GAME RESULT試合結果

2011/11/16(水)
観衆 5,937人 
天候 晴、無風 気温 14.1度 湿度 % 
主審:扇谷健司 副審:八木あかね/伊東知哉 四審:

天皇杯 3回戦

味の素スタジアム

FC東京

2-1

試合終了

前半1-1

後半0-0

延長前半0-0

延長後半1-0

ヴィッセル神戸

FC東京 ヴィッセル神戸
13分:高橋 秀人
120+1分:森重 真人
得点者 37分:河本 裕之
55分:石川 直宏
64分 :ロベルト セザー
112分:鈴木 達也
選手交代 46*分:田中 英雄
72分:楠瀬 章仁
98分:ボッティ
27 シュート 19
15 GK 12
11 CK 6
19 直接FK 18
0 間接FK 7
0 オフサイド 7
0 PK 0
' 71 中村 北斗
' 94 高橋 秀人
警告 ' 53 大屋 翼
' 81 相馬 崇人
' 86 ポポ
' 90+2 河本 裕之
' 102 大屋 翼
退場 ' 102 大屋 翼
FC東京先発
GK 20 権田 修一
DF 14 中村 北斗
DF 2 徳永 悠平
DF 3 森重 真人
DF 33 椋原 健太
MF 39 谷澤 達也
FW 27 田邉 草民
MF 4 高橋 秀人
MF 10 梶山 陽平
FW 38 坂田 大輔
FW 49 ルーカス
FC東京控え
GK 1 塩田 仁史
DF 36 ジェイド ノース
MF 18 石川 直宏
MF 32 上里 一将
MF 35 下田 光平
FW 9 ロベルト セザー
FW 11 鈴木 達也
ヴィッセル神戸先発
GK 1 紀氏 隆秀
DF 5 河本 裕之
DF 4 北本 久仁衛
DF 25 石櫃 洋祐
DF 3 相馬 崇人
MF 15 大屋 翼
MF 7 朴 康造
MF 13 大久保 嘉人
MF 8 松岡 亮輔
FW 17 吉田 孝行
FW 11 ポポ
ヴィッセル神戸控え
GK 30 徳重 健太
DF 21 茂木 弘人
DF 14 宮本 恒靖
MF 10 ボッティ
MF 16 楠瀬 章仁
MF 18 田中 英雄
FW 20 森岡 亮太

【選手・監督コメント】

天皇杯3回戦、さまざまな気持ちを込めてJ1神戸に挑む!

 天皇杯3回戦が開催。味スタにてJ1のヴィッセル神戸と対戦する。リーグ戦は、前節の勝利で昇格に王手をかけた。そこから中3日で迎える天皇杯。週末には重要なアウェイ鳥取戦を控え、コンディション面と精神的な難しさもあるはずだ。だが、選手はそれぞれに「J1チームとの対戦を楽しみにしている」とモチベーションは高い。大熊監督も「来季、J1を戦う上での良い指針になるはず」と話し、この戦いを少しでもチームのプラス材料にしつつ、来季を見据えた絶好の機会と捉えている。

 対する神戸は、現在J1リーグでは10位。昨季のリーグ戦では最終節まで残留争いし、結果的に順位の逆転を許したチームだ。因縁の対戦ともいえるが、権田が「リベンジを果たしたいというより、J1のチームに対して自分たちが積み重ねてきたものが通用するか、対抗できるか。その意識のほうが強い」というように、現段階での真価が問われる一戦でもある。

 大熊監督は「自分たちのサッカーのベースは崩さないが、そのままで良いというほど甘くない。精神的な強さも、戦い方の工夫もプラスアルファが必要になる。J2ではミスをしても、相手がミスで返してくれるときがあるが、それはJ1では通用しない」と明言。J2で積み上げてきた冷静な状況判断を続け、粘り強さと勢いを加えて打倒J1・神戸をもくろむ。

 ただし足に違和感をかかえる羽生は連戦を考慮し、今節は出場を回避。森重はリーグ戦の出場停止から明けたが、今野は日本代表のため不在に。そのため徳永と森重がセンターバックを、坂田がFWを務める布陣で臨むことになった。冷え込む味スタ、試合は19時に神戸のキックオフでスタートした。

セットプレーから高橋のゴールで先制し、リズムをつかむも同点弾を許し延長に

 立ち上がりは激しいプレスをかけてくる神戸にボールを奪われ、少々浮足立つシーンも見られた。3分には梶山→谷澤のパスをカットされ、神戸MF大久保にカウンターをくらう。FWポポとのワンツーからエリア内に進入されるが、ここでは厳しい守備で守り切る。6分にもDFラインで奪われ、神戸がワンタッチでエリア内のFW吉田にパス。シュート体勢に入られるが、森重がスライディングでカット。CKに逃れて守り切った。

 だがこの時間帯をしのぐと徐々に東京らしいサッカーで攻めに出た。12分には相手陣内でボールを回して中央に引き付け、谷澤が右のスペースに送る。ここに中村がタイミングよくオーバーラップし、鋭いクロス。飛び込んだ坂田には合わなかったが、CKを得る。13分、この左CKから谷澤のキックに合わせて、ニアの高橋がヘディング。ボールはゴール前の混戦をすり抜けてネットにイン。セットプレーのチャンスをきっちりと活かして先制を果たした。

 先制した後は東京がリズムを掴み、神戸陣内でプレーする時間が増えた。だが神戸も慌てることなく堅守から鋭いカウンターを仕掛ける展開に。37分には神戸MF朴に、抑えたミドルを放たれるが、権田がセーブしCKに逃れる。しかしこの左CKからMF朴のキックに合わせたDF河本の飛び込みを許し、ヘディングを突き刺されて失点…。同点に追いつかれて前半を終了した。

 後半も互いに攻め合う展開となったが、東京は55分には田邉に代えて石川を、64分には坂田に代えてロベルト セザーを投入。早い段階で勝負を仕掛けた。セザーがピッチに入った直後の65分には、中央で高橋がインターセプトし、前線にスルーパス。そこにセザーが抜け出し、GKと1対1のビッグチャンスを作る。だが、神戸GKの果敢な飛び出しの前にシュートはストップされ……。

 その後も互いに迫力のある攻撃を仕掛け、攻守の入れ替わりが激しい展開に。後半ロスタイムには中村が右サイドから中に攻め上がり、梶山がエリア内のルーカスにスルーパスを送る。ルーカスはDFから離れる動きでフリーになり、決定的なシュートを放つが、GKがセーブ……。跳ね返りに詰めた森重のシュートも浮いてしまい、勝ち越しはならず。試合は延長戦に突入した。

森重が値千金のヘッド! 激しく熱い試合で劇的な勝利をつかみ4回戦へ

 延長前半の102分、神戸MF大屋が2度目の警告を受け、退場に。10人になった神戸に対して延長後半は猛攻を仕掛けた。112分には谷澤に代えて鈴木を投入。さらに畳み掛けるように前線に圧力をかけ、攻め込む東京。116分には左サイドから石川の蹴ったFKに合わせ、ニアサイドに走り込んだ鈴木のヘッドがネットを揺らすが、これはオフサイドに…。

 続いて椋原の左クロスが、エリア内の相手DFからこぼれ、至近距離のセザーがシュート体勢に入るが打ち切れず。こぼれをつないで正面のルーカスに回し、決定機を迎える。119分にはセザーが右サイドを突破。マイナスのパスに梶山がどんぴしゃで合わせるが…いずれもことごとくGKに阻まれ、、PK戦に突入するかに思われた。

 だが迎えたロスタイム、セザーのシュートが神戸GKを強襲。CKに逃れられたが、この左CKを石川がファーに蹴り、森重がヘディングでゴール! 激しく熱い試合は劇的な幕切れ。120分をとおして気持ちを切らさず、森重の値千金のゴールで勝利をもぎ取り、4回戦に駒を進めた。

 【選手コメント】《森重》「今日は両チームの全得点がセットプレーだったが、まず守備の部分でやられないことを第一に考えていた。個人的には反省が残る。一方で2得点できたことはチームにとってのプラス。神戸はやはりJ2とはスピードが違ったし、一人ひとりの能力が高かった。その中で通用した部分もあるし、課題も感じた試合。でも、チームとしてチャンスを作っていたし、いい形で崩したり、うまくボールも回せた。それは自信にしていいし、十分戦えるという手応えもある……けれども…もっと精度を上げていかなければいけない」

 《高橋》「対戦相手が神戸であることは意識したし、何よりJ1との対戦で、個人的に『J1では通用しない』と言われるのは絶対に嫌だった。ゴールは谷澤選手のCKが、少しゾーンを外したところを狙ってきた。良いところにきてヘディングを決められた。全体をとおして不用意なボールロストがあったし、ゲームをコントロールすることはできなかった。ただ、インターセプトや、中盤の球際など、負けてはいけない部分では手応えを感じられるプレーができたと思う」

 【大熊監督の会見要旨】「J1チームとの対戦でもひたむきに全力を出し切ればやれると。多少なりとも31人のチーム力が付いてきたことを、選手たちがピッチ上でよく表現してくれた。交代選手も含め、全員が攻守に手を抜かず、ひたむきに戦った。少しでも抜いていたらやられてしまっていた。攻め疲れしてもおかしくない中で、集中を切らさずに攻め続けたり、カウンターを受けそうなときに、坂田がポジションに関係なく戻ってケアした場面もあった。サッカーで一番大切なことをやり続けたことが、結果に繋がったと思う。ただ、前半はリズム良く攻めている中でセットプレーから失点した。ハーフタイムには『サッカーに内容勝ちというものはない』と話したが、我々がセットプレーから得点し、かつセットプレーからの失点が無ければ、もっと優位性を持ってゲームを支配できたと思う。引き続き天皇杯を戦えるし、残りのリーグ戦も、しっかりと力が付くような試合をやっていきたい。

 (延長戦を経ての勝利が次にもたらすものは?)やはり序盤は、J1のスピード感やプレッシャーに慣れていない感じがあり、このままではやられるという雰囲気があった。ただ時間が経つにつれて、身体で覚えている経験、フィジカルコンタクトやスピードにも慣れてきた。できれば前半は1対0で終わりたいと思っていたが…。ただ、次の鳥取戦を考えることは全くなかった。ここから中2日しかないが、コンディションを考えてメンバーを選びたい。坂田もひたむきに自分の特長を出してくれたし、今はよい競争と結束が積み上げられてきている。今の状態であれば、誰が出てもひたむきに戦えると思う」

 【神戸・和田監督の会見要旨】「J2のFC東京に敗戦し、非常に残念で悔しい思いで一杯です。ただFC東京はJ1でも、もしかしたら上位にいけるくらいのチーム力があるのではないかと思っていた。試合前から、しっかりと入らなければ厳しいゲームになると伝えてゲームに臨んだ。セットプレーから失点をしてしまい、その後はFC東京のペースで試合は流れたが、前半のうちにセットプレーから得点ができて良かった。内容はそれほど良くなかったが、よく同点に追い付いた。我々のペースに持っていけなかった一つの要因は、連動した守備ができなかったこと。ピッチにかなり水を撒かれており、パススピードが非常に速かった。そこに対するプレッシングが後手になり、パススピードに付いていけない状況になった。神戸らしい守備ができなかった。

 後半はMF松岡に代えてMF田中を入れたことで、前線のサポートができた。後半はボールも動き出したし、チャンスも作れたが。延長戦で1人少なくなり、全員が失点はせず、ワンチャンスがあれば決めようという意識で戦った。よく凌ぎ、身体を張って走っていたが、最後はFC東京の執念がゴールに繋がったと思う。1人少ない分、一番裏のところに人数が足りなかった。あのセットプレーも狙ったボールだったと思う。GK紀氏もよく防いで、ことごとくFC東京のチャンスを凌いでいた。結果としては残念な敗戦になった。ただ、FC東京と来季対戦できることを楽しみにしている。来季は負けないチームにしていきたい。今日はお互い本当によく戦ったし、素晴らしいゲームができたことを嬉しく思う」