GAME RESULT試合結果

第6節 2003/7/16(水)
観衆 14,299人 
天候 晴、弱 気温 20.0度 湿度 81% 
主審:柏原 丈二 副審:伊藤 力喜雄/野田 祐樹 四審:安食 弘幸

YNC 予選Bグループ 第6節

仙台

HOME

ベガルタ仙台

1-2

試合終了

前半1-0

後半0-2

AWAY

FC東京

ベガルタ仙台 FC東京
32' 佐藤 寿人
得点者 71' 石川 直宏
86' アマラオ
73' 財前 宣之 → 阿部 敏之
74' 福永 泰 → 中原 貴之
選手交代 61' 阿部 吉朗 → 馬場 憂太
85' 宮沢 正史 → 梶山 陽平
89' アマラオ → 戸田 光洋
9 シュート 22
3 CK 6
24 FK 21
10' 佐藤 寿人
46' 中田 一三
警告 31' 浅利 悟
54' ジャーン
退場
ベガルタ仙台先発
GK 22 高桑 大二朗
DF 3 中田 一三
DF 28 矢畑 智裕
DF 2 渡辺 晋
DF 17 根本 裕一
MF 15 石井 俊也
MF 8 シルビーニョ
MF 10 財前 宣之
MF 20 福永 泰
FW 13 山下 芳輝
FW 11 佐藤 寿人
ベガルタ仙台控え
GK 1 小針 清允
DF 19 森川 拓巳
MF 7 千葉 直樹
MF 6 阿部 敏之
FW 29 中原 貴之
FC東京先発
GK 1 土肥 洋一
DF 35 徳永 悠平
DF 3 ジャーン
DF 8 藤山 竜仁
DF 17 金沢 浄
MF 7 浅利 悟
MF 16 宮沢 正史
MF 18 石川 直宏
MF 19 ケリー
FW 14 阿部 吉朗
FW 11 アマラオ
FC東京控え
GK 31 近藤 健一
MF 4 迫井 深也
MF 34 梶山 陽平
MF 30 馬場 憂太
FW 13 戸田 光洋

【選手・監督コメント】

決勝トーナメント進出をかけたサバイバルゲーム


 ナビスコカップ予選リーグ第6節(=最終節)はアウェーでベガルタ仙台との対戦。FC東京が所属する「Bグループ」は前節終了時点で首位に立った横浜FM(=勝点10)が既に予選リーグ突破を決めており、同2位のFC東京(=勝点8)と3位の仙台(=勝点7)に決勝トーナメント進出の可能性が残っていた。現時点で勝点1上回っている東京は引分けでも決勝T進出が決まるが、仙台は勝利以外に決勝T進出の望みはなく、さらにホームゲームということもあって激しい闘志で立ち向かってくることが予想された。

 東京の先発は、右サイドバックに特別指定選手の徳永が3試合連続でスタメンに名を連ね、センターバックは累積警告で出場停止の茂庭にかわり藤山が、ボランチは左アキレス腱痛の三浦にかわり浅利が入り、FWはアマラオが2試合ぶりの先発復帰。一方の仙台は、けがで大黒柱のMF岩本を欠くほか、DFの要であるセンターバックの小村、ファビアーノがともに累積警告で出場停止になるなど、ベストメンバーにはほど遠い布陣となっていた。

 「勝ったチームが決勝トーナメント進出」というサバイバルゲームは、平日開催ながら約14,000人の仙台サポーターで黄色く染まる仙台スタジアムで午後7時にキックオフの笛が鳴った。

一瞬のスキを突かれ5試合ぶりの失点で先制を許す


 開始直後、先に攻撃のリズムを掴んだのは東京だった。右からMF石川、DF徳永、左からMF宮沢、DF金沢がサイドのスペースに積極的に走り込み、正確なクロスを供給。開始3分、右サイドから出たボールをMFケリーが中央でフリーになりシュートを放ったが仙台DFにブロックされると、10分には右サイドから石川のグラウンダーのパスを中央でケリーがスルー、その後ろに走り込んだFW阿部が完全にフリーでシュートを放ったが惜しくもゴール右に外れた。

 一方、仙台はFW山下、佐藤、MF財前のトライアングルが豊富な運動量で自由にポジションを変えながら前線で基点となり、両サイドから早めのクロスを頻繁に入れてきたが、高いボールはDFジャーンがヘッドではね返し、スルーパスや中央突破はDF藤山が鋭い読みとカバーリングでことごとくクリアして決定的な場面はつくらせなかった。9分に左から持ち込まれてペナルティエリア内に入ったところで仙台の福永に狙い澄ましたシュートを打たれたが、これもGK土肥がスーパーセーブで弾き出し、得点を与えなかった。

 東京はその後も仙台ゴールに迫り、19分には右のCKから宮沢の蹴ったボールにアマラオが頭で併せたがゴール左に。続く21分には中央でボールをキープしたケリーからペナルティエリア内の阿部へ絶妙のスルーパスが通り、阿部は難なく決めたが惜しくもオフサイドの判定。24分には左のCKにジャーンがダイビングヘッドで狙い、28分には阿部、ケリーが立て続けにペナルティエリア内で強引に突破&シュートを放ったが仙台DFの体を張ったプレーにストップされた。29分にも徳永の鋭いクロスをケリーがゴール前でヒールで落としたが、惜しくもクリアされた。

 ゴール前のチャンスでは東京が上回るものの、中盤でのボールの奪い合いは仙台の体を張った激しいプレスに押され気味という時間が続く中、迎えた32分、中盤やや左でボールをキープした仙台のMF石井から前線の佐藤へスルーパス。東京DFのマークが一瞬遅れたところで難なくシュートを打たれ、ボールは土肥の股間を抜きゴールに転がり込んだ。そこまで、ボールは中盤で回されながらも最終ラインを崩されることはなかったが、一瞬のスキを突かれ5/24(土)第10節の市原戦より続いていた完封記録をストップされると同時に痛い先制を許してしまった。

石川の個人技が吠えた! スーパーショットで同点に


 先制は許したものの、外から攻める形を繰り返しゴール前でチャンスを作っていた東京は、その後も焦らずケリーを中心にゲームをしっかりと組立てていった。前半43分には右の徳永から鋭いクロスが上がると、これをアマラオがヘッドで狙ったが惜しくもゴール右へ外れた。その直後の44分には、阿部のパスをゴールを背にして受けたケリーが鋭く反転しながら芸術的なループシュートを放ったが、これも仙台GKのファインセーブでゴールならず。

 ハーフタイムに原監督から「中盤でのボールの奪い合いで負けている。もっと激しくいこう」と指示が出ると、後半から選手達はそれは実践した。後半開始間もない48分に左サイドから入れられたクロスをゴール前でヘッドで合わされて一瞬ヒヤリとさせられたが、それ以降は完全に東京ペースに。52分にはアマラオが右サイドを突破し仙台GKと1対1になるビッグチャンスを迎えたが、4/9(水)のナビスコカップ予選リーグ第3節の仙台戦(HOME)以来、ゴールから見放されているために味を忘れたのか、シュートを打たずにGKをもかわそうとしてブロックされてしまった。このこぼれ球がゴール正面に詰めていた阿部の前に転がり、インサイドキックで狙い澄ましてシュートを放ったが、これも仙台GKのファインセーブで逃げられてゴールならず。さらに54分にはペナルティエリア左角付近で石川→阿部→アマラオと速いパス交換から、最後はアマラオがクリーンシュートを放ったが、これもバーに阻まれネットを揺らすことができなかった。これにはさすがにアマラオも天を仰いだが、やはりアマラオはゴールから見放されてしまったのか、と思わせるシーンであった。

 その後も東京の猛攻は続いた。55分には石川が右サイドから中に切れ込んで左足シュートを放ったが、仙台DFに当たりGKの正面に。58分にはペナルティアーク付近で仙台DFがこぼれ球をクリアしようとしたところをアマラオがブロック、ボールはアマラオの足に当たってシュートのような勢いでゴールに飛んだが、これも仙台GKにはじき出されてゴールならず。さらに59分にはアマラオが中盤でボールを受けると空かさず前線に飛び出したケリーにスルーパスを通し、ケリーは右足で強烈なシュートを放ったが僅かにゴール左へ外れた。

 61分、東京はここで動く。今ひとつ調子の上がらない阿部に代え、MF馬場を投入。馬場はピッチに入るやいなや、独特なボールタッチで早速攻撃にアクセントを加えるようになる。63分、石川の右からの鋭いクロスにアマラオがヘッドで合わせたが、これは仙台GKにはじかれた。続く64分には金沢からのパスを受けたアマラオが、ペナルティエリア左角から浮いたボールを素早く右足で合わせてシュート。ボールはファーサイドに飛んでGKも諦めたが、今度は右ポストに当たって跳ね返りまたしてもゴールならず。68分、馬場はゴール正面でボールを受けると軽快なステップで呆気なく3人をドリブル突破し、ペナルティエリア内のアマラオへラストパス。しかし、これも仙台DFの寄せが速くシュートを打てず決定的なチャンスを潰してしまった。

 圧倒的に攻め込みながら相手GKの神懸かり的なファインプレーと運にも見放され、どうしてもゴールを割れない状況に「このまま無得点で終わるのか」と不安に思った矢先の71分、石川が右サイドでパスを受けると、縦へ抜くと見せかけて中央へ突進。一瞬にして仙台DF2人を置き去りにすると、左足を鋭く一閃。強烈なシュートは魂を乗せてゴールネットに突き刺さった! ゴール! 石川のスーパープレーで、ついに神が宿っていた仙台ゴールをこじ開けることに成功した。

1位通過につながったアマラオの価値ある99日ぶり逆転ゴール!


 同点に追いつかれ後のない仙台は、73,74分に立て続けに攻撃の選手を投入して反撃体勢に出た。77分には、左サイドでオフサイドラインぎりぎりに飛び出した仙台の佐藤はスピードに乗った突進から左足でシュートを放ったが、ゴール前を横切ってしまう。逆に78分、今度は馬場が中央から前線の石川へ絶妙のスルーパスを通し、石川はドリブルからシュートを放ったがブロックされてしまう。続く81分、東京のゴール前でボールを回され、最後はペナルティエリアの左に侵入した根本に決定的なパスが通ったが、これには藤山が足だけではなく全身を投げ出した魂のタックルを見舞わせ防いだ。久しぶりの出場にもかかわらず、この日の藤山や浅利などのプレーぶりは東京に長く在籍したベテラン選手らしい「魂」を感じる熱いものだった。彼らは若手にとって非常に素晴らしいお手本であり、チームにとって大きな財産であることを再確認させてくれた。

 そして、もう一人忘れてはならない「東京の魂」が最後の最後で大きな仕事をやってくれた。終了間際の迎えた86分、右サイドでボールを受けた石川は対峙するU-22日本代表の左サイドプレーヤー根本に真っ向から勝負を挑み、縦への強引な突進で突破。ゴールラインぎりぎりからゴール前にマイナスにパスを送ると、そこへ走り込んだアマラオが確実にネットに押込みゴール! 4/9(水)のナビスコカップ予選リーグ第3節の仙台戦(HOME)以来、実に99日ぶりのゴールは本人だけでなくチームにとっても非常に価値のあるものになった。この決勝ゴールで横浜FMを抜き(=勝点は同じ。得失点差で上回った)、グループ1位通過が決定したのだ。

 アマラオもこの日は何度もチャンスに決められないなど、まだ本来のイメージには程遠いが、この1点が転機となり今後のサクセスストーリーにつながっていく可能性は大いにある。本人にとっても、チームにとっても価値ある1点(=勝利)を、リーグ戦残り3試合につなげていく!

【選手コメント】《石川》「前半はなかなかボールを引き出せず、チャンスもあったが点を取れないなど流れが悪かったが、後半自分が決めて逆転勝利に貢献できるプレーができたことは、個人的にもまた一つ成長出来たのかなと思う」 《アマラオ》「良かった。サポーターは(自分のゴールを)待っていたと思うので、喜んでくれたと思う。苦しい試合だったけど、これで決勝トーナメントに行けて良かった」

【原監督の会見要旨】「試合前から、今日は厳しくなると思っていた。仙台はリーグ戦で市原に大敗したので、その直後のホームということ、そして勝てば決勝トーナメントに進出できるということで高いモチベーションで臨んでくると考えていた。実施その通りに、前半はボールの奪い合いなど全て仙台が上だったが、ハーフタイムでそこのところを修正し後半はわれわれが仙台と同じ気持ちで戦い支配することが出来た。ここ数試合、前半に失点したケースがなかったので、後半に気持ちやバランスを崩さず、ひっくり返して勝点3をとれたのはチームとして成長しているのかなと感じた。この勢いを次の清水戦につなげていきたい。また、石川のゴールはもちろん素晴らしかったが、今日も正直『ダメかな』と思っていたアマラオが最後に決めてくれたことは、自分で決めたことのように嬉しかった。次の清水戦にアマラオが出れないのは残念だが、いい準備をして臨みたい」

【仙台・清水監督の会見要旨】「前半は良かった。ボールを前の選手から非常によく追っていて、自分たちのペースでゲームができていた。しかし後半同点にされて、勝たないといけない状況で攻撃的な布陣をとったが、逆に空いたスペースを突かれて失点してしまった」