GAME RESULT試合結果
第5節 2004/7/17(土)
観衆 10,496人
天候 晴、弱 気温 29.9度 湿度 57%
主審:岡田 正義 副審:江角 直樹/中熊 光義 四審:長谷 忠志
YNC 予選Dグループ 第5節
神戸ウイ
1-2
試合終了
前半1-1
後半0-1
ヴィッセル神戸 | FC東京 | |
---|---|---|
17' ホージェル |
得点者 |
01' 栗澤 僚一 50' ルーカス |
57' 丹羽 竜平 → 薮田 光教 72' 森 一紘 → 吉田 真史 77' 菅原 智 → 三浦 知良 |
選手交代 |
57' 梶山 陽平 → 馬場 憂太 68' 三浦 文丈 → 呉 章銀 73' ルーカス → 阿部 吉朗 |
10 | シュート | 20 |
3 | CK | 7 |
27 | FK | 19 |
35' 丹羽 竜平 89' 吉田 真史 |
警告 | |
退場 |
GK | 1 | 掛川 誠 |
DF | 28 | 河本 裕之 |
DF | 17 | 土屋 征夫 |
DF | 4 | 北本 久仁衛 |
DF | 6 | ホージェル |
MF | 23 | 森 一紘 |
MF | 5 | 菅原 智 |
MF | 33 | 丹羽 竜平 |
MF | 7 | 朴 康造 |
FW | 10 | 藤本 主税 |
FW | 13 | 播戸 竜二 |
GK | 29 | 不老 伸行 |
MF | 22 | 岸田 裕樹 |
MF | 18 | 薮田 光教 |
FW | 31 | 吉田 真史 |
FW | 11 | 三浦 知良 |
GK | 22 | 塩田 仁史 |
DF | 32 | 徳永 悠平 |
DF | 3 | ジャーン |
DF | 8 | 藤山 竜仁 |
DF | 17 | 金沢 浄 |
MF | 18 | 石川 直宏 |
MF | 6 | 今野 泰幸 |
MF | 10 | 三浦 文丈 |
MF | 33 | 栗澤 僚一 |
FW | 9 | ルーカス |
FW | 23 | 梶山 陽平 |
GK | 21 | 遠藤 大志 |
MF | 4 | 呉 章銀 |
MF | 16 | 宮沢 正史 |
MF | 14 | 馬場 憂太 |
FW | 11 | 阿部 吉朗 |
【選手・監督コメント】
決勝トーナメント進出を決めろ!
1stステージ終了から3週間ぶりに再開するこの日の試合はナビスコカップ予選Dグループ第5節、東京はアウェーで神戸と対戦する。現在(第4節終了時点)Dグループの首位に立っている東京は、この日の試合で引分け以上ならば2位以内が確定し決勝トーナメント進出が決まる状況にあり、ここは何としても勝って気持ちよく決めたいところ。一方の神戸はグループ最下位に沈んでいるものの、この日の試合に勝てば決勝トーナメント進出に可能性を残すだけに、ホームで気合いを入れて臨んでくることが予想された。
東京のメンバーは、アジアカップに参加している日本代表のGK土肥、DF加地の他、出場停止のDF茂庭を欠くが、2日前に合流したばかりの五輪代表組が元気に参加。先発はGK塩田、DFは右から徳永(特別指定選手)、ジャーン、藤山、金沢、MFは今野、三浦のダブルボランチに、右MF石川、左MFに特別指定選手の栗澤、トップ下に梶山、FWはルーカスの1トップという布陣。前日(16日)五輪代表の発表があり、東京所属の4選手は全員メンバー入りを果たし、チームは明るいムードに包まれた。五輪メンバーはこの日の試合を最後に一時チームを離れるため、試合前のロッカールーム内には「ここでスッキリ勝って予選突破を決めよう。そして五輪メンバーを気持ちよく送り出そう」という意識に満ちあふれていた。午後7時、キックオフの笛と同時に、いつも以上に勝利に飢えた青赤戦士が神戸ウイングスタジアムのピッチに飛び出した。
開始早々のラッシュから栗澤が先制弾!
開始1分のことだった。中盤で栗澤がボールを受けるとドリブルからトップに張るルーカスへ当て再びリターンをもらい、相手DFの間に強引に突進。二人のDFに止められたかに見えたが、スピードに乗った栗澤の前に混戦からボールが転がり、ペナルティエリアに入ったところで右足を振り抜くと、ボールは相手GKの手をかすめてゴール左隅にイン。栗澤は、相手に「この日最も東京で危険な人物」というデータをインプットさせる前の早業で、自身のJリーグ初ゴールとなる貴重な先制点を奪った。
続く2分には、ゴール前やや左位置で相手のクリアボールを受けた今野が絶妙のコントロールで相手をかわし強烈な左足ボレー。惜しくもGKのファインセーブに阻まれたが、果敢にゴールを狙った素晴らしいシュートだった。
その後も東京の「攻撃サッカー」はさらにヒートアップ。ゴール裏からもいつも以上に早い時間帯に「コーゲキ、コーゲキ、原トーキョー!」のコールが飛ぶ。中盤では栗澤が神出鬼没、且つ豊富な運動量でパスコースに顔を出し、ボールを受けてはサイドに散らしゲームをコントロールしていく。右サイドからは石川、徳永がキレのある動きで仕掛けクロス、左サイドは今野が積極的な前線への飛び出しでDFラインの裏のスペースを何度も突き、金沢も効果的な攻撃参加でクロスを供給。相手にボディーブローのようなダメージを与えた。
一瞬のスキから同点ゴールを許し振り出しに
リズムは完全に東京のものだった。ディフェンス面でもボランチの三浦が激しいプレーで相手の飛び出してきた選手を潰し、ジャーン、藤山の両センターバックも安定していた。
一方の神戸は3-5-2で、トップはワントップ気味にFW播戸が張り、その下にFW藤本がゲームメーカーとして入った。サイドは左右ワイドに張っていたが、特徴的なのは左のDFホージェルが非常に高い位置で仕事をしていること。東京に押し込まれる場面が多かったが、しっかり引いてボールを奪うと早めにホージェルへ長いボールを入れてカウンターを仕掛けてきた。
迎えた17分、東京の左サイドで金沢が上がって不在のところにパスが出ると、対応した藤山がボールの処理を誤り、それを播戸が拾ってサイドを突進。深い位置からシュート性の鋭いクロスを入れると、逆サイドから上がっていたホージェルがそれに合わせて右足シュート。ボールは東京のゴールネットを揺らし、同点に追いつかれてしまった。
東京はこの失点に気落ちすることなく再び反撃を開始。18分には三浦が中央をドリブル突破し、ペナルティエリア外から左足で強シュートを放つもGKのファインセーブに阻まれた。続く19分にはルーカスがDF陣に囲まれながらの強引なシュート。26分、右サイドから石川がFK、中央で今野がヘッドで合わせたが枠を捕らえなかった。27分、左サイドのスペースで栗澤のパスに今野が飛び出し、クロスを入れたが惜しくも合わず。さらに混戦から右サイドにボールが出ると梶山がテクニカルなドリブルでホージェルをかわし中央へパス。これを栗澤がシュートを放つもバーの上へ。流れるような攻撃にゴール裏からは「セクシー、トーキョー!」のコールが。29分、右サイドで徳永のロングパスに石川が超スピードで追いつき、その勢いのままゴールへ突進。中へ切り込んで強烈な左足シュートを放ったが、DFに当りGKにキャッチされた。33分、右サイドでデフェンスした石川から前線で栗澤がボールを受けると、巧みなステップでマークにきたDF二人を一瞬でかわし逆サイドでフリーの梶山へピンポイントパス。金沢がその後ろをオーバーラップすると、タイミング良く梶山からパスが通りクロスを入れる。惜しくもクリアされたが流れるような攻撃で神戸を圧倒。41分にはルーカスが左サイドでキープして寄ってきた栗澤へ。栗澤から中央でフリーの三浦へとパスが通りシュート。ダイレクトで放った強烈なシュートはGKのファインセービングで弾かれたが、これを右サイドで拾った石川が角度のないところから右足で強シュート。これもGKにキャッチされる。東京はほとんど一方的な展開で押し込んだが、追加点を奪えず、1-1のまま勝負は後半へと持ち越された。
ルーカス決勝ゴール!
ハーフタイムに原監督から後半の試合の入り方、サイドからの速いボール(クロス)の徹底、そこへの飛び込み、ホージェルのケアについて指示があり、後半に臨んだ。引分けでは後がない神戸も後半開始から猛然と出てきたが、東京も今野がタイムリーなスペースへの飛び出しでチャンスを作る。
迎えた50分、中盤でパスを受けた金沢が軽やかなステップでDFをするするとかわし、ペナルティエリア内で張るルーカスへ。ルーカスはパスを受けるとDFを背に強引にゴール前へドリブル突破しシュート。一度はブロックされたが、混戦のこぼれ球を再び突くと、ボールはゴールイン! ルーカスの迫力あるアタックから貴重な追加点をゲットした。
後半開始早々の時間帯に待望の追加点を奪った東京だったが、直後の51分、決定的なピンチを迎える。東京の左サイド深い位置で播戸がボールキープすると、前半の神戸の得点シーンを思う浮かばせるようなグラウンダーの速いクロスを中央へ折り返す。そこへMF菅原がフリーで飛び込みシュートを放ったが、ボールはバーを大きく越していった。決定的なピンチを逃れた東京は、その後も栗澤を起点にボールを動かし、相手のボールになれば今野、藤山らが激しいチャージでボールを奪取し、試合を優位に進めていく。
その後、決定的な場面を作れない両チームは57分に動く。東京は梶山に代えてトップ下に馬場を投入。一方の神戸もボランチを一枚下げ、攻撃的MF投入。東京は相手の背後にボールを出せる馬場の加入で、チャンスが増えた。60分には栗澤が左サイドを突破してクロスを入れたが、惜しくもGKにキャッチされてしまう。61分には馬場のスルーパスに石川が左サイドを抜け出して左足シュートを放ったが、ボールはゴール右へ外れた。続く62分には、相手DFのフィードミスを石川がインターセプト。そのまま持ち込んで右足のミドルを放ったが、ゴール左へきれていった。東京は68分、三浦に代えてMF呉を、73分にはルーカスに代えてFW阿部を投入。試合を決定づける追加点が欲しい東京は全てのカードを出し尽くす。一方、神戸も72分、77分と立て続けに選手交代し、FWを4人にする超攻撃的布陣に変えて臨んできた。
両チーム総力戦で攻防を繰り広げたが、決定的な場面を作れないまま時間は過ぎていった。東京はジャーン、藤山を中心に最後まで集中を切らさず危ない場面を作らせない。逆に終了間際に右サイドで石川がボールを受けるとドリブルから、中央でフリーの馬場へ。馬場は巧みなトラップでマーカーを外し、GKと1対1で狙い澄ましてシュート。しかし、GKのスーパーセーブに阻まれ、ゴールならず。結局、試合は2-1のままタイムアップ。東京は勝点を12に伸ばし、最終節を残して予選Dグループ1位通過を決めた。
【選手コメント】《栗澤》「自分のプレー、持ち味を出そうと心がけて試合に臨んだが、それが結果につながって良かった。驚いているが、ゴールを決めて勝利に貢献できたことが嬉しい。大学とFC東京では気持ちだけ切り替えてプレーしているが、それぞれ上手くプレーできていると思う。将来はドリブルもパスも出来る選手が理想。その理想の選手になれるように、これからも頑張っていきたい」 《石川》「個人的には最後にバテテしまったけど、チームとしてはギリギリの厳しい状況の中でよく踏ん張れたと思う。けがをしてから90分プレーするのは久しぶりできつかったが、五輪前の最後の試合だったので頑張れて良かった。今回は2日前にチームに合流したが、各選手のモチベーションが高く刺激になったし、これでチームを離れるが、向こうでも五輪後に帰ってきたらポジションがなくなっているかもしれないという危機感を持ってやっていきたい。自分のレベルをしっかり上げて帰ってきたい」
【原監督の会見要旨】「神戸は引分けだとダメなので最初から飛ばしてくると思っていたし、我々もスタートから前からプレスをかけていこうと話していた。その指示通りみんな前から行ってくれたし、良い形で試合に入れたと思う。そして早い時間帯に栗澤が良い形で取ってくれた。栗澤はパスが出せてドリブル突破もあり、シュートも打てる。これまでもこの位はやる選手というのはわかっていたが、今日は特によくやってくれた。オリンピック組が直前に帰ってきて合わせる時間が短かったことと、この暑さでリズムは良くなかったが、こうゆう中で勝点3を取れて予選突破できたことが嬉しい。この試合を最後にオリンピック組がいなくなるが、コンディショニングの良い選手から使って、さらにチーム力を高めていきたい。残っている選手の競争に期待している。明日のサテライト戦も含め、アピールしてくる選手を次のレイソル戦で思い切って使っていきたい」
【神戸・ハシェック監督の会見要旨】「まずはFC東京に予選突破おめでとうと言いたい。今日の試合はFC東京のゲームだったし、90分間良いサッカーをしていた。FC東京の選手は能力が高く、特に中盤の力は我々より上で、グランドの中央を支配していた。我々が相手ディフェンスラインの裏をとったのは1回だけ。1-2で同点に追いつく決定的なチャンスだったが、そこで決めることができなかったのが痛い。ただ我々にはナビスコカップ予選突破の可能性がまだ少しだけ残っている。気持ちを切り替えて最後まで頑張りたい」