4/11 柏戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.4.11

4/11 柏戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

青赤一丸となって苦境を脱したい重要なゲーム。ここまでリーグ戦6戦未勝利と難しい状況が続くが、数多く作っているチャンスを仕留めることで流れを引き寄せ、すべての流れを変える白星を手にしたいところだ。今節は過去ホーム無敗の国立競技場での開催。天候はあいにくの雨模様となったが、4万人を超える大観衆の後押しをパワーに変えてピッチで躍動する姿が期待される。

第3節の名古屋グランパス戦以来の勝利をめざす東京は、前節のファジアーノ岡山戦からスタメンを1名変更。最終ラインに岡哲平選手が入り、土肥幹太選手、木村誠二選手とアカデミー出身の3バックを組んだ。また、ベンチには負傷離脱していた長友佑都、小泉慶、遠藤渓太の3選手が復帰。経験豊富な選手たちに松橋力蔵監督がどんな役割を託すのかにも注目しておきたい。

1stHALF—テルの今シーズン初ゴールで待望の先制点

青赤の花火に迎えられてピッチインした東京のイレブン。キックオフ早々、佐藤恵允選手が裏へ抜け出してドリブルで持ち上がってシュートを放つ。これはゴール左へ外れたが、しっかりと矢印をゴールに向けたプレーからは勝利への強い意欲が感じられた。

お互いにボールを保持して戦うサッカーを掲げる両チーム。立ち上がりは東京が丁寧なビルドアップと鋭い縦パスを織り交ぜながら主導権を握る。

前半5分過ぎからは柏レイソルのターン。東京はポゼッションしながら押し込んでくる相手に対してしっかりとブロックを作り、要所を締めて自由を与えない守備で対応していく。

攻め手を探りながら試合を進める東京は前半13分、ハーフウェイライン付近でボールを受けた岡選手が力強くどんどん持ち上がって左足で強烈なミドルシュート。これはゴールキーパーに阻まれたが、ゴールから逆算した攻撃でチャンスを生み出した。前半20分には相手ゴールキーパーが飛び出して中途半端なクリアになった隙を見逃さず、俵積田晃太選手がクリアの落ち際を狙って無人のゴールにシュート。だが、これは懸命に戻った小島選手にセーブされてしまう。

何としても先制点を奪いたい東京。その想いが前半35分に結実する。左サイドから細かなステップでカットインを仕掛けた俵積田選手が低く鋭いシュート性のボールを供給。これが相手選手にあたり、ファーサイドの仲川輝人選手が押し込んでゴール。第3節以来7試合ぶりとなる待望の先制点で先手をとった。

前半41分には左45度の位置で得た直接フリーキックのチャンスで安斎颯馬選手の鋭い右足キックがクロスバーを叩き、佐藤選手が撥ね返りを押し込もうとするが、これはゴールキーパーの正面を突いて追加点はならず。リードを奪ったことで青赤の選手たちの動きが軽くなり、東京が試合を優勢に進めていく。

攻撃ではアグレッシブな姿勢を見せて仲川選手の今シーズン初ゴールでリードを奪った一方、守備では3バックの脇に生まれるスペースを使われるケースが目立っていた。ハーフタイムにしっかりと修正し、このまま白星を手繰り寄せたいところ。前半はこのまま1-0で終了し、後半へ折り返した。

2ndHALF—アディショナルタイムで追いつかれ、悔しいドロー

大粒の雨に打たれながらのゲームとなった前半から一転、ハーフタイムに雨が上がり、ホーム側ゴール裏の大声援を視野に入れながら勝負の後半がキックオフを迎えた。

ボールを握る柏が試合を優勢に進める後半。東京も最終ラインからボールをつないで打開を図るが、ビルドアップで球離れが悪くなったところでロストするなど思うように攻撃に転じることができない。後半も3バックの両脇を使われてクロスからピンチを招くシーンが多く、上手く対応しながら耐えてチャンスを狙っていきたいところ。

後半15分には最初の選手交代。俵積田選手に代えてマルセロ ヒアン選手を1トップに投入し、佐藤選手を左インサイドハーフに落とす布陣に変更する。ブロックを作った状態からカウンターを仕掛けることが増えているだけに、ヒアン選手のスピードとパワー、そして決定力に期待がかかる。

そのヒアン選手が魅せる。後半20分、自陣でボールを受けて前を向くと、一気に加速して柏陣内へ。ペナルティエリア付近でのラストパスは相手にカットされてしまったが、強烈なドリブル突破は大きな可能性を感じさせるプレーだった。

後半25分、橋本拳人選手、仲川選手から小泉慶選手と遠藤選手にスイッチ。開幕前の負傷でリハビリを続けていた遠藤選手にとっては今シーズンの公式戦初出場となった。さらに同28分には佐藤選手、土肥選手を下げ、長友選手と木本恭生選手を起用。左ウイングに長友選手を置き、安斎選手を右インサイドハーフに配した形に移行する。

終盤、シンプルな攻撃を仕掛けてきた柏に危ないシーンを作られてしまう。後半41分、最終ラインからのロングボールをヘディングで前線に送られ、抜け出した小泉佳穂選手がループシュート。これはわずかにゴール左へ外れ、ギリギリのところで難を逃れた。ポゼッションだけでなく、素早く力強い攻撃も仕掛けてくる柏。東京も相手の危険なパスに身体を張ったプレーで対応していく。5分間のアディショナルタイムも懸命のディフェンスが続く。VARのサポートが入ってペナルティキックの可能性が提示されたが、これはペナルティキックなしの判定に。

全員で耐えてきた東京だったが、何度も破られていた3バックの脇を突かれてグラウンダーのクロスボールを入れられると、中央で木下選手に合わされて後半45+4分という土壇場で追いつかれてしまう。その後も勝利への意欲を前面に押し出し、力を振り絞って攻撃を仕掛ける東京。だが、懸命のアタックも実らずタイムアップ。勝利への意欲を強く出しながらも最後の最後で勝ち切ることができず、これでリーグ戦は7戦未勝利となった。

MATCH DETAILS

<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK 野澤大志ブランドン
DF 岡哲平/土肥幹太(後半33分:木本恭生)/木村誠二/白井康介
MF 安斎颯馬/高宇洋/橋本拳人(後半25分:小泉慶)/俵積田晃太(後半15分:マルセロ ヒアン)
FW 佐藤恵允(後半33分:長友佑都)/仲川輝人(後半25分:遠藤渓太)

SUBS
GK 波多野豪
DF エンリケ トレヴィザン
MF 東慶悟/北原槙

MANAGER
松橋力蔵

GOAL
前半35分:仲川輝人

<柏レイソル>
STARTING Ⅺ
GK 小島亨介
DF 原田亘/古賀太陽/田中隼人/小屋松知哉(後半23分:ジエゴ)
MF 熊坂光希/山田雄士(後半31分:細谷真大)/久保藤次郎(後半31分:中島舜)/小泉佳穂
FW 渡井理己(後半23分:仲間隼斗)/垣田裕暉(後半13分:木下康介)

SUBS
GK 猿田遥己
DF 犬飼智也
MF 戸嶋祥郎/白井永地

MANAGER
リカルド ロドリゲス

GOAL
後半45+4分:木下康介


[松橋力蔵監督インタビュー]


Q、試合を振り返ってください。
A、あと一歩というところでドローとなり、非常に悔しい想いで一杯です。内容もなかなか自分たちのペースにできない展開でしたが、リードを保ったなかで、最終的には攻め続けられたなかで失点したという点は、僕も含めた自分たちの甘さが出てしまったなと感じています。もう一回、選手とともに目線をしっかりと合わせて、次に向けた準備をしていきたいと思っています。

Q、2点目をとるための交代も行ったと思いますが、何が足りなくて2点目に至らなかったのでしょうか。
A、守備をする時間が非常に長かったです。前半の序盤は、前がなかなかプレスに行き切れないなかで、後ろのラインの上げ下げができませんでしたが、前半の終わりにかけては、そこが上手くフィットし始めていました。良いボール奪取であったり、相手がオフサイドになったり、コンパクトな陣形を保つことができたと思っています。しかし、後半の序盤はそこが少し足りなかったのと、1対1の対応も足りないところがあり、相手に攻撃の先手を自由に打たせる結果になってしまったなと思っています。

Q、失点シーンでは、相手のスローインから始まり、足が止まった形で裏をとられています。
A、柏レイソルが、狭いなかでもあのようなところを狙いにくるということは十分に理解していましたが、最後にそこの対応ができなかった。中に折り返されてしまうことと、その前で触られているというところで、人がいるけれども最後のところでやられてしまう。組織的にはある程度狙いを持った行動はとれているが、 これまでも最終的に1対1のところであったり譲ってはいけないようなところをどうしても譲ってしまう。 そのタイトさというものをなかなか出し切れなかった。それは個人だけに限りません。守備をしている時間が非常に長かったですし、体力的な疲労により判断力を奪われた可能性も十分にあります。組織的な部分、個人の部分で、我々には守備の強度があると私は思っていますし、それが発揮できていない原因は、また考えなければいけないと思っています。

Q、長友佑都選手が復帰されました。こういったチーム状況のなかで、長友選手が復帰したことによる影響や、監督が彼に期待していることは何でしょうか。
A、彼が入ったことによって、守備のところで簡単に自由を与えない部分は発揮されて、必ずしも全部が良い攻撃にはならなかったですが、カウンターを打てる回数も増えていたと思います。ゲームをしっかり終わらせるという点でも、彼のみんなを鼓舞する力であったり、パフォーマンスでみんなを引っ張っていくところであったり、そういう影響力というのは本当に大きいです。サイドのところでの強みが柏レイソルにはあるので、少し左右は悩みながらも、彼を左サイドに置きました。ただ、やられてしまったのはそちらのサイドでしたし、全体的なところでの甘さになってしまったなと感じています。 そこをどう潰していけるかというところがこれからだとは思いますが、 彼は十分に力を発揮して良い影響を与えてくれている存在だと思っています。


[選手インタビュー]
<仲川輝人選手>


Q、試合終盤の失点で勝利を逃してしまいました。試合の振り返りをお願いします。
A、自分たちが望んでいる結果でも内容でもないですし、僕らの実力が結果として表れてしまったと思います。失点に関しても、相手に押し込まれる時間が長かったことが要因ですし、自分たちの甘さが出ました。

Q、攻め込まれる時間が長かったなかで、集中した守備もありました。
A、あれだけ相手に攻撃の時間を与えてしまうと失点する確率も当然高まってしまいます。前線の選手が、奪いどころを限定させるための守備や奪い切るプレーができませんでした。後ろの人数はもしかすると揃っていたかもしれませんが、結果として失点を許してしまいました。そういう部分の連動した守備が課題です。

Q、先制点は、仲川選手にとって今シーズンの初ゴールでした。
A、俵積田晃太選手の良い仕掛けから生まれた得点でした。クロスボールが僕の前に流れてきたラッキーな部分もありますが、しっかりとそのチャンスを得点に繋げられたこと、運のようなものも含めて良かったと思いますが、その後、ボールを保持できず、結果として勝利に繋げられませんでした。このような試合を糧にするしかありません。

Q、相手に主導権を握られてしまった要因はどこにありますか。
A、ミラーゲームなので、ほぼマンツーマンで相手がついてきました。結局、相手のうまさとズレを作るプレーにやられました。先ほども言った通り、人数は揃っているけど、“いるだけ”の状況が今日の試合では長くありました。ボールを奪い切る力の差が出てしまいました。


<小泉慶選手>


Q、悔しい結果になりました。
A、昨シーズンから在籍しているメンバーやスタッフも多くて、昨シーズンも勝てない時期がありましたが、みんなでもがいてもがいて、勝つまでもがきました。年間を通してみれば、良い時も悪い時もあると思います。ここまで10試合が終わって2勝しかできていなくて、もっとできると思うし、もっとやらなければいけないし、しっかりと危機感を持たないといけない。まだ10試合とは思わずに、目の前の1試合1試合で、一人ひとりがあと一歩寄せるとか相手より一歩早くとか、その一歩にしっかりとこだわってやりたいと思います。

Q、こういった難しい時期はメンタル面も大切だと思います。キャプテンとしてはどういったところを意識してチームに伝えていますか。
A、勝てない時期は色々と外の声もあり、SNSでも色々ありますし、それは当然のことだと思います。しかし、一番大事なことはチームの中の声だと思っています。外の声も評価として現実を受け止めなければならないのはこの世界では当たり前のことですし、結果が出ていない以上は叩かれるのも当たり前のことです。ただ、やはりチームの中の声というものを一番大事にしたいです。チームの中でやっている選手が、そしてチームが崩れないようにしっかりとやっていきたいと思っています。

Q、試合をやっているなかでの手応えはありますか。
A、今日の試合に関していえば、ボールを持ったら失点しないという考えがあるなかで、あれだけ攻め込まれたらピンチが増えるのは当然のことで、そこは勝って修正したかったです。やはりそういう状況でも勝たなければいけないし、相手のディフェンスラインの背後に蹴ると判断した時も、相手のゴールキーパーは外すなど、もっと相手の嫌なところに蹴るとか、一つひとつのプレーの質を上げていかなければならないと思います。あとは本当に根本的な部分になりますが、相手よりも戦わないと絶対に勝てない。そこの質ももっと上げなければならないし、こだわっていきたいと思います。

Q、“戦う”という部分を含め、小泉慶選手がチームを引っ張っていくところもあると思います。次の試合にどのように臨みますか。
A、とにかく勝つということが一番大事で、チームを勝たせられる選手にならなければいけないと思っています。攻撃でも守備でもとにかく結果を出さないといけないので、次のルヴァンカップでのRB大宮アルディージャとの試合でしっかりと勝って勢いをつけて、リーグ戦につなげられるようにしたいです。