GAME RESULT試合結果
第15節 2001/7/21(土)
観衆 15,093人
天候 晴、無 気温 27.5度 湿度 84%
主審:辺見 康裕 副審:奥谷 彰男/下村 昌昭 四審:土本 泰
J1 1st 第15節
日本平
1-2
試合終了
前半0-1
後半1-0
延長前半0-0
延長後半0-
清水エスパルス | FC東京 | |
---|---|---|
79' アレックス |
得点者 |
20' アマラオ 105' ケリー |
33' 古賀 琢磨 → 大榎 克己 71' バロン → 横山 貴之 77' 山崎 光太郎 → 久保山 由清 |
選手交代 |
84' 伊藤 哲也 → 梅山 修 90' 小林 成光 → 喜名 哲裕 |
16 | シュート | 14 |
9 | CK | 4 |
34 | FK | 26 |
25' 平松 康平 28' 斉藤 俊秀 72' アレックス |
警告 |
67' 小峯 隆幸 104' サンドロ |
退場 |
GK | 16 | 羽田 敬介 |
DF | 2 | 斉藤 俊秀 |
DF | 11 | 森岡 隆三 |
DF | 3 | 古賀 琢磨 |
MF | 25 | 市川 大祐 |
MF | 13 | 平松 康平 |
MF | 4 | 戸田 和幸 |
MF | 10 | 澤登 正朗 |
MF | 8 | アレックス |
FW | 26 | 山崎 光太郎 |
FW | 18 | バロン |
GK | 20 | 黒河 貴矢 |
DF | 19 | 池田 昇平 |
MF | 6 | 大榎 克己 |
FW | 15 | 久保山 由清 |
FW | 17 | 横山 貴之 |
GK | 1 | 土肥 洋一 |
DF | 6 | 小峯 隆幸 |
DF | 15 | 伊藤 哲也 |
DF | 3 | サンドロ |
DF | 8 | 藤山 竜仁 |
MF | 7 | 浅利 悟 |
MF | 10 | 三浦 文丈 |
MF | 14 | 佐藤 由紀彦 |
MF | 19 | ケリー |
MF | 24 | 小林 成光 |
FW | 11 | アマラオ |
GK | 22 | 小沢 英明 |
DF | 12 | 梅山 修 |
MF | 23 | 喜名 哲裕 |
MF | 25 | 宮沢 正史 |
FW | 13 | 加賀見 健介 |
【選手・監督コメント】
1stステージラストゲーム
1stステージ第14節を終えた時点で、FC東京の勝敗は7勝7敗の五分。この日、相撲で言う「千秋楽」で、勝てば「勝ち越し」、負ければ「負け越し」という、東京にとっては非常に重要な一戦を迎えることになった。
その大一番の相手は、現在2位と波に乗っている強豪・清水エスパルス。今季のエスパルスは、ホームゲームでの勝率が「100%」で、現在までなんと9連勝中。(1stステージの)優勝こそ既にジュビロ磐田に決まっているものの、この試合に勝って2位になれば、賞金5,000万円を獲得できるとあってモティベーションも高く、試合は厳しい展開が予想された。
東京は昨季の1stステージで勝ち越しており(8勝7敗)、今季もこの試合に勝てば勝ち越し(8勝7敗)となるため、何としても勝利をものにしたかった。会場の日本平には、東京から駆けつけたバスツアー参加者100人を含む、約400人のサポーターが陣取り、約1万5千人のエスパルスサポーターを凌駕する熱い声援で選手をサポート。アウェーでこれだけの心強いバックアップがあって、負ける訳にはいかない。1stステージ最後の試合に勝って、良い形で2ndステージにつなげたかった。
エスパルスを圧倒した東京の「集中力」
試合が始まると、東京はすぐに「勢い」を見せつけた。「1stステージのラストゲーム、気合いを入れて最後まで闘おう」と試合前、大熊監督が話したように、この日の東京は全員が一つの目的=勝利に向かって、いつも以上に気持ちを前面に押し出して闘う姿を見せた。開始5分、右のCKをアマラオが豪快にヘディングシュートすると、7分にはサンドロのロビングをアマラオが胸で落とし、これを小林成がミドルシュート。これは枠を外したが続く8分、アマラオが前線でボールをキープし、その横をタイミング良く飛び出したケリーに絶妙のスルーパスを送ると、ケリーはドリブルから決定的なシュートを放ったがGKに弾かれてしまう。さらに10分には、右サイドを由紀彦がドリブル突破し、中央に正確なクロスを入れると、待ち構えたアマラオが完璧なヘディングシュートを放ったが、これもGKのファインセーブにあい、ゴールネットを揺らすことができなかった。
東京は前線でアマラオ、ケリーが安定したボールキープでしっかりと基点になり、そこへ三浦、由紀彦が絡むことで攻撃のリズムを作った。三浦はベテランらしい落ち着いた状況判断でダイレクトでボールを簡単に散らし、時には緩急の効いたドリブルでスルスルと上がり、時には思いきりの良い前線への飛び出しで相手を撹乱した。由紀彦も右サイドで積極的なドリブル突破を見せ、何本もクロスを供給した。守っても、相手のターゲットマンであるバロンをサンドロが徹底マーク。エスパルスの特徴であるサイド攻撃も東京の両サイドバック、藤山、小峯と中盤両サイドの小林成、由紀彦がキッチリと対応していたためクロスの数は少なかったが、時折入れられたボールもサンドロが跳ね返し、こぼれたボールは伊藤哲がカバー。全員が高い集中力で、序盤からエスパルスを圧倒した。
アマラオのPKで先制! 前半を1-0のリードで折り返す
東京優勢のまま迎えた20分、相手のパスミスを奪った三浦が、数的優位を判断して左サイドのスペースへ鋭くドリブルで突進。アマラオ、ケリーがタイミングを合わせて縦に抜け出そうとすると、相手DFがそれにつられ、右サイドに開いた由紀彦がフリーに。三浦はすかさず左足で絶妙のクロスを上げ、それをコントロールした由紀彦がゴールへ突進すると、遅れてマークについた相手DFが後ろから由紀彦を倒しPK。これをアマラオが冷静に右足で決め、東京は待望の先制点を奪った。
エスパルスは森岡、戸田の代表組が後ろから鋭く精度の高いボールを前線に供給し、ゲームメーカーの澤登、テクニシャンの平松がこれをツートップかサイドへ展開して攻撃を組み立てた。が、局面局面で東京は常に数的優位を保ち、FWのアマラオがディフェンスラインまで戻ってクリアするなど、まさに「全員守備・全員攻撃」でエスパルスに得点チャンスを与えず、前半を1-0のリードのまま折り返した。
決定機なチャンスを何度も逃し、逆に終盤同点に追いつかれ延長に
後半に入ると、前半から全力で飛ばして疲れの見える東京に対し、エスパルスが反撃に出た。2分、ペナルティエリアのすぐ外で与えたFKを名手・澤登がシュート。あわやゴールかと思われたが、GK土肥が辛うじてパンチで逃げると、続く3分にも、右から絶妙のクロスを上げられ、バロンがヘディングシュートしたが、これも土肥がキャッチ。この後もエスパルスはアレックスが前半とは別人のように積極的に仕掛けてチャンスを作り、東京は苦しい時間が続いたが、土肥を中心に全員が集中を切らさず、体を張ったプレーでエスパルスに得点を許さなかった。
一方の東京も、黙ってはいない。10分にはカウンターから、左の小林成からフォローに上がった三浦へ、さらに中央へ走り込むケリーにボールが渡り、ケリーは相手GKが前に出ているのを見てループシュートを放ったが、惜しくもバーの上へ。東京は押し込まれる時間が多くなったが、集中して守り、カウンターからケリー、アマラオがしっかりと基点となる攻撃で、チャンスを作った。
29分には、藤山のインターセプトからアマラオ、藤山、ケリーとつなぎ、最後はケリーがフリーでシュートを放ったが、僅かに右へ。さらに32分には右サイドで由紀彦からパスを受けたケリーは、マークにきた相手DF二人を一瞬にして抜き去り、ゴールへ突進。相手DFが一人しかいない決定的な場面だったが、サポートにきたアマラオとの疎通が悪く、またしても得点できなかった。
逆にその直後の34分、ペナルティエリア内でパスを受けたアレックスに難なくゴールを決められ、同点に追いつかれてしまう。異様に盛り上がるスタジアムで、呆然と立ち尽くす東京イレブン。それまで集中力を切らさず耐えていただけに、また決定的なチャンスは東京の方が圧倒的に多かっただけに、そのショックは小さくなかった。
これでペースは完全にエスパルスに。後半残り時間、東京は押し込まれる場面が続いたが、土肥を中心に体を張って辛うじて追加点を許さず、試合は延長に突入した。
起死回生の土肥のスーパーセーブ、そして劇的なケリーのV弾炸裂
東京は後半終了間際、それまで体を張って何度もピンチを防いでいた伊藤哲が足の痙攣で梅山と交代し、延長に入って小林成に代えて喜名を投入。後半終盤の押せ押せのエスパルスの攻撃を耐え、梅山、喜名の投入が東京に再びリズムを取り戻させ、試合は一進一退の白熱した攻防が展開された。
東京は3分に三浦の強烈な左足シュート、4分に藤山の壁パスからの突進、10分にケリーの至近距離からのボレー、13分に再びケリーの豪快なシュートと、立て続けにチャンスをつかむものの、どうぢてもVゴールを奪えない。逆に延長前半終了間際の14分、右から上げられたクロスにゴール前で相手FWともつれた小峯がPKを取られ、土壇場で最悪の場面を迎えてしまった。
キッカーはFKの名手・澤登。もちろん、これを決められればエスパルスのVゴールで試合は終了する。ゴールで両手を広げて構える土肥の後ろには、大勢の東京サポーターが土肥を信じて絶叫していた。次の瞬間、澤登の蹴ったボールは低い弾道でゴール右すみへ飛び、土肥も鋭く反応し、これをゴールの外へ弾き出した。土肥を信じてはいたが、この信じられないような事態に、東京のゴール裏は荒れ狂った。鳴り止まない土肥コール。東京の関係者は誰もが絶叫していた。その直後、延長前半終了のホイッスルが鳴った。
そしてクライマックスは、そのすぐ後に訪れた。延長後半開始1分、中央から右へ展開し、由紀彦が上げたクロスにケリーがニアでヘディングシュートを放つと、ボールは懸命に反応する相手GKの手をかすめてゴールネットに吸い込まれた。スタジアムは地響きのような絶叫と悲鳴が木霊し、揺れていた。最高の笑顔で喜びを爆発させるケリーを追い回す東京イレブン。1stステージのラストゲームで、チームとしてのやりたいサッカーが展開できての勝利は、選手にとってもひとしおだったに違いない。強豪・エスパルスに正面からぶつかり、結果的には苦しい展開となったが、全員が一つになり内容も伴う最高のゲームでの勝利は、選手、スタッフともに必ず次につながる「何か」を感じ取ったに違いない。東京は、この歴史的な勝利で、昨年同様1stステージを勝ち越しで折り返すことになった。今季は開幕直前のケリーの加入等で、なかなかチームとしての「形」が見えず、苦しい時期が続いたが、ようやく1st終盤にきて「形」が出来てきた。いい形で1stステージを終えられたことは大きく、2nd開幕に向けて勢いをつけてくれた。8月11日(土)、特別イベント「ファイヤーワークス・サンバナイト」も行われる柏との開幕戦で、東京は優勝めざして再出発する!
【大熊監督コメント】点を取られた時間帯は、(伊藤哲の足の状態を考え)選手交代をするかどうかで迷っていた時にやられてしまった。しかし、その後、メンバーが代わっても攻守に良く頑張ってくれたのが大きい。1stステージ全体としては昨季と同じ勝敗だが、今季は連敗がないのが成長した部分だと思う。やれている部分は多いが、まだまだ個々の役割分担など、もっと瞬時に判断して仕事ができるようにならないといけない。これを修正して2ndステージに突入して、また頑張りたい。