GAME RESULT試合結果
第8節 2000/4/22(土)
観衆 6,621人
天候 曇、弱 気温 18.0度 湿度 50%
主審:ソウザ 副審:柳沢 和也/蒲澤 淳一 四審:水流 伸治
J1 1st 第8節
広島ビ
0-1
試合終了
前半0-0
後半0-1
サンフレッチェ広島 | FC東京 | |
---|---|---|
得点者 |
73' 神野 卓哉 |
|
59' 藤本 主税 → 大久保 誠 63' 森﨑 和幸 → 森保 一 78' 伊藤 哲也 → 川島 眞也 |
選手交代 |
34' アマラオ → 神野 卓哉 58' 小池 知己 → 喜名 哲裕 80' 小峯 隆幸 → 山尾 光則 |
13 | シュート | 7 |
9 | CK | 3 |
16 | FK | 15 |
52' 服部 公太 56' 久保 竜彦 |
警告 |
41' 小林 成光 |
退場 |
GK | 1 | 下田 崇 |
DF | 18 | ポポヴィッチ |
DF | 5 | 伊藤 哲也 |
DF | 19 | 上村 健一 |
MF | 3 | 沢田 謙太郎 |
MF | 4 | 桑原 裕義 |
MF | 17 | 服部 公太 |
MF | 34 | コリカ |
MF | 20 | 森﨑 和幸 |
FW | 11 | 藤本 主税 |
FW | 10 | 久保 竜彦 |
GK | 12 | 加藤 竜二 |
DF | 16 | 川島 眞也 |
MF | 7 | 森保 一 |
MF | 8 | 大久保 誠 |
FW | 14 | 高橋 泰 |
GK | 20 | 土肥 洋一 |
DF | 2 | 内藤 就行 |
DF | 26 | 小峯 隆幸 |
DF | 3 | サンドロ |
DF | 8 | 藤山 竜仁 |
MF | 7 | 浅利 悟 |
MF | 16 | 小池 知己 |
MF | 14 | 佐藤 由紀彦 |
MF | 24 | 小林 成光 |
FW | 9 | ツゥット |
FW | 11 | アマラオ |
GK | 21 | 遠藤 大志 |
DF | 4 | 山尾 光則 |
MF | 23 | 喜名 哲裕 |
MF | 6 | 浅野 哲也 |
FW | 15 | 神野 卓哉 |
【選手・監督コメント】
負けられない一戦
前節のG大阪戦に敗れ、今季初の連敗を喫してしまった東京。開幕後7試合を経て、J1というレベルの高いステージでの戦いは、昇格したばかりのチームにとって想像以上に選手に負荷をかけ、心身ともに疲労のピークにきているのか。あるいは、アマラオ、ツゥットの”強力ツートップ”を軸とした縦に速い「東京のサッカー」が研究され、各チームの「東京対策」が功を奏し始めたのか。いずれにしても、この日の試合に勝って連敗ストップすることは必須である。レベルの高いJ1で3連敗すればチーム内の雰囲気は暗くなり、過去のチームにもあったように「連敗地獄」にはまる可能性も秘める。まずはどんな形でもいいから勝つことが大切であった。
一方、この日の対戦相手、サンフレッチェ広島にとっても負けられない一戦となる。優勝を目差す広島は現在9位を走っているが、まだ上位チームとの差は大きくなく、離されてはいない。この日の試合に勝てば上位に食い込むための大きな前進となるが、逆に負ければ下位チームの仲間入りとなる。まさに瀬戸際である。ホームゲームということもあり、死に物狂いで向かってくるだろう。
お互いが「堅守⇒速攻」を得意とするだけに、1点を争う攻守の切替の速いゲームになることが予想された。
攻撃の形が作れず苦しい展開に・・・
ゲームは序盤から、当初の予想とおり攻守の切替の速いゲームが展開された。東京は左サイドバックの藤山が積極的に攻め上がり、MF小林成とのコンビネーションやポストに入るアマラオに好パスを配給し、攻撃の起点となった。が、しっかり引いて深く守る広島に対し、東京は決定的な場面を作れず、逆にアマラオが不調で前線にタメがなく、ポストのところでボールを奪われては逆襲を食らうという苦しい展開に。今週は足の故障に加え、週中に体調を崩し、ほとんど練習をしなかったアマラオは精彩を欠き、広島の193センチの大型DF・ポポヴィッチのハードマークに仕事らしい仕事をさせてもらえなかった。
深く守られてスペースを消された上に、前線に起点を作れない東京は、ツゥット、由紀彦のスピードも活かせず苦しい時間が続く。
一方の広島は、ボールを奪うと深い位置から素早く左右前線へ大きく展開してきた。このボールに五輪代表の藤本やコリカがサイドに流れて起点となり、そこへ両サイドハーフがスピーディーにサポートしては早いタイミングでクロスを上げてきた。このボールに最近復帰したばかりのエース・久保が、高いジャンプでゴールを狙ってくるシンプルなサッカーだが、東京のお株を奪う「攻守の切替の速いスピーディーなサッカー」を展開してきた。
苦しい時間の続く東京はここで動く。前半34分、東京は不調の”キング”アマラオに代えて、ケガから復帰したばかりの神野を投入した。「アマラオの代わりは神野しかいない。彼のポストプレーに期待している」と大熊監督が語るように、開幕前から神野投入パターンは決まっていた。直後の39分には、右サイドで細かくつないで由紀彦が絶妙のクロスを上げると、入ったばかりの神野がダイビングヘッド!惜しくもボールはゴール右に外れたが、昨年のJ2初代得点王はいきなり魅せた。
流れを変えたPK!?
ハーフタイムに大熊監督はこう言った。「とにかく神野のポストを起点にすること。そして、神野からのパスでサイドをえぐってチャンスを掴むように」。
後半が始まると、この指示とおり神野にパスを通す狙いが徹底された。肝心の神野は、久しぶりの試合でけしてベストではなく、期待されたポストプレーもやや不安定ではあったが、重責を背負った男のその直向なプレーはチームの士気を高めた。
東京は後半13分、小池に代えて喜名を投入。キープ力のある喜名を投入することで中盤の組み立てにリズムが出始めたが、一方で広島のカウンターの頻度も高くなった。グラウンダーのボールに対しては小峯が、クロスなどハイボールに対してはサンドロが、それぞれ役割をしっかりこなし、幾度となく攻め込まれる苦しい場面で体を張って阻止する。両サイドバック、浅利もそうだ。そして、GK土肥のファインプレーも幾度となくピンチを救った。この日の東京の集中力は素晴らしかった。これまでの総失点の内、7割以上がセットプレーからという「課題のセットプレー」に対しても、GK土肥を中心に高い集中力で跳ね返した。
そして後半20分、この日の勝敗の分かれ目となる場面が訪れる。広島のカウンターから久保が右サイドを突破すると、追いかけた小峯がペナルティエリア内で痛恨のファール!レフェリーのジャッジはPKだった。試合の流れ、敵地、時間帯を考えると、非常に厳しい現実であったが、ポポヴィッチの蹴ったPKを土肥が見事キャッチ!鹿島戦に続くPKストップに応援団からは「ミラクル・ヨウイチ!」の大合唱が巻き起こる。苦しい展開には変わりなかったが、この集中力がゲームの流れを変えた。
神野が値千金の決勝ゴール!
大ピンチを切り抜けた東京であったが、試合はその後も広島ペースが続いた。が、迎えた後半28分、東京は一瞬のスキを突く。それまでのハードマークが甘くなった一瞬のスキにボールを受けた神野は、前を向いて右方向にドリブルをすると、そのさらに右のポジションにいたツゥットが絶妙のタイミングで自分のマークを外す。そこへ神野がすかさずパスを通すと、ツゥットは相手DFと競りながら右足で強烈なシュートを放つ。広島GKが懸命に弾くが、そこへ詰めていた神野が冷静に押し込んで、待望の先制点をゲットした。けして派手なゴールではなかったがストライカーらしい得点で、神野は東京(移籍後)初ゴールを最高の場面で決めた。
その後は、広島の猛攻が待っていた。後半31分には、右のクロスから決定的な場面を作られるが、サンドロを中心に体を投げ出して、シュートの雨を防ぎきった。その3分後には左からのクロスに久保がヘッドすると、これも土肥がはじき出す。結局、試合終了まで集中力を欠かさなかった東京が逃げ切り、今季3度目の完封勝利で、連敗をストップした。
【大熊監督コメント】
アマラオがいなくなって、前線の運動量がツゥット1枚になってしまい、また中盤の力不足で苦しい展開となった。このメンバーだと、少ないチャンスを如何に生かすかしかない状況だった。その意味では神野がよく決めてくれたと思っている。土肥がPKを止めてくれたのも大きかった。
反省点は、終盤、相手が前にかかってきた時に、ちゃんとボールをつないでいけば追加点を奪えたこと。これも中盤の力不足が要因だった。