GAME RESULT試合結果
第7節 2000/7/29(土)
観衆 7,078人
天候 晴、弱 気温 28.6度 湿度 58%
主審:石山 昇 副審:中込 均/間島 宗一 四審:平野 伸一
J1 2nd 第7節
万博
2-1
試合終了
前半1-1
後半0-0
延長前半1-0
ガンバ大阪 | FC東京 | |
---|---|---|
02' 吉原 宏太 92' ビタウ |
得点者 |
20' オウンゴール |
70' 山口 貴之 → 小島 宏美 78' 吉原 宏太 → 松波 正信 |
選手交代 |
44' 喜名 哲裕 → 小池 知己 60' 増田 忠俊 → 神野 卓哉 73' 佐藤 由紀彦 → 小林 成光 |
15 | シュート | 9 |
11 | CK | 3 |
19 | FK | 17 |
13' 新井場 徹 18' ニーノ ブーレ 42' ビタウ 48' 山口 貴之 |
警告 |
23' サンドロ 42' アマラオ 89' 土肥 洋一 |
退場 |
GK | 23 | 都築 龍太 |
DF | 33 | 柳本 啓成 |
DF | 20 | ダンブリー |
DF | 5 | 宮本 恒靖 |
DF | 17 | 新井場 徹 |
MF | 10 | ビタウ |
MF | 6 | 稲本 潤一 |
MF | 16 | 二川 孝広 |
MF | 14 | 山口 貴之 |
FW | 18 | 吉原 宏太 |
FW | 9 | ニーノ ブーレ |
GK | 22 | 松代 直樹 |
DF | 15 | 木場 昌雄 |
MF | 8 | 森下 仁志 |
FW | 11 | 小島 宏美 |
FW | 24 | 松波 正信 |
GK | 20 | 土肥 洋一 |
DF | 2 | 内藤 就行 |
DF | 26 | 小峯 隆幸 |
DF | 3 | サンドロ |
DF | 8 | 藤山 竜仁 |
MF | 25 | 迫井 深也 |
MF | 23 | 喜名 哲裕 |
MF | 14 | 佐藤 由紀彦 |
MF | 13 | 増田 忠俊 |
FW | 9 | ツゥット |
FW | 11 | アマラオ |
GK | 1 | 堀池 洋充 |
DF | 4 | 山尾 光則 |
MF | 16 | 小池 知己 |
MF | 24 | 小林 成光 |
FW | 15 | 神野 卓哉 |
【選手・監督コメント】
敵地でリベンジを果たせ!
今年4月15日、ホーム国立競技場にG大阪を迎えた東京は、稲本に先制ゴールを許し、一度はアマラオの同点弾で追いついたものの、その後小島に呆気なく2得点を奪われ、結局1-3のスコアで敗れた。前節まで連敗地獄に苦しんでいたG大阪は久しぶりの勝利に歓喜し、一方の東京は前節の鹿島戦に続き敗れ、今季初の連敗、そしてホーム初黒星というショッキングな出来事に沈黙。激しく雨の降る中、ホームでの消耗戦に敗れた東京は、肉体的、精神的に大きなダメージを受けることになった。
それから約3ヶ月以上経った7月29日、東京はリベンジを果たすためにアウェイ万博記念競技場に乗り込んでいた。
1stステージでの対戦とは状況が異なり、両チームとも前節第6節まで1敗づつでG大阪が2位、東京が3位に付けているため、上位チーム同士の直接対決として注目カードとなっていた。両チームとも連敗を避け、上位に留まるためには絶対に負けられない一戦であり、意地と意地のぶつかり合う激しい攻防になることが予想された。東京は前節の広島戦で負けてはいるものの、攻撃面では明るい材料が多く見られており、チーム状態はむしろいい方向にあった。この日の試合でも必ずやリベンジを果たしてくれることを期待させた。
先制点を許すものの、幸運なオウンゴールで同点に
試合が始まり、最初にリズムを掴んだのはG大阪だった。G大阪は前線から激しいプレスを仕掛け、ボールを奪うと、日本代表のボランチ稲本とビタウが攻撃の起点となり、正確なパスワークで中盤を組み立て、前線へ絶好のパスを通して厚みのある攻撃を仕掛けてきた。前線では、現在売り出し中のクロアチア五輪代表候補のニーノブーレが、長身の割には柔軟なテクニックでターゲットとなり、もう一人のFW吉原が鋭い動きで左右のスペースに飛び出し、シュートを狙う。開始2分、右サイドでボールを受けたニーノブーレが中へドリブルし中央の二川にパスを通すと、二川はダイレクトで前線の吉原へ。パスは東京のDF小峯の肩に当たり、ペナルティエリア右に走りこむ吉原の前に落ちると、吉原は右足で豪快なシュートをゴールネットに突き刺した。
前節に続き、またしても先制点を許した東京は、このゴールを機に目を覚ます。試合開始直後から完全にG大阪の激しいプレスに圧倒され、ボールを支配することができなかったが、徐々に東京のサッカーを展開し始めた。東京は、好調の喜名が低い位置でボールをキープしサイドに展開すると、左からは藤山が積極的に攻撃に絡み、同サイドの増田とのコンビネーションでG大阪ディフェンスを切り崩しにかかった。左サイドで増田がボールをキープすると、その外を藤山が追い抜くことで増田のマークが薄くなり、増田は中へドリブルで切り込むか、アマラオやツゥット、或いは追い抜いた前方の藤山へパスを配給した。また、右サイドでは由紀彦がスピードを生かして、外から簡単にクロスを上げるようになった。
東京は徐々にいい形を作り始めたが、この日のG大阪の守備から入る姿勢は徹底されており、決定機はなかなか作れなかった。特に稲本の存在感は大きく、中盤で何本かパスはつながるものの、縦へ入れると必ず稲本のところでカットされる。全てが彼ではないにしろ、鋭い読みと強い当たりで、ツゥット、アマラオへのパスを寸断した。
なかなか中盤から決定的なパスが出ず、アマラオやツゥットの強引な突破もゴールまで行かない東京は20分、DFサンドロが前線のアマラオへ思い切ったロングパスを送ると、競っていた相手DFのダンブリーが頭でクリアしようとしたのか、不運にもそのボールは自陣ゴールへ転がり込み、オウンゴールに。東京は思わぬ幸運なオウンゴールで同点に追い付いた。
喜名の負傷退場で中盤の構成力ダウン
思わぬゴールで同点に追い付いた東京は、これで息を吹き返した。30分には左サイドでボールを受けた喜名が華麗な個人技で相手DFを突破しクロスを上げると、これを由紀彦がキープから反転シュートを放つが惜しくもゴール右に外れた。この後も喜名が中盤の起点となり、ボールを左右に散らしリズムを作るようになる。
一方、G大阪も稲本が起点となり、ビタウが変幻自在のパスで前線の吉原、ニーノブーレに鋭いスルーパスを通す。35分には、ビタウから右サイドバックの柳本へパスが通り、柳本がピンポイントのクロスを上げると、中央で待ち構えていたニーノブーレが頭一つ出るヘッドで東京ゴールを脅かす。続く37分には、ビタウがゴール前に出たボールに突進し、土肥と接触。土肥の好判断が危機を救ったが、ビタウはテクニック、パスだけでなく、脚力・運動量も持ち合わせていることに驚かされた。
その後も、ビタウのスルーパスにFWだけでなく、中盤の二川、山口が飛び出し決定機を作るが、土肥のファインセーブで何とか防ぐ。FW吉原、ニーノブーレに対しては小峯、サンドロがそれぞれよくマークしており決定的な仕事をさせなかったが、ビタウを捕まえられないことで危険な場面が何度も訪れた。
なんとかG大阪の攻撃を防ぎ、喜名を起点に反撃を繰り返していた東京をアクシデントが見舞う。前半終了間際の40分、東京の自陣左サイドでボールをキープしていた喜名にビタウが猛タックル。喜名は激しく転倒し、そのまま負傷退場に。ビタウにはイエローカードが出たが、喜名の負傷退場はビタウがレッド(一発退場)になってピッチから出て行ってこそ、両チームの損失がイーブンになる。それ程、東京にとっては痛い出来事であった。
両チームの意地を懸けた激しい攻防
後半に入ると、G大阪は勝負に出てきた。後半開始直後から、ビタウはダイナミックに動きチャンスを作り、稲本は相変わらずボランチの位置でキッチリ仕事をし、チャンスがあれば必ず攻撃参加してきた。
一方、東京は喜名が抜けたことで、中盤でボールキープ率が下がり、苦しい時間が続く。相変わらずビタウを捕まえることができず、そこから前線で縦に抜け出す選手にスルーパスを通してくる。辛うじて、サンドロ、小峯の両センターバックが踏ん張り、ゴールは許さないものの、防戦一方の状態に。
70分、東京も勝負に出た。「点取り屋・神野」の投入である。神野効果はすぐに現れた。東京は神野を入れてポストを増やしたことで、前線にタメが出来るようになり、アマラオ、ツゥットが神野の落としたボールから攻撃を組み立てるようになり、さらに、両サイドバックの攻撃参加も効果的になった。
27分には、少ないチャンスから決定機が生まれた。右サイドからドリブルで相手をかわしながら中央へ入ってきたツゥットは左足で左サイドにいる神野へフワリと浮かせたパスを出すと、神野は胸トラップから目にも止まらぬ早さでボレーシュートを放った。惜しくもGKに弾かれたが、あの難しい状況から決定的なシュートを放つことができるのは、「ストライカー」ならではのこと。前節でも執念のゴールを決めており、期待を抱かせた。
続く28分、今度は左サイドに出たボールをアマラオがキープ&突破でゴールに突進。ペナルティエリアに入ったところで、強烈なシュートを放ったが、これもGKのファインセーブに阻まれた。
その後も一進一退の展開が続く。29分には、カウンターからゴール前で決定的なシュートを打たれるが、小峯のスーパータックルでコーナーに逃げる。続く31分には、(G大阪の)右からのクロスをニーノブーレが頭で合わせたが、バーの上に。38分には、(G大阪の)右サイドをワンツーで突破され、鋭いクロスに途中出場の松波が頭で合わせるが、これもバーの上に。逆に、G大阪の猛攻を耐え抜いた東京は40分、右サイドを内藤が持ちこみ、約35mのロングシュートを放つと、バーに直撃。跳ね返ったボールを途中出場の小林成が飛び込むと、稲本が危険なプレー(小林成の顔に打撲の跡が…)で阻止。このプレーで小林成は倒され、主審はPKを指示。しかし、何故か線審はオフサイドのフラッグを上げており、主審と線審の話し合いで一度決めたPKを取り下げ、オフサイドに。
その後もロスタイムに、またしても内藤がオーバーラップからシュートを放ち、逆にその後G大阪の松波に決定的なボレーシュートを放たれるなど、最後まで激しい攻防が続く。そして、後半終了のホイッスルが鳴った。
ビタウのスーパーゴールに沈む…
試合は呆気ない幕切れで終わった。延長前半2分、(G大阪の)右サイドでサイドバックの柳本がボールを持つと、ビタウは全力で右サイドのコーナースペースに突進。東京は迫井が懸命に付いて行くが、一瞬遅れたところを、すかさず柳本からパスが通り、ビタウはペナルティエリア外の角度のないところから右足で豪快にシュートを放った。その弾丸シュートは、一直線に土肥のニアサイドを抜けて、ゴールに突き刺さった。次の瞬間、主審のホイッスルが鳴り、試合終了。東京は、最後の最後までビタウを抑えられず、結局この最も注意しなければいけない男にV弾を決められてしまった。浅利や、喜名の負傷退場が悔やまれるが、今更言っても始まらない。試合全体を通しては、G大阪にボールを支配される時間が長かったが、勝機は幾つかあったのは事実だ。この日の試合では、東京の選手に疲労感が見られたのも事実であり、今後1週間でコンディションを整えて、再出発を図りたい。これからが本当の勝負だ。
【大熊監督コメント】
スケジュールや気候の関係上、今日はコンディションがきつかった。このコンディションで、選手は持てる力を出していたと思う。
今日は特にアマラオの運動量が少なく、前線からの守備ができていなかった。一人でもバランスが崩れるとコンパクトな守備が出来ないもの。ガンバの中盤のように非常に運動量が多く、流動的なポジショニングをとってくるチームで、捕まえられなかったのはそのあたりに問題があった。今後は、1週間あくので、コンディションをしっかり調整し、次に万全を期したい。