーブレーメンに加入。パリ五輪世代のU-23日本代表で常連となり、昨夏の本大会にも出場した。しかし、ブレーメンではトップチームでプレーすることはなく、悔しい日々を過ごしたのも事実。もう一度上をめざすため、そして自分の力を証明するために東京での再出発を選択した彼の覚悟を聞いた。



Q、ドイツから帰国し、沖縄キャンプに合流しました。現在のコンディションはいかがですか。
A、沖縄に到着したのが夜中で、時差ボケもまだ少し残っています。それも少しずつ良くなってきましたし、フィジカルコーチとも相談しながら問題なくやれていると思います。もちろん競争を勝ち抜いて開幕からスタメンで出るつもりです。

Q、今回の移籍について聞かせてください。まず日本に帰ってくる決断はどう下したのでしょうか。
A、ドイツでの契約期間はあと半年間残っていました。ただ、自分自身はトップチームで出場することがなかったので、もう一度経験を積んで自分の価値を上げたいと考えたのが一番です。そのなかで東京からお話をいただきました。素晴らしいクラブですし、地元のクラブでもあったので、即決で帰国するという選択をしました。

Q、明治大学時代からオファーを送り続けてもらったクラブの期待は感じますか。
A、そうですね。ここまでくることができた経緯として、自分に関わってくれた人たちの想いがありますし、そういう方たちがいなければ今の僕はないと思っています。しっかりと感謝の気持ちを持ちながら、期待に応えられるように日々頑張っていきたいです。


Q、東京移籍を決めた一番の決め手を教えてください。
A、小さい頃から観ていたクラブだったので、Jリーグに戻るなら東京が良いと思っていました。たくさんの知り合いや先輩もいてプレーしやすいクラブだと思っていたので、そういった環境面も含めて決断しました。

Q、岡哲平選手とは小学生時代や大学時代のチームメイトです。プロの舞台でも同じユニフォームを着てプレーすることになりました。
A、テツ(岡選手)とは本当に長い付き合いで、小学生の頃に一緒にプレーし、また明治大学でチームメイトになって、これで3回目の再会になります。本当によく知っている存在ですし、東京を選んだ理由の一つに彼の存在もありました。このチームには幼なじみや先輩、同期、後輩がたくさんいるので、このメンバーでクラブ初のリーグ優勝を達成したいです。

Q、同世代も多いですよね。
A、仲が良い選手は本当に多いと思います。岡選手が付き合いとしては一番長いですけど、同期の木村誠二選手やバングーナガンデ佳史扶選手も仲が良いですし、野澤大志ブランドン選手はパリ五輪でU-23日本代表のチームメイトでした。明治大学の先輩後輩もいて知り合いだらけです(笑)。合流した時も新しく移籍してきた感じがしなくて、ものすごくアットホームな感じでやりやすい環境なのでありがたいです。

Q、加入が内定している小湊絆選手も大学サッカーで対戦しています。
A、小湊選手もグイグイ入ってくるタイプなので、仲良く話しています。

Q、そういった関係性もあり、合流初日から馴染みすぎていませんか。
A、それが自分の良さです(笑)。フレンドリーな性格でもあるので、ピッチ外のところから自分の良さを出して、チームの良い雰囲気を作っていきたいです。本当は合流初日からチームの練習に加わるつもりでしたし、少しでも早くやりたかったのでが、さすがに全体練習には混ぜてもらえませんでした(苦笑)。

Q、初日からボールを蹴りたそうでウズウズしていましたね。
A.もうキャンプが始まっていたので、早く合流して輪に入って一体感も作りたかったんですよね。


Q、約1年半のドイツでの生活では色々な経験をしたと思います。どう振り返りますか。
A、ドイツでのチャレンジは個人的に厳しい環境でプレーしていたので、苦しい時期も長かったと思います。自分よりも身長が高い選手や、フィジカルの強い選手、スピードのある選手が普通にいる環境で揉まれてきました。フィジカルや自分の持ち味はそういった選手と競争するなかで成長したと思います。それにプラスして、考え方や技術も成長していると思うので、このチームに良いものを還元できるようにしていきたいです。

Q、壁にぶつかることもありましたか。
A、今までも壁にぶつかることはありましたけど、そこを乗り越えて今の自分があると思っています。その苦しさを糧にして東京で躍動したいです。

Q、ドイツではどのような部分に難しさを感じていましたか。
A、海外挑戦した選手は誰もが感じることかもしれませんが、環境の違いは大きかったです。僕自身は即戦力としてチームに加入することができなかったので、常にアピールをする必要がありました。ただ、パリ五輪世代のU-23日本代表の活動でチームを抜ける期間もあり、チームでアピールする機会もそこまで多くはありませんでした。これは言い訳になってしまうかもしれませんが、自分の力を出し切ることができなかったと思っています。あとは自分以上にフィジカルの強い選手や、足の速い選手ばかりで、自分の個性をアピールし切れなかった。それはただ単に力不足ですね。一方で、ブンデスリーガの1部で通用する部分もあったので、すべてがマイナスだったとは思ってはいません。ドイツで学んだことを東京で示したいと思っています。

Q、ドイツでの挑戦に一区切りをつけて、東京に移籍してきました。今後のキャリアパスについてはどのように考えていますか。
A、もちろんこのクラブに来たからにはJ1リーグ優勝が個人的にもクラブとしても最大の目標だと思っているので、それに向けて自分はやるだけです。そのなかで攻撃の選手として2桁得点をめざして、アシストもしっかりと残していきたい。チームのために自分ができるすべてを還元してリーグ優勝に向けてやるだけです。

Q、東京では具体的にどういった取り組みをしていきたいですか。
A、自分が感じた基準を落とさずに、それを追い求めることが重要だと思います。長友佑都選手のように世界で戦った選手がチームにはたくさんいます。その選手たちから多くのことを吸収して自分の糧にできればと思っています。

Q、価値観や考え方で長友選手と通じるものはありましたか。
A、これまでも佑都さんとはお話しをさせていただく機会があって、アドバイスを受けたこともありました。日本代表のトレーニングパートナーで代表合宿に参加した時も話を聞いていましたし、橋本拳人選手も世界で戦っていたので、以前にもコミュニケーションをとっていました。今後はチームメイトになったので、より深い話も聞いていきたいと思います。


Q、松橋力蔵監督のサッカーをどう感じていますか。
A、選手たちをしっかりと分析されていて、そのなかでチームを組み立てている監督だと思いました。まだ練習合流して間もないですが、外で練習を見ている時からイメージしやすいチームスタイルだと思っています。そこに自分のプレースタイルを組み合わせて、良いものにしていきたいです。監督も選手とコミュニケーションをとってくれるので、イメージも共有しやすいと思います。

Q、パリ五輪世代の代表チームでもそうでしたが、活躍し始めたら手がつけられない選手という印象です。
A、そういうところも期待されていると思うので、期待を裏切らないようにしたいです。もちろん堅くなりすぎず、自分らしくやっていきたいですね。1点とれたら一気にいくと思います。

Q、背番号16を選んだ理由があれば教えてください。
A、深い意味はありませんが、提示していただいた番号で自分が着けたことがあるのが16番でした。大学2年生の時に初めてスタメンで出てゴールを決めた時の番号だったので、思い入れもあります。背番号にちなんでリーグ戦で16ゴールを決めたいですね。

Q、トレーニングでもさっそくゴールネットを揺らしていました。
A、結局はゴールを決めなければ勝利はないですし、そういうところは練習から意識していきたいです。まずは得点のところで示していきたいと考えています。

Q、2週間後にはいよいよ初挑戦の明治安田J1リーグが開幕します。
A、しっかりと競争を勝ち抜いて開幕戦からスタメンで出たいですね。チーム最多得点を狙っていきたいし、リーグ初制覇を目標に戦っていきます。僕自身、この挑戦に本当にワクワクしています。




Text by 馬場康平(フリーライター