GAME RESULT試合結果

第4節 2004/4/11(日)
観衆 14,106人 
天候 晴、無 気温 18.6度 湿度 69% 
主審:柏原 丈二 副審:東城 穣/南 浩二 四審:数原 武志

J1 1st 第4節

日本平

HOME

清水エスパルス

0-0

試合終了

前半0-0

後半0-0

AWAY

FC東京

清水エスパルス FC東京
得点者
35' 池田 昇平 → 和田 拓三
62' 澤登 正朗 → 平松 康平
70' 久保山 由清 → アラウージョ
選手交代 50' 阿部 吉朗 → ケリー
75' 石川 直宏 → 馬場 憂太
77' 宮沢 正史 → 三浦 文丈
11 シュート 13
6 CK 5
21 FK 20
68' 平岡 直起
警告 13' 今野 泰幸
退場
清水エスパルス先発
GK 16 西部 洋平
DF 3 池田 昇平
DF 2 斉藤 俊秀
DF 11 森岡 隆三
MF 22 太田 圭輔
MF 7 伊東 輝悦
MF 31 杉山 浩太
MF 6 平岡 直起
MF 10 澤登 正朗
FW 9 北嶋 秀朗
FW 15 久保山 由清
清水エスパルス控え
GK 20 黒河 貴矢
DF 19 和田 拓三
MF 4 ファビーニョ
MF 13 平松 康平
FW 8 アラウージョ
FC東京先発
GK 1 土肥 洋一
DF 20 加地 亮
DF 2 茂庭 照幸
DF 3 ジャーン
DF 17 金沢 浄
MF 6 今野 泰幸
MF 16 宮沢 正史
MF 18 石川 直宏
FW 11 阿部 吉朗
FW 9 ルーカス
FW 13 戸田 光洋
FC東京控え
GK 22 塩田 仁史
DF 8 藤山 竜仁
MF 10 三浦 文丈
MF 19 ケリー
FW 14 馬場 憂太

【選手・監督コメント】

ケリーが待望の復帰!


 1stステージ第4節は過去のリーグ戦での対戦成績が3勝1分4敗と、ほぼ五分の清水エスパルスとアウェーで戦う。今季のエスパルスは、第3節を終えて1分2敗と勝ち星が無く、ここ2試合(ナビスコ杯初戦とリーグ戦第3節)は2戦続けて0-4の大敗を喫するなど厳しい状況が続いている。今季から指揮を執るアントニーニョ監督は、この日の試合でブラジル人選手を先発から外す大幅なメンバー変更で初勝利を狙ってきた。

 一方の東京は、前節のヴェルディ戦で粘り強いサッカーから逆転勝利を収め、第3節を終えて2勝1敗と徐々に調子を上げてきている。さらに、この日の試合から大黒柱のケリーが今季初めてメンバー入りするなど、漸くベストメンバーが揃うことになった。とはいえ、ケリーはまだ本調子にはほど遠く、フィジカル的にも試合感も戻っていないため、ベンチからのスタート。また、前節活躍した徳永、栗澤の「特別指定選手組」は所属元の大学サッカーが始まるため、現在は東京を離れている。先発メンバーは右サイドバックに徳永に代わり加地が入った他は前節と同じ。控えも栗澤のところにケリーが入った他は前節と同じメンバーで試合に臨んだ。

 会場の日本平スタジアムには、応援バスツアー過去最高の11台480人を含む約1,500人のファンが押しかけ、ホームのエスパルスサポーターに負けない迫力ある大声援で選手をバックアップした。気温18.9℃、晴天、無風という絶好のコンディションの中、午後3時4分、キックオフの笛が鳴った。

序盤、エスパルスのロングボールに苦しむ


 試合は序盤から五分五分の展開を見せたが、お互いラストボールの精度の低さと最終ラインのきっちりしたディフェンスの前に、両チームともに決定的なチャンスを作れなかった。東京はボールを奪うと素早くサイドに展開し、相手の3バックの裏のスペースを突く狙いで攻撃を組み立てたが、前線でのボールの収まりが悪く、2重3重の厚みのある攻撃ができず単調な攻めに。右サイドの石川と加地のところは意識的にケアされていてなかなか崩せなかったが、左サイドからは度々金沢の効果的な攻撃参加でクロスをゴール前に供給した。9分には、右から石川が上げたクロスを相手DFがクリアミス。そのボールがペナルティエリア内にいたルーカスの前に転がり、至近距離から豪快にシュートを放ったが、ボールはバーを大きく越えていった。

 一方のエスパルスは、DFラインから早いタイミングで前線へロングボールを入れてきて、そこで競って落ちたボールを中盤のMF澤登とMF伊東がしっかりとフォローし、拾ってはサイドへ展開するか、FW北嶋、FW久保山のポストから細かい中央突破を狙ってきた。以前のエスパルスのようにDFからつないでビルドアップするスタイルではなく、DFはボールを持ったら間髪入れず前線へロングボールを入れてくるためプレスが効かず、東京側のピッチに押し込まれる時間が長くなった。茂庭、ジャーンが跳ね返したボールは中盤での拾い合いになったが、13分に今野とジャーンの連携ミスからボールをゴール前に運ばれ、これを取り返そうとした今野が倒してFKに。澤登が蹴ったボールはゴール左隅に飛んだが、土肥のファインセーブでゴールを割らせなかった。また、18分には左からのスローインをペナルティエリア内で澤登が受けると、鋭い反転でマーカーを外し左足でシュート。ボールは土肥の手をかすめてゴール右ポストに当たって跳ね返り、このボールを詰めていたMF太田が至近距離からシュートを放ったが、ゴール前に戻っていた戸田が体に当ててCKに逃げた。さらに、このCKはDF斉藤に中央からフリーでヘディングされたが、シュートは土肥の正面に。決定的な場面が続いたが、高い集中力でゴールは割らせなかった。

決定機を迎えるもゴールを奪えず


 ピンチを凌いだ東京は反撃を開始する。20分、左サイドでボールを受けたルーカスがドリブルで仕掛けて二人のマーカーを外して右サイドの石川へ。石川は胸でボールを落とすと、ペナルティエリア右角付近から迷わず豪快なボレーシュート! 昨年のエスパルス戦で見せたスーパーゴールを思わせるミドルレンジからのシュートだったが、惜しくも相手GKにパンチで逃げられた。25分には加地のクロスから相手DFのクリアを宮沢がペナルティエリア外で拾って右足でシュートを放ったが、ゴール左へ外れた。32分には、右サイドで石川が細かいステップでマーカを外し縦にボールを入れると、これを阿部がキープ。さらに阿部が相手DFの裏へパスを出すと、ルーカスが抜けだしフリーに。ゴールエリア右角辺りで豪快にシュートを放ったが、ボールはサイドネットを揺らしただけだった。

 エスパルスの攻撃は相変わらず長いボールを入れてくるところから始まっていたが、中盤では今野を激しくボールを奪い、サイドでも加地、金沢が1対1の勝負で絶対的な強さを見せ、決定的な仕事はさせなかった。33分に澤登が鋭いスルーパスを東京DFの裏へ通し、これに北嶋が抜け出したが、土肥の素早い飛び出しで一歩早くキャッチした。危ない場面はそれくらいで、その後は東京がチャンスを数多く作った。

 リズムを掴み始めた東京は、続く34分にはゴール正面で阿部→ルーカスとリズム良くボールが渡り、ルーカスはマーカー一人をかわして鋭いミドルシュートを放ったが、GKの正面でキャッチされてしまう。42分にはジャーンからのロングボールをルーカスがバックヘッドで前線へ送ると、阿部がこれに反応して抜けだしゴール前に突進。スライディングしながらシュートを放ったが、ジャストミートせずゴールを奪えず。結局、幾度かあった決定機をものにできず、前半は両チーム無得点のまま終了。勝負は後半に持ち越された。

ケリーがついにピッチに登場! 結果は…


 後半に入ると、50分、東京が動いた。阿部に代えてMFケリーを投入。本人はもちろん、誰もが待ちこがれたケリーの今季初登場に、スタンドのボルテージは最高潮に達した。ケリーは最初にボールを受ける時、石川が右サイドでボールを持つと素早くサポートに寄り「ハイ、ナオ!」と大きな声でボールを要求。この声が攻撃のリズムを呼び起こした。ピッチ上では今季見られなかった細かい局面での打開が簡単にできるようになっていた。特に右サイドで石川、ケリー、ルーカスが絡み相手DFを翻弄。細かい改善は必要だが、ケリーの加入で間違いなくサッカーのレベルが上がった。55分にはケリー→石川のコンビで右サイドを切り裂きグラウンダーのクロスをゴール前へ送ると、これに戸田が飛び込んだがGKが一瞬早くキャッチ。61分、今度は石川からのパスを受けてケリーが右サイドを抜け出しクロスを入れると、ルーカスが飛び込んだが一歩届かずGKにキャッチされた。

 怒濤の攻撃はまだ続く。63分、右サイドをまたも石川が突破してクロスを入れると、ファーサイドで戸田がフリーで受けたが、トラップが大きく、シュートの前にDFにクリアされてしまった。73分には、この日最大の決定機を迎える。左サイドに流れたルーカスから中央のケリーへとボールが渡り、後ろに落としたところを走り込んだ宮沢が右足でシュート。ボールはDFに当り右サイドに転がると、これを石川が拾い空かさず中央へ絶妙のボールを折り返し、フリーの戸田が中央でヘディングシュートを放ったが、これが何とGKの正面に。スタンドのため息の大きさが、チャンスの大きさを物語っていた。

 それでも諦めない東京は75分に馬場、77分に三浦と最後のカードを切って勝負に出た。ピッチ上ではケリーの運動量が急激に落ちていて、ここ2試合好調の馬場に期待が集まったが、この日の馬場の動きはもう一つキレがなく、判断も迷う場面が多くチャンスを演出できなかった。エスパルスも失点を避けるべく全員がゴール前に戻っているかのように多くの選手が守備に回り、必死の守りを見せた。その一方で、攻撃ではカウンターから途中出場のアラウージョにボールを集め、今季初の勝点3獲得に執念を燃やしたが、東京のDFラインの安定した守備の前に沈黙。結局、最後まで激しい攻防を見せるもお互いゴールを奪うことが出来ずタイムアップ。東京は今季初めて無得点に終わり、スコアレスドローで勝点1を得るにとどまった。

【選手コメント】《戸田》「ナオからの決定的なクロスの場面では、基本通り地面に叩きつけるヘディングをしなければいけなかった。今日の試合はそれが全てです」 《金沢》「スペースがあったので積極的に行くことは行ったけど、エスパルスはゴール前に選手を多く固めていたので決定的な場面がなかなか作れなかった。もう一工夫必要だった」 《三浦》「負けないことが大切。でも欲を言えば、今日勝ってジュビロとやりたかった」

【原監督の会見要旨】「エスパルスが日本人だけでスタートしてくると聞いて、チームとして守ろうという意識を感じていたが、そこを崩せなかったのが残念。前線からも激しいプレスをかけてきて、『何とか勝ってやろう』という気持ちが伝わってきた。以外だったのはDFからつなぐのではなく、どんどんボールを前線に放り込んできたことだ。前半は長いボールを蹴られて、それを落とされて清水のリズムになってしまった。我々もナオから戸田へ良い形で決定的なチャンスを作ったが決められなかった。もっとサイドから攻めて点を取り、何とか勝点3を取りたかったのだが…。ただ今日はこうゆう気温も高い苦しい中で、最後まで集中を切らさずアウェーで勝点1を取ったことをプラスに考えたい。ケリーについてはまだ100%じゃないけど、あそこでボールが収まることでリズムは良くなった。これから練習していけば、どんどん良くなると思う。今日はケリーが戻ってきたということが収穫だ」

【エスパルス・アントニーニョ監督の会見要旨】「前節のG大阪戦に比べたら、ずっと良いゲームができたと思う。選手を大幅に入れ替えて、狙い通りのディフェンスができていた。ただ残念だったのは、シュートがポストに当たるなど運が悪く、勝つことができなかった。今日の試合で日本人だけで先発させたのは、現時点でそれがベストだったからだ。私はその時点で調子の良い選手を使う。それが今日のメンバーで、試合に臨むに当たっては相手のルーカスが引いてきた時の中盤の選手の飛び出しをケアすること、また両サイドの石川、戸田のスピードに注意することが大切で、ディフェンスのバランスを崩さないようにした。その点では、斉藤がきっちり仕事をして無失点に抑えてくれたことが大きい。また、相手の前線からのプレスが強いのが分かっていたので、ビルドアップにあまり時間をかけず、相手DFの裏へ長いボールを蹴るよう指示していたが、うまくいったと思う」