GAME RESULT試合結果
第2節 2004/10/13(水)
観衆 15,885人
天候 曇、弱 気温 18.9度 湿度 75%
主審:柏原 丈二 副審:名木 利幸/中井 恒 四審:砂川 恵一
YNC 決勝トーナメント 第2節
味スタ
4-3
試合終了
前半3-0
後半0-3
延長前半1-0
FC東京 | 東京ヴェルディ | |
---|---|---|
06' ジャーン 14' ルーカス 42' ルーカス 90' ルーカス |
得点者 |
47' 山田 卓也 78' 平本 一樹 79' 小林 大悟 |
56' 三浦 文丈 → 宮沢 正史 74' 石川 直宏 → 阿部 吉朗 87' 馬場 憂太 → 鈴木 規郎 |
選手交代 |
56' 戸川 健太 → ウーゴ 64' 桜井 直人 → 平野 孝 |
19 | シュート | 15 |
14 | CK | 3 |
23 | FK | 23 |
33' 三浦 文丈 51' 藤山 竜仁 76' ケリー 87' ジャーン |
警告 |
12' 林 健太郎 22' 林 健太郎 50' ウベダ 50' 桜井 直人 64' ウーゴ |
退場 |
22' 林 健太郎 |
GK | 22 | 塩田 仁史 |
DF | 8 | 藤山 竜仁 |
DF | 2 | 茂庭 照幸 |
DF | 3 | ジャーン |
DF | 17 | 金沢 浄 |
MF | 6 | 今野 泰幸 |
MF | 10 | 三浦 文丈 |
MF | 18 | 石川 直宏 |
MF | 19 | ケリー |
MF | 14 | 馬場 憂太 |
FW | 9 | ルーカス |
GK | 21 | 遠藤 大志 |
MF | 16 | 宮沢 正史 |
MF | 29 | 前田 和也 |
FW | 11 | 阿部 吉朗 |
FW | 15 | 鈴木 規郎 |
GK | 21 | 高木 義成 |
DF | 5 | 米山 篤志 |
DF | 17 | 戸川 健太 |
DF | 3 | ウベダ |
MF | 2 | 山田 卓也 |
MF | 8 | 小林 大悟 |
MF | 4 | 林 健太郎 |
MF | 32 | 小林 慶行 |
MF | 15 | 相馬 崇人 |
FW | 16 | 桜井 直人 |
FW | 11 | 平本 一樹 |
GK | 1 | 水原 大樹 |
DF | 13 | 柳沢 将之 |
MF | 10 | ウーゴ |
MF | 22 | 平野 孝 |
FW | 20 | 飯尾 一慶 |
【選手・監督コメント】
タイトルをめざせ! ナビスコカップ準決勝
台風の影響で10月9日より延期となったナビスコカップ準決勝。味の素スタジアムでのホームゲームとして東京ヴェルディ1969と対戦する。この戦いは決勝進出を賭けるだけでなく、東京に本拠地に置くクラブ同士の勝負でもあり、サポーターも含めお互いの意気込みは高い。今シーズンのリーグ戦では2戦2勝と分は良いが、そこはカップ戦、何が起こるかわからない一発勝負だ。とにかく勝利は絶対譲れない――結果が求められる重要な一戦となる。
東京は、オマーンでワールドカップ一次予選を戦う日本代表の土肥、加地が不在。また、この順延の期間に戸田が右足を負傷。右サイドバックは藤山が務め、右MFには石川が7月17日(ナビスコカップ神戸戦)以来の先発となった。対するヴェルディは3-5-2の布陣を敷く。試合は気温19度の寒い曇り空のもと、東京のキックオフでスタートした。
思い切りのよいサッカーでヴェルディを圧倒
最初にシュートを放ったのはヴェルディ。1分に左エリア内に侵入したMF相馬がCKを奪うと、左CKからDF米山がヘディングシュート。東京も3分には石川が中央に攻め上がり、馬場の右クロスからCKを奪う。このCKをルーカスがヘッドで競り、こぼれを拾った石川がDFを切り返しでかわしシュート。4分にはヴェルディの右クロスを塩田が飛び出してパンチング。塩田の戻り際を狙うようにヴェルディMF山田がミドルシュートを放った。
立ち上がりこそ一進一退の攻防となったが、チャンスを最初につかんだのは東京だった。5分、今野のスルーパスに合わせ、ケリーが前線に抜け出しCKを奪う。一旦はDFにクリアされるが、再びCKを奪うと、馬場の蹴ったキックをファーサイドでルーカスがヘッドで折り返し、ジャーンが頭で押し込みゴールイン! 6分という早い時間に先制点を奪った。
先制をきっかけに東京は動き出しと球際に優り、アグレッシブなプレスからボールを奪うと、素速い攻撃を次々と仕掛けてはヴェルディを押し込む。そして14分、自陣で相手ボールをインターセプトした藤山が石川にパス。石川は長い距離をドリブルで独走。右サイドから中央に切れ込み、ペナルティアーク付近からシュートか…と見せかけると、ゴール前のルーカスにドンピシャのスルーパス! ルーカスはダイレクトで右足を振りぬくと、ボールはネットを揺らしてイン。石川とルーカスのコンビで早くも2点目をゲットした!
ヴェルディにアクシデントが起こったのは22分のこと。MF林が2枚目の警告を受けて退場に。東京にとっては、2点リードで相手が1人少なくなる優位といえるが、過去には10人となった相手に対しどこか消極的となり幾度も苦しめられてきた。決して油断できる状況ではないはずだ。ここから残り65分あまりを、どのようなゲームプランで戦うのかも見どころとなった。29分にはヴェルディMF小林慶に右エリアに切り込まれ、ゴール至近距離からシュートされるも塩田が果敢に飛び出しセーブ。こぼれ球は茂庭が身体を張って掻き出した。35分には右クロスに合わせ、中央でヴェルディ相馬がシュートを放つもまたもや塩田ががっちりキャッチ。
攻守の切り替えを意識し、集中して戦う東京。37分には藤山のクロスを相手DFがクリア。こぼれを馬場が拾って、ゴール正面に走りこんだ三浦にラストパス。だが三浦の決定的なシュートはバーの上に浮いてしまった。39分にはパスを奪われた今野が、猛然と奪い返しにいき反撃。石川につなぐと、サイドチェンジのパスを受けた馬場がミドルシュートを狙ったが、クロスバーを直撃。ゴールはならなかった。だが迎えた42分、攻め上がった藤山が右サイドの石川へパスをつなぐと、石川は縦への突破を図りエンドライン際からクロス。これをゴール前でルーカスがヘディングシュート! 今日2度めとなる藤山‐石川‐ルーカスのホットラインで追加点を奪った。まさにこの試合にかける気持ちがそのまま表現された内容で3点をリードし、後半へと折り返した。
一転、3点差を追いつかれる展開に…
ハーフタイムの原監督の指示は「少しでも隙を見せるな。相手の右サイドからのカウンターに注意。前線からプレスをかけて速い攻めをしかけよう」。対するヴェルディ・アルディレス監督の指示は「後半立ち上がりから思い切りいこう。1点決まれば状況はガラリを変わる。チャンスだと思ったら、リスクを冒してでも勝負しよう」というもの。そして状況は、まさにアルディレス監督の言葉どおりとなった。
後半開始2分後の47分、ヴェルディは左からの長いクロスを前線でFW平本が頭で競る。これに合わせて、右サイドからフリーで中央に攻め上がったMF山田にヘディングシュートを決められ、3対1の2点差とされる。それでも東京も、直後には速攻を仕掛け、石川のグラウンダーのクロスをゴール正面で受けた三浦がジャストミートでシュートするが、相手GK高木のナイスセーブに阻まれる。これで得たCKから、馬場が放ったヘディングもGKがセーブ。続いて相手DF→GKキャッチの処理がバックパスの判定を受け、ゴールエリアから間接FKのチャンス。だがジャーンのシュートは壁に阻まれ、ゴールを逃がした。
ヴェルディは前線に長いボールを送り、そこからセカンドボールを拾い出して徐々にリズムをつかみ始める。これに対応するように56分に東京は三浦に代えて宮沢を投入。しかしヴェルディもDF戸川に代わりMFウーゴがイン。DFを2人にして反撃に挑んできた。61分には東京が速攻から馬場がグラウンダーのクロス。右エリアから石川が放ったシュートは相手DFがブロック。65分には立て続けにゴール前に攻め込まれ、ピンチを招く時間が続いた。
74分には石川に代えて阿部を投入。だが、一旦失ったリズムはなかなか取り戻すことはできなかった。そして78分、ヴェルディはスローインからつないでロングパスを前線右の山田→ゴール前の平本がヘッドで競る。これがエリア手前の平野にわたり、短いパスを受けたMF小林大がシュート。一度はジャーンが防いだが、こぼれ球を平本に蹴りこまれ失点。1点差に詰め寄られるとその1分後には、中央の小林大→右の平本とパスをつなぎ、エリア内でピンポイントのラストパスを受けた小林大がダイレクトでシュート。人数のビハインドを感じさせないヴェルディの猛攻に続けざまに2点を奪われ、勝負は振り出しに戻った。
ルーカスのVゴールで、初のファイナルへ進出!
信じられないような展開にようやく目が覚めたように、80分には東京のビッグチャンス。ケリーから右エリアのスペースに出たボールに馬場が追いつき、GKと1対1になるが、一歩速い出足に阻まれる。ここから3本のCKを奪うが、ゴールはならず。87分には馬場に代えて鈴木を投入。89分、金沢の左クロスに合わせてファーサイドでジャーンが放ったヘディングはGKがセーブ。こぼれを拾ったルーカスのシュートも枠をはずれてしまった。5分という長いロスタイムを押し気味に攻めた東京だが、逆に後半終了間際にはヴェルディがカウンターを仕掛け、アーリークロスに合わせてゴール前に平本が抜け出す。ワントラップして放ったシュートはポストを直撃! こぼれをつないで放った米山のシュートはバーの上に。東京は命拾いをした。結局、緊張感あふれる戦いは互いに一歩も譲らず、遂に勝負はVゴール方式の延長戦へと持ち込まれることになった。
だが、両者の意地がぶつかるような戦いは、意外にあっけない幕切れとなった。延長前半キックオフのボールをつなぎ、阿部がドリブルでゴール前に仕掛けてCKを奪う。宮沢の蹴った左CKをファーでルーカスが打点の高いヘッドで合わせてゴールイン!! 延長開始40秒、ルーカスのハットトリックとなる涙の歓喜のゴールで、ヴェルディにとどめを刺した!これで苦しい激戦にピリオドを打つとともに、チーム初のナビスコカップファイナルへと進出を決めた。監督・選手はもちろんスタジアムで声援をおくった多くのサポーターみんながよろこびに感情を爆発させた感動的な一瞬であった。
【選手コメント】《ルーカス》「前半はいい流れで自分たちのサッカーができた。後半は弱気になってしまったのか、それ以上にヴェルディが気持ちを盛り上げてきて勢いに苦しんだ。3点を追いつかれてしまったのは、自分自身を含めて11人の責任。悔しさと勝ちたい気持ちが交じり、延長戦に入る前は苛立っていた。ただ、そこで冷静になり、チームも集中力を取り戻して臨めたことが勝利につながったと思う。Vゴールは初めての経験で感動的だった」《金沢》「後半の入り方には注意していたのだが、ヴェルディの頑張りを受けてしまう形になり、セカンドボールが拾えなくなった。耐えて速い攻めをしようとしたが、奪ってもそのあとの動き出し、それぞれの距離感がちぐはぐで、攻めの形を作れなかった。反省して前に進んでいきたい」《三浦》「カップ戦なので、慎重にいくよりもどんどんプレッシャーをかけていこうとした。前半、自分たちのリズムを作れたのはよかったが…。後半立ち上がりに甘さが出て失点し、ヴェルディに勢いを出させてしまった。この失点と、相手がリスクをかけて攻めに出てきた時にとどめを刺す4点目を取れなかったことが、大きなポイント。ただ、勝利が一番大事だったので、最終的に勝てたことはうれしい。負けるパターン、やばいぞという雰囲気を押しとどめたのはチーム力がついてきた証だと思う」
【原監督の会見要旨】「前半3対0になり、しかも相手が1人少なくなった。1stステージの市原戦で、同じような展開から追いつかれたので、ハーフタイムには集中していこうと話した。だがヴェルディは、後半立ち上がりから早めにロングボールを放りこんできた。特に山田選手のところに放りこみ、そのこぼれ球を狙うサッカーに対応できず、本当に苦しかった。結果的に我々が勝ったが、ヴェルディはすばらしかった。今までのヴェルディには細かくパスを繋ぐイメージがあったが、それを捨てても本当に点を取りにいきたいという気持ちがあり、我々を上回っていた。選手交代やいろいろな考えで対処しようとしたが、抑えることができなかった。気迫も含め、それほどヴェルディの攻撃はすばらしかったと思う。延長に入る前にルーカスがイライラしていたが、選手たちにはまだ負けたわけじゃない、怒っていても失ったゴールは戻らないので気持ちを切り替えなければダメだと言った。これから点を取ることだけに集中しようとルーカスにも話したら、まさにそのとおりになった。本来なら3対0で、あるいは3対1の時点で石川や馬場のシュートが決まっていればもっと楽に勝てたかもしれないがファイナルへ進むことは簡単じゃない。今日は、試合に出場しない選手も自然に集まり、全員で円陣を組んで試合に臨んだ。チーム全体がそういう雰囲気になれたことがうれしいし、東京のサポーターもたくさん来てくれた。みんなのファイナルに行きたいという気持ちが、後半終了間際の平本の決定的なシュートを防いだり、ルーカスのVゴールにつながったのかなと思う。決勝までは間があくが、浦和を破るのは東京しかないかなと思っていたので、勝ちたい。ただ、今は次のリーグ戦に気持ちを切り替え、今日の前半のような戦いをしたい」
【東京V・アルディレス監督の会見要旨】「まず最初に、すばらしい試合だったと思う。私の人生の中でも最も密度の高い試合の一つになった。敗れてしまったので悲しい気持ちがあるが、選手たちに対しては誇りに思う。不運なことに退場者が出て、我々は10人で戦わなければならなかった。サッカーは勝負なので敗戦はつきもの。しかし、こういった判定で敗れてしまうことは非常に悔しい。FC東京はチャンスをしっかり活かして決勝に進んだ。決勝進出おめでとうございますといいたい。悔しい思いは残るが、今後の試合に活かしたい。サッカーでは常に学ばないといけない」