このたび、アカデミー選手の強化活動の一環として、2024年12月11日(水)~12月24日(火)までの期間で、FC東京U-18に所属している佐々木将英と尾谷ディヴァインチネドゥの2選手が、レアル・ソシエダU-19に短期留学いたしました。
高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 EASTの最終節を終えた直後に日本を出国。長旅でしたが、無事に現地に到着した彼らは、そのままヨーロッパリーグのレアル・ソシエダvsFCディナモ キーウを観戦しました。久保建英選手をはじめとするレベルの高い選手のプレーを間近に見て、そのレベルの高さに胸を躍らせると同時に、この選手たちと地続きであるU-19チームへのトレーニングに参加できるチャンスに胸を躍らせます。
レアル・ソシエダではクラブが所有している広大なトレーニング施設『ZUBIETA』(人工芝2面、天然芝8面)に、トップチームからU-13の選手までが日夜集まりトレーニングを実施しています。
両選手はレアル・ソシエダの練習着に身を包み、選手の集まっているロッカールームに合流しました。
まずぶつかるのはコミュニケーションの壁。例年行われるチーム単位での海外遠征では、外国籍選手と対戦する機会はありますが、自チーム内では母国語でコミュニケーションが取れます。しかし、個人参加の場合は、外国籍選手がチームメイト。自チームのなかで自分が「外国籍選手」の立場になります。通訳もつかず、帯同スタッフもサポートは必要最小限というなかで、本人たちが自ら行動し、一つひとつ解決せざるを得ない環境に身を置くことができます。
いざトレーニングが始まれば、コミュニケーションがなくても技術ですべてを解決できるとなれば素晴らしいですが、サッカーはそう甘くありません。もちろん、局所で対等以上にやれるシーンも作りますが、やはり日常とは違うサッカー文化・理解のなかで、コミュニケーションを取れずに後手を踏むシーンも見受けられました。こうした状況のなかで何を感じ、どうすれば上手くいくのかということに思いを巡らせ、それを実際に行動に移すことが、大きな成長の糧になります。
1日の流れとしては、午前中に宿舎からバスでトレーニング施設に移動し、トレーニングを実施(タイミングが合えば他学年の活動を見学)、宿舎に戻って翌日に備えるというシンプルな生活。サッカーに没頭できる時間と環境が十分に用意されています。スタジアムツアー以外は、特にアクティビティは用意せず、自由時間も自ら考え、予定を立てていきます。
レアル・ソシエダではU-19の上位にCチーム、Bチーム、トップチームとパスウェイが続いていますが、両選手はCチームに参加出来ることになりました。ここではU-19以上のインテンシティ、クオリティに触れて、とても素晴らしい刺激を受けた様子でした。日本ではうまく物事を進めることが出来ていましたが、現地ではうまく進まないなかで、もがきながら奮闘します。
両名とも日が経つにつれてコミュニケーションにおいても積極性が増していき、序盤に比べれば多くのことができるようになりました。この2週間のなかで、日本国内にいれば当たり前にできることができない、自信のあるスピードについてこられてしまう、伝えたいことを伝えられないという環境に身を置き、感じることは多々ありました。こうした経験を今後の活動に活かしてもらえればと思います。
また、今回参加させていただいたレアル・ソシエダU-19は、参加期間中に行われたリーグ戦で4位以内を確保し、コパ デル レイ(国王杯)での出場権を獲得しました。1月初旬にFCバルセロナと対戦します。2週間にわたって過ごしてきた選手・スタッフたちの活躍を期待せずにはいられません。
両選手は12月24日に帰国し、すでに26日からチーム活動に合流しています。両選手はもちろん、彼らが好循環をもたらしてくれるであろう今後のFC東京U-18にもご期待いただければと思います。
佐々木将英選手コメント
「まず個人留学という形で海外の選手、環境を肌で感じる機会をいただけたことに感謝しています。とても良い経験になりました。自分たちが参加したU-19の選手たちはどんどん飛び級して上のカテゴリーで活躍している選手でした。自分自身ももっと上に行くために、「自分たちの年代で通用している」ではなく、「自分たちの年代で飛び抜けている」でないといけないと感じました。今の自分は海外の選手に比べてどうなのかということを知ることができる良い機会になりました。またプレー以外にメンタルの部分でも学ぶことが多かったです。練習中に簡単な形で縦パスをミスしてしまったシーンがありました。それは試合の最後だったから、その後は分からないけれど、それが原因でパスがこなくなってしまうかもという怖さがありました。そういった一つのミスも許されないというプロ意識、緊張感を味わい一つひとつのプレーに対する責任をより強く感じさせられました。また、コミュニケーションがうまく取れないなかでプレーすることの難しさを感じ、特にセンターバックの選手は周りを動かさないといけないので、より大事だと感じました。もっと言語について勉強しないといけないなとも感じましたが、できないなかでジェスチャーや英語、簡単なスペイン語を覚えるといった工夫をすることで、ある程度のコミュニケーションは取れたと思います。いつもと違った環境では、そういった細かい工夫が大事だと知るきっかけとなりました。
今の自分が海外の選手と比べてどうなのか、またいつもと違う環境で自分の最大限の力を出すことの難しさなど、海外に行き、海外の選手と一緒にプレーしないと感じられないことを多く学びました。そういった貴重な経験を17歳という年齢で肌で感じることができ、本当に感謝しています。自分はまだまだ足りないなと思うと同時に、もっとできるとも思いました。感謝の気持ちを結果で返せるよう、謙虚に日々努力していきます」
尾谷ディヴァインチネドゥ選手コメント
「今回の個人留学では、世界との強度の差を改めて感じることができました。今回のスペイン留学では、U-19、Cチーム、Bチームなどの色々なカテゴリーの練習参加や試合観戦をしました。自分はそのなかで、同世代のカテゴリーならやれるが上のカテゴリーになると強度が全然足りないと感じました。球際や切り替えだったり、試合終盤でも落ちないスプリント能力だったりは、今の自分の基準では海外の上の世代の選手たちには全く通用しないということが分かりました。強度の部分は練習からもっと基準を上げて本気で取り組んでいくしかないなと思いました。それでも、自分のストロングであるゴール前の質だったり身体能力の部分は、海外の上の世代の選手たちにも十分通用するということがわかったので、そこはとても自信に繋がりました。
今回の経験をチームに還元して、個人としてもチームとしても良い結果を出せるように頑張りたいと思います」