GAME RESULT試合結果
第10節 2000/8/19(土)
観衆 33,892人
天候 晴、弱 気温 25.0度 湿度 75%
主審:モットラム 副審:武田 進/二俣 敏明 四審:山中 正男
J1 2nd 第10節
国立
1-1
試合終了
前半1-1
後半0-0
延長前半0-0
延長後半0-
FC東京 | 鹿島アントラーズ | |
---|---|---|
27' 内藤 就行 |
得点者 |
12' 相馬 直樹 |
73' 小林 成光 → 神野 卓哉 99' 小池 知己 → 小峯 隆幸 111' ツゥット → 戸田 光洋 |
選手交代 |
59' 小笠原 満男 → 本山 雅志 68' 本田 泰人 → 熊谷 浩二 116' 名良橋 晃 → 内田 潤 |
18 | シュート | 23 |
5 | CK | 15 |
29 | FK | 33 |
46' 藤山 竜仁 66' 小池 知己 81' 佐藤 由紀彦 86' ツゥット |
警告 |
43' 秋田 豊 56' ファビアーノ 88' 本山 雅志 109' 平瀬 智行 |
退場 |
GK | 20 | 土肥 洋一 |
DF | 2 | 内藤 就行 |
DF | 3 | サンドロ |
DF | 4 | 山尾 光則 |
DF | 8 | 藤山 竜仁 |
MF | 7 | 浅利 悟 |
MF | 16 | 小池 知己 |
MF | 14 | 佐藤 由紀彦 |
MF | 24 | 小林 成光 |
FW | 9 | ツゥット |
FW | 11 | アマラオ |
GK | 1 | 堀池 洋充 |
DF | 26 | 小峯 隆幸 |
MF | 6 | 浅野 哲也 |
FW | 29 | 戸田 光洋 |
FW | 15 | 神野 卓哉 |
GK | 21 | 高桑 大二朗 |
DF | 2 | 名良橋 晃 |
DF | 3 | 秋田 豊 |
DF | 4 | ファビアーノ |
DF | 7 | 相馬 直樹 |
MF | 6 | 本田 泰人 |
MF | 5 | 中田 浩二 |
MF | 10 | ビスマルク |
MF | 17 | 小笠原 満男 |
FW | 9 | 平瀬 智行 |
FW | 13 | 柳沢 敦 |
GK | 28 | 曽ヶ端 準 |
DF | 23 | 内田 潤 |
DF | 24 | 羽田 憲司 |
MF | 16 | 本山 雅志 |
MF | 18 | 熊谷 浩二 |
【選手・監督コメント】
相手にとって不足なし! 「サンバナイト」決戦は首位鹿島と!!
5連勝の後、4連敗と今ひとつ元気のない東京。第10節で対するは、現在首位を走る鹿島アントラーズだ。ここ3試合では2分1敗と決して絶好調とはいえない鹿島だが、柳沢、平瀬、本山、中田、曽ヶ端という五輪代表候補が名を連ね、ベテラン選手とうまくかみ合った戦いぶりで、2ndステージの主役の座についている。
オリンピックを前に、今日をもって約2か月の中断期間に入るJ1リーグだが、今否応なしにこの五輪候補選手たちの活躍に期待が集まっている。しかもこの強豪チームとは、過去6戦して1勝1分4敗。94年天皇杯以来勝ち星はなく、J1同士の初対戦となった1stステージも、先制しながら1対2で敗れ苦杯をなめた。----簡単に勝てる相手ではない。しかし、折しも今日はサンバナイト。ジーコはもちろんトニーニョ・セレーゾ監督以下、ブラジルカラーの強い鹿島は“相手にとって不足なし”。東京らしい粘り強いサッカーを披露して、一矢を報いたい。
センターバックには山尾が初スタメン。大熊監督は「ここ数試合、守るだけでバランスよく攻めようという意識が失われていた。守備の部分ではもちろんだが、パスの精度、試合の状況を読むことに期待して今使うべきと考えた」と話す。そして怪我から復帰のアマラオも元気な姿を見せ、日本最高峰のサンバチーム(浅草エスコーラ・ジ・サンバ協会に所属)が刻む熱いブラジルのリズムの中でキックオフとなった。
先制は鹿島。しかし内藤の気迫あふれるゴールで同点に!
ゲームを支配したのは鹿島。中盤のビスマルク、小笠原を中心にパスをつなぎ、前線では平瀬、柳沢が豊富な運動量で絡んで東京ゴールに迫る。また相馬、名良橋の両サイドが積極的に攻め上がることで、開始早々立て続けに3本のコーナーキックを奪われる。こぼれ球を拾って速攻に持ち込みたい東京だが、パスの精度が悪く鹿島ゴール前に運ぶまでには至らない。6分には、スローインからアマラオが絶妙のキープで起点となって右サイドの由紀彦に。由紀彦が縦に突破してあげたクロスを鹿島DFがクリアしたところに小池がシュートという速い攻めを見せるが、これはGK高桑がセーブ。逆に鹿島は10分、柳沢とのワン・ツーでペナルティエリア内まで攻め込んだ相馬が強烈なシュート。こちらも土肥がファインセーブを見せた。しかし直後の12分、CKからのボールをつないだ鹿島は、東京のクリアの甘いボールを逃さず、再び相馬が23~4mの距離からシュート。きっちりコースをついたクリーンシュートがゴールの右上に決まり、先制点を許してしまう。
しかし東京は、徐々に鹿島のペースに慣れたのか落ち着きを見せ、攻撃に転じていく。21分には、藤山、ツゥット、アマラオ、小林成光が早い展開でつないで由紀彦がフィニッシュ。24分には、内藤と山尾が攻め上がって得たCKからサンドロがヘディングシュート。26分にはアマラオの強引な中央突破から由紀彦がシュート。これが鹿島DFにあたってCKを得る。27分、このCKをサンドロがヘッドで競ってこぼれたところに、内藤がスライディングのように体を投げ出してシュート! 内藤の意地の炸裂するようなゴールで、東京は同点に追いつく。
それまでは試合運びにゆとりさえ見せていた鹿島だが、ここからゲームが激しさを増す。ときにはDFラインから攻撃を組立て、中盤を支配し、柳沢、平瀬を起点に置いて分厚い攻めの形を見せる鹿島。しかし東京も体を張ったディフェンスで、シュートを打たせない。43分には、アマラオが倒されて得たFKを、ツゥットがグラウンダーのシュート。勢いは強烈でGK高桑の手を弾いたがゴールを割るには至らず。前半を終了した。
両者譲らず延長戦へ
後半も、鹿島は立ち上がりから積極的な攻撃を見せる。49分にはボランチ中田から前線へのパスを東京DFがクリア。そこに平瀬がフリーで走りこんでシュート。あわやという場面であったが、ゴールマウスをはずれて事なきを得る。右サイドの名良橋が果敢にオーバーラップ、速いクロスを上げて外から攻める鹿島。しかし集中して守る東京の前にラストパスが通らず、59分には小笠原に替えてドリブラー本山を投入する。
東京も時間が経つに連れ、アマラオがキープ力を発揮。60分には、そのアマラオが粘って鹿島が仕方なくスローインに逃れたボールから、ツゥットがDF3人を引きずりながらシュート。これは惜しくもゴール脇にそれていった。
しかし鹿島・本山がスペースを使った変幻自在のドリブルを見せ、押し込まれていく東京。70分には、その本山のラストパスに柳沢が合わせてCKを得る。中田のヘディングシュートはわずかに枠を外れた。ボールを奪取する位置が低く、どうしても長い距離を組立てていかねばならない東京。押される時間帯は続く。そこで73分には小林に替えて神野を投入、この局面を打開しようとする。
78分には、その神野、由紀彦、ツゥットのコンビでDFを崩し、最後はツゥットがフリーでシュート。85分には、本山が再び柳沢に決定的なパスを送るが、土肥が反応よく飛び出してキャッチ。86分東京はツゥット、88分鹿島・本山が、それぞれ相手ペナルティエリアに猛スピードで突進、たまらず体を寄せたDFに倒されあわやPKかと思われたが、ダイビングを取られて両者ともにチャンスを逃す。89分には、セットプレーからゴール前にピンポイントのクロスが上がって、神野がヘディングシュート。ロスタイムには今度は鹿島が、FKから熊谷がフリーでシュートを放つが、両チームとも1点を取ることができず。延長戦に突入した。
王者鹿島に価値ある引分け
延長戦は、攻守入れ替わりの激しい展開となった。本山に中盤を自由にかき回される東京は、99分小池に替えて小峯を投入。自陣の右のスペースで本山をしっかりケアしようという狙いだ。
直後の100分、ゴール左からのツゥットのFKはポストの角に当たり、その跳ね返りを由紀彦がシュート。しかし鹿島DFにブロックされ、どうしてもゴールを割ることはできない。内藤が中盤に上がり、藤山、サンドロ、山尾が3バックの形で攻める東京。108分には、ペナルティエリア左に浅利が攻め上がり絶妙のクロスを送ったが、神野のシュートはGK正面をつく。
111分には鹿島・平瀬がゴール前で、右からのクロスにピンポイントで合わせたが、土肥がキャッチ。その直後には負傷のツゥットに替わって入った戸田が、すぐさまDFラインの裏に抜けだしビッグチャンスとなったが、飛び出してきたGK高桑の前にシュートは打てず。こぼれ球をアマラオがつないで最後は由紀彦が足を振り抜いたが、無情にもボールはゴールの外に……。
結局どちらも決め手に欠き、120分の戦いはついにタイムアップとなった。
1対1の後は両チームともにゴールシーンを演出することはできなかったが、しかし「勝ちたい」という気迫あふれる緊張感の持続したゲームであった。
J1で初めての引分けとなった東京だが、連敗を脱出。この日スタジアムに訪れた3万3892人(今ステージ最高)の大観衆の前で、強豪鹿島から貴重な勝点1をもぎとったといえるだろう。
《トニーニョ・セレーゾ監督のコメント》
「『勝てる試合だった』と思う割には、初歩的なミスがあった。セットプレーでの失点は、納得できない。そういったミスについては、できるだけ1週間の練習を通じて修正しようとしているが、実際に試合の時に起こしてしまっている。内容的には、我々のほうが支配率も高かったと思うし、ボールキープもできていてチャンスも作ることができていた。しかし、それが結果としてゴールに結びつかなかった。相手ゴール前へ5m10mと近づいていくときの力が足りなかった。本当に決めてやるんだ、相手のDFもボールと一緒にゴールに放り込んでやるというぐらいの意気込みがあってもよかったのではないか。そのあたりが勝利につながらなかった原因だと思う」
《大熊監督のコメント》
「過酷な日程の中で結果も出すことができなくて、体力的にも精神的にもキツかったが、中断の前に、勝利には結びつかなかったけれども、全力を出して非常にいいパフォーマンスをしてくれたと思う。まだ試合は続くが、1stステージではそのまま失速してしまったことに比べると、ここで盛り返せたことはチームとしても気持ちの上でも大きいと思う。連敗は止めたが、サッカーは内容も結果も両方が問われることがある。次のジュビロ戦に向けてという気持ちで調整して、中断あけにいい試合ができるように頑張りたい」