GAME RESULT試合結果

第11節 2001/10/31(水)
観衆 16,172人 
天候 曇、無 気温 17.1度 湿度 64% 
主審:岡田 正義 副審:鈴木 亮哉/扇谷 健司 四審:西村 雄一

J1 2nd 第11節

東京

HOME

FC東京

1-1

試合終了

前半0-0

後半1-1

延長前半0-0

延長後半0-

AWAY

横浜F・マリノス

FC東京 横浜F・マリノス
75' 鏑木 享
得点者 73' 中村 俊輔
54' 下平 隆宏 → 宮沢 正史
58' 小林 成光 → 戸田 光洋
86' 福田 健二 → 榎本 潤
112' 浅利 悟 → 小林 稔
選手交代 45' ブリット → 安永 聡太郎
74' 金子 勇樹 → 上野 良治
101' 平間 智和 → 木島 良輔
8 シュート 21
1 CK 10
21 FK 34
17' 山尾 光則
71' サンドロ
警告 44' 波戸 康広
96' 遠藤 彰弘
退場
FC東京先発
GK 1 土肥 洋一
DF 6 小峯 隆幸
DF 4 山尾 光則
DF 3 サンドロ
DF 8 藤山 竜仁
MF 7 浅利 悟
MF 5 下平 隆宏
MF 14 佐藤 由紀彦
MF 17 鏑木 享
MF 24 小林 成光
FW 9 福田 健二
FC東京控え
GK 22 小沢 英明
DF 30 小林 稔
MF 25 宮沢 正史
FW 28 榎本 潤
FW 29 戸田 光洋
横浜F・マリノス先発
GK 16 榎本 達也
DF 5 小村 徳男
DF 3 松田 直樹
DF 4 波戸 康広
MF 15 平間 智和
MF 8 遠藤 彰弘
MF 22 金子 勇樹
MF 32 ドゥトラ
MF 10 中村 俊輔
FW 9 ブリット
FW 11 城 彰二
横浜F・マリノス控え
GK 30 下川 健一
DF 25 小原 章吾
MF 6 上野 良治
FW 17 木島 良輔
FW 19 安永 聡太郎

【選手・監督コメント】

チーム力の真価が問われる正念場


 ケリー、伊藤哲也、三浦、加賀見……と負傷者が続出。そして今節、ナビスコカップの覇者横浜F・マリノスとの対戦では警告累積でアマラオを欠き、苦しい布陣の東京。しかも残り5節は、J2降格を争うチームと、そして首位を争う鹿島との対戦が続き、それぞれ目の色が変わってくる相手との連戦に普段とはかかるプレッシャーも違ってくるはずだ。まさに、今こそチームとしての力を問われる正念場といえる。

 その中で今日のスターティングメンバーは、1トップに福田、中盤は右・佐藤、中央・鏑木享、左・小林成光、ボランチには下平と浅利、DFライン右から小峯、山尾、サンドロ、藤山。そしてサブにはGK小沢、FW戸田に加え、今季リーグ戦初登場となるDF小林稔、MF宮沢、FW榎本とフレッシュなメンバーが顔を揃えた。

攻めるF・マリノス、苦しむ東京


 試合はF・マリノスのペースで進んだ。東京は、7分にこそF・マリノスのバックパスを鏑木がカット、左サイドのスペースでフリーになっていた佐藤にわたりゴールに迫るが、距離の長いドリブルはゴールラインを割ってしまい、それ以降チャンスがほとんどつくれない。F・マリノスは、5分にFKとCK、12分にはMF中村が遠目のFKからシュート。17分には再びFKから中村がゴールを狙い、そして立て続けに2本のCK。20分にもCKと、セットプレーからチャンスを迎え5本のシュートを放つが、一方の東京は28分に浅利が放ったミドルが初めてのシュートと、劣勢に立たされる。

 F・マリノスは遠藤、金子のダブルボランチのしっかりとした守備から、中村が前後左右に動く形でボールを支配。CBの松田も頻繁に前線に攻め上がっていく。左MFドゥトラのアグレッシブなプレーに東京の右サイドは押し込まれ、引いて守った状態からの反撃に苦労。

 30分には、F・マリノス松田が、前線へ走り込み城からのパスを受けシュートにまで持ち込もうとする。しかし直後の31分、東京は小峯の右からの長いグラウンダーのパスに対して、福田がDFの裏に飛び出し思い切りよくシュート。惜しくもサイドネットにかかったが、33分には佐藤のクロスにヘッドで合わせ、ゴールへの期待を垣間見させてくれたが…。36分には、F・マリノス左サイドのドゥトラから中央の中村にわたり、城と細かいリターンパスを交わすとフィニッシュは中村の柔らかなシュート。37分には再び中村と城のパス交換から今度は城がシュート。このプレーからCKを得て小村がヘディングシュートを放つが、いずれもゴールはとらえられず。ロスタイムにようやく東京は、守から攻へ素早く転じて佐藤がクロスを上げるがわずかに福田には合わなかった。山尾、小峯のディフェンスばかりが目立つ前半となったがしかし失点は許さず、0対0のまま後半へと折り返した。

中村俊輔に先制されるも、すぐさま鏑木享のファインゴールで追う


 後半、F・マリノスは負傷のFWブリットに替えてFW安永を投入。ゲームは、インターセプトの応酬となった。中盤でボールは行き来するものの、どちらもチャンスらしいチャンスをなかなかつくれず、53分F・マリノスMF平間が遠目の位置から放ったドリブルシュートが、両チームを合わせて初めてのシュート。

 膠着した状況を抜け出そうと動いたのは東京。54分には下平に替わりリーグ戦は初出場となるルーキー宮沢が、58分には小林成に替わりFW戸田がイン。鏑木をトップに、中盤左に福田、中央に戸田、宮沢はボランチに入る布陣を敷く。ここからようやくお互いに攻守の展開のリズムをつくれるようになる。

 しかし攻撃に出ようとする東京の意識とは裏腹に、67分にはドリブルで上がったF・マリノス松田から左のドゥトラにパス、中央に送ったクロスに中村がヘディングシュート。69分にはまたしても中村のドリブル突破に対して、ゴール正面でFKを与えてしまう。やはり中村やMF遠藤がボールを持つと怖さが感じられ、前線の安永や城の動きと連動して攻めを展開しようとする。そしてついに73分、ゴールキックのボールを城がバックヘッドで前線へ流すと、中央で受けた安永がヒールで左にはたく。そこへスピードに乗って走り込んだ中村がペナルティエリア左角あたりからシュートを放ちゴールイン。劣勢の中、重くのしかかりそうな先制点を許してしまった。

 しかし東京は、右サイドがいつもより押さえられる分、左から福田と藤山のコンビで攻めようとした。F・マリノスが金子に替えてMF上野を投入した直後の75分、その藤山からのボールを福田が受けて返すと、藤山は中へドリブルで切れ込み中央の宮沢へパスを出すと、宮沢は相手DFの裏へダイレクトで絶妙のボールを送る。これをゴール右で佐藤がDFと競って体勢を崩しながらも足を伸ばし、中央へ浮き玉のパス。これにヘッドで合わせようとした戸田をおとりに、落下点に飛び込んだ鏑木がダイレクトシュート! 勢いづこうとするF・マリノスの意気をそぐ同点弾が決まった!!

 これで活気づく東京、78分にはスピードを活かしてDFの裏に抜けた戸田に宮沢からスルーパスが!が、相手GK榎本がわずかに早く寄せてキャッチ。また宮沢は、80分にはパスの出しどころがないと見るや即座にミドルシュートを狙う。これはGKの正面をついてセーブされたが、果敢にシュートを打つ、パスで切り崩そうとする姿勢には東京らしい新鮮なチャレンジがうかがえた。86分には、福田に替えてトップ初出場の榎本を投入。積極的な選手交代でゴールへの活路を見出そうとしたが、しかし両チームとも決め手を欠き90分では決着つかず。延長戦へと突入した。

ドローに終わるも、フレッシュな選手たちに光


 東京は、榎本が左中盤に入り、ボランチの宮沢も中央から左に動く形でフォロー、山尾がセンターから右サイドに上がって攻撃に転じる。延長前半94分には、佐藤の鋭いクロスを中央でDFがクリア、このこぼれ球を戸田が粘って拾いシュートに持ち込む。ボールはゴール右にそれたが東京らしい攻めを見せた。F・マリノスは、DFラインでボールを奪っては松田が攻め上がりゴールに迫る。96分には速攻を仕掛けられ、最後は土肥のクリアボールが、攻め上がっていた松田の目の前に…。あわや!という決定的な至近距離のシュートを打たれるがサイドネットを直撃、東京は命拾いすることに。F・マリノスは101分にスピードのあるFW木島を投入するが、延長後半になるとチーム全体に疲れが見え始め、東京はことごとくこぼれ球を拾ってつなぐ。が、その次のパスが読まれてインターセプトにかかってしまう。108分には、東京陣内中央でFKを与え、その中村のFKに城がヘッドで合わせるが、これは土肥がしっかりキャッチ。112分には負傷の浅利に替わって、これもまたトップ初出場となる小林稔がインするも、結局両者譲らずタイムアップのホイッスルを聞くこととなった。

 大熊監督は試合後、選手の積極的な起用について「非常に劣勢の時間が多かったが、『守って守ってどうにか1点』ではなく、守備から攻撃へ転じる気持ちを出したかった。みんな力は変わらないので信頼してチャンスを与えて、それで『勝ちにいきたい』という気持ちが自分にも出場した選手にもあったと思う。後半はその面が出て、前半よりチームとしても機能していた部分があった」と話した。確かに引き分けに終わり課題の残る一戦ではあったが、勝点1という今日の結果以上に“明日の東京”のために得たものは大きかったかもしれない。可能性の光るゲームとなった。

【ラザロニ監督コメント】「FC東京は、立ち上がりから自陣に引いてカウンターを仕掛けるという明確な戦術を展開してきた訳だが、やはりなかなかスペースを与えらず、しかしその少ないスペースの中でもチャンスメークはできていたと思う。ブリットが怪我をし後半から安永と城という2トップで臨んだが、前半同様どんどんダイヤゴナル(=斜めに入る)のパスを前線に出してFWがポスト役で絡み、走り込んでくる選手に合わせるという作戦で臨んだ。先制点は中村の素晴らしい飛び出しから生まれたものだが、直後に油断して力を抜いてしまい、つまらないミスが失点につながった。我々が支配していた時間帯をうまく活かして、得点に結びつけられなかったのが敗因。体力の消耗も激しく痛手だ」

【大熊監督コメント】「これだけ怪我人が出て、J1でのシビアな試合をそんなに経験していないメンバーの出場だったので、こういう試合展開になることは考えていた通りであった。内容に満足している訳ではないが、少しずつ新しい芽も育っていると確認できたことは収穫ではある。しかし、こういう試合をものにするには力不足の面も痛感した。チームとしても個人としても、もっと厳しくさらに上へとステップアップして、こういう試合を勝ちにもっていけるようにしなければいけない」