GAME RESULT試合結果

第8節 2000/8/05(土)
観衆 7,676人 
天候 晴、弱 気温 29.0度 湿度 75% 
主審:松村 和彦 副審:黛 俊行/中込 均 四審:鍛冶 勉

J1 2nd 第8節

金沢

HOME

FC東京

0-2

試合終了

前半0-1

後半0-1

AWAY

柏レイソル

FC東京 柏レイソル
得点者 18' 北嶋 秀朗
76' 大野 敏隆
53' 佐藤 由紀彦 → 増田 忠俊
63' 迫井 深也 → 浅野 哲也
73' 小池 知己 → 戸田 光洋
選手交代 52' 平山 智規 → 入江 徹
74' 田ノ上 信也 → 萩村 滋則
85' 加藤 望 → マウリシオ
17 シュート 15
5 CK 4
19 FK 14
警告 41' 下平 隆宏
67' 田ノ上 信也
89' 北嶋 秀朗
67' 増田 忠俊
退場
FC東京先発
GK 20 土肥 洋一
DF 2 内藤 就行
DF 26 小峯 隆幸
DF 3 サンドロ
DF 8 藤山 竜仁
MF 25 迫井 深也
MF 16 小池 知己
MF 14 佐藤 由紀彦
MF 24 小林 成光
FW 9 ツゥット
FW 15 神野 卓哉
FC東京控え
GK 1 堀池 洋充
DF 4 山尾 光則
MF 6 浅野 哲也
MF 13 増田 忠俊
FW 29 戸田 光洋
柏レイソル先発
GK 1 南 雄太
DF 4 渡辺 毅
DF 20 洪 明甫
DF 3 薩川 了洋
MF 27 田ノ上 信也
MF 5 下平 隆宏
MF 7 明神 智和
MF 6 平山 智規
MF 10 大野 敏隆
FW 9 北嶋 秀朗
FW 11 加藤 望
柏レイソル控え
GK 22 吉田 宗弘
DF 19 入江 徹
MF 2 萩村 滋則
MF 30 マウリシオ
FW 28 玉田 圭司

【選手・監督コメント】

1stステージの借りを返し、連敗を脱出せよ!


今年4月1日、前節まで開幕3連勝と勢いに乗り、その日行われた試合に勝てば昇格チームとしてはJ新記録(開幕4連勝)を達成する東京は、敵地柏の葉競技場に乗り込み柏レイソルと対戦。内容は2度先行される苦しい展開ながら、その都度追い付き、そして延長でも接戦を演じたものの、最後は終了間際にVゴールを決められ涙を飲んだ。昨年ナビスコカップを初めて制するなど、西野監督体制下で着実に実績を積み上げている優勝候補に対し、互角以上の試合運びで最後まで苦しめることができたことは東京にとっても自信につながる一戦となった。JFL時代から数えて計7試合の対戦で1勝(93年8月、江戸川、スコア2-1)しかあげていない強敵ではあるが、1stステージで見せたような最後まで諦めない東京らしいサッカーを展開すれば勝算は十分にある。2ndステージでは現在5連勝の後2連敗と苦境に立たされている東京は、この悪い流れを立ちきるためにも、今日の試合には何としても勝つことが大切であった。

主力不在の穴を突かれ、いきなりの失点


この日の試合会場は、東京の今季3回目の都外開催ホームゲームとなる石川県の金沢にある石川県西部緑地公園陸上競技場。試合前に、この日J通算100試合出場を達成したGK土肥選手に花束が贈呈されたが、対戦相手が昨年まで所属していた柏レイソルであることに何かの因縁だろうか。

東京は、浅利、喜名というダブルボランチに加え、エースのアマラオを怪我で欠く苦しい布陣で試合に臨んだ。アマラオの不在はタイプは違うものの、調子のいい神野が十分カバーしてくれることが予想されたが、守備のバランスを保つ浅利、ゲームメイクもこなす喜名の不在は、簡単にはカバーできないものがあり、不安材料となった。

試合は柏ペースで始まった。柏は抜群のポストプレーと得点力に優れた北嶋をターゲットに、両サイドから早いタイミングでクロスを上げて勢いを見せ付け、中盤では天才MF大野を軸に多彩なパスワークでリズムをつかもうとしてきた。試合前、大熊監督は「(柏のゲームメーカー)大野をいかに潰すかが勝敗を左右する」と話していたように、この大野からのパスが要注意であることはすぐに理解できた。大野はけして長くボールをキープすることはなかったが、左サイドのテクニシャン平山や豊富な運動量とスピードで裏へ飛び出してくる加藤、そしてゴール前に張りつく北嶋へ絶妙のタイミングとコースで鋭いパスを配給した。

東京はこの柏のパスの出所にボランチの迫井を当ててきたが、なかなか捕まえることができず、結局ここから崩されることになった。18分、この”要注意人物”大野がドリブルで仕掛けてくると、それに反応して北嶋がマークを振り切りゴール前に突進。そこへすかさず大野が絶妙のスルーパスを通すと、北嶋は無理な体制で倒れながらもシュートを放ち、ゴールを決められてしまった。大野のスルーパスのタイミング、北嶋の走るコースと決定力など、最も気をつけなければならないパターンから先制点を許してしまった。

左サイドのスペースを使い反撃開始


この1点で東京は目を覚ました。この日の試合ではどちらがサイドで優位に立てるかが一つのポイントになると思われたが、失点後、東京はこの「サイド攻撃」から反撃を開始する。柏は3バック体制を取っており、サイドハーフが攻撃にシフトすれば、当然そこにスペースが生まれた。大熊監督は試合前のミーティングでもここを指摘しており、選手も柏のスピード、攻撃パターンが掴めてきた前半20分過ぎから、このスペースを突くようになった。特に左サイドでは、小林成が意図的にそのスペースに飛び出し、左サイドバックの藤山とのコンビネーションや右の由紀彦からの大きなサイドチェンジなどでチャンスを作るようになった。27分には、左の小林成から中央のツゥットへ、そして右サイドを上がった内藤へパスが渡り、最後は内藤が豪快なシュートを放ったが惜しくもボールはゴール左へ外れた。続く28分、今度は藤山が左サイドをドリブルで駆け上がり、トップの神野へパス。神野はワントラップでDFを振り切りGKと1対1になったが、シュートは惜しくも外れてしまった。さらに29分、またしても左サイドを小林成が突破すると、グラウンダーのスピードのあるボールを中央へ。そのボールを神野がシュート打つと見せかけてスルーし、その後ろから由紀彦が強烈な左足のシュートを放つが、GK正面に。35分には、左サイドを藤山がドリブルで突破して中央の小林成へパス。小林成は一つドリブルを入れてから左足を振り抜くと、ボールは一直線に柏ゴールへ向かい、ゴールネットを揺らすかと思われたが右ポストに直撃。43分にも、神野がポストに入って落としたボールを小林成がドリブルで突進。ペナルティエリア内で倒されたが、PKにはならなかった。

一方、18分の得点以降、東京に押し込まれていた柏も、30分に大野がドリブルで上がり、左サイドに飛び出した加藤へ。加藤はパスを受けるとドリブルから左足の強烈なシュートを放ったが、ボールはポストを直撃しゴールならず。44分には、右サイドを突破し大きく逆サイドへクロスを入れると、再び加藤がフリーでシュートを放ったが、当たり損ねでクリアされた。

前半は東京が1失点したものの、シュート数で8対8と数字上で互角、内容では完全に東京が上回った形で終了し、勝敗の行方は全く読めないまま後半戦へ突入した。

痛恨のレッド一発に沈む・・・


後半も東京はサイドから攻めたてた。右からは由紀彦が、左からは小林成が思い切りのいい動きでチャンスを作る。一方の柏も激しく応戦。2分にはFKから平山に強烈なシュートを打たれるが、土肥がファインセーブで防ぎ、10分にもゴール正面から強烈なシュートを打たれるが、これも土肥ががっちりキャッチ。緊迫感溢れる激しい攻防は、次の1点が勝敗を大きく左右するであろうことを両チームイレブンがよく理解していることを表していた。

しかし、試合を決定付けたのは予想もしなかった事態だった。22分、後半から由紀彦に代わり出場していた増田が柏選手の挑発に乗ってしまい、レッドカードで一発退場。東京は同点、逆転の態勢が整い、非常にいい状態で「これから」という時間帯に、最悪の事態を迎えてしまった。プレーヤー個人としてだけでなく、チームとしても「してはいけない行為」による自滅。東京はこの後、1点ビハインドの状況下で、10人で戦っていかなければならない非常に困難な事態に追い込まれることになった。

決定的な2失点目はその9分後だった。一人少ない東京は、それでも攻撃に出て行かなければならず、カウンターから中盤の薄くなったところを”要注意人物”大野に突かれ、中央からフリーでシュートを打たれると、土肥の必死のセービングも届かず、呆気なく2失点目を謙譲してしまう。

それでも東京は最後まで諦めなかった。そして最後まで戦った。37分には小林成からのスルーパスに神野が飛び出しGKと1対1になったが、相手GKのファインプレーに阻まれる。その直後の38分にはツゥットが左サイドを突破し中央へボールを送ると、小林成が低く抑えた強烈なシュートを放ち柏ゴールを脅かす。40分にはセットプレーからサンドロのヘッド、さらにロスタイムにはツゥットが左サイドで2人を一気に抜き去り強烈なシュートで柏DFの度肝を抜いたが、これも相手に当たりゴールならず。そして、無情にもここでタイムアップ。東京の猛攻もここまでだった。東京はこれで今季初の3連敗。怪我人続出でそれによるチーム力低下は否めなかった。選手は皆よく戦ったが、中盤の構成力が低く、有効なパスが前線に出てこないことで本来FWのポジションで勝負すべきツゥットも、引かざるを得なかった。ツゥットは個人技に走る部分が多く見られたが、その一方でFを切り崩せる相変わらず高い能力を見せつけた。小林成や藤山も技術的には柏を上回る部分があったし、GKを含めたDF陣の頑張りも強さを感じた。「勝利」という結果は出てないものの、チャンスの回数も多く、けして間違った方向に進んでいるわけでもない。ここからが正念場だ。もう一度チームが一つになり、同じ目標に向かえば必ず結果は付いて来るはずだ。