GAME RESULT試合結果

2012/1/01(日)
観衆 41,974人 
天候 曇、弱風 気温 8.6度 湿度 % 
主審:西村雄一 副審:名木利幸/宮島一代 四審:

天皇杯 決勝

国立競技場

FC東京

4-2

試合終了

前半3-1

後半1-1

京都サンガF.C.

FC東京 京都サンガF.C.
・15分:今野 泰幸
・36分:森重 真人
・42分:ルーカス
・66分:ルーカス
得点者 ・13分:中山 博貴
・71分:久保 裕也
71分 鈴木 達也
75分 ロベルト セザー
88分 中村 北斗
選手交代 54分 久保 裕也
58分 駒井 善成
76分 下畠 翔吾
19 シュート 12
8 GK 8
11 CK 3
11 直接FK 9
1 間接FK 1
1 オフサイド 1
0 PK 0
警告
退場
FC東京先発
GK 20 権田 修一
DF 2 徳永 悠平
DF 3 森重 真人
DF 6 今野 泰幸
DF 33 椋原 健太
MF 39 谷澤 達也
MF 22 羽生 直剛
MF 18 石川 直宏
MF 10 梶山 陽平
MF 4 高橋 秀人
FW 49 ルーカス
FC東京控え
GK 1 塩田 仁史
DF 14 中村 北斗
MF 35 下田 光平
MF 32 上里 一将
MF 27 田邉 草民
FW 9 ロベルト セザー
FW 11 鈴木 達也
京都サンガF.C.先発
GK 1 水谷 雄一
DF 16 福村 貴幸
DF 3 森下 俊
DF 8 安藤 淳
DF 18 加藤 弘堅
MF 7 チョン ウヨン
MF 20 工藤 浩平
MF 15 中山 博貴
MF 23 中村 充孝
FW 13 宮吉 拓実
FW 9 ドゥトラ
京都サンガF.C.控え
GK 21 守田 達弥
DF 26 下畠 翔吾
DF 32 内野 貴志
MF 17 中村 太亮
MF 22 駒井 善成
FW 28 金 成勇
FW 31 久保 裕也

【選手・監督コメント】

カップを奪い取れ! 初の天皇杯決勝に挑む

 天皇杯決勝まで昇り詰めた東京。2012年元日、国立競技場にて京都サンガF.C.と合いまみえることになった。クラブとして臨む初の天皇杯決勝だが、カップ戦の決勝はナビスコカップ04年、09年に続いて3度目。その経験もチームの確かなプラスとしており、引き締まった雰囲気のもと、平常心で臨む一戦だ。

 今季最後の指揮を執る大熊監督も「選手たち自身がやるべきこと、相手にやられてはいけないことはもうわかっている。だからイキイキとプレーしてほしい。ただし何が起こるかわからない一発勝負で、運も引き寄せることが必要になるかもしれない。それを含めて、ここまできたらメンタルが大事になる。ピッチに立つメンバーだけでなく、31人全員が勝利をつかみ取るために強い気持ちをもって戦う」と力強く話した。

 対する京都は、J2リーグでは7位に。だがシーズン終盤にかけてチームとして熟成、共通意識を高めて天皇杯では山形、鹿島、湘南、横浜FMを撃破。鹿島に対しては1対0で、横浜FMには延長戦で4対2で勝利したように、粘り強い戦いも、打ち合いにも持ち込むこともできるチームへと進化している。

 一方の東京も 水戸、浦和、C大阪といずれも相手の反撃を抑えて1対0で勝利してきた。ここのところ先制を果たしたのちに押し込まれる時間が続いているが、反面、それは落ち着いて粘り強く戦えている証だともいえる。また今季のリーグ戦での京都戦は東京が2勝しているが、ここまでくれば過去のデータや戦績はあまり意味を持たないだろう。今日時点でのチーム力、勝負強さ、1つの駆け引きや局面の積み重ねが勝負を分けることになる。

 どんな局面でもあきらめることなくスタンドを含めた全員の力を一つにして、初の大舞台で一丸となって勝利をめざす。薄曇りの国立、試合は14時5分に東京のキックオフでスタートした。

先制を許すも、今野、森重、ルーカスのゴールで2点をリードして後半へ

 立ち上がりから右サイドの石川を中心に、京都の裏を狙ってチャンスを作った。3分には梶山→石川がシュート。7分、9分にも石川の突破を起点に京都ゴールに迫った。だが13分、自陣からの左スローインをマイボールに仕切れず、京都の反撃をくらう。中央寄りのFWドゥトラを今野と徳永が囲んで奪おうとするが、このボールが右サイドにこぼれ、京都MF中山にフリーで走り込まれ、権田の頭上を越えるループを決められ、先制を許してしまった。

 それでも決して慌てることなく、15分には左CKをショートでつなぎ、石川の左クロスをファーの今野がヘディング! ボールは反対サイドのネットに吸い込まれ、すぐに同点に追いつく。試合は振り出しに戻り、その後、京都のプレスに苦しめられ、なかなか落ち着いてボールを回すことができない時間帯もあったが、迎えた36分、谷澤がファールを受けて相手陣内・やや右寄りでFKを得る。30mほどの距離があったが、このFKを石川が短く外に出し、DFの壁でGKの見えないところから森重が狙った。無回転の素晴らしいシュートは見事にネットに決まり、勝ち越し点をゲット!

 その後は東京がリズムをつかみ、ルーカスを起点にパスをつなぎながら攻勢に出た。そして前半終了間際の42分には京都のゴールキックを高橋がヘディングで前線へ。これにルーカスが素早く反応し、相手DFから抜け出して落ち着いてGKの位置を見極めて流し込み、ゴール! 2点のリードを奪って後半へと折り返した。

ルーカスが京都を突き放す4点目を決め、大熊トーキョー、戴冠!!

 後半は反撃に出る京都の勢いの前になかなかつなげない場面が続いたが、守備ではきっちりと対応。相手にボールを持たせても、厳しいディフェンスで奪い、逆襲を仕掛ける展開に。66分には自陣で奪ったボールを谷澤が左前線のスペースへ。ここに椋原が豪快に攻め上がり、左エリアにスルーパス。これをルーカスがDFと交錯しながらもきっちりとコントロールし、相手DFをかわして角度のないところからゴール。京都を突き放す貴重な4点目をマークした。

 それでも粘りをみせる京都。71分にはゴール前やや左寄りからのFKをMFチョン ウヨンに狙われたが、権田が左手1本でセーブ! しかしこれで与えた右CKから、途中出場のFW久保のヘディングを許して失点を喫してしまった…。

 だが交代出場の鈴木、ロベルト セザー、中村を含めて、慌てずに再び厳しい守備からチャンスをうかがう。終盤は慌ただしい展開になったが切り替えの早さは失わず、ロスタイムにはセザーと鈴木が裏に飛び出し、絶好の得点機を迎える。京都の渾身の守備の前に5点目は奪えなかったが、最後まで自分たちのサッカーを貫こうとしてタイムアップ。

 随所に勝負強さを発揮した大熊トーキョー、天皇杯初優勝を果たし、今季を最高の形で締めくくくることになった。

 【選手コメント】《権田》「今日は結果がすべて。勝てたことで『OK』だと言っていいと思う。2失点は喫したが、攻撃陣に感謝をしている。リスタートからの得点が多かったが、それも、いろいろなところから点を取れるチームだという証明になったと思う。状況に合わせた戦い方、試合運びができたし、慌てることがなかった。それが今季の成長。巧者というにはまだ足りないかもしれないが、来季J1の舞台でそういう積み重ねてきたものを発揮したい」

 《塩田》「ずっとスタンドと一緒に喜びたい、カップをプレゼントしたいと思っていた。それは選手全員が同じ気持ちで、J2リーグのシャーレは渡せなかったので、今日はぜひスタンドに届けたかった。チームが良いときも悪い時もずっと応援してくれたし、今日も国立を“ホーム”にしてくれた。来季はもっと忙しくなるが、僕たちはまたサポーターとともに戦いたい。今季のサポートに心から感謝するとともに、これからもよろしくお願いします」

 【大熊監督の会見要旨】「今季はJ2で優勝したが、選手たちがよく話している言葉も『J1で本当に通用するかは分からない』と謙虚だった。今日優勝しても、これで本当に強くなったとは言い切れないが、J1の各チームを相手にここまで勝ち続けられたことは、完全ではないが『強くなってJ1に戻る』という当初の目標を証明できたのではないか。『J2だから』だとか『トーナメント戦だから』などと、色々な声は出ると思うが、チームはさまざまなプレッシャーを乗り越えて強くなるものだと思う。選手には非常に感謝をしているし、それをバックアップしてくれたスポンサーやサポーターの方々には、改めてさらに感謝を申し上げたい。そしてこれからも、FC東京を厳しく温かい目で見て欲しい。来季のJ1リーグ戦で活躍することを心から願っているし、天皇杯でも2連覇を目指してもらいたい。

 このチームには自分が見続けてきた選手が多く、彼らのレベルアップ、そしてチーム、クラブのレベルアップを含め、アジアに連れて行きたいと思っていた。それはクラブの夢でもあったが、私自身の夢でもあった。それを達成させてもらったことに対しては感無量。サッカーはグローバルなものなので、そこに向かってやらなくてはいけないことはまだまだ多いが、選手たちに感謝している。みなさんにも今後ともFC東京のバックアップ・ご支援の程、ぜひお願いしたいと思っている。本当にありがとうございました」

 【京都・大木監督の会見要旨】「まず選手に感謝したい。J2リーグが終わり、天皇杯ではまず『J1に勝って』と言われて、佐川印刷、そして鹿島に勝った。その後『国立に連れて行って』と言われて湘南に勝ち、国立に来たら今度は『決勝に連れて行ってください』と言われてまた勝ち、最後は『優勝してください』と言われたが、それはできなかった(笑)。だんだんハードルが高くなる中で一つひとつ越えることができたが、最後の高いハードルは越えられなかった。しかし、ここまで連れて行ってくれた選手には本当に感謝しているし、スポンサー、後援会、サポーターのみなさんに心から感謝をしたい。足りなかったのは私の努力不足。

 ゲームとしては2失点目、3失点目が非常に残念だった。また得点を決めたい4分の3のエリア、最後のところでのクオリティの違いははっきり出たと思う。そのあたりでのもう少し良いアイデア、良い技術でFC東京に立ち向かわなければならなかった。ただそれを嘆いていても仕方がない。もう一度反省をして次に向かわなければならない。当初はJ2同士の決勝で『レベルが低いんじゃないか』と言われたこともあったが、決してそんなことはなかった。FC東京には心の底からおめでとうと言いたいし、素晴らしいサッカーに拍手を送りたい。我々は来季もう1年、J2で戦うが、ぜひJ1に昇格してチャンピオンになれるように頑張りたい」