GAME RESULT試合結果
第18節 2007/6/30(土)
観衆 15,712人
天候 曇、弱 気温 22.8度 湿度 71%
主審:吉田 寿光 副審:宮島 一代/相葉 忠臣 四審:穴沢 努
J1 第18節
カシマ
1-2
試合終了
前半1-0
後半0-2
鹿島アントラーズ | FC東京 | |
---|---|---|
21' マルキーニョス |
得点者 |
47' ルーカス 56' 鈴木 規郎 |
64' 田代 有三 → 増田 誓志 64' 中後 雅喜 → 興梠 慎三 78' 新井場 徹 → 佐々木 竜太 |
選手交代 |
69' リチェーリ → 馬場 憂太 76' ルーカス → 赤嶺 真吾 83' 福西 崇史 → 茂庭 照幸 |
19 | シュート | 18 |
5 | CK | 7 |
19 | FK | 16 |
24' 石神 直哉 |
警告 |
16' リチェーリ 44' ルーカス 87' 茂庭 照幸 |
退場 |
GK | 21 | 曽ヶ端 準 |
DF | 7 | 新井場 徹 |
DF | 3 | 岩政 大樹 |
DF | 4 | 大岩 剛 |
DF | 22 | 石神 直哉 |
MF | 15 | 青木 剛 |
MF | 16 | 中後 雅喜 |
MF | 10 | 本山 雅志 |
MF | 8 | 野沢 拓也 |
FW | 18 | マルキーニョス |
FW | 9 | 田代 有三 |
GK | 1 | 小澤 英明 |
DF | 5 | ファボン |
MF | 11 | ダニーロ |
MF | 14 | 増田 誓志 |
MF | 30 | 大道 広幸 |
MF | 17 | 興梠 慎三 |
FW | 34 | 佐々木 竜太 |
GK | 1 | 土肥 洋一 |
DF | 25 | 徳永 悠平 |
DF | 6 | 今野 泰幸 |
DF | 8 | 藤山 竜仁 |
DF | 17 | 金沢 浄 |
MF | 23 | 梶山 陽平 |
MF | 19 | 伊野波 雅彦 |
MF | 37 | 福西 崇史 |
FW | 15 | 鈴木 規郎 |
FW | 35 | リチェーリ |
FW | 9 | ルーカス |
GK | 22 | 塩田 仁史 |
DF | 2 | 茂庭 照幸 |
MF | 7 | 浅利 悟 |
MF | 27 | 栗澤 僚一 |
MF | 14 | 馬場 憂太 |
FW | 20 | 川口 信男 |
FW | 24 | 赤嶺 真吾 |
【選手・監督コメント】
後半戦突入!巻き返すためにも勝利で飾りたい
リーグ第18節はアウェイで鹿島アントラーズとの対戦。前半戦の17節を終えて、6勝2分9敗で勝ち点20と苦しい状況は続いている。前節G大阪戦では2点を先行しながらも6失点して大敗。前半開始から狙い通りの展開で進めたものの、ミスから失点を重ねると、その悪い流れを止めることができず、悔しさが残る戦いとなってしまった。今節は守備の立て直しを図り、後半戦の巻き返しにつなぐためにも勝ち点3をもぎとり、中断期間を迎えたいところだ。
対する鹿島は現在、勝ち点30で3位につける。G大阪ほどの爆発的な攻撃力はないものの、手堅い試合運びで連勝。5月3日の東京戦から9戦負けなしで調子を上げている。警戒すべきは、決定力のあるFWマルキーニョスとトップ下のMF野沢。原監督は「長いボールをFWマルキーニョスやMF野沢、左MF本山らのところに送り、そこからスピーディに仕掛けてくる」と警戒。東京は集中を切らさず、彼らを簡単にプレーさせないことが大事になる。また、MF野沢の精度の高いセットプレーにも、細心の注意が必要だ。
東京は前節G大阪戦からメンバーを変えてきた。この試合ではサイドの攻防が大きなポイントとなるため、右MFに鈴木規、左MFにリチェーリとスピードのある選手を入れ、鹿島のサイドバックが上がった裏のスペースを突いて、そこを起点にチャンスを作っていきたい。今野、伊野波が日本代表合宿に参加していたため、コンディションの面で不安は残るが、今節はサブに赤嶺が入り、点がほしいときに高さの鹿島CBに対して動き出しの早さでチャンスを作ってくれることに期待したい。
過去、リーグ戦では一度も勝利のないカシマサッカースタジアム。難敵ではあるが、前からプレスをかけ、奪ったら速い攻撃を仕掛ける東京のサッカーで対抗。鹿島のサイドを突く攻撃を続けて、最後まであきらめずに戦うことで活路を開きたい。試合は16時に鹿島のキックオフで開始された。
攻撃のリズムが作れず、1点のビハインドで前半を折り返す
試合開始から鹿島が攻勢に出る。4分、スローインをFW田代が落とし、エリア内の混戦からFWマルキーニョスがシュート。5分には、MF青木がミドルを放つも左に切れる。東京も右サイドからチャンスをつかむ。7分、鈴木規が相手DFを引きずりながらも、右エリア内に強引に切り込みシュート、角度がなくサイドネットに。9分には、右エリア外側で突破を仕掛けたルーカスが倒されFKを得る。鈴木規のキックはDFにクリアされ、左CKに。この梶山のCKは相手GKにキャッチされ、逆に鹿島がカウンターに。最後はMF本山がミドルを放つも右に切れる。
徐々に東京がボールを支配、攻撃を仕掛ける。13分、カウンターから左のリチェーリ→福西→梶山とわたり、右サイドにいたフリーの鈴木規へパスが通ればビッグチャンスであったが、梶山のラストパスはカットされる。14分には、金沢のスローインからルーカスが粘り、こぼれを拾った梶山がエリア外からミドル。相手GKにキャッチされる。リズムをつかめない鹿島は、前線のFW田代めがけて長いボールを放り込み、そのこぼれを拾って攻撃に転じる。すると21分、DFラインの裏に蹴り込まれたルーズボールを今野が処理しきれず、鹿島FWマルキーニョスが抜け出しシュート。一度は土肥が好セーブで逃れるも、こぼれをつながれ再びFWマルキーニョスのもとに。これを確実に決められて失点を許す。
攻めに出たい東京であったが、深い芝生に慣れないこともあり、ボールを奪っても持ち直したりすることが多く、ワンテンポずつ遅れることで攻撃のスピードが上がらない。その間に鹿島に守備陣形を整えられ、ボールを持っている選手が囲まれて奪われるか、パスミスでカウンターをくらうという悪循環を繰り返してしまう。30分には、早いリスタートから右の徳永にわたりクロス。これにエリア内まで飛び出した福西が足を伸ばしたが、ヒットせず。逆に31分、鹿島MF本山から左エリアに抜け出したMF中後にわたり、土肥と1対1になるも、好セーブでCKに逃れた。
東京は35分過ぎから、リチェーリと鈴木規のポジションを入れ替える。徐々にサイドでの攻撃がスムーズに展開されるようになるも、決定的なチャンスまでは作れず。終了間際には、鹿島FW田代がエリア内に飛び出され、フリーでシュートを打たれるも、またも土肥のセーブでピンチは逃れた。前半はこのまま0-1で終了。土肥が好セーブを連発して、1失点に踏みとどまり、十分挽回できるチャンスを残して後半へと折り返した。
セットプレーからルーカス、鈴木規がゴールを挙げて逆転勝利!
後半開始から東京は猛然とゴールを目指す。後半1分、徳永が攻め上がり右クロス。ルーカスがスルーし、後ろで待ち構えた福西が至近距離からシュートを放つが、ポストに阻まれる。跳ね返りをルーカスも狙うがわずかに左に切れた。後半2分には、ルーカスのクロスを鹿島DFがクリアし、そのこぼれから梶山がエリア内に切り込み、右CKを奪う。この梶山のCKを徳永がヘディングで折り返し、ルーカスがダイレクトでボレーシュート。これがゴールネットに突き刺さり、後半立ち上がりの早い時間帯に追いついた。
ハーフタイムの原監督からの指示どおりに、ボールを持ったら、ワンテンポ早くサイドに展開することで、攻撃のリズムが出始める。52分、左サイドで鈴木規→ルーカスとパスをつなぎ、上がった伊野波がミドルレンジから狙ったが、右に切れる。55分は、梶山のパスカットから、ルーカス→福西が前線に飛び出したリチェーリに、絶好のスルーパス。GKと1対1になるが、セーブに阻まれ、左CKに。ここから立て続けにCKを奪う。すると56分、梶山の右CKを今野がヘッドで落とし、ルーカスがゴールを狙うが鹿島DFに阻まれる。今度はそのこぼれに、後ろから走り込んだ鈴木規が豪快なシュートをゴールに蹴り込み逆転する。
その後も東京は攻撃の手を緩めない。60分、梶山がボールを奪ってリチェーリへ。そのまま右サイドをドリブルで駆け上がるもクロスを上げられず。今度はルーカスがパスカットして右サイドからクロスを上げると、走り込んだ伊野波がヘディングシュート、相手GKの正面に。64分に鹿島は2選手を交代して流れを変えようとするも、東京も69分にリチェーリに代えて馬場を投入し、一進一退の攻防が続く。71分には、中央FKを鈴木規が直接 狙うも枠の外に。73分は、ルーカスが前線に走り、右エリアで相手DFと勝負。ラストパスに馬場が合わせるが、鹿島DFに囲まれ、打ち切れなかった。
76分、鹿島のMF増田が、左からのパスにエリア手前で合わせ、スピードに乗ってシュートを放つも左に切れる。だがこのシュートを防ぎにいったルーカスが左脚を痛め、赤嶺と交代。すると鹿島は78分にDF新井場に代えてFW佐々木を投入。前線に人数を掛けて反撃に出る。東京陣内でボールをキープされる時間が長くなり、鹿島に押し込まれ、立て続けにセットプレーからゴールを脅かされる。
83分には福西に代えて茂庭を投入。守備を固めて、このまま逃げ切ろうとしたが、終了間際にアクシデントが起きる。鹿島の右クロスに対して、エリア内でボールと関係のないところで茂庭がファールを取られ、PKを与えてしまう。だが、鹿島MF野沢の蹴ったボールはポストを直撃してゴールを許さず。土肥のベテランらしい落ち着きと冷静な反応が、この絶対絶命のピンチから救ってくれた。試合はこのまま終了。8年目にしてカシマスタジアムでリーグ戦初勝利を挙げた。
【選手コメント】《ルーカス》「G大阪戦からの反省を活かして臨んだ。結果を出すことができてうれしい。次のナビスコカップは、ホームとアウェイの2戦あるので、180分をとおしてアグレッシブに戦いたい」《鈴木規》「ゴールは、蹴る前からこぼれてくるイメージがあったので、とにかくシュートを意識した。ただ、ここのところふかすことが多かったので、抑えたボールを打とうとした。前半の途中から左に回って、やりやすくなったところもある。ただ、右サイドでもプレーの幅が広がるのでよいことだと思う。前半、2~3回突破の形ができたので、ああいうところで決められるようにしたい」
【原監督の会見要旨】「前節G大阪に大敗し、1週間で気持ちを整理して、今日はいい形で試合に入った。それにも関わらず、失点してしまった。鹿島は前半、藤山のところに背の高い選手を付け、中盤でつなぐというよりは、シンプルに前に入れてこぼれ球を拾ってきた。その拾い合いを負けないように注意していた。1失点目は、決して崩されたわけではなく、放り込まれたところ、今野に若干の判断ミスもあり、決められてしまった。攻撃では、サイドを使えば必ずチャンスになると思っていたが、ワンテンポ遅く、粘りのある芝生の上で、足元に入ったボールをつなぐのが遅くなってしまった。ハーフタイムには『パスを出して自分も出て行くことを繰り返せばチャンスがつくれる』と言った。後半最初に福西がポストに当てたシーンなど、形ができてきた。そういう形ができてきたのが大きかった。鹿島のリスタートには気をつけていたが、逆に我々があの早い時間帯に、しかもリスタートから点を取ることができた。それによって選手たちに自信が戻ってきた。前節のガンバは確かに強かったが、それよりも我々が自滅した感じの試合。しかも6失点を払拭するのは難しかった。しかし『点は取れている、いい形はできている』ということを選手には話していた。そしてCKやFKの守備を整理した。G大阪戦で出た梶山や伊野波の若さ=よい時はいいが悪い時には切れてしまうという状況が、今日も最初は出ていたが、後半は、梶山の運動量やダイナミックさが出ていた。伊野波の中央での守備もしっかりできていた。あの2人がよい時はチームもよい。また、鈴木規郎の左足のひと振りは、我々にとって貴重だと思う。リーグ戦ではこのスタジアムで勝ったことがない。鹿島の試合はずいぶん観たが、カウンターやリスタートなどがうまく、試合巧者。そのため、セットプレーなどを気をつけて集中しようと言っていた。今日は逆に我々がCKから2得点できた。またリーグ戦で初めてここで勝てたことは、チームにとっていい風が吹いてきたなと感じる。今日は苦しいゲームで、相手のPKがはずれるという運にも恵まれたが、この貴重な勝利を大事にして、来週のナビスコカップや、再開するリーグ戦に向けていい準備をしていきたい。
(リーグ前半戦の総括は?)FC東京に戻ってきて、ワンチョペやエバウド、福西など大物選手をどう活かすか、どう組み込んでいくかというのを考えた。エバウドはケガでほとんど練習ができていない状態で、茂庭もケガをしてしまった。そこで徳永をセンターバックにしたり、伊野波を右にしたりと試行錯誤した。また五輪代表から、平山、伊野波、梶山らが、チームに戻ってくるとコンディションを崩していたり、やり方が違って、うまく戻れなかったりした。ワンチョペも、彼の良さを活かそうといろいろ試したが、そうするとFC東京が持っている良さが消えてしまうことになった。福西の使い場所も、ボランチや前と、いろいろとやってみた。最近ようやく、FC東京らしいサイドアタックや、スピードを使った攻撃が見えてきた。確かに苦しかった時期があったが、選手、スタッフたちは弱音を吐かずやってきた。ここからナビスコもあるし、FC東京らしさを活かしつつ精度を高めていきたい。やはりポイントはセンターバック。藤山と今野の2人を、これほどセンターバックで使うとは思っていなかった。ここまで踏ん張っている2人に感謝したい。今野は本当は中盤でやらせてあげたいが、そのためには茂庭のコンディションが戻ってこないと。センターバックで跳ね返せないと苦しくなる。サポーターにも、苦しい状況にもかかわらず応援を続けてもらっている。F・マリノスは強いが、ナビスコでは上に進んでいきたいと思う」
【鹿島・オリヴェイラ監督の会見要旨】「(後半立ち上がりの20分に混乱があったが、原因は選手のおごりといったメンタル面か?)そういう面はなかった。相手はどんどん前から来るので、集中しようと話していたが、注意が足りなかった。セットプレーに関しては、今までは問題なくしっかり跳ね返せていたが、失点の時には集中できていなかった。その後にバランスを修正して反撃したが、うまく噛み合わなかった。(後半にバランスを崩した原因は?)バランスを失ったのは、立て続けに失点したことによる精神的な部分だと思う。その後は、いろいろな手を使ってバランスを取ろうとしたが、最後のところで決められなかった。それが残念。(DF内田の欠場で、右にDF新井場が入った両サイドの出来は?)確かに前節はDF内田がうまく機能したし、彼の実力はすばらしい。しかし彼の欠場が敗因ではない。敗因はあくまでも、いつもはできていた集中が、今日のセットプレーでできなかったこと。中央でやられてしまったことは、みんなで反省し修正しないといけない。サッカーは1つを修正すれば、逆側が崩れていくという繰り返し。今回は残念な形で終わったが、次に試合もあるので選手たちは頑張ってくれると思う。(リーグ前半戦の総括は?)シーズン当初は運に見放されたところもあったし、結果がでなかったということで選手たちはプレッシャーを感じて、そのせいでうまく機能しなかった部分があった。しかし時間が経つにつれて徐々に浸透してきた。お互いの理解を深めることができ、いろいろな話し合いにより解決に向けてやってきた。特に選手たちが何かを変えようという気持ちや意識になり、彼ら自身がそうしたということが自信につながったのだと思う。今日は勝って終えて、上り調子のまま終わりたかった。だが、まだリーグは半分しか終わっていない。何かの結論を出すところまでは達していない。まだまだ課題は多いし、それをみんなで力を合わせてやっていきたい」