GAME RESULT試合結果

2004/12/19(日)
観衆 33,480人 
天候 晴、 気温 14.1度 湿度 % 
主審:松村和彦 副審:手塚洋/宮島一代 四審:

天皇杯 準々決勝

埼玉スタジアム2002

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FC東京

1-2

試合終了

前半0-0

後半1-2

PK戦0-0

AWAY

浦和レッズ

FC東京 浦和レッズ
61分:石川 直宏 得点者 85分:三都主 アレサンドロ
64分:田中 達也
87分 近藤 祐介
60分 浅利 悟
70分 ケリー
選手交代 89分 内舘 秀樹
9 シュート 21
18 GK 17
3 CK 11
4 直接FK 8
1 間接FK 3
1 オフサイド 3
0 PK 0
警告 79 平川 忠亮
退場
FC東京先発
GK 1 土肥 洋一
DF 3 ジャーン
DF 20 加地 亮
DF 29 前田 和也
FW 25 近藤 祐介
DF 8 藤山 竜仁
MF 11 阿部 吉朗
MF 16 宮沢 正史
MF 7 浅利 悟
MF 6 今野 泰幸
MF 18 石川 直宏
FC東京控え
MF 14 馬場 憂太
MF 19 ケリー
FW 9 ルーカス
GK 22 塩田 仁史
DF 5 増嶋 竜也
浦和レッズ先発
GK 1 山岸 範宏
DF 20 堀之内 聖
DF 3 アルパイ
DF 33 ネネ
MF 16 三都主 アレサンドロ
MF 13 鈴木 啓太
MF 17 長谷部 誠
MF 14 平川 忠亮
MF 6 山田 暢久
FW 11 田中 達也
MF 19 内舘 秀樹
浦和レッズ控え
FW 9 永井 雄一郎
GK 23 都築 龍太
DF 2 坪井 慶介
MF 7 酒井 友之
FW 30 岡野 雅行

【選手・監督コメント】

天皇杯ベスト4をめざし、リベンジに燃える浦和と対戦


 2004シーズンを締めくくる大会=天皇杯、今日は準々決勝で浦和レッズと対戦する。東京としては初となるベスト4進出をめざすが、12日(日)に行われた5回戦・大宮戦以降に三浦、鈴木、金沢が負傷。日本代表の土肥、加地は16日(木)にドイツとの親善試合に臨み、チームに合流して間もなく、茂庭、戸田、梶山らも不在の中、苦しい状況といわざるを得ない。センターバックはジャーンと藤山、左サイドバックには前田。ボランチは今野と宮沢がコンビを組み、左MFは阿部が先発で出場することとなった。

 対する浦和もエメルソン、闘莉王が故障のため欠場。その上、11日(土)にJリーグチャンピオンシップ、15日(水)に天皇杯5回戦を戦い、中3日での連戦となる。両者にとって厳しいコンディションでの戦いとなるが、浦和にとってはホームの埼玉スタジアムでのゲーム。スタンドもナビスコカップのリベンジに燃えているはずだ。

 浦和はメンバー表では3バックだが、MF平川を左サイドバックに入れた4バック。また「FC東京は1トップの後ろに3人の中盤の選手がいて、ここが攻撃陣。そこを抑えるために中盤を厚くしたかった。鈴木、三都主、山田、長谷部は運動量も豊富でディフェンスもオフェンスも両方できる」(ブッフバルト監督)という理由から、MF鈴木を1ボランチに、右にMF山田、左にMF三都主、トップ下にMF長谷部という中盤の布陣で臨んできた。朝は照っていた陽も徐々にかげり、曇り空のもと寒風が吹き抜ける中、東京のキックオフでスタート。

浦和ペースで進むも、決定的なチャンスは互角!


 開始1分、ファーストシュートを放ったのは東京。ルーカスが左サイドで浦和DFアルパイと勝負し、強引に仕掛けた。4分には浦和FW永井が中央突破からドリブルで右エリアに流れる。前田がうまく身体を入れてマイボールにしたが、その後の処理が甘く、ゴール前でピンチに。6分にはロングパスに永井が飛び出すが、藤山の巧みなプレーでカット。7分には石川のクロスに阿部がヘッドで合わせるがゴールの上に。ともに攻撃的な姿勢を打ち出して戦うが、東京は浦和の4バックのサイドをなかなか突けず、ペースは徐々に浦和に。

 浦和はサイドハーフの山田、三都主が中に絞り、中盤を厚くしてこぼれ球を拾っては攻撃につなげてくる。だが集中した守備で跳ね返すと、20分には加地が今日初めてドリブルでサイドを疾走、オーバーラップをかける。22分には藤山から左の阿部にパスがとおり、アーリークロス。中のルーカスには合わなかったが、東京も押し込まれずに石川のスピード、阿部の相手のタイミングをはずす動きを中心によい攻めの形が出ている。25分にはゴールキックからルーカスと相手DFが競り、前に流れたボールを阿部がヘディングでうまくコントロールしエリアに突進。ゴール右よりから決定的なシュートを放つが、わずかにゴール左に切れ、先制のビッグチャンスを逃がした。

 29分には再三右サイドでキレのある動きをみせている永井のクロスをファーサイドで三都主が合わせるが、至近距離からのシュートは土肥がセーブ。切り替えの速い攻防に気の抜けない展開は続く。36分には相手陣内でルーカスが倒され、これで得たFKをルーカス自身が直接狙うがバーの上に。浦和は39分、40分にCKからの攻め。42分には平川の左クロスから中央で三都主がヘディングシュートを放つが、ゴールをはずれる。直後には東京が左・前田→中央・宮沢→右・加地とつなぎ、加地がゴールを狙うが左に。終盤は東京が支配する時間が長くなったが得点にはいたらず、勝負は後半へと持ち越された。

ビューティフルゴール! 石川の2試合連続ゴールで先制


 0対0で折り返した前半。東京にとっては狙いどおりの展開だといえるだろう。だが浦和に焦りはなかった。アグレッシブに速い攻撃を仕掛け、47分には2本のCK。2本目は三都主のキックをアルパイがヘッドでつなぎ、永井に決定的なヘディングシュートを放たれるが、バーの上に。東京も52分には、馬場のパスに石川が右エンドライン際に抜け出し、鋭いクロス。中央で阿部が待ち受け、エリア左にこぼれたところを馬場がシュート。相手ブロックに合いCKに逃れられたが、続いて宮沢の左CKをジャーンが落とし、ゴール正面で今野が体勢を崩しながらもシュート。ゴールはわずかに外れたが、惜しいシーンであった。

 浦和は58分、中盤でテンポよくパスを回し、三都主がコースを突いたミドルシュート。これは土肥がゴール左下隅でナイスセーブ。続いてCKからFW田中達が放ったシュートは枠をそれる。60分には平川のパスを中で受けた三都主がミドルシュート、土肥がはじき、拾った山田がダイレクトで放ったシュートも土肥ががっちりキャッチ。浦和が攻勢にゲームを進める中、東京は60分に宮沢に代えてケガから復帰した浅利を投入、浅利は6月16日1stステージ第13節以来の出場となった。

 そして東京の先制点が生まれたのは、直後の61分。自陣の低い位置でボールを奪い、その浅利がサイドチェンジのロングパスを左へ。相手陣内で受けた阿部が右に上がった石川へグラウンダーのパス。石川はドリブルで前進すると、エリア手前から迷わず右足を振り抜いた! 狙い澄ましたシュートは相手GKの右手をすり抜け、ゴール左下隅にきっちりイン! 速い攻撃、理想の展開で浦和からゴールをうばった。

攻守に健闘するも逆転負けを喫し、今シーズンを終える


 ところがゴールの余韻も覚めやらぬ、その3分後、64分のことだった。中盤で馬場のパスが相手に当たりカットされてしまう。これを浦和MF鈴木が自陣から前線右にロングパス。ピタリと永井に渡ると、永井はドリブルで仕掛け、右エリアエンドライン際に侵入。マイナスの折り返しに合わせゴール正面で田中達にシュートを打たれる。ボールはスライディングで防ぎにいった今野に当たってコースが変わり、ゴールイン。速攻のお返しで、またたく間に追いつかれてしまった。

 これで勢いに乗る浦和、猛攻は続いた。69分には右クロスを東京DFがクリア仕切れず、DFネネのエリアへの侵入を許す。70分には三都主のドリブル突破をファールでしか止められず、左エリア直前でのFKを与えてしまう。山田が放った強烈なシュートは土肥がセーブ! CKからゴール前の混戦となり、ゴールエリア左に抜け出した三都主のボールも土肥が身体を張って阻止。

 よく耐えていた東京は70分、ここで馬場に代えてケリーを投入。終盤に勝負をかけた。だが浦和は、その後もCKを中心にセットプレーからチャンスをつくる。78分には右に流れていた三都主が中に切り込み、エリア左角から強烈なシュート。土肥のセーブでCKに逃れる。その中でも一矢報いようと覇気あふれるプレーをみせる東京。81分にはルーカス&ケリーのコンビで中央突破を図り、こぼれ球を阿部がシュート。そして83分には、中盤のルーズボールをケリーが奪って右サイドへパス。抜け出した石川が相手DFを切り返してゴール正面に速いクロスを送る。これを阿部がポストとなり、エリア右から正面に回り込んだケリーがシュート!だがボールは惜しくもバーを直撃!!残念ながらゴールはならなかった。

 攻守入れ替わりの早い展開が続く中、チャンスを逸した後にピンチは来た。84分、前田が攻め上がり右クロスを送るがファーの石川には合わず。これでゴールキックを得た浦和は前線にボールをつなぎ、長谷部がドリブルでタメを作ると、右エリアに永井を上がらせパス。得点シーンと同じようにエンドライン際まで切り込んだ永井が、浮き球でマイナスのラストパス。フワリと浮いたボールは土肥の伸ばした手も届かず、落ち際に走りこんだ三都主が押し込みゴール。5分を残し、逆転を許してしまった。

 東京は87分には前田に代えて近藤を投入。阿部を前線に、近藤を左MFに置き、総力戦で1点を取りにいった。最後の最後まで、本当にあきらめずに闘う姿勢は途切れなかったが、ロスタイムのCKのチャンスもゴールならず。全員でよく守りよく攻め、よく闘った好ゲームであったが、力及ばず敗戦。同時に2004年シーズンを終了した。

 【選手コメント】《石川》「あと2試合戦いたかったが…。チームとして来シーズンにつながるようなイメージはあり、収穫はあったと思う。個人的に得点に絡めたのはよかったし、判断も速くなっている。あとは精度の高いボールで、もっとチャンスを作っていきたい。自分では納得のいかないシーズンでもあったが、一度タイトルを獲ったことでもっと『獲りたい』気持ちが強くなった。選手としていい経験を積めたので、今度はそれを《結果》につなげなければいけない」《浅利》「復帰できた喜びよりも、負けたことがキツかった。守備面で期待されて入ったのに相手の波状攻撃を止められず、そのリズムを変えられないと自分が入ったことに意味はない。悔しさは来シーズンに。またゼロからポジションを獲ることからがんばりたい」《ケリー》「結果は残念だったが、いい試合だったと思う。逆転されたが、最後まであきらめずにがんばったので、みんなのことを誉めたい。もちろん負けたら終わりだとはわかっていたし、1月1日に国立で戦いたかった。ファンのみなさんと一緒に喜び、交流をもって終われなかったことは寂しいが、でも下を向く必要はない。4年間がんばってチームも自分もレベルアップしたし、東京に居たこと、ナビスコカップのタイトルを獲れたことが何よりうれしかった。サポーターのみなさんには個人的にもチームも愛してもらって本当に感謝している。これからもFC東京を応援してほしい」


 【原監督の会見要旨】「浦和は15日水曜日の試合でも、もう少し疲れがあるかなと思って見ていたが、チャンピオンシップにも敗れてしまったことで、それ以上に天皇杯にかけるモチベーションが高いと感じた。我々はここに来てケガ人が多発しているのは事実。けれども前田、阿部を始め、今までがんばってきた選手や試合に出たいというモチベーションの高い選手を思い切って使った。今日は浦和にとってはホームの雰囲気になるだろうし、モチベーションがかなり高いので押されるとは思っていた。そこでいい守備をしながら勝負どころで勝負しようと。前半もボールの取られ方が悪いと浦和の得意なカウンター、しかもドリブルで仕掛けられて危ない場面があったが、そこをしのいで後半にチャンスが来るんじゃないかと思っていた。理想的な形から先制できたが、その後ミスから同点にされてしまった。憂太がいくつか選択肢がある中でゆっくりしてしまい、そこを取られてサイドチェンジされ、永井選手に1対1の場面を作られてしまった。1対0でリードした後にうまくボールを動かしてプレーできればよかったが。それでもケリーを投入し、彼が一仕事してくれるんじゃないかと思っていた。あのクロスバーに当てたシュートを入れてくれれば完璧だったが。ケリーに関しては今年はケガが多く、今日のシュートに象徴されるようにアンラッキーなことが多かった。あれが入っていれば試合展開もまた変わったかもしれない。だが、最後は浦和の天皇杯を獲りたいという気持ちに押されてしまった。いい試合はできたと思うが、あそこで勝ちきれるようなチームにしていかなければならない。課題の反面、浅利や前田を始め、普段出ていない選手でも、誰が出てもやれるというのが我々の今のチームのよさになりつつある。ケガ人をしっかり治して、来シーズンはもっともっとレベルの高いチームにしていきたい。(永井選手に左サイドを崩されたが?)サイドバックをできる選手がなかなかいないというのが正直なところ。藤山はずっと真ん中でやらせてきたので、そこはいじりたくなかった。増嶋にもサイドを練習させているが、センターバックが一番得意。仕方がなかった。前田の課題としてそこでしっかりつぶせないという事があるが、よく闘い全体的な出来はよかった。確かにあそこが金沢だったらという場面はあったが、いない選手の事は考えていない。長いサイドチェンジを受けて、簡単に前を向かれて勝負されたら、永井選手であればあれくらいはやれる。だからそこに出されないように、その前の取られ方が問題。あとはチャンスに決められるかというところで、攻撃のほうが課題だった。(ケリー選手に対して)ケリーのためにも勝ちたかった。ケリーは人間的にもすばらしかったし、ここまでFC東京が強くなってきたのは彼のおかげ。去年までは、極端に言えばケリーに預けておけば何かやってくれるとみんなも頼っていた。みんなで守ってケリーとアマラオに渡せばゴールも決めてくれると。アマラオがいなくなった今シーズンもケリーに期待していたが、膝を傷めて1stステージはほとんど出られなかった。その分、去年までは全部ケリーに頼っていた若い選手、馬場や梶山や栗沢ら、そういう選手たちでいいリズムができるようになった。2ndステージはそこにケリーが復帰したが、彼自身ももっといい事をしなければと力が入りすぎて、うまくチームになじめなかったところがあった。ただ独特のドリブルなど、すばらしいものがあった。シュートはちょっとへたくそだったけれどね(笑)。あそこまでドリブルはうまいのに、サイドキックでも入りそうなシュートをトウキックで蹴っちゃったり。そこだけがケリーの苦手なところだった。けれども人間的なすばらしさを含め、本当にチームを支えてくれた。これからもどこかのチームで活躍してくれるだろう。ケリーのおかげで我々はここまで上がってこれた。本当に感謝しています」

 【浦和・ブッフバルト監督の会見要旨】「今日の試合は、監督仲間である原さんがすでに分析をしているでしょう。なので言う事はほとんどありません。ただ感想を話すと、今日は最初からゲームを支配できたし、パスもつながり、いいゲームができた。中盤をダイヤモンドの形にするという初めての試みだったが、積極的に攻撃ができたし、それによって相手を混乱させたと思う。そうはいってもFC東京はカウンターが非常に怖いチームで、それが出ていた。前半に関してはいいゲームを作れていた。後半もいい形で入り、押し続けたが、残念ながらチャンスをうまく活かせなかった。その理由には相手のGKがすばらしかったということもあるが、その中でカウンターで失点してしまった。我々は土→水→日という連戦で、しかもチャンピオンシップでは120分間戦い、当然選手たちは疲れていると思った。だが、FC東京の選手のほうが足が止まってしまい、浦和の選手は生き生きとプレーをしていた。コンディショニングはすばらしいと思う。ということで0対1から、本当にきれいな…というよりも、妥当な形で同点に追いつくことができた。1対1に追いついた後は、試合は一方的に支配し、選手たちが本当にいいプレーをして、攻撃的にどんどん攻めて、そしてやはり妥当な形で終了間際に2対1となった。今シーズン、我々の選手たちがやってくれたことは本当にすばらしい。Jリーグ両ステージ、ナビスコカップで、浦和だけが優勝争いをしていたと言えると思う。常に上位で戦ってくれた選手たちをほめたいと思う。この前のチャンピオンシップ、それからナビスコカップの決勝も試合に負けたわけではないが、タイトルを獲れなかった。最後のチャンスである天皇杯で、今、準決勝に進んだので、それを獲りに行きたいと思う。本来ならば、ケリー選手のシュートがバーに当たり『あれが入らなかったのは本当にラッキーだった』と言うべきところだが、ナビスコカップの決勝の後、原監督が田中達也のヘディングがポストに当たったのを何も言わずに『完璧に抑えた』と言っていたので、その発言はしたくない(笑)」