GAME RESULT試合結果

2007/12/08(土)
観衆 4,512人 
天候 曇、弱風 気温 20.1度 湿度 % 
主審:吉田寿光 副審:江角直樹/二俣敏明 四審:

天皇杯 5回戦

香川県立丸亀競技場

FC東京

2-1

試合終了

前半1-1

後半1-0

PK戦0-0

サガン鳥栖

FC東京 サガン鳥栖
19分:梶山 陽平
80分:平山 相太
得点者 9分:衛藤 裕
63分 浅利 悟
87分 池上 礼一
77分 平山 相太
選手交代 81分 鐵戸 裕史
84分 廣瀬 浩二
67分 山口 貴之
10 シュート 10
9 GK 4
4 CK 7
9 直接FK 10
3 間接FK 5
2 オフサイド 5
0 PK 0
15 茂庭 照幸 警告 89 金 信泳
13 ジョズエ
退場
FC東京先発
GK 22 塩田 仁史
DF 25 徳永 悠平
DF 8 藤山 竜仁
DF 2 茂庭 照幸
DF 15 鈴木 規郎
MF 27 栗澤 僚一
MF 7 浅利 悟
MF 18 石川 直宏
MF 16 池上 礼一
MF 23 梶山 陽平
MF 6 今野 泰幸
FC東京控え
FW 9 ルーカス
FW 20 川口 信男
FW 13 平山 相太
GK 31 阿部 伸行
DF 4 八田 康介
MF 35 リチェーリ
FW 33 小澤 竜己
サガン鳥栖先発
GK 12 赤星 拓
DF 16 高地 系治
DF 5 飯尾 和也
DF 4 吉田 恵
DF 29 日高 拓磨
MF 14 高橋 義希
MF 28 野崎 陽介
MF 15 鐵戸 裕史
MF 23 衛藤 裕
FW 18 廣瀬 浩二
MF 30 レオナルド
サガン鳥栖控え
FW 9 金 信泳
FW 32 ジョズエ
FW 7 山口 貴之
GK 31 中林 洋次
DF 3 加藤 秀典
MF 24 清水 康也
MF 19 山城 純也

【選手・監督コメント】

相手よりも気持で上回り、準々決勝進出を目指す


 天皇杯5回戦は丸亀競技場でサガン鳥栖との対戦。リーグ最終節の甲府戦は、相手の勢いに苦しめられるも、チーム一丸となって耐え、勝利をもぎ取った。天皇杯はトーナメント方式の一発勝負であるので、内容よりも結果が求められる。ただひたすら勝利を求め、相手よりも気持で上回り、準々決勝進出を目指したい。

 対する鳥栖は、J2で年間8位。ただしリーグ戦では、10月28日第48節より5戦負けなし。天皇杯では、3回戦で筑波大に勝利、4回戦ではアルビレックス新潟を3ー2で突き放し、ここまで勝ち上がってきた。勢いは上向きで、堅守からスピーディに仕掛ける攻撃は、まったくあなどることはできない。また、鳥栖のエース、今季J2で24得点を挙げて日本人選手トップのFW藤田は、ケガのために戦線離脱となったが、逆にもう一人のFW金は、ここ最近は絶好調で、常にゴールを狙い、鋭い“一発”もある。十分な注意が必要だ。

 東京は、甲府戦で足を傷めた馬場、また金沢、伊野波も足の状態が万全でないことからメンバー入りせず。鈴木規が左サイドバックに、栗澤が左MF、ルーカスと川口が2トップを務める布陣で臨む。原監督は「鳥栖は『J1を倒そう』というモチベーションは高いはず。J2とは違う舞台で、普段とは違う注目も浴びるし、勢いもある。そこにうまさで勝とうとしてもダメ。球際の競り合いや、セカンドボールをどちらが取るかなど、一つひとつのプレーが勝敗を分けるので、一番はそこに負けないこと」と狙いを話した。

 栗澤は「主導権を握りたいのはもちろんだが、たとえうまくいかない時間があっても、粘り強く我慢してバランスを修正し、自分たちのリズムをつくりたい」ともくろむ。負ければ今シーズンが終わってしまうだけに、強い気持ちとあきらめない精神で、なにがなんでも勝ち続けたい。試合は13時4分に東京のキックオフで開始された。

先制されるも、梶山の豪快なミドルで同点に


 試合開始から激しい奪い合いが続く。だが徐々に鳥栖は、前線に早いタイミングでボールを送り、リズムをつかむ。8分には、左サイドからワンツーでFW金にオフサイドぎりぎりに飛び出され、シュートを打たれるが、塩田の好セーブでピンチを逃れる。しかし直後の9分、カウンターからMF野崎の右クロスからゴール前で混戦になり、FWジョズエのシュートがこぼれたところを、MF衛藤に蹴り込まれて、早くも失点。うまくリズムを作れないまま先制を許した。

 だが、決して気持ちを切らすことなく反撃。11分には、栗澤が右エリア内に持ち込み、逆のエリアに詰めたルーカスに浮き球のパス。ルーカスはヘッドで前の川口につなごうとするが、GKが飛び出してキャッチ。16分は、川口が右サイド・ゴールライン際からクロス。鳥栖DFのこぼれを徳永が拾い、猛前進。右サイドからクロスを送るが、中央のルーカスにはわずかにタイミングがはずれ、シュートは打ち切れなかった。ファーに流れたボールを梶山がフォローするが、シュートまでにはいたらず。

 すると19分、右サイドで徳永→石川が中へ切り込みシュート。ボールはヒットせずに転がるが、ルーカスがすかさず奪って後方へ落すと、これに詰めた梶山が思い切りよく、右足を振り抜く。美しい弾道のシュートは、GKの手をかすめてゴール右上隅に決まり、同点に追いついた。23分には、梶山の右へのサイドチェンジを相手DFがヘッドでクリア。こぼれをルーカスが左に振り、駆け上がった鈴木規がゴールを狙うが、大きく枠を外れた。勢いを取り戻したかにみえたが、それでも鳥栖は、ボランチを起点に速攻を仕掛ける。

 一進一退の展開になる中、栗澤を中央へ、川口を左に配し、パスの出所を抑える狙いで対抗。40分には、石川の右クロスをルーカスが落とし、エリア手前の梶山がシュートを蹴ると見せかけて、左へパス。これを栗澤がミドルレンジから狙ったが、シュートはわずかに左上に。44分は、右の徳永のクロスに、ニアの今野がヘッドで合わせるも、GKの正面に。結局互いにラストプレーでの精度を欠き、1ー1で前半を終了した。

平山のゴールで鳥栖を突き放し、逆転勝利を飾る


 後半は一転して東京がボールを支配し、ゲームを優位に進めた。47分、左サイドで今野→鈴木規が前に上がり、ゴールライン際の位置からクロス。中央で栗澤が頭から飛び込むみ、どんぴしゃのシュートを放つが、GKのセーブに阻まれる。鳥栖も53分、MFレオナルドが直接狙ったFKは、ゴール右下隅の枠内に飛ぶが、塩田が好セーブ逃れる。しかしその後は、互いになかなかチャンスをつくれないまま時間は過ぎる。63分には浅利を投入。梶山が一列前に、今野も攻め上がりゴールを狙う。

 66分、梶山が左からドリブルで仕掛けて、ゴール前の今野にパス。シュート体勢に入るが、DFに当たり勢いなくGK正面に。75分には、右の石川→中央のルーカスが左に流し、川口がエリア内に進入してシュート。しかしこれもDFに寄せられてGKがキャッチ。逆に鳥栖も76分には、左エリア内をMFレオナルドが疾走。ゴール前のラストパスに、右からMF衛藤が飛び込む。決定的な場面であったが、鈴木規がしっかり身体を寄せ、ボールはわずかに左にはずれ、ピンチを免れた。77分には平山がイン。結果的にこの交代が功を奏することに。

 迎えた80分、右サイドでのボールの奪い合いから、平山が中央にいた梶山に横パス。これをゴール正面に走り込んだ石川に対して、浮き球を送ると、石川はDFと競り合いながらも粘り強く、右で待ち構える平山につないだ。このボールを平山は、ワンステップでシュート。左足で鋭いシュートを蹴り込み、鮮やかに勝ち越しを決めた。反撃に出る鳥栖のシュートは、塩田の好セーブもあり、きっちり抑えてタイムアップ。5回戦に勝利し、2004年シーズン以来となる準々決勝進出を決めた。なお、対戦相手は15日に行われる磐田対広島の勝者となる。

 【選手コメント】《平山》「ゴールは、ナオさんが、しっかりつないでくれたので決めようと思った。この前、原監督から『しっかりゴール前で動いてチャンスをつくること。ディフェンスもしっかり』と言われていたので、今日はいい準備ができていたと思う。負けたら終わりのゲームで、もっと長くやっていたいという気持ちがゴールにつながった。今後もゴールや、守備でもチームプレーに貢献できるようにがんばります」《梶山》「シュートはゴールの位置だけ見えていた。GKはわからなかった。ずっと『もっとシュートを打て』と言われていたので、決めることができてよかった。原監督にはずっと使ってもらって、それに応えたいという気持ちが一番。またこのメンバーで戦えるのはあとわずか。そういう気持ちで絶対負けたくなかった。(平山選手のゴールについて?)相太は、この前原監督からこんこんと話をされていた。それにモニさんに『原さんはオマエに期待しているんだぞ』と言われて、気持ちも変わったみたい。見た目は変わらないけれど(笑)」

 【原監督の会見要旨】「甲府戦のあと、ずっと鳥栖の試合のビデオなどを観ていた。ここのところ負けがなく、相手が強くなればなるほどいいサッカーをするチームだし、今日の試合は難しくなると思っていた。試合前には、ルーズボールに集中すること、球際の競り合いに対してしっかり競り、負けないようにすることを選手に話していた。しかし、前半の失点ではそのすべてができず、相手の反応の早さにやられてしまった。ただ、失点があのように早い段階だったのがよかった。その後しっかり落ち着いて、自分たちのサッカーをやり直すことができたと思う。浅利の交代については、相手の2トップにボールを入れられて、そこからさばかれることでバランスを崩していたので、彼をうちのDFラインの前に入れて、しっかりバランスをとるようにした。そして今野の役割をはっきりさせ、後ろを安定させることで梶山・今野の2人の攻撃力を活かそうとした。平山は、ここ最近途中交代で試合に出ても、やる気が見えないようなプレーがあった。チームの他のメンバーに悪い影響があるといけないこともあり、甲府戦はメンバーからはずした。その後、彼と話をしてここ何日か気持ちの入ったプレーができてきた。試合中も、「いくか」と尋ねたら、はっきりと「いきます!」と答えたので、これなら大丈夫だと思った。誰もが知っているとおり、彼は力があるので、それをコンスタントに出せるようにしてほしい。彼の得点は非常に嬉しい。鳥栖は非常にいいチーム。全員がハードワークできるし、うちが見習うべきところがたくさんあった。次は熊本で磐田と広島の勝者。一つひとつしっかり戦っていきたい」

 【鳥栖・岸野監督の会見要旨】「藤田がいないというのは関係なく、攻める時は全員で攻めるし守る時は全員で守るというのが一番大事なこと。先制したときは、みんなが前にいくという姿勢ができていた。前半に他にもチャンスはあったが、そこで一気に勝負を決めてしまうことが必要だった。1-0というのは、終わってみれば(拮抗した)おもしろい試合とも言えるが、やはり我々が2点目を取らなければならなかった。ゲームとしては、今日は充分にできていたし、今日戦った選手たちは、非常にファイトをみせてくれた。いまは悔しさで一杯だが、サガン鳥栖は非常にいいチーム。自信をもっていいと思う。失点のシーンは、相手にしっかり寄せるという、いつも言っていることができなかった。1点を取ってからも、守るという意識は全くなかった。しかし、前半の途中から、うちの最終ラインに人が1枚あまるという形になったため、相手に押される展開となった。後半はお互いにしんどい中でどういうことができるかというところだった。個々の精度という意味では、やはり差があったと言わざるを得ない。しかしサッカーの要素はそれだけではない。そういう意味では、チームに差があったとは全く思わない。結果としては負けで、言い訳と取られるかも知れないが、鳥栖と東京はほとんどかわらないと思う。支えてくれたサポーターやクラブスタッフも含めて、チーム全体がレベルアップした。非常に成長が感じられる。成績については全く満足できる内容ではないが、今シーズンは自分にとってすべてが楽しい時間だったし、いいチームになったと思う」