□これまでの20年間
FC東京に関わるすべてのみなさま、いつも変わらぬご支援・ご声援、誠にありがとうございます。本日2018年10月1日は都民の日であり、FC東京にとって20回目の創設の日です。みなさまのご支援・ご声援のおかげで、クラブは大きく成長することができました。1997年に東京都をホームタウンとしてJリーグ参入を表明し、1998年に法人が設立され20年が経ちました。1999年にFC東京としてJ2リーグに参戦し、最終節での劇的な逆転でのJ1リーグ昇格。そして、これまでにJリーグカップ2度、天皇杯1度のタイトルを獲得することができました。クラブの誕生にご尽力いただいた方々、これまでクラブに愛を捧げていただいた方々に感謝申し上げます。
この20年間の通算成績はJ1リーグ 240勝128分217敗、J2リーグ 44勝11分19敗、J3リーグ 26勝20分39敗(2018年9月23日時点)です。みなさまと共に戦ってきた試合は1試合1試合、思い出が詰まっております。1999年最終節での新潟戦、前節まで3位の状況で、J1昇格の2位以内を劇的な逆転で勝ち取りました。2004年Jリーグカップ決勝の浦和戦、前半29分に一人少ない10人での戦いになりましたが最後の最後まで戦い抜き、PK戦で初のタイトルを獲得。2012年はACL初出場、初戦のアウェイ、ブリスベン・ロアー戦には日本から多くのファン・サポーターのみなさまに応援に駆け付けていただき、ACL初勝利を飾りました。また、2010年12月4日の京都戦、試合後にJ2降格が決まりました。FC東京にとって忘れてはいけない日となりました。この悔しさを忘れないよう、今でもファンの方からいただいたこの日のチケットを大切に保管しております。楽しいこと、嬉しいこと、苦しいこと、悲しいこと、いろいろなことがありました。幾度もファン・サポーターのみなさまに支えられて乗り越えてきました。
FC東京は育成型クラブを標榜し、小学生年代はスクールを都内20か所(スタッフ派遣校含む)、より選手育成を主眼としたアドバンスクラスは都内5か所までに広がりました。中学生年代ではクラブ創設からあるU-15深川、2004年に設立したU-15むさし、高校生年代のU-18と小学生から高校生のピラミッドを大きく高くすることを目標に取り組んで参りました。これまでにU-18から26名の選手がトップチームに昇格、さらにU-15深川、U-15むさし、U-18に在籍経験のある81名の選手をJリーグクラブに輩出してきました。
2010年、2017年はJリーグ最優秀育成クラブ賞を受賞し、2017年にはFC東京U-18が高円宮杯U-18サッカーリーグ2017チャンピオンシップを獲ることができ、育成クラブとしてのFC東京の存在感を示すことができました。また、各年代の日本代表に選手を送り出し、2014年には権田修一が、そして2018年には武藤嘉紀がFC東京アカデミー出身の選手としてワールドカップ日本代表のメンバーとなりました。
SOCIO(年間チケット保有者)は約900人から10倍以上の約10,000人、ホームゲームのご来場者数(リーグ戦1試合平均)は約3,500人から7倍以上の約26,000人、ファン会員組織の中核であるクラブサポートメンバーは約20,000人にまで成長しました。その結果として、営業収益は45億円を上回る規模となりました。
ホームタウンでFC東京を応援していただいている方の輪も徐々に広がり、現在では東京都内にチームカラーの街路灯フラッグ約3,600本、ポスター約5,000枚が掲出されています。2016年からはFC東京U-23が味の素フィールド西が丘や江東区夢の島競技場などで試合を開催するようになったこともあり、FC東京を応援していただけるすべてのFC東京ファミリーが東京都に広がっていると実感しています。
FC東京は創設してから20年間、府中市、三鷹市、調布市、小平市、西東京市、小金井市を中心に東京都のすべてのみなさまとともに歩んでまいりました。みなさまからのご支援・ご声援に心より感謝申し上げます。そして、これからも6市を中心に東京都のすべてのみなさまに必要とされるように活動してまいります。
□これからのFC東京
2016年1月に「FC東京2020 VISION」を発表いたしました。VISIONに込めた2020年への想いは変わらず、そしてその先も東京都のすべてのみなさまに愛されることを目指し続けます。
トップチームは、2004年と2009年のJリーグカップ、そして2011年の天皇杯でタイトルを獲得し、残す国内タイトルは念願のJ1リーグ制覇のみとなっています。ACLにも2012年、2016年と2度出場しました。これからも泥臭く、ひたむきに、100%の力を出し尽くすサッカーを継続し、J1リーグ制覇、ACL制覇を含めて、1つでも多くのタイトルを獲り、ファン・サポーターのみなさまと共により多くの喜びを分かち合うことができるよう全身全霊を懸けて戦ってまいります。そして、首都東京のクラブとして日本のサッカークラブ、Jリーグのクラブの代名詞になれるチームを目指してまいります。今後、サッカー界を取り巻く環境が変化し、チームの競争力を向上させるためにはこれまで以上に投資が必要になってきます。育成やトップチームへの投資、それにより魅力的なチームをつくり、その結果としてさらにFC東京ファミリーが拡大し、クラブとして収益力を高めていく、そのような循環を加速させてまいります。
育成については、J3リーグに参加したことで、U-18所属の選手を含めて23歳以下の選手が実戦経験を積むことができる貴重な場となっています。また、FC東京サッカースクール アドバンスクラスからU-15、U-18、U-23、トップチームの監督・コーチ同士のコミュニケーションを通じて、一貫した育成体制の実現ができています。育成型クラブとして、トップチームの中心をU-18、U-15出身の選手が担うだけでなく、東京オリンピックや2022年ワールドカップでFC東京の選手が世界を相手に活躍することを目指します。
また、普及活動においては、スクールだけでなく、サッカークリニックやキャラバン隊等の活動を島嶼部を含めた東京都内全域で引き続き実施していくことで、サッカーの普及、そして子どもたちがスポーツの楽しさを感じ、夢を持ち、自ら考え、判断し、行動できる自主性を引き出せるように努めてまいります。
FC東京2020VISIONでは、FC東京ファミリーの拡大として、SOCIO 12,000人、クラブサポートメンバー30,000人、そしてJ1リーグ戦1試合平均ご来場者数30,000人などを掲げましたが、目指している水準には届いていません。
FC東京ファミリーを拡げていくために、まだ興味がない方にも情報が届くように世の中におけるFC東京関連のコンテンツを増やすとともに、自社メディアも含めた多様な場面での露出を増やしていきます。また、高い観戦満足度を実現して何度も足を運んでもらえるようマッチイベントやスタジアムグルメなどを含めたワンダーランド化を進めます。東京の特性を踏まえたマーケティング戦略を確立して、すべての活動を一貫した方針のもとに取り組み、東京で必要とされるクラブを目指します。
東京都は日本の人口の約10%を占め、日本で唯一1,000万以上の人口がいる大都市であり、FC東京には首都クラブとして大きな可能性があります。一方で、多種多様なレジャー・エンターテイメントがある大都市ならではの難しさも抱えています。その東京都全域にFC東京ファミリーの輪がさらに拡がり、FC東京の躍動で街に笑顔が溢れ、地域とクラブが強い絆で結ばれればこれほど嬉しいことはありません。
また、今年25周年を迎えたJリーグが「Jリーグをつかおう」として、社会連携の重要性を改めて発信しましたが、FC東京はクラブ創設から地域コミュニティへの貢献を重視し、地域イベントの参加や商店会のみなさまとつながりを持つだけではなく、人権啓発活動や非行防止などの社会連携活動に積極的に関わってきました。クラブやスタジアムには人々や活動をつなげ、そして広げる力があります。今後は「子どもたちの健全育成」をはじめとした大事なテーマに、みなさまと連携しながらさらに取り組んでまいります。
最後に、FC東京2020VISIONでは「サッカー専用スタジアム建設の可能性を追求する」ことにも言及しました。我々は、より多くの方々にサッカーの楽しさ、感動をお伝えするためにはサッカー専用スタジアムが不可欠であると考えています。
欧州を中心としたサッカー強豪国の首都には必ずと言ってもいいほど素晴らしいサッカー専用スタジアムがあります。日本の首都東京にもJ1リーグの基準を満たすサッカー専用スタジアムができることで、より多くの方にサッカーの魅力、醍醐味を感じていただけるはずです。サッカーを観る人、する人、そして支える人にとって素晴らしいステージがあることはFC東京の願いであり、これからの数十年を考えたときにクラブのさらなる発展のためには必要不可欠なものだと確信しております。同時に日本のサッカー界、サッカー文化にとっても大きな意味をもつと信じています。
来年開催されるラグビーワールドカップ2019日本大会、そして東京2020オリンピック・パラリンピックの開催およびそれに伴う改修工事等によって長期間にわたって味の素スタジアムを使用できない状況が想定されていますが、他団体や他イベントに大きく影響されずにホームゲームが開催できるスタジアムを確保することができれば、将来的に安定的な試合開催ができるようにもなります。
そのサッカー専用スタジアムは選手とファン・サポーターの距離を縮め一体感を生み出すスタジアムであり、何度観ても圧倒されるほどの雰囲気と臨場感、非日常感を実現させる、FC東京にとって聖地となるスタジアムです。加えて、首都東京の特性を活かしたライブやイベント会場、市民の憩いの場や市民スポーツが出来る場として、多種多様の人たちが日常的に集い、にぎわう、スポーツとエンターテイメントが融合した場所になってほしいと考えています。
FC東京は首都のクラブとして、世界に誇れるサッカー専用スタジアムで魅力的なサッカーを展開し、日本国内、そしてアジアのタイトルを獲得し続ける、日本サッカーを牽引する存在でありたいと思っています。
こうした想いを現実にするために、覚悟をもって具体的な検討を進めてまいります。実現には、東京都民のみなさまのご協力が不可欠であり、ファン・サポーターのみなさまはもちろん、FC東京の株主、スポンサー各社などすべてのFC東京ファミリーのみなさまからの後押し、ご支援、ご協力をお願いしたいと思っております。
これまで20年間積み上げてきたものを大切にしながら、首都東京にふさわしい「強く、愛されるチームをめざして」、クラブ一体となって取り組んでまいります。これまでの20年間と変わらず、そしてそれ以上のご支援・ご声援をよろしくお願いいたします。
東京フットボールクラブ株式会社|FC東京
代表取締役社長 大金 直樹