GAME RESULT試合結果

2006/11/05(日)
観衆 6,397人 
天候 晴、弱風 気温 23.5度 湿度 % 
主審:高山啓義 副審:前島和彦/平野伸一 四審:

天皇杯 4回戦

味の素スタジアム

FC東京

7-0

試合終了

前半3-0

後半4-0

PK戦0-0

バンディオンセ神戸

FC東京 バンディオンセ神戸
17分:増嶋 竜也
85分:ルーカス
33分:ルーカス
43分:馬場 憂太
50分:馬場 憂太
62分:鈴木 規郎
70分:鈴木 規郎
得点者
60分 鈴木 規郎
53分 宮沢 正史
66分 池上 礼一
選手交代 45分 山道 高平
49分 石田 雅人
74分 吉沢 秀幸
26 シュート 8
15 GK 13
6 CK 4
6 直接FK 14
3 間接FK 12
1 オフサイド 10
0 PK 0
35 馬場 憂太 警告 29 津山 憲毅
23 森 陽一
退場
FC東京先発
GK 22 塩田 仁史
DF 25 徳永 悠平
DF 19 伊野波 雅彦
DF 5 増嶋 竜也
DF 8 藤山 竜仁
MF 20 川口 信男
DF 15 鈴木 規郎
MF 23 梶山 陽平
MF 16 宮沢 正史
MF 6 今野 泰幸
MF 11 阿部 吉朗
FC東京控え
MF 14 馬場 憂太
DF 26 池上 礼一
FW 9 ルーカス
GK 1 土肥 洋一
MF 18 石川 直宏
MF 10 三浦 文丈
FW 39 平山 相太
バンディオンセ神戸先発
GK 1 古田 泰士
DF 6 鎌田 祥平
DF 5 神崎 亮佑
DF 4 川口 健二
DF 25 深田 慶太
DF 3 山道 高平
MF 13 森岡 茂
MF 18 芝崎 公彦
MF 8 川崎 元気
MF 9 石田 雅人
MF 7 津山 憲毅
バンディオンセ神戸控え
FW 24 和多田 充寿
FW 26 森 陽一
FW 19 吉沢 秀幸
GK 15 宣 幸宏
MF 14 大塚 靖治
FW 10 西村 完爾
FW 20 小田 晃

【選手・監督コメント】

天皇杯開幕、主導権を握り、格の違いを見せたい


 天皇杯が開催。J1クラブにとって初戦となる4回戦が行われた。東京は、味スタにて関西社会人リーグ1位のバンディオンセ神戸と対戦。元旦まで続く今季最後の大会に、気持ちも新たにして臨む。過去、天皇杯の初戦では“格下”のカテゴリーのチームに苦しめられてきた。そのため倉又監督は、今日の試合に「フレッシュな選手を入れて戦い抜きたい」と話し、先発にGK塩田、左MFに阿部、右に川口を起用。「彼らは普段の練習やトレーニングマッチでも結果を残している。これまでの先発選手を休ませるためではない」と、その意図を説明した。また池上が5月17日ナビスコ浦和戦以来にベンチ入りした。DFラインは、茂庭、ジャーンがケガのため、増嶋と伊野波がセンターバックを組む布陣で臨むことになった。

 対するB神戸は、今季の関西社会人リーグで優勝。天皇杯では1回戦から参加し、V・ファーレン長崎、愛知学院大、J2の横浜FCを次々と撃破。チームとして上り調子であることは間違いない。警戒するべきは、FW和多田、森の2トップ。彼らにはスピードがあり、Jリーグでの経験も豊富だ。左サイドの森岡もかつてG大阪に在籍し、存在感を発揮している。堅い守りから2トップにボールを集め、一気にカウンターを仕掛けてくる攻撃には、注意が必要だ。何より彼らにとっては失うものはないはずで、その闘争心に負けないように戦いたい。

 東京は、B神戸の引いた守備をどう崩しかがポイント。川口、阿部らのスピードを活かしてチャレンジし、ルーカス、馬場らの連係から焦らずに波状攻撃につなげたいところ。気持ちで負けず、自分たちのサッカーで主導権を握って、格の違いを見せたい一戦でもある。試合はよく晴れて冬の気配を感じさせる味スタ、13時ちょうどにB神戸のキックオフでスタートした。

増嶋のゴールを皮切りに、ルーカス、馬場がチャンスを活かす!


 前半から東京ペースで試合は進んだ。だがB神戸も4-4-2の布陣でプレスを仕掛けて、素早く攻撃に転じ、立ち上がりは決してラクな展開ではなかった。2分には、B神戸MF川崎にミドルシュートを打たれる。5分にはB神戸FW森が右サイドからクロスを上げ、FW和多田がヘディングシュートを放つ。しかし東京は焦ることなく対処。こちらも奪っては積極的に攻撃を仕掛け、両サイドを起点に多くのチャンスを作り出していく。11分には、梶山と馬場のワンツーから、梶山が前線へ浮き球のパス。受けた阿部がオーバーヘッド気味にシュートしたが、わずかにゴール右へ切れる。14分には右エリアに侵入した徳永から、エリア左のルーカスへサイドチェンジ。ここからルーカスが狙ったが、シュートは枠の外に。

 迎えた17分。左CKを得ると、馬場のキックを増嶋がヘッドで叩きつけ、ゴール! 先制点を奪った。“ほしい時間”にゴールを決めた東京は、これで落ち着き、相手のプレスをかわして安定した試合運びを見せる。19分、馬場のミドルはバーを直撃。23分には、B神戸FW森がエリアに進入、伊野波とぶつかり倒れるが、これはFW森のファールに。31分には、馬場から阿部へ絶好のスルーパスが出されるが、トラップが大きすぎて、ゴールラインを割った。

 追加点が生まれたのは33分。今野が中盤でカットしたボールが阿部にわたり、空いたスペースをドリブルで持ち上がる。相手DFに付かれると見るや判断よく、同時に上がっていたルーカスへラストパス。これをルーカスがきっちり決めて、2点目をゲット! 41分には、DFラインでのパス回しをB神戸MF森岡にカットされ、カウンターを受けるが、MF津山→FW和多田に出たラストパスは、塩田が飛び出してキャッチ。すると43分には、右サイドに流れたルーカスが粘り強くキープ。中央でパスを受けた阿部が果敢に仕掛け、こぼれに詰めた馬場がゴール! サイドのルーカスから、中央に走り込んだ阿部を起点に、2列目の馬場が決め、リードを3点差に広げて後半へと折り返した。

鈴木も2ゴールを挙げ、大量7得点で苦手の初戦に勝利!


 後半もB神戸陣内で試合は進んだ。開始直後に今野がドリブルで猛然と上がり、エリア右の川口へ。川口はスピードに乗ってシュートするが、相手GKのセーブに阻まれる。48分には、B神戸に2本のCKを与え、こぼれからDF鎌田がミドルを放つが、枠を外れる。50分には、梶山から浮き球のパスを、前線に抜け出した馬場がフリーでGKと1対1になり、左エリアから狙い澄ましたシュートを放ち、ボールはゴール右にイン! B神戸の反撃の士気をくじく4点目を奪った。

 53分には梶山に代えて宮沢を投入。60分には、宮沢が自陣左から大きなサイドチェンジ。受けた徳永がドリブルで上がり、クロスのクリアを馬場がシュート…とダイナミックな攻撃をみせるが、シュートはバーをヒットした。この直後に川口に代わり鈴木が左MFにイン。阿部が右に回る布陣をとる。鈴木の交代直後の62分、徳永の右スローインから、阿部、ルーカスがヘッドでつなぎ、エリア内の混戦のこぼれに詰めた鈴木が、落ち着いて蹴り込み、ゴール!

 B神戸は、中盤が間延びしてプレスがかからず、主導権は完全に東京に。66分には、馬場に代えて公式戦初出場となる池上を投入。池上がボランチに入り、宮沢が一列前に上がる布陣で、落ち着いたパス回しから何度もゴールに迫った。69分には、B神戸がカウンターからMF森岡がミドルを狙うが、塩田がキャッチ。直後に東京は素早くボールをつなぎ、鈴木がペナルティアーク左寄りまで上がり、左足を振り抜く。ボールはGKの手前でバウンドしてイン! 鈴木も2得点を奪った。

 それでも攻撃の手を緩めず、72分には、徳永が中に切り込み、ゴール前の混戦から、エリア手前の池上が思い切ってシュート。76分には、自陣でのFKから、素早く阿部が前線に抜け出しシュート。いずれも枠を捉えることはできなかったが、積極的にゲームを展開。81分には、B神戸MF津山のスルーパスにMF芝崎が抜け出すが、伊野波と塩田が連係して危なげなく守る。直後にクリアを拾われてMF津山がミドルシュートを打たれるが、塩田のセーブでCKに逃れた。

 B神戸の攻撃をシャットアウトすると、85分には左の鈴木からパスを受けたルーカスが前にプレッシャーがないとみるや、エリアの外からミドルシュート。ボールはきれいな弧を描いてネットに吸い込まれ、7点目をゲット。ルーカスのビューティフルゴールで締めくくり、チーム初となる大量7得点で勝利。危なげなく5回戦に駒を進めることとなった。天皇杯次戦は、12月9日(土)岡山県陸上競技場桃太郎スタジアムにて清水エスパルスと対戦する。

 【選手コメント】《塩田》「点差は開いたが、そんなに簡単な試合ではなかった。今日は東京が攻撃に出る時間が多くなると思っていたので、カウンターへのケア、攻撃に出て行った選手の穴のバランスを整えることを心掛けた。無失点で終わることができたが、自分だけでなくDFラインの頑張りや、FWのチェイシングがあってこそのこと。これまで天皇杯の初戦は苦しむことが多かったので、しっかりモノにすることだけ考えていた。リーグ戦、ナビスコ杯では調子が上がらず、残されたタイトルは天皇杯だけになったので、全力で獲りに行きたい」《増嶋》「こういう試合は、相手に守られてカウンターから決められるというパターンが多い。自分はケガが長引いていたが、ようやくチャンスをもらったので、結果を残したかった。伊野波とはお互いに声を掛け合い、どちらかが当たってどちらかがカバーしようとした。(先制点は)いいボールが来たので、合わせるだけだった。あそこで取れて、リラックスして戦えるようになったと思う。でもゴールはおまけみたいなもので、無失点で勝てたことがうれしい」

 【倉又監督の会見要旨】「選手には、どんな相手にせよ、しっかりと試合に入らなければいけないと話して臨んだ。前半の早い時間に点を取って、自分たちのペースで進めたかった。正直に言えば、もう少し早い時間に取れるチャンスがあったので、そこで取ってもっと自分たちのリズムで進めたかった。ただ、前半に3点を取って折り返していたので、精神的にはラクだった。後半は、相手もある程度積極的に点を取りにくるので、そこで4点目を取れば勝利できると考えていた。過去に天皇杯の初戦はいつも苦しいゲームをしていた。結果的に7点取れて、これほどの大差で勝ったゲームはないので、自分としては満足している。(交代は)鈴木に関しては、初めから後半の途中から入れるつもりでいた。彼には一発があるので、ある程度の時間を与えて送り出した。結果的に2点取ってくれた。梶山は腿の前を少し傷めているので、無理をさせたくなかった。馬場もケガがあり、内転筋を傷めているので、そこに池上を入れて宮沢を前に出した。こういう場面も想定して、先週から練習を重ねてきた。(ワイドに展開していたが?)ルーカスを起点に、彼を左右のスペースに走らせ、2列目から飛び出すという攻撃の形をつくりたかった。3点目などは、まさにその形。今季ずっと練習していた形で点が取れた。天皇杯はもちろん優勝を狙っている。その意味でも、次の清水戦は関門になるだろう。リーグ戦では清水に負けてから6連敗し、悔しい思いもある。清水には何としてでも勝って、上をめざしていきたい」

 【バンディオンセ神戸・橋本監督の会見要旨】「現実を見せつけられた。私自身も選手も言い訳のできない、レベルの差をはっきり見せつけられたという印象で、結果を真摯に受け止めたい。当初のプランは、前の横浜FC戦と同様、どこまで失点しないで続けられるかということ。それがミスから失点して、立て直しがきかなかった。ミスをすれば、J1のレベルでは必ず失点につながると話し、なんとか自分たちのプランでできればと試合に臨んだが、こういう結果に終わってしまった。攻撃の形では何度か決定的なシーンをつくれたが、まだ薄い。もっと厚みが必要なので、今後の課題としたい。守備では、FC東京の中に入ってくる選手と、外に開く選手に対し、サイドバックとサイドハーフのどちらがいくのか、はっきりしない部分があった。コミュニケーション不足や動き出しの遅さもあり、相手があれだけのスピードでくると混乱した。もっと落ち着いてやろうということ、プレーの質や精度を含めて指示をしていた。コミュニケーション不足などに関して、ここまでのチームの課題でもある。2週間後には社会人大会もあるので、修正していきたい。常日頃から、チームのプランというのは選手個人のスキル、メンタル、コンディションのアップがあってこそのもの。個人のレベルアップがあって組織ができると考えている。今日はミスが多かった。ボールを止める、蹴る、走る、その中で判断するという質の差が出てしまった。横浜FC戦では、プレーの質、精度という面で、なんとか対抗できていたが。ただ、私たちはJFLの舞台にいきたいというプランがある。今日のゲームで、もっと頑張らなければいけないということを思い知らされた。これをいい経験と受け止め、今後、今日の試合がいいゲームだったと思えるように修正していきたい」