GAME RESULT試合結果

第9節 2001/10/17(水)
観衆 22,734人 
天候 雨、弱 気温 18.3度 湿度 80% 
主審:太田 潔 副審:高橋 佳久/塩川 拓司 四審:唐木田 徹

J1 2nd 第9節

国立

HOME

FC東京

2-5

試合終了

前半0-0

後半2-5

AWAY

ジュビロ磐田

FC東京 ジュビロ磐田
54' 三浦 文丈
79' 加賀見 健介
得点者 64' 金沢 浄
72' 清水 範久
81' 清水 範久
85' 清水 範久
86' 中山 雅史
73' 福田 健二 → 加賀見 健介
74' 浅利 悟 → 喜名 哲裕
76' 小峯 隆幸 → 山尾 光則
選手交代 36' ヴァン ズワム → 大神 友明
45' 前田 遼一 → 清水 範久
83' 西 紀寛 → 河村 崇大
7 シュート 21
4 CK 7
21 FK 21
26' 浅利 悟
警告
退場
FC東京先発
GK 1 土肥 洋一
DF 15 伊藤 哲也
DF 6 小峯 隆幸
DF 3 サンドロ
DF 8 藤山 竜仁
MF 7 浅利 悟
MF 10 三浦 文丈
MF 14 佐藤 由紀彦
MF 19 ケリー
MF 9 福田 健二
FW 11 アマラオ
FC東京控え
GK 22 小沢 英明
DF 4 山尾 光則
MF 23 喜名 哲裕
MF 13 加賀見 健介
MF 29 戸田 光洋
ジュビロ磐田先発
GK 1 ヴァン ズワム
DF 2 鈴木 秀人
DF 5 田中 誠
DF 3 大岩 剛
MF 11 西 紀寛
MF 23 福西 崇史
MF 6 服部 年宏
MF 20 金沢 浄
MF 10 藤田 俊哉
FW 24 前田 遼一
FW 9 中山 雅史
ジュビロ磐田控え
GK 12 大神 友明
DF 14 山西 尊裕
DF 22 河村 崇大
MF 13 川口 信男
FW 18 清水 範久

【選手・監督コメント】

まさに天王山!? チャンピオンを迎え撃て


 第9節は、1stステージの覇者、そして2ndステージも現在首位に立つジュビロ磐田をホームに迎え撃つ。東京はここまで4勝3分1敗。9月からの5試合では、対市原と前節の名古屋戦は引き分けたものの、3戦はすべて1点差のゲームをものにし勝負強さを発揮。勝点4差で3位につける東京にとって、この首位磐田との対戦は大きな意味を持つ。首位争いに絡む、まさに天王山といえるだろう。チャンピオンに対して厳しい戦いになることは予想されたが、汗をかき知恵を絞って一丸となった東京らしいサッカーで立ち向かいたい。雨の中、2万2千人を越すスタンドの期待を一身に集めて、今シーズン唯一の開催となる国立競技場で熱戦の火蓋を切った。

支配されながらも、チャンスは互角以上


 磐田のキープ力のある中盤、そして今ステージ8試合でわずか失点4という堅いDFを切り崩すことは容易ではなかった。開始直後こそ、右サイドを積極的に駆け上がった伊藤哲也が鋭いクロスを上げるがDFがクリア。磐田は、この東京の右サイドからの攻撃をケアしながら、焦らずじっくりボールを回すことで徐々に自分たちのリズムを作っていった。そして前線のFW中山や前田に対して縦にボールを入れて、ゴール前に迫る。ファールで止める東京に対して、セットプレーを活かそうとする磐田。7分には、直接FKからMF服部がゴールを狙うが、これはGK土肥がキャッチ。

 ルーズボールに対する寄せが早い磐田は中盤を支配、9分にはMF西が、10分にはMF金沢、福西と立て続けにミドルレンジのシュートを放ってくるが、土肥のセーブもあり簡単には得点を許さない。12分のMF藤田のCKはポストに阻まれ事なきを得た。続く14分には、中盤で服部がボールをかっさらうと素早い切り替えで攻めに転じるが、だが無理をせずゆっくりつないで最後は服部がミドルシュート。東京陣内で試合は進む。しかしバックパスも多用、決して無理をしない磐田は、東京のサイド攻撃を気にかけてかスペースを突こうとはせず、真ん中にこだわるようにくさびのボールを入れてくる。それに対して東京の最終ラインは集中して守り、カバーリングの意識も強く、決定的なシーンは作らせない。

 一方で低い位置でボールを奪っても、なかなか前に進むことのできない東京であったが、20分には、アマラオが引き気味のポジションからボールをつないで右サイドへ。突破を図った佐藤が鋭いクロスを上げるが、ゴール前で福田と交錯したDFに阻まれる。23分には、相手DFのクリアボールを拾って再びアマラオがつなぎ、判断良く右サイドのオープンスペースにふると、ドリブルで持ち込んだ佐藤が思い切り良くシュート。GKヴァンズワムにセーブされたが、カウンターに活路を見出してリズムを取り戻そうとした。そして32分、右サイドの佐藤が粘ってDFの裏に縦パスを通すと、スルリと現れたケリーがグラウンダーのボールを中央へ。そこへアマラオがGKと交錯しながらも飛び込み、ボールはゴールイン!が、次の瞬間、信じられないことに主審はキーパーへのファールと判定。一時場内は騒然としたが、一度下された判定は覆るものではなく、惜しくも「幻の先制点」となってしまった。

 しかし、このプレーは“ワンチャンスを活かせる”という手応えを東京イレブンに与えた。意気上がる東京に対して磐田のプレスがかからなくなり、42分には中盤でケリーがキープ→佐藤が鋭いクロスを上げるとゴール中央で福田がヘディングシュート。だが、負傷のヴァンズワムに代わって入った磐田GK大神のファインプレーに阻まれる。ここで得たCKから今度はアマラオがヘディングシュートを放つも、再びGKがファインセーブ。続く44分には、相手DFの甘いクリアを拾ってケリーが強烈なシュートを放つが、ボールはDFをかすめてゴールわずか左に。結局得点には至らず0対0で前半を終了。しかし支配されながらも、決定的なチャンスは互角以上で、後半に期待がかかる戦いぶりを見せた。

三浦のゴールで先制! 目覚めた磐田と激しい攻防


 後半、両サイドから攻めたい磐田は、前田に代えてFW清水を投入。48分には守から攻へ素早く転じて、中山→清水→西→藤田と流れるようなパスワークを見せ、フィニッシュは清水がシュートするもゴールの上へ。対する東京も、前半のように必要以上に押し込まれることなく、49分には西からDFの裏へ飛び出た中山へのスルーパスもオフサイドトラップにかけてチャンスを阻止。自分たちのリズムでプレーしようとする。そして54分、中盤でボールを持った三浦が一旦右サイドの伊藤哲に預けると、伊藤はフワリとしたボールをゴール前へ。これをアマラオがヘッドで前に位置するケリーに送るとケリーがポストとなって、そこへ猛然と走り込んできた三浦がシュート!アマラオ→ケリーの確実なポストプレーと三浦の判断の良い飛び出しで、磐田の強固なDFラインの真ん中をぶち破り、貴重な先制点をもぎとった!

 ここから試合は俄然ペースが速く、試合は厳しくなる。56分、57分に磐田はFW中山をサイドで縦に走らせ、中央で清水が受けるという速い攻めを見せる。が、東京もきっちりマークについてシュートは打たせない。60分、ペナルティアーク左寄りのFKを藤田が蹴り、ゴールマウスの左下隅を突くが土肥がスーパーセーブ。その後立て続けのCKもしのいだ。だが迎えた64分、中盤でフリーになった西がペナルティエリアの左にいた中山にパス。中山が体を張って胸で落としたところに、東京DFを割って走り込んできた金沢がスピードに乗ってシュート。これが決まり、同点に追いつかれてしまった。嵩にかかる磐田は、65分にはMF福西が強烈なミドルシュート。東京も反撃しようとするがパスがつながらず苦しい時間帯となる。そして磐田は72分、スローインのボールをMF藤田がゴールの裏へ抜け出して受けると、体勢を崩しながらもゴール前へ浮き玉のパス。清水のヘディングシュートが決まり、抜け目のない藤田のプレーで2点目を奪われた格好となった。

 しかし直後の73分、福田に代えて加賀見、74分には浅利に代えて喜名、そして76分には小峯に代えて山尾を投入する東京。「攻めの部分」を買われた山尾が中盤に入り、3バックのDFラインは三浦がフォローする布陣で反撃に転じた。その効果はすぐに現れ、79分、喜名は右サイドの佐藤につなぎ、佐藤を追い越す動きで相手DFの裏へ飛び出すと、佐藤からタイミング良くリターンパスを受け、そのままドリブルでペナルティエリアに突入してクロスを送る。このボールにゴール正面で待ちかまえていた加賀見がダイレクトで合わせてゴール!! 素晴らしい連係プレーで同点に追いつき、スタジアムの興奮は最高潮に達した。

力の差を認めながらも、胸を張って「次」へ


 「もう1点!」と後押しムードに包まれるスタジアム。…しかし一筋縄ではいかなかった。追いつかれた磐田の選手の目の色が変わっていた。同点弾の2分後の81分、前掛かりになる東京の隙をついて、西が右サイドのライン際をドリブルで突き進むと、中央に強いグラウンダーのパス。これにサンドロが足を伸ばしたがカットが甘く、不運にもゴール正面の清水の前にこぼれてしまう。このボールを清水がきっちりゴールに押し込み勝ち越し。再び東京は1点のビハインドを背負うこととなった。それでも山尾が中盤から前線への動きを繰り返し、サンドロも上がって全員で反撃するが、逆に前への意識が裏目に出ることになる。85分には、西に代わって入った磐田DF河村を中盤でフリーにさせてしまい、思い切りのいいシュートを放たれる。一旦は土肥がセーブしたものの、こぼれ球に東京DFは反応できず。いち早くゴールに向かった清水が決めて4点目。86分には、カウンターから抜け出した河村のドリブルをサンドロがクリア。しかし土肥と交錯してしまったため、ゴールががら空きに。再び河村に拾われ、最後はエース中山がとどめのゴール。5点目を献上して試合はタイムアップ。

 終わってみれば、残り10分で3失点。ゲーム運びの差を思い知らされる苦い大敗となった。これで順位も5位に後退した東京。だが、諦めるわけにはいかない。王者に対して真正面からぶつかっていった“チャレンジ”は決して無駄ではなかったはず。ここで切れてはいけない。力の差を認めながらも、この敗戦を糧に胸を張って明日へ向かいたい。

【鈴木監督コメント】「前半はバックラインが上がり、ボランチの所で一列になってしまってバランスが崩れた。キーパーの活躍で助かった部分があった。後半はセンターバックがボランチを押し出す形でバランスを取り、中盤でプレスをかけようとした。攻撃では中盤を支配した上でリズム良くダイレクトに、あるいはスピードの変化などで、両サイドを突破をしようと心がけた。こういう内容でも勝たなければいけないのがジュビロで、同点にされた後、選手が『優勝するためには、当然勝たなければいけない』という気持ちをグラウンドで表したゲームだったと思う」

【大熊監督コメント】「(悔やまれるのは)3失点目を取られた時の、チームのバランスや経験の差。磐田の良さもあったが、今思うと2対2になった時に安定したポジション取り、安定した気持ちも必要ではなかったかと省みる。ただサッカーというのは難しいもので、逆にあの場面で休んでしまうというのも…。いずれにしても個人として、チームとして状況判断が足りなかった部分があるのではないだろうか。選手は、チャレンジするしかない状況で、よくチャレンジしてやってくれたと思う。ここで切れてしまわずに、次の試合に切り替えることがいちばん大切なことだ」