GAME RESULT試合結果

第12節 2001/11/03(土)
観衆 12,552人 
天候 雨、無 気温 16.6度 湿度 74% 
主審:恩氏 孝夫 副審:高橋 佳久/蒲澤 淳一 四審:唐木田 徹

J1 2nd 第12節

東京

HOME

FC東京

5-2

試合終了

前半2-0

後半3-2

AWAY

セレッソ大阪

FC東京 セレッソ大阪
15' 三浦 文丈
19' アマラオ
49' オウンゴール
59' アマラオ
63' アマラオ
得点者 46' 尹 晶煥
86' 大柴 健二
75' 小林 成光 → 福田 健二
78' 佐藤 由紀彦 → 鏑木 享
85' 土肥 洋一 → 小沢 英明
選手交代 21' 藏田 茂樹 → 尹 晶煥
51' マルセロ → 大久保 嘉人
68' 岡山 一成 → 真中 靖夫
7 シュート 22
5 CK 7
14 FK 24
61' 戸田 光洋
89' 鏑木 享
警告 39' 布部 陽功
75' 尹 晶煥
退場
FC東京先発
GK 1 土肥 洋一
DF 6 小峯 隆幸
DF 4 山尾 光則
DF 3 サンドロ
DF 8 藤山 竜仁
MF 10 三浦 文丈
MF 5 下平 隆宏
MF 14 佐藤 由紀彦
MF 29 戸田 光洋
MF 24 小林 成光
FW 11 アマラオ
FC東京控え
GK 22 小沢 英明
DF 30 小林 稔
MF 25 宮沢 正史
MF 17 鏑木 享
FW 9 福田 健二
セレッソ大阪先発
GK 1 下川 誠吾
DF 3 斎藤 大輔
DF 36 室井 市衛
DF 5 藏田 茂樹
MF 18 布部 陽功
MF 4 田坂 和昭
MF 10 マルセロ
MF 14 鈴木 悟
MF 8 森島 寛晃
FW 25 岡山 一成
FW 9 大柴 健二
セレッソ大阪控え
GK 21 河野 和正
MF 15 大久保 嘉人
MF 6 尹 晶煥
MF 33 真中 靖夫
FW 7 ワグネル

【選手・監督コメント】

ラスト4戦全勝に向けて出陣!


 浦和レッズ戦(9月29日)に勝利して以来、実に1ヶ月以上も勝ち星がないFC東京は、この日、ホーム・東京スタジアムに降格危機に瀕するC大阪を迎えた。C大阪はこの試合でVゴール勝ち以上を収めないとJ2降格が決定するとあって、スタートから死に物狂いの総攻撃を仕掛けてくることが予想されたが、対する東京も前節出場停止のアマラオ、怪我から復帰した三浦の頼もしい両ベテランがピッチに戻ってきており、白熱した好ゲームが期待された。

 FC東京は優勝という目標は失ったものの、昨年以上の実績を残すためにも、また初タイトルを目指す天皇杯に繋げていくためにも、まずは目の前のこの試合できっちり勝つことが大切になる。東京の底力を誇示する舞台は揃った。「ラスト4戦全勝!」に向けて、いざ出陣だ!

「堅守速攻」炸裂!立続けに2ゴールをゲット!


 午後4時04分、雨が断続的に降り注ぐ東京スタジアムに、FC東京「ラスト4戦全勝」へのチャレンジの始まりを告げるホイッスルが高らかに鳴り響いた。

 試合は開始早々から形振り構わず総攻撃を仕掛けるC大阪を、FC東京が確実なディフェンスでボールを奪い、鋭いカウンターからビッグチャンスを作る展開となった。最初にFC東京が決定的なチャンスを作ったのは9分、C大阪の攻撃をカットしたボールをディフェンスのために自陣まで戻っていた由紀彦がボールを受けると、由紀彦は左サイドに張る小林成へパスを出し、そのまま前線へ猛ダッシュ。小林成は絶妙のタイミングでC大阪の浅いディフェンスラインの裏へスルーパスを通すと、そこへ由紀彦が抜け出してキーパーと1対1に。由紀彦は飛び出してきたキーパーをドリブル突破したもののシュートを打てず、辛うじて中央に走り込んだアマラオへ折り返したが僅かに合わずディフェンダーにクリアされてしまった。ゴールには結びつかなかったものの、由紀彦の素晴らしい状況判断から生まれたビッグチャンスだった。前線に基点を作れず、中盤でタメを作れないために攻撃のビルドアップに苦労した前節とは打って変わり、この日のFC東京はボランチの三浦が中盤でタメを作り、前線のアマラオや戸田にくさびを入れ、そこからサイドに展開することで攻撃のリズムを作った。前線ではアマラオが安定したポストプレーで基点となり、2ndステージ初先発の戸田も豊富な運動量とアグレッシブな動きでC大阪ディフェンスラインを掻き回すと、右サイドの由紀彦はスペースへの鋭い飛び出しでチャンスを演出した。

 迎えた15分、右サイドでボールを奪った小峯がすかさず前線へフィードすると、由紀彦がタイミングよく抜け出し、右サイド深くから中央へグラウンダーで折り返したところを走り込んだ三浦が右足で豪快に蹴り込んで先制。勢いに乗る東京はさらに19分、またしても右サイドを由紀彦が突破し、ゴール近くまで持ち込んでから中央のアマラオへグラウンダーのパスを通すと、アマラオはワントラップでボールを浮かし、そのまま右足で豪快にボレーシュートを叩き込んで2点目。絶対勝たなければならないC大阪は前掛かりになり過ぎて攻守のバランスを崩し、その浅い3バックラインの裏にできたスペースを右サイドの由紀彦を中心に徹底して突いたFC東京が序盤で早くも2点をゲットした。

勝負を決めたオウンゴール


 序盤から2点を失ったC大阪は、直後に動く。前半21分、韓国の天才ゲームメーカー・尹を投入すると、C大阪の攻撃はそれまでの縦へ縦へ急ぐだけの単調なものから、尹、森島のキープ力と細かいパスワークを駆使した厚みのある攻撃を見せるようになった。ただ、この日の東京のディフェンスラインはいつも以上に集中力が高く、C大阪の2トップに対してサンドロがターゲットマンであるFW岡山を徹底マンマークで、小峯や藤山がサイドのスペースへスピードを活かして入ってくるFW大柴を厳しいチェックで完封したため、決定的な形は作らせない。30分には右サイドの裏を尹に突かれ、そこから逆サイドに上がったクロスにFW岡山がヘッドで飛び込んだが、サンドロが辛うじてクリア。38分にも中央から尹に豪快なミドルを打たれたが、これは土肥が正面でキャッチ。さらに終了間際のロスタイムには、ペナルティエリア内で細かくつながれ決定的なラストパスが出されたが、一瞬早くカバーに入った山尾がスライディングで間一髪クリア。その直後に打たれたミドルも土肥が何とかパンチで逃げたが、終盤はC大阪ペースのまま前半を終了した。

 後半開始1分、C大阪は左サイドでボールをキープした尹がトップへくさびを入れてきたが、FC東京のディフェンダーがカット。しかしクリアが小さく、このボールを再び尹が拾い中央からシュートを放つと、ディフェンダーの足に当たって(コースが変わり)ゴールイン。「次の1点が勝負」と大熊監督はハーフタイムに語っていただけに、悔やまれる失点となった。が、悲しみも束の間。最近「取られても、取り返せる」自信を深めている東京は、失点に全く動揺せず、自分たちのサッカーを淡々と展開。迎えた4分、右サイドから由紀彦が中へドリブルで切り込み、三浦がタイミングよくディフェンスの裏へ抜け出すと、そこへ由紀彦から絶妙のスルーパス。三浦はゴールラインぎりぎりの所から中央へ折り返したが、これがC大阪ディフェンダーの胸に当たってオウンゴール。東京はこれで完全に楽になったが、「さあ、反撃だ!」と思った直後にオウンゴールで自分たちの首を締めてしまったC大阪にとっては、計り知れないショックだったに違いない。

キング健在!アマラオ今季初ハットを達成!「不敗神話」も伸ばし


 あまりにショッキングな時間帯、形で再び2点のビハインドを背負ってしまったC大阪だったが、彼らの戦闘意欲(=魂)はまだ途切れていなかった。失点後にボランチのマルセロに替え、プロ1年目の19歳ながらチームの主軸となりつつある攻撃的MF大久保を投入。より攻撃的にシフトしたC大阪は尹、森島、大久保のコンビネーションで、厚みのある総攻撃を仕掛けてきた。7分、9分とミドルを打たれると、いずれも土肥が辛うじてパンチで弾き、FC東京のディフェンダーが相手が詰めるより一瞬早くクリアするといった危険な場面が続く。さらに11分、ゴール正面から尹が放ったフリーキックはポストを直撃。13分にも左から尹が上げたクロスに岡山がジャンピングボレーを試みたが、これは枠外へ。C大阪の捨て身の攻撃は威力を増すばかりだったが、集中力の高い東京は冷静に「好機到来」を待った。

 待ちに待ったチャンスは14分に訪れた。それまで猛攻撃を見せていたC大阪は、ディフェンダーも含めて気持ち的にも完全に前掛かりになっていたため、14分に藤山がインターセプトして、アマラオ、小林成と壁パスで抜け出すと、C大阪陣内で完全にFC東京が数的有利な状況になっていた。小林成が右サイドのスペースに飛び出した三浦へロングパスを出すと、三浦はダイレクトで中央へ走り込むアマラオへパス。三浦がサイドに流れてディフェンダーを引っ張り出したことでアマラオは中央でC大阪ディフェンダーと1対1になっており、勝負を賭けるアマラオは大きなフェイントで左へ抜けてそのまま左足でシュート。鋭いグラウンダーのシュートは同サイドの狭いスペースを抜けてゴールネットを揺らした。こうなったら、もうアマラオは手が着けられなかった。18分には、右サイドから由紀彦が上げたクロスをゴール正面で相手より頭一つ飛び出す豪快なヘディングシュートを決めて今季初のハットトリックを達成。スコアを5-1とC大阪を大きく引き離した。

 この決定的とも言えるアマラオの得点で勝負はあったが、最後まで熱い応援を繰り返すサポーターに応えるかのように、C大阪も最後の最後まで食い下がってきた。C大阪は大久保がフレッシュな動きを見せリズムを作り、一方の東京も下平を含めたディフェンスラインが高い集中力でピンチを凌ぐ。その後も一進一退の激しい攻防を繰り返したが、41分、中央から尹が浮かしたボールを森島がポストで落とし、走り込んだ大柴がゴール。試合はこの後も終了のホイッスルが鳴るまでC大阪が意地を見せたが、結局このまま試合終了。この時点でC大阪のJ2降格は決定してしまった。

 FC東京は約1ヶ月ぶりの勝利を味わい、「ラスト4戦全勝」に向けて着実な一歩を踏み出した。最後に余計な失点をしてしまったが、全体的にはアマラオ、三浦が戻ってきてチームは前節より各段に締まった。そして、鏑木享ら前節からメンバーに加わっている選手達も実戦の経験を踏んだことで確実にレベルを上げている。まだまだベストメンバーからは遠いが、次節にはまた頼もしい誰かがピッチに戻ってくるだろう。アマラオがゴールを決めると負けないという、「不敗神話」も今季だけで9勝2分に伸ばした(昨年の2ndステージからカウントすると15勝2分)。アマラオが絶好調の今、この記録は頼もしい限りだ。次節はウチにとっても相手にとっても「大一番」になるであろう鹿島戦に臨む。「ラスト3戦全勝」を達成するために、王者・鹿島を敵地で倒す!

【大熊監督コメント】ケリーが離脱しているということと(C大阪の今の)状況から、相手は最初から前掛かりで勝ちに来るということはわかっていた。そこへ、今日は戸田が入ったことで前線の運動量が増え、相手の嫌がる所への走り込み、飛び出しが効いており、良い時間帯で点が取れたので久しぶりに楽な展開になった。戸田が他のチームとの試合でもこれだけできれば大きな戦力になる。期待しているし、もっと上を目指してさらに頑張って欲しい。

【ジョアン・カルロス監督コメント】試合前から状況は厳しいものだったが、この日の敗戦でJ2に落ちることが決定した。試合内容は私達はちゃんとゲームを構築していたし、点も取った。ただ、FC東京も良い試合をして、勝つに相応しいサッカーをしていた。良いゲームだったと思う。(私が就任してから)2勝8敗という数字は、私がチームを変えられなかったということだ。フロントも最大限サポートしてくれたし、選手も良くやった。怪我で悩まされたことはあったが、これを理由にしたくはない。チームには優秀な選手が多い。私が変えられなかっただけのことだ。私はプロだし、責任もある。この結果から逃げるようなことはしない。チームが残留できなかった責任は取るが、契約がある限り戦いたい。今の状況、選手が直面している状況は厳しい。私自身も自分のキャリアの中で一番大きな壁にぶつかっている。選手が一番辛いのはわかっている。ただ、応援してくれるサポーターのためにも、家族や友人のためにも、頑張らなければならない。